nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

鶏卵相場低迷はいつまで続くのか 5月以降の相場と夏季相場

鶏卵相場の低迷が続いております。相場高であった平成26年から見てみますと、右肩下がりであることがわかります。

 

今年1月の全農東京Mサイズ平均は121円でした。昨年12月の相場下落もあり1月の初値が注目されていました中、100円で年が明け本日(4月12日現在)170円に至ります。1~3月のM卵相場平均は平成26年は231円、平成29年は200円、本年は147円と相場上昇期と言われるこの時期も不調が続きます。

 

理由はいろいろあると思います。
1つに、増羽(供給量)が進んでいることです。特に関東、中部地域が多かったようです。関東の大産地(茨城・千葉)は共に前年より多く茨城は109.3%増、千葉は99.8%でしたが、群馬106.7%、栃木120.1%と全体では多く餌付けました。
全国2位の鹿児島も多く111.2%で推移しました。

全国で見た平成30年の餌付けは前年29年に比べ97%後半ですが、相場を見る通り昨年は西高東低相場(関東は東で低く、西日本地域は高い)であるのも一理あります。

 

本年2月までの餌付け発表によれば関東は前年比106%と多く餌付けていることが分かります。また中部地域も少しづつ増えています。

関東では茨城121.5%増、千葉99.1%、群馬117.3%、埼玉104%と関東産地は堅調に推移している状況です。


今年も全国で見る場合は前年比同じまたは減少と見られるかもしれませんが、三大産地は堅調で特に関東は多く推移する可能性が高いことから、供給が多く続くと思われます。

 

2つ目は、需要が頭打ちであることがあげられます。年間一人当たりの消費量はほぼ横ばいといわれます。

平成2年の家計消費量は1日29.7gですが、その後平成22年に27.5gに低下し平成29年は29.0g(概算)とわずかに過去消費量に戻りつつありますが、過去消費量を更新するほどの量になっていないことが分かります。

 但し、加工・業務用は増加が進んでおり、平成2年22.2gで平成22年25.8g、平成29年は26.7g(概算)と右肩上がりです。

 

このデータから読み取れるのは、家庭消費がほぼ頭打ちで、加工や業務用用途に需要が拡大しているということです。


上記データから簡易分析すれば、餌付けが多く家庭向けより加工・外食等向けが堅調である。よって鶏卵は家庭向けも生産するが、加工向けにターゲットを絞りたい。
となるかもしれません。

 

しかし、気になるニュースもあります。
日本農業新聞が4月10日サイト版で「鶏卵 価格低迷が長期化 生産潤沢で荷余り感」と報じていますが、生産量が潤沢で荷余り感が強いと紹介しています。
記事の通り、中食向けに荷動きがありますが、小売や外食は伸び悩みがあると言います。

 

中食は、総菜や弁当向けが主流でしょうが、供給元は固定されています。つまり○○弁当店にわが社の鶏卵を納めようといっても「先客がいます」と言われるわけでしょう。
では、液卵として販売しようと考えてもすでに専門商社がいます。供給先は既に決まっています。ですので養鶏家の販路戦略によりましょうが新規に開拓していくことは大変な努力が必要でしょう。

 

ですから、加工会社に納める養鶏家が多いと思います。代表的であるキューピーたまごは、加工向け・中食向けに必要な細工をして販売しています。

 

先ほどのように中食向けは現在好調です。外食向けもゴールデンウィーク対応で需要があると見込まれますから今後強く引き合いがあるでしょう。(そうなってほしいところです)

 

しかし、経済情勢によって外食産業は影響を受けやすいとされます。日本フードサービス協会が発表している「外食産業動向調査 平成29年」では売上げが好調である分析を示しています。ファーストフード店は洋食・麺類を扱う店舗が好調を持続しており、どちらも鶏卵を扱うことから朗報です。

 

しかし、ファミリーレストランは客数の低下が見られ、居酒屋も低下気味です。客単価は増加しておりますが消費動向から見ますと、低価格で早くお客様に提供できるサービスを好む傾向が見られ、直近の経済情勢次第でどう動くか心配されます。

 

加工向け以外に付加価値商品に取り組みしているキューピーですが、サラダ総菜とドレッシングは売上げが弱く年間計画を下回るという株式投資家の分析もあり、サラダのトッピングにもなる鶏卵等課題も残ります。

 

直近の状況をまとめました。それでは5月以降の相場はどのように展開されるのでしょうか。


まず、供給過剰であった昨年はどのように推移したのでしょうか。
東京の4月は20日まで「もちあいで」でした。ところが、4月23日に5円安となりゴールデンウィークに突入。
連休明けの5月7日に5円安となりました。その後は末日まで「もちあい」です。

 

さて、今年はどうでしょうか。4月は概ね「もちあい」となる予測ですが、連休明けは季節要因や相場休暇中の滞留で一時的に鶏卵過剰となり相場安になる可能性があります。

 

今年度の成鶏更新・空舎延長事業の基準価格は164円です。現在超過しており5月中は発動しないと考えていますが以降は分かりません。

 

昨年もありましたが、猛暑や自然災害がある夏でもあります。

 

長期予報の6月については、降水量は平年並みか少ない可能性が各40%とカラ梅雨の可能性があり、気温も平年並みか高い可能性が各40%と気温が高い可能性があります。

湿度が高く温度が高い場合は鶏の生命に危険が迫りますので注意が必要でしょう。

 

夏季相場は、需要が低下するため価格が下がる傾向があります。昨年は供給過剰でしたが西日本地域の需要不足により東日本地域の潤沢な鶏卵が西に動くことで相場が維持できたと言えるため、同じような構図でない限りは潤沢鶏卵によりある程度の相場安になるでしょう。

 

昨年は、供給過剰が続くため相場安の展開が続きました。

 

さて四半期が終わり次のステージに入りました。今年は暗雲立ち込める中のスタートですが、良い上期となってほしいものです。

6次産業化 卵の付加価値を考える

平成27年10月家畜改良センター岡崎牧場の資料「卵直販店に関する現状、課題等について」から、これから6次産業化を目指す方又は検討したいと考える方向けに卵の付加価値をつける考え方を示してみます。


私自身も以前お話いたしました「ライブドアブログ「6次産業と付加価値ある鶏卵 たまご街道が紹介されました」3月2日発表」にも共通しますが、

今回は資料を基に分析した内容を中心にお話します。「~たまご街道が紹介されました」を見ながら一緒にお考え下さい。


今回の資料からは貴重となる直販店の店舗数や経営体に関する調査がなされていることがあります。先駆者の方々はどのような人なのでしょう。
数値から読み取れる私の分析を含めて考えます。


1、飼養規模と飼育方法
飼養規模は1~3万羽未満の養鶏家が39で多く、次いで1万羽未満の26%統計となり小規模養鶏が多いことが伺えます。
10万羽以上の養鶏家は16%でした。
3年前の資料ですが、現在と比較しても大きな変化はないのでしょう。
飼育方法は、ゲージ飼いが、70%と最も多く平飼い22%、放し飼い2%とスタンダードな飼育方法の養鶏家が多いと思われます。


2、販売形態

鶏卵の販売比率ですが、生産量の50~100%の販売が45%が多く、ついで20~50%の販売が29%、20%以下販売比率は26%でした。
生産量がデータから見て2万羽程度までがおおいことから、1日の生産量は最大18000個程度までといえますから、9000個以上の販売量と推定できます。

 

販売に従事される雇用者数は1~3名が47%と多く、ついで3人以上33%の販売担当の方がいると想定されます。
売店の稼働によりましょうが、店休日がなければ1名での販売は大変です。ですので最低2名以上となることから3名までの47%はシフト運用からみて最小限であろうと推察されます。

3名以上はどれ以上かわかりませんが、販売形態によって(加工販売や飲食店併設等はそれなりの人員が必要です)はそれなりに必要でしょう。

 

では、販売する際に何をアピールするのか尋ねますと
①特別な飼料を給与していること38%
②新鮮な卵32%
③通常とは異なる鶏種13%
④飼養管理方法の違い13%
上記から想定できるアピールポイントは「こだわりのえさを与えて、新鮮なたまごです」というところでしょうか。


消費者は、新鮮でこだわっている鶏卵を好む傾向があります。ライブドアブログでも書きましたが、消費者のインタビューでは、「黄身の色が違う」「新鮮で他の卵と違う」等、おいしさよりもこだわり感と新鮮さを求めていることがわかります。


こだわりの販売店で購入することで高い価格であっても付加価値あって満足していることがうかがえます。

 

これだけのデータからは生産量の50~100%の鶏卵が付加価値ある卵に変化し増収が見込める。販売雇用者数は3名又はそれ以上で運用が可能である。
といえますが、そんなに甘くはないと言えましょう。


課題を質問すると現状の問題が見えます。
3、課題及び今後の展開等
経営の課題として、「PR方法の充実38%」「販売物の売れ残り対応22%」「各種情報の入手21%」となりました。


売店を開いている養鶏家の皆さんは、「繁盛店の情報(人気メニューや繁盛理由)が欲しい」「多くの消費者へ情報発信できる仕組みが欲しい」といえるのでしょう。


今では知名度も上がりました「たまご街道」もここ数年前から多くテレビでも取り上げられました。メディアへの取り上げが必須とも言えますが、今の時代SNS等ネットからの情報発信から拡散されることを期待してアピールしていくのも一つの方法ではないでしょうか。


しかしすべてがうまくいくとは限りません。専門の広告代理店等の知恵も必要でしょう。


うまく軌道に乗せる大変さが伺われます。
今後の事業展開を伺うと「拡大が44%」「現状維持47%」「縮小9%」と拡大する方と、現状を維持したい(積極的でない)方に2極化しています。


拡大を選んだ方は、地域に根差した経営手法がある方か販売利益が大きく魅力的と判断されているのでしょう。一方現状維持が最も多いため大きく経営に貢献できていないことが主因でしょう。

実際に経営されている養鶏家のお話を聞きますと「実際、軌道に乗せることはとても大変。利益が出るのは先になり、今期からやっと収支が良くなった」と話されましたのが思い出深いです。


これは、販売店を開き周囲に周知してもそれだけでは収支は改善しない。ですのでもっとPRしたいと考えるのです。

 

6次産業化は成功すれば利益に大きく貢献できますが、そこにたどり着くまでは大変な努力と辛抱があるのです。


付加価値のある鶏卵は、「○○のたまご」等のネーム卵が乱立しており消費者からみて分かりずらい状況です。そんな中うちの卵は○○のお店から絶賛されていて
そんなことにはならないと考えている方もいましょう。しかし、そのような〇〇のお店が絶賛するというのは他の養鶏家でも良く聞きます。

つまりその方の専売ではなく、品質がとても高いわけでないということです。(どこも品質は向上しています)
いつまでもそのような言葉にしがみつくといつか足元さらわれることになりましょう。


大規模化した養鶏家は、小さい養鶏家と異なり、簡単に6次産業はできません。それは1日の生産量が多いのです。
それでも、賢い養鶏家は危険覚悟でも新しい販路を求め続けています。そうでないと生き残れなくなっているのです。ただのネーム入り鶏卵ではもはや付加価値ではなくなりました。


それ以外の販売とは・・輸出?(いえ販路が少ないでしょう1日30000個かそれ以上の生産があれば消化はできません。


国内消費が頭打ちで、営業の腕でオセロのように販路がひっくり返ることも珍しいことではありません。(低卵価の際にあった大手の投げ売りのようなことがありました)

 

また、普通の鶏卵は飽和状態に達している現実があり、シェアは大きいのですが競争も大きく営業の腕次第で勝ち負けになることも珍しい時代ではありません。


鶏インフルエンザ等で供給が停止した場合、販売店は高確率で供給再開は出来ても取扱い量を縮小することを望むのが現実です。(取り扱わないこともあります)


それは、販売店は売上げの基本である鶏卵の欠品を阻止するため違う会社の鶏卵を入れ消費者に提供します。
ですので明日から再開しますといわれても逆に困るのです。ですから温情とは言いませんが僅かなオーダーになり、結果販路を失うのです。ですので、消費者の鶏卵を食することの心配ではなく、欠品になることが心配であるのが現実なのです。

 

 現在の販売店は鶏卵の取り扱いは増えてます。恐らく3~5銘柄の鶏卵が取り扱いされています。私の販売調査でも3つより4つ以上で7つの銘柄を扱うところもあり個々の販売面積が小さくなっているのを感じています。1銘柄が停止しても、取り扱い残りは多く、パッキング先や生産農場が広域になっていること事からすべての銘柄が欠品することはまれでしょう。


足元の供給先に変化が出ている時代、卵があればよい時代は終わりました。 あることが当たり前で普通の卵は営業の腕と価格となりましょう。


では、どうするのか。そんな選択に6次産業化も考える時代に入ったかもしれません。
今は、小さい養鶏家に最適かもしれません6次産業化ですが、でも活路を求める時がきっと訪れるでしょう。

ビークトリミング 養鶏の未来

養鶏に携る方にとって検討している課題の一つと思います「ビークトリミング」ですが、作業者が少なくなり外部委託をしている方も多いのが現状で、近年は「レーザーでのビークトリミング」が少しづつ普及していると感じます。


今回は、ビークトリミングについて考えて見ます。


まず、なぜビークトリミングするのでしょうか。簡単に説明しますと、
鶏がゲージ等に群で飼養されていると、鶏が尻近辺をつつき、いわゆる「尻つつき」をして、出血させさらにつつくことで、腸などを引き出だし死亡に至ることから、嘴を切ることでそのようなことを防ぐ目的で行うものです。


しかし、鶏種が改良されており、育成中にこのような行為を行う鶏は少なく最近では餌の無駄を省く目的で行うことが一般的でしょう。
無駄とは、先端がとがる嘴で餌を食べるとうまく口に入れられずむしろ、こぼしてしまうことから先端を平たくして、うまく口に入れることが出来るようにする経済的な目的が主な理由といえるのです。


さて、そのビークトリミングの方法ですが、
嘴を先端から数センチ程度垂直に切り落とし上嘴と下嘴を揃えます。この時、上嘴を長く切り残してはいけません。


人間が、熱で嘴を焼き切る方法が主流で、600℃程度の加熱した刃で焼き切ります。(一般的にチェリーレッドの刃色といわれ、色で温度の目安にするのです)
刃が嘴を切り落とした際に数秒(一呼吸程度)刃の熱で止血をしますが、
低い温度で焼き切りますと、出血が止まらず成長不良となる原因を作ります。逆に高すぎる場合は、嘴が火ぶくれた様なこぶを作り餌を食べることが上手に出来ずやはり成長不良になります。このためにも温度調整は必要なのです。

人によりますが、切り落とす際の手の感覚で、温度が高いのか低すぎるのかがわかります。
ですので、作業者は常に切り落とす嘴の状況と過熱している羽の色で温度を確認しながら作業することが重要です。


ですが、この感覚を身につけるには慎重さと几帳面でないと会得できないことから、近年は従業員に教える養鶏家は少なくその技術は養鶏場から姿を消しつつあるように感じます。

 

代わりに「レーザービークトリミング」が普及しつつあり、初生雛の時にくちばしの先端にレーザー照射することで、ある程度の日齢で嘴の先端が取れていくもので、農場での手間がかからずまた、特別なことをしないため普及しつつあります。


これもまだ課題が残っていると言われます。餌付け開始から数日後ある程度の数死亡が見られるというもので、レーザービークトリミングが原因とされています。ですので、手間はかからないがヒヨコを餌付けて最初の4~5日間の死亡数(初期落ち)は人による作業と変わらない程度の死亡が発生する傾向が多くまた、レーザーの場合1羽数円でしょうが、切るための手間賃を支払います。(羽数が多いので結果手間賃が高額になり魅力を感じないことが原因とされます)

切り口は人による作業以上の出来で好評な場合もあれば、捕定の仕方が悪く、下嘴が短く上嘴が長い斜め切りとなるような事例もあります。


人によりますが、人で切ったほうがコストが低く、初期落ちに変わりがないことで導入をしないとする方も多いのです。
他方、ビークトリミングは不要であると考える養鶏家もいて今後アニマルウェルフェアの考え方次第でしょうが、EUのように実施しないということもあるかもしれません。

 

さて、ビークトリミングを自社で行いたいという養鶏家もいます。これは、外部委託先の人員が少ないため短期間で作業を終えることが出来ない又は人手がないことで廃業する等環境が変化していることがあげられます。


また、コスト削減として自社で行うことで外注費を節減できる狙いがあるようで導入する方もいるのです。
しかし、先ほど述べましたがその技術は高いもので、では明日からやりなさいとは言えないのです。


切り口の出来栄えでその鶏の将来が決まるとはいいませんが、鶏が小さくなって鶏卵を生産しないことや、死亡してしまう等経済性にマイナス効果があるため、よほどの裕福な養鶏家でない場合以外、一度やめた技術を復活することはコスト削減につながらず逆の展開に至ることも珍しくありません。


また、この技術を教える方もいないというのも現実あります。このため高度な技術をもつ社員を育成することは大変な苦労があるのです。


ビークトリミングをテーマにお話をしましたが、大事なのは一度失った技術は再度社内に持ち帰れないということです。


真似事はできますが、同じコピーすらできないと断言できます。
それは、教える者が十分な指導力を持っていないことやそもそも技術を有していないことで、真似事はできるがコピーはできないのです。

人材がいないということで、外国人技能実習生に頼るビークトリミングする会社もありましょうが、予後の良しあしはその時に決まるわけでなく、あと4カ月先等で明らかになります。

切ることは誰でもできますが、その切ることに技術があることを理解してい頂きたいと思います。

ビークトリミングをテーマにしてお話をしましたが、近年の養鶏家の一部は、コストに趣を置いてしまうことから、目先のコストは改善できても少しづづ生産性等違う角度から減収になるような問題が発生しているように感じます。

いずれも、人材の理解度が低いことが原因であることが多いように感じます。


本当に将来を心配される養鶏家は4月からの外国人技能実習生受け入れ拡大に期待をしていません。
今の人材を最大限発揮できるように教育に投資をしています。そこの重要性を見いだせないと少しづつ変化に対応できず競争の波にのまれてしまうかもしれません。

 

軽作業が多い畜産業と言われますが、内容を見ますと必ずしもそうではないのです。
その技術を失ったとき、スポットで入る人で用が足りるとは言えない現実が目の前にあるのです。

GAPの認知度と課題 データから見る実情

日本政策金融公庫農林水産事業は、平成30 年1月に実施した「平成29 年 下半期食品産業動向調査」において、食品関係企業に対してGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況を調査しました。


その結果、食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答しました。
今回のデータは平成30年3月28日に発表されたものです。


また、消費者側のアンケートを農林水産省が平成30年3月30日 農林水産省生産局農業環境対策課 がまとめた資料も併せて検討してみます。(アンケート調査時期:平成 30年2月8日から2月12日調査地域:全国 インターネットで回答)


1、消費者からみたGAPの認知度と考え方及び予想される消費行動
①消費者のGAPの認知度

知らなかった」と回答した割合が 72.7%と最も高い結果となり、

次いで、「名前を聞いたことはあるが、内容までは知らなかった」と回答した割合は 22.0%、
「知っていた」と回答した割合は 5.4%となっています。


GAP」について認知している人の割合は合計 27.4%となっています。

 

②企業に求めるGAPの取り組み姿勢
「取組が可能な農業者は取り組む必要がある」と回答した割合は 62.5%、

「すべての農業者が取り組む必要がある」と回答した割合は 30.0%となっています。


③国内の食品関係企業(食品製造・卸売・小売・外食等)が、農畜産物の取引にあたって、GAP認証を取引の要件としたり優先的に取引することについて評価しますか。「評価する」と回答した割合は 56.4%、
「わからない、どちらともいえない」と回答した割合は38.3% でした。


評価する方が多いのですが、分からないという決めきれない方もいて、GAPを知らない方が多いことから評価する決め手に欠けているといえます。
ただ、内容は分からなくとも何となく良いものは分かるため評価しないという回答をする方はいないのだと思われます。

 

では、評価すると答えた方のその理由を尋ねると、
「企業の社会的責任だと思うから」と回答した割合が 47.9%、
「信頼できる企業だと思うから」と回答した割合が 45.8%となっています。


消費者は取り組むことを当然と考えており、取り組むことで信頼を得ることが出来ると認識しています。

 

逆にGAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
あまり必要性を感じないから」と回答した割合が 42.1%と最も高く、
認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」と回答した割合は 38.3%、
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」と回答した割合は 13.1%となっています。

 

消費者は、GAPに取り組む必要があり食品関係企業が優先して取り組むことに理解を示す方が多く、そして信頼できる生産元と回答しており、積極的に商品を購入してくれそうな回答ですが、購入する条件について質問すると以下の通りの状況でした。
同程度の価格であれば購入したい」と回答した割合は 71.8%、
「割高になっても、購入したい」と回答した割合は 18.5%となっています。


では、購入したいと思わない理由を尋ねると、
GAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
「あまり必要性を感じないから」
「認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
という回答のように、GAPの取り組み理解がまだ十分でないことから、割高な商品では購入を躊躇してしまう現実があります。


現在の価格と同程度であれば手に取ることに抵抗はないことから、「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
の回答のようにそもそも現在の品質に不安を感じていないことから付加価値を見いだすことが出来ていないことが原因と推察されます。

 

消費者は、GAPを知っている方5.4%ですが、GAPに取り組む必要があると考えています。(92%の方は必要としています)
また、商品を食品関係企業が取引要件にしたり優先して取り組むことに50%超える方は賛成しており消費者にはGAPを取り入れた製品にある程度期待していることをうかがわせています。


しかし、商品価格は割高になることに抵抗を示しており、その理由として「認証なくても安全安心な製品を購入できるから」と回答しており認証があることによる付加価値分の支払いに違和感があるという考えです。


このことから、認証のない商品と差別するすることに要したコストは認証を取得した企業が負うことが望ましいといえます。つまり認証取得がある製品が認証ない商品と同額であれば「認証品」を購入するといえます。
商品へのコスト転嫁は現在ではできないと考えられます。


では食品関係企業はGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況等をどう見ているのでしょう。

 

2、食品関係企業からみたGAPの認知度と考え方及び予想される行動
食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答
現在、食品関連企業はGAPはなにか認識されておらず認証品のあるなしによる差別を考えていないといえます。


GAP関連農産物の取扱いの拡大に向けて、まずは食品関連企業に対してGAP認証制度とそのメリットを周知し、GAPの認知度を高めることが重要であると考えられます。と報告しています。


②GAP農産物の取り扱うことについて
GAP関連農産物を「取扱う予定はない (28.6%)」と回答し、
「取扱っている(6.4%)」、
「今後取扱う予定である(14.5%)」を合わせての 20.9%を上回り、
GAP認証を認知していてもGAP関連農産物の取扱いには積極的 ではないとの考えが優勢であることがうかがえます。
業種別に見ると、小売業のみ、GAP関連農産物を「取扱っている」または「今後取扱う 予定」との回答が「取扱う予定はない」を上回り、
小売業は他業種に比べGAP関連農産物 を積極的に取扱う姿勢がうかがえます。


では、GAP関連農産物を扱う予定がないと回答した企業はどのような理由なのでしょうか。
「取扱う予定はない」と回答した食品関連企業(593 社)を対象に、GAP関連農産物を取扱うえでの課題を聞いたところ、
現在の流通において、必要性を感じない42.3%)が最も多く、
次いで「コストの増加が見込まれる41.1%)」、
GAPの概念が消費者に浸透していない(37.8%)」、
GAP認証を取得した生産者が少ない(35.2%)」
の順となりました。

これらの結果から、GAP関連農産物の取扱いを拡大させるためには、食品関連企業に対しGAP関連農産物を取扱うことで得られるメリットを正しく周知していくことが重要と言えそうです。
また、GAP関連農産物の取扱いに伴う食品関連企業の仕入れコストの増化が見込まれることや、消費者のGAPに対する認知不足、GAP認証取得の生産者の不足 など、今後解決していかなければならない課題が複数存在することがわかりました。
(報告書から引用)

 

食品関係企業と消費者はGAPが理解されていないことにより「必要性を感じていない」ことで消費者は現状の価格より高いことに拒絶感があり、企業もコスト増加が見込まれているが転嫁しにくいと考えていることが推察されます。
不必要な費用負担を望んでいないのが現状となっています。
両者ともGAPの必要性はある程度理解を示していますが十分に理解していただくよう引き続き説明を続けていくことが重要なのでしょう。

 

しかし、一部大手の販売店は自社ブランドにこの認証制度を取り入れることを表明し実行しています。

2020年オリパラに向けての対応もありましょうが、自社製品の付加価値化を意識した対策でもあるように感じます。

製品の安全と労働者の安全、地球環境の保護と、GAPの基本部分をアピールできるため他社製品との差別化ができると判断されてると推察されます。

今後、販売業界でも差別化(商品の付加価値化を前面に出すことのPRで自社と自社ブランドの価値向上)する、しない(消費者への訴求力がないことで特に対応しない)がさらにはっきりと進むのでしょう。

その時、消費者は何を基準に選んでいくのでしょうか。


コスト増加がない認証製品が流通できるよう、どこかが努力(企業または生産者がコストを吸収し価格に転嫁しない)してもらうことで認証品が流通でき少しづつ流通・消費量が増えることが出来るでしょう。
それは現実的かは分かりません。

 

しかし、それ以前の問題で本当にコストが増大するのでしょうか。

私が見る限り、確かに構築・認証審査・維持更新には費用が掛かります。

かかった分転嫁したいのはそうですが、転嫁しなければならないほどの金額でないとも感じます。ですから、普通の製品と認証がある製品でどちらが販売店が好むのか?

という基準で生産することでいずれお客様は認証品を選んでいただけることで結果、認証して良かったと考える程度で良いのではないでしょうか。

 

認証農場次第でしょうが、差別するためのツールでこの認証で付加価値つけて、値上げて販売することをねらう方々にはまだ早い取り組みでしょう。(消費者は値上げを希望していません)

 

認知度がなくコストが上昇するだけで認証品とそうでない品の差がはっきりしない場合どこもコストアップには理解を示すことはできないのです。

現在の安全安心な製品で見える化されているといわれているだけでは納得できていないのでしょう。


購入者(消費者・食品関係企業とも)は意味のない不必要な出費を好んでいないのです。


生産者は本認証により増収増益につながると考えるより、認証のない製品と取引値は同じであってもシェアを広げることで、結果増収増益に結び付くという考えが正解なのかもしれません。


それでいいとは言えませんので、結局はGAPの理解に国や地方自治体が広報活動することで広く浸透することで製品の価値を見つける知識を植えることが近道なのです。


東京オリンピックパラリンピック選定食材に向けての認証取得ブームはまもなく終了します。真のGAPの存在価値はそのあとが本番です。


ゆくゆくは国内消費では不安になる農畜産物。輸出も視野に入れなければならないためにもGAPは必要不可欠な制度です。

ですから、他人事でなく生産者や購入者の方々ともに考えていくのが数年先・10年先に未来に大きな変革をもたらすことでしょう。

農業景況調査から見た採卵鶏と畜産業

日本政策金融公庫が2019年3月18日に公表した農業景況調査(1月調査)が発表されました。
この調査は公庫が長期・低利の「スーパーL資金」の融資を行っている認定農業者の方々に対し、毎年近況を調査し、その結果を動向指数(DI)として公表しています。(年2回程度)
今回はこの指数からみた採卵鶏の近況と畜産分野について現場の動向を含めて考えてみます。

1、景気が良いのか
畜産業の1月調査時点での回答は以下の通りでした。
養豚、採卵鶏などの業種を中心に販売単価が大幅に低下(販売単価 DI:24.3→ 2.1)し、さらに、生産コストの上昇(生産コスト DI:▲25.2→▲37.1)も加わり、
収支 (収支 DI:14.7→▲20.1)・資金繰り(資金繰り DI:15.5→▲4.7)
が悪化したことが景 況 DI の押下げ要因。景気が良いかという指数は(景況DI:▲72.9(採卵鶏) 昨年は▲61.2)でした。(農業景況調査から引用したデータ)


1月の採卵鶏農家の動きとして、1月鶏卵相場初市は東京M基準値は100円で低価格で始まりました。
当然基準値では取引されませんので(安値が引き取り指標となりますので実質94円)この価格では採算は合いません。
その後相場は急伸したこともあり1月の平均価格は121円となりました。1月最後の相場はM145円(45円高)で終了しました。
経営スタイルによりましょうが145円の相場で採算が合う方はほとんどいないはずです。このため農業景況調査のあった1月での評価はその通りであったといえます。

この結果を見れば分かりますが飼料代が売り上げから差し引ききれない赤字となり
生産コストが上昇(2019年1~3月の配合飼料引き渡し価格も昨年夏に比べて下がっていますが高い状況が続いています)し収支も悪化、結果資金繰りに心配が生ずるというスパイラルになったといえます。


鶏卵相場は昨年から価格低下が見られ春先は相場が安く先行きが危惧されており、生産量の多い東日本地域は供給過剰から相場安で、いわゆる西高東低相場でした。12月の最需要期も14年ぶりの低下市場であったことから本年1月の相場は大変不安であることが昨年から報じられていました。


参考までに2月最後の相場はM165円(20円高)で終了しています。まだ採算が合う養鶏家はまだ多くないといえますが、
一息付け始める相場でありました。しかし赤字は回収できるか微妙でしょう。3月は本日時点で170円(5円高)で横這いです。
もう一声ほしいところですが、需要が夏にかけて減退するといわれます。減羽が大きく進まない限り相場軟調も予測されますことから景気が良いと答えられる方は今後も大変少ないと思われます。
このことから、採卵鶏は今年度も厳しい展開になるのでないかと心配される方が多く結果として現れた指標と思われます。

 

2、人手不足(雇用環境)や設備投資について
畜産業の人手不足は引き続き深刻であることが報告されています。(雇用状況 DI:▲41.1採卵鶏)
直近2年のDI値からみれば横這いとも言えます。現場から見える状況として、日本人雇用にこだわらない経営者が多くなり外国人技能実習生を積極的に受け入れることで人手不足を補う行動が見られます。

このことから、本心は日本人雇用(安定した人員確保)を希望しているが人材が集まらないことが現実にあり、最低限の作業をするためにも外国人を雇い入れなければ成り立たないのが実情で今後もこの流れが続くと思われます。

また畜産業は業種によりますが、作業の外注化が進み多くに人手をかける作業が少なくなっているのも現実あります。このことから人手不足はその通りですが数値はあくまでも安定した人手がいないことを指していると推察されます。
養鶏(採卵鶏)の規模は年々大きくなっており飼養羽数が少ない養鶏家は経営を取りやめる方も続いています。(養鶏の70%は10万羽以上の飼養羽数がある方々の世界になりつつあります)


採卵鶏で設備投資を検討されている方は高鶏卵相場であった時期に比べて少なくなっています。(設備投資ありの比率:44.2 昨年は61.2)ここ4年では少ない値でした。

お金があればいくらでも設備更新や新築や改造をしたというのが本音でしょう。しかしすでに更新等を行った養鶏家も多く低鶏卵相場では積極的に行いたいとする方が少なくなるのも頷けます。

しかし設備スケジュールから低価格であっても行う養鶏家もいます。相場次第で売り上げが高低することから景気が良いと感じる方は心理的に見て少なくなるのではないでしょうか。

 

畜産業の2019年見込み(農業景況調査)では、養豚と養鶏は悪化するというデータが示されています。肉牛やブロイラーは改善が進むといわれており明暗が分かれる1年になると予測されます。


ブロイラーは昨年から相場安が進みましたが今年はやや改善しております。しかし生産量は依然多く本格的な回復までにはまだ時間がかかりそうです。


養豚は輸入による相場安が予測されており、長期化されなければと思います。国はTPPやEPAによる養豚の影響を2月に試算しており千葉県で10億円程度(以上と推定されていますが)で、全国ではさらに大きい金額を試算しており生産量が多い千葉県でもこのような試算があることから影響はある程度避けられないと思います。

また生産側としても相場以外にも豚コレラ発生による心理的不安や地域によりますが豚流行性下痢(PED)も発生していることから現金収入以外にも生体の出荷減少も予測され不安定な動向が続きそうです。


採卵鶏も生産過剰が続き、大産地(茨城や千葉)が餌付け数を少なくしていますが、他県では増羽が続いており結果生産過剰が解消されない構図が続いています。
TPPやEPAによる影響はほぼないと国・千葉県は試算していますから国内需要と供給に対応すれば改善が見込むことが出来ます。(千葉県試算では影響は最大0.6億円程度)


しかしながら、数年で解消することは困難と思われ長期化しないことを願うばかりです。生産過剰が解消されると同時に消費拡大に積極的に打って出なければ過剰の解消につながらないとも言えます。

農業景況調査から見える畜産業は他人事でなく、地域によっては大きく影響を受ける可能性を示す良い指標となっているのです。


次回はGAPの認知度や問題点・課題についてご報告いたします。

ベトナムで初めて生食用鶏卵の生産を開始 品質向上が世界から始まる

ベトナムで生食用鶏卵の生産を行うと報道がありました。1日当たりの生産量は1万個程度で、日本食レストラン、日系スーパー等に出荷されるといいます。


日本の輸出先では、最近ではアメリカへの鶏卵輸出や香港・シンガポール等が主流です。
日本の鶏卵はご存知の通り、生食が可能な位の衛生管理が行われていることで成り立っており日系スーパーやホテル等での引き合いがあるわけです。


しかし、鶏卵を生で食する国は多くなく、生で食べることに意義があるという考えもありますが、品質面で日本産鶏卵に信用があるというバロメーターになるのです。


さて、今回の報道で思うことは外国で生食用鶏卵の生産が開始されたことは、日本の衛生管理技術を取り入れることによって可能であるということです。

日本では当たり前の技術ですので、その技術は外国からみれば「価値」のある技術なのかもしれません。その昔日本の鶏卵も食中毒リスクがある鶏卵があり報道も盛んに行われていたことから、古い人によっては生で食することに抵抗を感じる方もいます。

 

最近の国内情報として、サルモネラ中毒(サルモネラO9群が検出)が平成29年9月山形県で発生しました。県内18の養鶏場の2養鶏場で(いわゆるS.Eが検出)検出され該当鶏群の廃用処分と清浄化対策が講じられました。卵か特定できませんが中毒者が発生しています。

 

加熱しないと食することに不安がある外国に、鶏卵が生食(半熟)できることが可能であるという「品質が高い」ことを国内外に示すことができます。
実際日本の鶏卵は「衛生基準が高く、サルモネラ等食中毒リスクが大変少ない鶏卵」といわれます。


ベトナムも将来日本と同じく輸出も可能になることでしょう。


鶏卵の輸出に積極的な日本ですが、少しづつ国際的にも変化が現れる時代に入るのかもしれません。


今は、輸出できることが普通と考えていても、外国は静かに衛生管理が向上することで「品質向上でき安全安心な鶏卵が生産でき輸出できます」と発信されることで、輸出の分野も競争になると思われます。


その時、他に何で勝負できるのか。国内消費の頭打ちで加工や輸出に挑む養鶏家も多い中、アリとキリギリスではないですが、輸出おう歌していて、冬の時代ではありませんが「激変が訪れた時にわが社は何が出来るか」と考え始めても遅いのかもしれません。


ただ、卵があればよい時代は終わり、付加価値を必要とする時代になりましたが、輸出も「ただ卵があればよい時代が終わる」のかもしれません。


常に一歩先を見据えていくことが国内消費対策をはじめ、海外輸出を目指す方々に何かを考えて頂くきっかけになればと思います。

養鶏の仕事 プロであるべき姿とは

まもなく4月。新卒採用者が入社する時期でもあります。研修の依頼が多くなる時期となり、多くの方とお会いするとても楽しみな春となりました。


最近思うのは、ご依頼いただく企業の多くは社員の定着化を求めていることで「仕事の楽しさを伝えてほしい」や「やりがいを感じさせるような研修をお願いしたい」等このような依頼を織り交ぜて研修を開催する機会が増えたというものです。


以前にも書きましたが、「来るもの拒まず 去る者追わず」このような原則で採用を行っていた養鶏家の中にも外国人技能実習生中心の組織運用に心配をしている経営者がいることを肌で感じるようになりました。(詳しくは「ライブドアブログ」nogutikusanの畜産ブログをご覧ください。)


本日は、私の専門である養鶏の仕事とはなにかについて考えてみます。
「養鶏はプロフェッショナル集団であるということ」私が研修の中で必ずお話する言葉です。

プロである以上

「鶏の見立てのプロである」

「環境変化を感じ取れるプロである」

「自己研鑽し昨日と違う自分を作り鶏へ貢献するプロである(いつでも考えていること)」


なんだか堅苦しい言葉ですが、その昔私の師が唱えていた言葉です。


「鶏が分かるのには5年はかかるのだよ」

その師はいつも説いていました。

入社したばかりの私には当時の言葉の意味は分かりません。それが分かるには10年とは言いませんが長い時間がかかりました。(正直もう少し早く理解したかったと心残りでもあります)


「四季があり、鶏の状況を見る目を養う。そして考えて「最適」を見つける。結果生産性に現れ自身に還元される」というもので入社後のわずかな期間でどれだけ目を養うヒントを与えられるかがカギとなり、師のような上司が指導してくれたおかげで今の私があるのだとこの時期つくづく感じているのです。


さて、養鶏の仕事も時代と共に変わりました。かつての高床式鶏舎が少なくなり、四季により換気・保温等環境変化を感じ取る時代が終わり、近代建物である「ウインドレス鶏舎」に代わり、四季がない自動調整する換気・保温システムと主な仕事は数値読み取りが主流になります。


数値から適正かどうか判断するのですが、最近はその適正はわかるのですが応用できない人材が多いことに気が付きます。
つまり、通常の作業はできるが「攻めの管理が出来ない」ということです。
鶏舎環境は人為的に変化でき生産性向上に寄与できると鶏卵相場が良い時代に盛んに建て替えが進みましたが、管理者の教育がなかったため十分な恩恵が受けられない養鶏家もいます。


しかし、基本操作は建てメーカーが説明し、試行錯誤で温度・換気調整ができますが、無駄を削り利益をだす可能性が無限大であるにも関わらずその機能を使い切れていない。ですので些細な(十分に考えることなく実行)実行で生産性を崩し、鶏病を誘発させ結果廃鶏まで採算が取れない等、人の失敗に対応できる教育に重点を置く企業が増えたのだと感じています。
技術を教える会社もあります。その典型的な例として「テクニックはあるが操作できる人がいない」という相談も受けます。


私は「技術指導も行いますが、基本人材育成(教育)」をすることで、テクニックを駆使する前に基本を教えてから実践に入る形式をとっています。
いきなり免許がない状況で車に乗り時速150キロで走破せよとは言えないはずです。(基本がないと応用はありえないのです)
つまり、アクセルだけ吹かせば良いのだという話ではないのです。


多くの経営者とは言いませんが、この技術にこだわるがために「基本を忘れている」と感じるのです。
そのような養鶏家からご依頼いただく際によく言われるのは「テクはある。重要なのはそのテクを駆使できるよう指導してほしい」という言葉です。


私は、そのテクはそのコンサルタントの方が出来る技であり、御社の従業員には駆使できないのではないかとその中身を見て思うことがしばしばあります。
大事なのは身の丈にあった技術取得から始まり、応用できる力を身につけ先ほどの「テク」を駆使するのが王道であろうと。


人の育成には時間とお金がかかるのは事実です。

 

しかし、10数年前までの昔、古い建物の時代は体で自然に会得できた技術や師がいたはずです。
その当時の流れを大事にすれば技術や先ほどの「鶏の見立てのプロ」「環境変化を感じ取れるプロ」が育成されていたのだろうと感じます。


しかし、養鶏は外注化が進んだ分野でもあります。「鶏の移動業務」「ワクチン投与作業」「水洗業務」「鶏舎管理作業」等は外部委託が進みました。


ですので、この分野(人材教育)も外部委託になるのだろうと感じています。(実際ご依頼頂かないと私が困るのですが・・)

 

時代と共に変化したことにより、十分に教える機会がなかったことで「技術伝承」が途絶え、補う予定であった「近代建物」の技術が、実は管理者の技術により明暗を分けるとは誰も思わなかったのでしょう。

また、技能ある従業員の定着が進まず、簡単に採用できる外国人技能実習生にシフトし日常作業中心の管理に変化が進み更なる変化を遂げています。


ある経営者は言います「技術なんかいらないよ。だってウインドレス鶏舎建てるから」という言葉を思い出します。


その会社は、その後ウインドレス鶏舎を立て、技術会社からテクニックを得て生産性向上さるような話でしたが実際は「○○さんとこ大金はたいて鶏舎新築したけど散々みたいだよ。生産性はうち以下だし費用だけ掛かった感じだよね」という噂も聞きます。


人は、自分が正しいことは絶対正しいと思いがちです。反論に耳を傾けることが出来ない方もいるのも事実です。また、右腕になる方の良しあしで会社が変わることも珍しいことではありません。

 

それが正しい・間違いという議論はしませんが養鶏を志し入社してくれた従業員の皆さんにぜひ「仕事の楽しさ」をお伝え頂きたいと思います。(数値読み取りが仕事ではありません)

今時、新卒採用ができることは大変幸せな会社でもあります。中途採用でも苦労する会社が多く、ましては技術(「テク」というのでしょうか)を有する人材に巡り合えることもまれな時代に人が採用できることは大変すばらしいことです。

多くは、コスト等もあるでしょうが、外国人技能実習生という一時しのぎとは言いませんが、根本の対策を後回しにして急場をしのぐような状況を常とする考えが広がる中で4月を迎え新たな一歩を踏まれることでしょう。


技術は数年で会得できないのは今の流れからしてやむを得ないことです。(最低5年はかかることでもあるのです)


促成栽培ではありませんが時短として「コンサルタント」にご依頼するのも一つの手でしょう。しかし、テクニック重視では心配もあります。


しかし、突然に変革を起こしてもすでにいる従業員には理解を得ることが出来ません。それは「その作業や考え方が社内の考え方であり当然として過ごしたため変改する理由がなく戸惑うのです」


「基本がなくて応用できるのか」

「いつも考えて行動できる人材がいるのか」

「テクニックが先か 操作できる人がいることが先か」

自問自答して良い答えを見つけて頂きたいと思います。

まもなく4月桜の開花も聞こえる今日。新たな年度に向けて養鶏が発展していくことを念じております。