nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

農畜産物の消費行動に関する調査結果2018 鶏卵の消費動向

一般社団法人日本農業協同組合連携機構(JCA)が、2019年3月22日に発表した畜産物の消費行動に関する調査結果を発表しました。
この調査は10月に行われたものを翌年3月に公表しています。今回は鶏卵について考えて見ます。


家庭や自宅で調理する人に精肉・卵・牛乳を1週間に何日食べるのか等尋ねています。
・卵購入時の商品選び

最も多いのは「10個入りであること」55%(前年51.8%)でわずかに上昇しています。
「消費期限まで余裕があること」50.2%(前年52.3%)年々わずかに低下しています。
「特売やタイムサービス品であること」43.4%(前年44.3%)波がありますが微増といえましょう。
これらで言えることは、鶏卵はタイムセールや特売で購入するものと考えていることがわかります。


サイズによる好みも明らかになっています。
Lサイズであること12.4%(前年11.6%)で微増といえます。
Mサイズであること6.4%(前年7%)で波がありますが横這いです。
MSサイズであること1.1%(前年1.4%)でわずかに低下しています。
Lサイズは人気があり、MやMSは人気がある鶏卵でないことがわかります。


鶏卵相場2018年時点ではLサイズがMサイズより若干高いですが、1キロ5円程度の差です。1パックは平均で650から700gグラム程度でしょうから、価格差はほぼない状況です。


店舗としては消費者から人気がありわずかに金額を上乗せできる、Lサイズパック卵は魅力的でしょう。


しかし、サイズミックス卵はMやMSが混じることからサイズ卵が安価になる傾向があり人気なのも頷けます。店舗でも価格人気があるのでしょう。


その価格ですが、購入できる金額を尋ねると、20代で46.8%が100円から149円までを基準にしています。年齢が上がるにつれその割合が少なくなっていきます。


50代以降では200円から249円の割合が20%と増えてきます。いわゆる固定価格鶏卵(○○農場の卵等)の領域です。


40代までは2極化して、100円から149円までのサイズミックス卵か特売卵がこの価格帯になりそうで、サイズ卵(L、M)は200円程度傾向があることから、サイズ卵価格帯と言えましょう。この2つがほぼ同じ割合か、若干安いほうに数値が高いと言えそうです。


子育てが一段落するからでしょうか、300円以上の割合が60代、70代で5%、6.5%と2倍以上の上昇です。いわゆる健康重視(特殊卵)卵か販売所直営からの付加価値卵と
推察されます。


昔から言われた「褐色卵であること」「有精卵であること」は少しづつ減少しているように見えます。「褐色卵はありがたい」というのは、昔の話になっていくのでしょう。


その他「平飼であること」は横ばいで一定の需要がありそうです。
注目しているのは「決めている価格以下であること」が2015年以来18年は増加に転じたことでしょう。


15年は相場高騰の年でした。「物価の優等生の鶏卵に異常が」という見出しがあった時代です。18年は相場が低下しているためこのような集計は意外です。
経済的状況があるのでしょうか。


鶏卵を選ぶ基準が少しづつ変わりつつあるのかもしれません。

機能性表示食品 鶏卵が届け出されました

機能性表示食品といえば、サプリメント等が有名ですが、今回生鮮食品に分類される鶏卵がEPADHAを含み中性脂肪を下げる機能があるとするイセ食品の「機能性伊勢の卵」(届け出番号D586)が2019年3月4日に届け出されました。


ビタミンを含有する物、ミネラル等特殊な物として販売することが主流でしたが、今回のように消費者庁に届け出る機能性表示食品として、販売されるのは新しい選択肢が増えるものだと思います。


健康志向が50代を超える世代に高い傾向があることから、一定の需要があり付加価値ある価格でも購入するのでないかと考えております
(健康志向に関する記事はライブドアブログnogutikusanの畜産ブログ「消費動向調査 外食・中食と店頭販売での意識 データから見る畜産物 3月26日発表」をご覧ください。「nogutikusan」で検索ください)


ビタミン含有等珍しさがなくなっている鶏卵販売では、機能性表示食品という、表示者の責任による健康志向向け販売は新たな付加価値ある鶏卵となるでしょう。


近年は、○○さんちの卵や○○養鶏場のたまご等ネーミング卵も乱立気味です。ありがたみが無くなり付加価値と呼べるのか微妙でしょう。養鶏場近くで自販機による鶏卵販売等鮮度が高いことをアピールするのも良いでしょうが、首都圏等人口が多いところでは有利でしょうが養鶏場が近くにあることによる苦情も心配であり現実的ではありません。


付加価値販売はどちらかといえば首都圏エリアが主流になってしますのでしょうが、売店を設置したり、食事ができる施設を作るというのも皆さん全員出来る技ではありません。
6次産業化 卵の付加価値を考える 4月7日発表をご覧ください)


固定価格での引き取りが出来れば安心した経営が出来ましょうが、近年は販売先にも変化があるようにも感じます。過去からそうだから、未来も問題ないと考えるのも絶対にその通りとはならないというのが、私の考えでもあります。


やはり、固定価格を増やすためにも付加価値は絶対に外せないはずです。しかし、その方法はめまぐるしく変化し今考え出した方法も数年後それが普通となりやがて乱立するという構図が、出来上がりつつあります。


その中で「機能性食品」という、消費者からすると体に良いもので届け出ている物という付加価値は簡単に乱立できない新しい取り組みになりましょう。


常に先を読む必要がある鶏卵販売。市場価格に一喜一憂することなく生産物の一定量が「付加価値ある商品」に変わることが安定した経営に寄与できるはずです。


卵があればよい時代でなく消費者の心をつかむ時代になったのかもしれません。

 

3月の日本チェーンストア協会の発表には、畜産物は肉類は好調でしたが、鶏卵は概ねまずまずの動きでした。その中に消費者の心を掴む鶏卵があれば、「まずまずのシェア」からその商品が選ばれるのではないでしょうか。

鶏卵サルモネラ検出に思うこと

鶏卵とサルモネラは、イコールで連想される方も多いと思います。
養鶏に携る方には、「うちは関係ないよ」という方もいます。
近年はサルモネラワクチンを接種することで、発生は絶対ないという安心があることも
要因かもしれません。


ワクチン効果として、鶏の腸管におけるサルモネラ・エンテリティディス(いわゆるS.E)定着の軽減があるとされます。
ですが予防効果の一助になるもので完全阻止するものではありません。


何だ、ワクチンの話か?と言われてしまいそうですが、今日はそうでなく鶏卵の置かれた立場を近年の報道から読み取ってみようと思います。


まず、鶏舎内でのサルモネラ採材(ふき取り検査)の陽性率を見てみます。
平成17年ですので少し古いのですが、ねずみの検体からは18検体のうち5検体が陽性(発生率27.7%)で高く表れます。
養鶏場での最大目標「ねずみの徹底駆除」はここに理由があるのでしょう。


次いで、害虫が13検体のうち2検体陽性で(発生率15.3%)高く、衛生害虫は近隣に迷惑をかけるだけでなく媒介しているリスクがあることから、徹底除去する必要があり、日常管理作業の一環で行われていて理にかなっています。


3番目に多い鶏舎床面で、1823検体のうち184検体陽性(発生率10%)と、ネズミに関連している可能性が高いことをうかがわせています。


その他、死亡鶏で発生率9.9%、鶏卵搬送バーコンベアで3.3%、鶏糞1.9%、鶏舎壁5.1%、鶏舎ホコリ2.4%、卵選別機械2.5%と養鶏場での基本的箇所はこのように示しています。


それ以外に注目したいのは、管理器材が6.4%と高いことが気になります。


製品である鶏卵からは検出がなかったことにも注目したいところです。

 

さて、データから見ますと鶏卵(卵殻からも検出なし)から陽性がないこと、ねずみに高い陽性があったこと、ねずみに関する場所(床面やバーコンベア、それを触る機会が多い管理器材等)が高い傾向があること。後に結論を示しますがサルモネラの対策はどこに力を置くのでしょうか。


もう少し、データを見てみます。
S.Eの食中毒は少なくなっています。しかし疫学的に、分離される原因は鶏卵と考えられており養鶏場が調査の対象になる傾向が非常に高いのです。


食品媒介有害微生物リスク管理セミナー平成19年の講演では、全国の約1/10の養鶏場での調査で、1995年当時は8.5%のS.E汚染率で、
2001年は3.5%の汚染率となり、平成19年ではわずかな低下程度と言われていると紹介されています。


鶏卵の流通経路を先ほどのセミナー資料から見ますと、

問題としない経路として
1、農場からGPセンターを通り量販店へ行く場合は、量販店の規格書等があれば順守されるため問題なしといわれます。
2、農場からGPセンターを通りパック工場を経て量販店も同じ。
心配な問題と考えられる経路なのは、
3、農場からGPセンターを通りパック卵・箱卵が卵問屋に行く場合は心配です。

卵問屋での詰め替えが行われ、保存期間の一定がなく、飲食店等業務用となり、詰め替えのため自社農場の卵かわからないことから調査が難しく、事故発生時の追跡は困難であるといわれます。


鶏卵の殻に付着したサルモネラ菌は殻の小さい穴から内部に侵入し増殖を開始します。しかし、すぐには増殖せず冷蔵であれば40日は増殖を抑えるため、冷蔵庫保管を基本とします。常温であっても例えば28℃であっても6日程度は増殖しないとされます。

ですので、鶏卵が汚染し増殖するまでは常温だからすぐになり事故に至るというわけではないのでしょう。

しかし、詰め替え卵の保管はまちまちで9日は安心かもしれないがうちの卵は2日程度、でも他所はすでに7日は経過しているということもあり得ます。

 

ではデータから見た鶏卵の置かれた立場を考えて見ますと、鶏卵から算出されるS.Eはほとんどなく、逆にねずみによる汚染により結果、製品に付着し事故に発展するという考えが出来ます。


たしかに鶏卵の殻に、もし付着しているとすれば集卵ベルトをねずみが通行し汚染するという考えも可能でしょう。
床面の汚染も、ねずみの通行による汚染で人が通行した際に交差汚染するという考えも成り立ちます。
鶏卵搬送バーコンベアもねずみが通行することがあり汚染も成立します。

ですから、鶏に対してワクチンを接種した場合、
鶏から産出される製品に汚染がなくとも、その後の保管状況等で汚染する可能性があるという考えは頷けます。


しかし、養鶏場で発生したという報道をされた場合、その発生源は鶏卵と言われるため、細部を検討すると実は鶏卵でしょうが、その根本は別なのですという論理もあるはずです。しかしそのような報道はされません。


ですから、サルモネラワクチン接種したから安全ですとは言い切れないのです。それ以外にも殺鼠対策をする。そして定期的に検査し、どの採材で異常を検知したのか確認し消毒し、ねずみの生息等確認する必要があります。

鶏舎を綺麗に管理することは衛生管理対策上有用ですし、それだけ害虫や衛生動物に対する意識も高いので、安全性が高いと言えるのです。ワクチンだけがS.Eに対し絶対的に有効ではないことを再確認したいと思います。

 

最後に最近のサルモネラ中毒の報道についてまとめてみます。
2017年11月2日山形県鶴岡市の養鶏場で産直販売した鶏卵からサルモネラ属菌が検出され、自主回収したと発表しています。


2017年9月21日山形県鶴岡市の病院からサルモネラ検出患者の増加があり1名が死亡したと通報があります。検体からサルモネラ属菌09群が検出されたと発表。
原因は鶏卵か、食肉か、外食か、はっきりと特定できず庄内地域での鶏卵流通状況を調査。
鶏卵の流通は、G.Pセンターより自社養鶏場の鶏卵のみ選別・包装している場合の他、他社養鶏場から仕入れた鶏卵も選別・包装していることが分かった。
結果養鶏場までさかのぼることが出来ない場合があった。


家畜衛生所による庄内地域18養鶏場のサルモネラ汚染状況調査を平成29年10月実施したものによると、2か所の養鶏場の環境検体等からS.Eを検出。

当該鶏舎の鶏群を廃用処分し清浄化対策を実施。

 

今回報道のあった該当養鶏場の付設G.Pセンターからは検出はなかった。
鶏卵も検出はなかった。
今回の検体解析の結果2農場から検出したS.Eは患者の菌株と遺伝的に同一と考えられた。
しかし、患者1名はその養鶏場の鶏卵と鶏卵加工品を喫食していない事実が判明している。

 

9月の報道から想像できるのは、前述の心配な問題と考えられる経路3に該当しています。
ですので、検出した養鶏場の鶏卵を食していないのに感染したという難しい理由が発生しているのでしょう。

 

鶏卵=サルモネラという考えはある意味正解でしょう。
しかし、鶏卵に直接原因があるわけでなく鶏卵が汚染されることによる被害がある可能性を示しています。


先ほど述べましたが、事故が発生し食品や鶏卵を調べても特定できないという構図があり患者の検体と養鶏場での菌株が同じであり、結果養鶏場の鶏卵となるのでしょう。


鶏からの産出でない鶏卵でのサルモネラ汚染でも、ワクチンしていますから安心ですということを宣言できるか。神話にとらわれると危険がある事例なのかもしれません。

鶏卵相場低迷はいつまで続くのか 5月以降の相場と夏季相場

鶏卵相場の低迷が続いております。相場高であった平成26年から見てみますと、右肩下がりであることがわかります。

 

今年1月の全農東京Mサイズ平均は121円でした。昨年12月の相場下落もあり1月の初値が注目されていました中、100円で年が明け本日(4月12日現在)170円に至ります。1~3月のM卵相場平均は平成26年は231円、平成29年は200円、本年は147円と相場上昇期と言われるこの時期も不調が続きます。

 

理由はいろいろあると思います。
1つに、増羽(供給量)が進んでいることです。特に関東、中部地域が多かったようです。関東の大産地(茨城・千葉)は共に前年より多く茨城は109.3%増、千葉は99.8%でしたが、群馬106.7%、栃木120.1%と全体では多く餌付けました。
全国2位の鹿児島も多く111.2%で推移しました。

全国で見た平成30年の餌付けは前年29年に比べ97%後半ですが、相場を見る通り昨年は西高東低相場(関東は東で低く、西日本地域は高い)であるのも一理あります。

 

本年2月までの餌付け発表によれば関東は前年比106%と多く餌付けていることが分かります。また中部地域も少しづつ増えています。

関東では茨城121.5%増、千葉99.1%、群馬117.3%、埼玉104%と関東産地は堅調に推移している状況です。


今年も全国で見る場合は前年比同じまたは減少と見られるかもしれませんが、三大産地は堅調で特に関東は多く推移する可能性が高いことから、供給が多く続くと思われます。

 

2つ目は、需要が頭打ちであることがあげられます。年間一人当たりの消費量はほぼ横ばいといわれます。

平成2年の家計消費量は1日29.7gですが、その後平成22年に27.5gに低下し平成29年は29.0g(概算)とわずかに過去消費量に戻りつつありますが、過去消費量を更新するほどの量になっていないことが分かります。

 但し、加工・業務用は増加が進んでおり、平成2年22.2gで平成22年25.8g、平成29年は26.7g(概算)と右肩上がりです。

 

このデータから読み取れるのは、家庭消費がほぼ頭打ちで、加工や業務用用途に需要が拡大しているということです。


上記データから簡易分析すれば、餌付けが多く家庭向けより加工・外食等向けが堅調である。よって鶏卵は家庭向けも生産するが、加工向けにターゲットを絞りたい。
となるかもしれません。

 

しかし、気になるニュースもあります。
日本農業新聞が4月10日サイト版で「鶏卵 価格低迷が長期化 生産潤沢で荷余り感」と報じていますが、生産量が潤沢で荷余り感が強いと紹介しています。
記事の通り、中食向けに荷動きがありますが、小売や外食は伸び悩みがあると言います。

 

中食は、総菜や弁当向けが主流でしょうが、供給元は固定されています。つまり○○弁当店にわが社の鶏卵を納めようといっても「先客がいます」と言われるわけでしょう。
では、液卵として販売しようと考えてもすでに専門商社がいます。供給先は既に決まっています。ですので養鶏家の販路戦略によりましょうが新規に開拓していくことは大変な努力が必要でしょう。

 

ですから、加工会社に納める養鶏家が多いと思います。代表的であるキューピーたまごは、加工向け・中食向けに必要な細工をして販売しています。

 

先ほどのように中食向けは現在好調です。外食向けもゴールデンウィーク対応で需要があると見込まれますから今後強く引き合いがあるでしょう。(そうなってほしいところです)

 

しかし、経済情勢によって外食産業は影響を受けやすいとされます。日本フードサービス協会が発表している「外食産業動向調査 平成29年」では売上げが好調である分析を示しています。ファーストフード店は洋食・麺類を扱う店舗が好調を持続しており、どちらも鶏卵を扱うことから朗報です。

 

しかし、ファミリーレストランは客数の低下が見られ、居酒屋も低下気味です。客単価は増加しておりますが消費動向から見ますと、低価格で早くお客様に提供できるサービスを好む傾向が見られ、直近の経済情勢次第でどう動くか心配されます。

 

加工向け以外に付加価値商品に取り組みしているキューピーですが、サラダ総菜とドレッシングは売上げが弱く年間計画を下回るという株式投資家の分析もあり、サラダのトッピングにもなる鶏卵等課題も残ります。

 

直近の状況をまとめました。それでは5月以降の相場はどのように展開されるのでしょうか。


まず、供給過剰であった昨年はどのように推移したのでしょうか。
東京の4月は20日まで「もちあいで」でした。ところが、4月23日に5円安となりゴールデンウィークに突入。
連休明けの5月7日に5円安となりました。その後は末日まで「もちあい」です。

 

さて、今年はどうでしょうか。4月は概ね「もちあい」となる予測ですが、連休明けは季節要因や相場休暇中の滞留で一時的に鶏卵過剰となり相場安になる可能性があります。

 

今年度の成鶏更新・空舎延長事業の基準価格は164円です。現在超過しており5月中は発動しないと考えていますが以降は分かりません。

 

昨年もありましたが、猛暑や自然災害がある夏でもあります。

 

長期予報の6月については、降水量は平年並みか少ない可能性が各40%とカラ梅雨の可能性があり、気温も平年並みか高い可能性が各40%と気温が高い可能性があります。

湿度が高く温度が高い場合は鶏の生命に危険が迫りますので注意が必要でしょう。

 

夏季相場は、需要が低下するため価格が下がる傾向があります。昨年は供給過剰でしたが西日本地域の需要不足により東日本地域の潤沢な鶏卵が西に動くことで相場が維持できたと言えるため、同じような構図でない限りは潤沢鶏卵によりある程度の相場安になるでしょう。

 

昨年は、供給過剰が続くため相場安の展開が続きました。

 

さて四半期が終わり次のステージに入りました。今年は暗雲立ち込める中のスタートですが、良い上期となってほしいものです。

6次産業化 卵の付加価値を考える

平成27年10月家畜改良センター岡崎牧場の資料「卵直販店に関する現状、課題等について」から、これから6次産業化を目指す方又は検討したいと考える方向けに卵の付加価値をつける考え方を示してみます。


私自身も以前お話いたしました「ライブドアブログ「6次産業と付加価値ある鶏卵 たまご街道が紹介されました」3月2日発表」にも共通しますが、

今回は資料を基に分析した内容を中心にお話します。「~たまご街道が紹介されました」を見ながら一緒にお考え下さい。


今回の資料からは貴重となる直販店の店舗数や経営体に関する調査がなされていることがあります。先駆者の方々はどのような人なのでしょう。
数値から読み取れる私の分析を含めて考えます。


1、飼養規模と飼育方法
飼養規模は1~3万羽未満の養鶏家が39で多く、次いで1万羽未満の26%統計となり小規模養鶏が多いことが伺えます。
10万羽以上の養鶏家は16%でした。
3年前の資料ですが、現在と比較しても大きな変化はないのでしょう。
飼育方法は、ゲージ飼いが、70%と最も多く平飼い22%、放し飼い2%とスタンダードな飼育方法の養鶏家が多いと思われます。


2、販売形態

鶏卵の販売比率ですが、生産量の50~100%の販売が45%が多く、ついで20~50%の販売が29%、20%以下販売比率は26%でした。
生産量がデータから見て2万羽程度までがおおいことから、1日の生産量は最大18000個程度までといえますから、9000個以上の販売量と推定できます。

 

販売に従事される雇用者数は1~3名が47%と多く、ついで3人以上33%の販売担当の方がいると想定されます。
売店の稼働によりましょうが、店休日がなければ1名での販売は大変です。ですので最低2名以上となることから3名までの47%はシフト運用からみて最小限であろうと推察されます。

3名以上はどれ以上かわかりませんが、販売形態によって(加工販売や飲食店併設等はそれなりの人員が必要です)はそれなりに必要でしょう。

 

では、販売する際に何をアピールするのか尋ねますと
①特別な飼料を給与していること38%
②新鮮な卵32%
③通常とは異なる鶏種13%
④飼養管理方法の違い13%
上記から想定できるアピールポイントは「こだわりのえさを与えて、新鮮なたまごです」というところでしょうか。


消費者は、新鮮でこだわっている鶏卵を好む傾向があります。ライブドアブログでも書きましたが、消費者のインタビューでは、「黄身の色が違う」「新鮮で他の卵と違う」等、おいしさよりもこだわり感と新鮮さを求めていることがわかります。


こだわりの販売店で購入することで高い価格であっても付加価値あって満足していることがうかがえます。

 

これだけのデータからは生産量の50~100%の鶏卵が付加価値ある卵に変化し増収が見込める。販売雇用者数は3名又はそれ以上で運用が可能である。
といえますが、そんなに甘くはないと言えましょう。


課題を質問すると現状の問題が見えます。
3、課題及び今後の展開等
経営の課題として、「PR方法の充実38%」「販売物の売れ残り対応22%」「各種情報の入手21%」となりました。


売店を開いている養鶏家の皆さんは、「繁盛店の情報(人気メニューや繁盛理由)が欲しい」「多くの消費者へ情報発信できる仕組みが欲しい」といえるのでしょう。


今では知名度も上がりました「たまご街道」もここ数年前から多くテレビでも取り上げられました。メディアへの取り上げが必須とも言えますが、今の時代SNS等ネットからの情報発信から拡散されることを期待してアピールしていくのも一つの方法ではないでしょうか。


しかしすべてがうまくいくとは限りません。専門の広告代理店等の知恵も必要でしょう。


うまく軌道に乗せる大変さが伺われます。
今後の事業展開を伺うと「拡大が44%」「現状維持47%」「縮小9%」と拡大する方と、現状を維持したい(積極的でない)方に2極化しています。


拡大を選んだ方は、地域に根差した経営手法がある方か販売利益が大きく魅力的と判断されているのでしょう。一方現状維持が最も多いため大きく経営に貢献できていないことが主因でしょう。

実際に経営されている養鶏家のお話を聞きますと「実際、軌道に乗せることはとても大変。利益が出るのは先になり、今期からやっと収支が良くなった」と話されましたのが思い出深いです。


これは、販売店を開き周囲に周知してもそれだけでは収支は改善しない。ですのでもっとPRしたいと考えるのです。

 

6次産業化は成功すれば利益に大きく貢献できますが、そこにたどり着くまでは大変な努力と辛抱があるのです。


付加価値のある鶏卵は、「○○のたまご」等のネーム卵が乱立しており消費者からみて分かりずらい状況です。そんな中うちの卵は○○のお店から絶賛されていて
そんなことにはならないと考えている方もいましょう。しかし、そのような〇〇のお店が絶賛するというのは他の養鶏家でも良く聞きます。

つまりその方の専売ではなく、品質がとても高いわけでないということです。(どこも品質は向上しています)
いつまでもそのような言葉にしがみつくといつか足元さらわれることになりましょう。


大規模化した養鶏家は、小さい養鶏家と異なり、簡単に6次産業はできません。それは1日の生産量が多いのです。
それでも、賢い養鶏家は危険覚悟でも新しい販路を求め続けています。そうでないと生き残れなくなっているのです。ただのネーム入り鶏卵ではもはや付加価値ではなくなりました。


それ以外の販売とは・・輸出?(いえ販路が少ないでしょう1日30000個かそれ以上の生産があれば消化はできません。


国内消費が頭打ちで、営業の腕でオセロのように販路がひっくり返ることも珍しいことではありません。(低卵価の際にあった大手の投げ売りのようなことがありました)

 

また、普通の鶏卵は飽和状態に達している現実があり、シェアは大きいのですが競争も大きく営業の腕次第で勝ち負けになることも珍しい時代ではありません。


鶏インフルエンザ等で供給が停止した場合、販売店は高確率で供給再開は出来ても取扱い量を縮小することを望むのが現実です。(取り扱わないこともあります)


それは、販売店は売上げの基本である鶏卵の欠品を阻止するため違う会社の鶏卵を入れ消費者に提供します。
ですので明日から再開しますといわれても逆に困るのです。ですから温情とは言いませんが僅かなオーダーになり、結果販路を失うのです。ですので、消費者の鶏卵を食することの心配ではなく、欠品になることが心配であるのが現実なのです。

 

 現在の販売店は鶏卵の取り扱いは増えてます。恐らく3~5銘柄の鶏卵が取り扱いされています。私の販売調査でも3つより4つ以上で7つの銘柄を扱うところもあり個々の販売面積が小さくなっているのを感じています。1銘柄が停止しても、取り扱い残りは多く、パッキング先や生産農場が広域になっていること事からすべての銘柄が欠品することはまれでしょう。


足元の供給先に変化が出ている時代、卵があればよい時代は終わりました。 あることが当たり前で普通の卵は営業の腕と価格となりましょう。


では、どうするのか。そんな選択に6次産業化も考える時代に入ったかもしれません。
今は、小さい養鶏家に最適かもしれません6次産業化ですが、でも活路を求める時がきっと訪れるでしょう。

ビークトリミング 養鶏の未来

養鶏に携る方にとって検討している課題の一つと思います「ビークトリミング」ですが、作業者が少なくなり外部委託をしている方も多いのが現状で、近年は「レーザーでのビークトリミング」が少しづつ普及していると感じます。


今回は、ビークトリミングについて考えて見ます。


まず、なぜビークトリミングするのでしょうか。簡単に説明しますと、
鶏がゲージ等に群で飼養されていると、鶏が尻近辺をつつき、いわゆる「尻つつき」をして、出血させさらにつつくことで、腸などを引き出だし死亡に至ることから、嘴を切ることでそのようなことを防ぐ目的で行うものです。


しかし、鶏種が改良されており、育成中にこのような行為を行う鶏は少なく最近では餌の無駄を省く目的で行うことが一般的でしょう。
無駄とは、先端がとがる嘴で餌を食べるとうまく口に入れられずむしろ、こぼしてしまうことから先端を平たくして、うまく口に入れることが出来るようにする経済的な目的が主な理由といえるのです。


さて、そのビークトリミングの方法ですが、
嘴を先端から数センチ程度垂直に切り落とし上嘴と下嘴を揃えます。この時、上嘴を長く切り残してはいけません。


人間が、熱で嘴を焼き切る方法が主流で、600℃程度の加熱した刃で焼き切ります。(一般的にチェリーレッドの刃色といわれ、色で温度の目安にするのです)
刃が嘴を切り落とした際に数秒(一呼吸程度)刃の熱で止血をしますが、
低い温度で焼き切りますと、出血が止まらず成長不良となる原因を作ります。逆に高すぎる場合は、嘴が火ぶくれた様なこぶを作り餌を食べることが上手に出来ずやはり成長不良になります。このためにも温度調整は必要なのです。

人によりますが、切り落とす際の手の感覚で、温度が高いのか低すぎるのかがわかります。
ですので、作業者は常に切り落とす嘴の状況と過熱している羽の色で温度を確認しながら作業することが重要です。


ですが、この感覚を身につけるには慎重さと几帳面でないと会得できないことから、近年は従業員に教える養鶏家は少なくその技術は養鶏場から姿を消しつつあるように感じます。

 

代わりに「レーザービークトリミング」が普及しつつあり、初生雛の時にくちばしの先端にレーザー照射することで、ある程度の日齢で嘴の先端が取れていくもので、農場での手間がかからずまた、特別なことをしないため普及しつつあります。


これもまだ課題が残っていると言われます。餌付け開始から数日後ある程度の数死亡が見られるというもので、レーザービークトリミングが原因とされています。ですので、手間はかからないがヒヨコを餌付けて最初の4~5日間の死亡数(初期落ち)は人による作業と変わらない程度の死亡が発生する傾向が多くまた、レーザーの場合1羽数円でしょうが、切るための手間賃を支払います。(羽数が多いので結果手間賃が高額になり魅力を感じないことが原因とされます)

切り口は人による作業以上の出来で好評な場合もあれば、捕定の仕方が悪く、下嘴が短く上嘴が長い斜め切りとなるような事例もあります。


人によりますが、人で切ったほうがコストが低く、初期落ちに変わりがないことで導入をしないとする方も多いのです。
他方、ビークトリミングは不要であると考える養鶏家もいて今後アニマルウェルフェアの考え方次第でしょうが、EUのように実施しないということもあるかもしれません。

 

さて、ビークトリミングを自社で行いたいという養鶏家もいます。これは、外部委託先の人員が少ないため短期間で作業を終えることが出来ない又は人手がないことで廃業する等環境が変化していることがあげられます。


また、コスト削減として自社で行うことで外注費を節減できる狙いがあるようで導入する方もいるのです。
しかし、先ほど述べましたがその技術は高いもので、では明日からやりなさいとは言えないのです。


切り口の出来栄えでその鶏の将来が決まるとはいいませんが、鶏が小さくなって鶏卵を生産しないことや、死亡してしまう等経済性にマイナス効果があるため、よほどの裕福な養鶏家でない場合以外、一度やめた技術を復活することはコスト削減につながらず逆の展開に至ることも珍しくありません。


また、この技術を教える方もいないというのも現実あります。このため高度な技術をもつ社員を育成することは大変な苦労があるのです。


ビークトリミングをテーマにお話をしましたが、大事なのは一度失った技術は再度社内に持ち帰れないということです。


真似事はできますが、同じコピーすらできないと断言できます。
それは、教える者が十分な指導力を持っていないことやそもそも技術を有していないことで、真似事はできるがコピーはできないのです。

人材がいないということで、外国人技能実習生に頼るビークトリミングする会社もありましょうが、予後の良しあしはその時に決まるわけでなく、あと4カ月先等で明らかになります。

切ることは誰でもできますが、その切ることに技術があることを理解してい頂きたいと思います。

ビークトリミングをテーマにしてお話をしましたが、近年の養鶏家の一部は、コストに趣を置いてしまうことから、目先のコストは改善できても少しづづ生産性等違う角度から減収になるような問題が発生しているように感じます。

いずれも、人材の理解度が低いことが原因であることが多いように感じます。


本当に将来を心配される養鶏家は4月からの外国人技能実習生受け入れ拡大に期待をしていません。
今の人材を最大限発揮できるように教育に投資をしています。そこの重要性を見いだせないと少しづつ変化に対応できず競争の波にのまれてしまうかもしれません。

 

軽作業が多い畜産業と言われますが、内容を見ますと必ずしもそうではないのです。
その技術を失ったとき、スポットで入る人で用が足りるとは言えない現実が目の前にあるのです。

GAPの認知度と課題 データから見る実情

日本政策金融公庫農林水産事業は、平成30 年1月に実施した「平成29 年 下半期食品産業動向調査」において、食品関係企業に対してGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況を調査しました。


その結果、食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答しました。
今回のデータは平成30年3月28日に発表されたものです。


また、消費者側のアンケートを農林水産省が平成30年3月30日 農林水産省生産局農業環境対策課 がまとめた資料も併せて検討してみます。(アンケート調査時期:平成 30年2月8日から2月12日調査地域:全国 インターネットで回答)


1、消費者からみたGAPの認知度と考え方及び予想される消費行動
①消費者のGAPの認知度

知らなかった」と回答した割合が 72.7%と最も高い結果となり、

次いで、「名前を聞いたことはあるが、内容までは知らなかった」と回答した割合は 22.0%、
「知っていた」と回答した割合は 5.4%となっています。


GAP」について認知している人の割合は合計 27.4%となっています。

 

②企業に求めるGAPの取り組み姿勢
「取組が可能な農業者は取り組む必要がある」と回答した割合は 62.5%、

「すべての農業者が取り組む必要がある」と回答した割合は 30.0%となっています。


③国内の食品関係企業(食品製造・卸売・小売・外食等)が、農畜産物の取引にあたって、GAP認証を取引の要件としたり優先的に取引することについて評価しますか。「評価する」と回答した割合は 56.4%、
「わからない、どちらともいえない」と回答した割合は38.3% でした。


評価する方が多いのですが、分からないという決めきれない方もいて、GAPを知らない方が多いことから評価する決め手に欠けているといえます。
ただ、内容は分からなくとも何となく良いものは分かるため評価しないという回答をする方はいないのだと思われます。

 

では、評価すると答えた方のその理由を尋ねると、
「企業の社会的責任だと思うから」と回答した割合が 47.9%、
「信頼できる企業だと思うから」と回答した割合が 45.8%となっています。


消費者は取り組むことを当然と考えており、取り組むことで信頼を得ることが出来ると認識しています。

 

逆にGAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
あまり必要性を感じないから」と回答した割合が 42.1%と最も高く、
認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」と回答した割合は 38.3%、
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」と回答した割合は 13.1%となっています。

 

消費者は、GAPに取り組む必要があり食品関係企業が優先して取り組むことに理解を示す方が多く、そして信頼できる生産元と回答しており、積極的に商品を購入してくれそうな回答ですが、購入する条件について質問すると以下の通りの状況でした。
同程度の価格であれば購入したい」と回答した割合は 71.8%、
「割高になっても、購入したい」と回答した割合は 18.5%となっています。


では、購入したいと思わない理由を尋ねると、
GAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
「あまり必要性を感じないから」
「認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
という回答のように、GAPの取り組み理解がまだ十分でないことから、割高な商品では購入を躊躇してしまう現実があります。


現在の価格と同程度であれば手に取ることに抵抗はないことから、「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
の回答のようにそもそも現在の品質に不安を感じていないことから付加価値を見いだすことが出来ていないことが原因と推察されます。

 

消費者は、GAPを知っている方5.4%ですが、GAPに取り組む必要があると考えています。(92%の方は必要としています)
また、商品を食品関係企業が取引要件にしたり優先して取り組むことに50%超える方は賛成しており消費者にはGAPを取り入れた製品にある程度期待していることをうかがわせています。


しかし、商品価格は割高になることに抵抗を示しており、その理由として「認証なくても安全安心な製品を購入できるから」と回答しており認証があることによる付加価値分の支払いに違和感があるという考えです。


このことから、認証のない商品と差別するすることに要したコストは認証を取得した企業が負うことが望ましいといえます。つまり認証取得がある製品が認証ない商品と同額であれば「認証品」を購入するといえます。
商品へのコスト転嫁は現在ではできないと考えられます。


では食品関係企業はGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況等をどう見ているのでしょう。

 

2、食品関係企業からみたGAPの認知度と考え方及び予想される行動
食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答
現在、食品関連企業はGAPはなにか認識されておらず認証品のあるなしによる差別を考えていないといえます。


GAP関連農産物の取扱いの拡大に向けて、まずは食品関連企業に対してGAP認証制度とそのメリットを周知し、GAPの認知度を高めることが重要であると考えられます。と報告しています。


②GAP農産物の取り扱うことについて
GAP関連農産物を「取扱う予定はない (28.6%)」と回答し、
「取扱っている(6.4%)」、
「今後取扱う予定である(14.5%)」を合わせての 20.9%を上回り、
GAP認証を認知していてもGAP関連農産物の取扱いには積極的 ではないとの考えが優勢であることがうかがえます。
業種別に見ると、小売業のみ、GAP関連農産物を「取扱っている」または「今後取扱う 予定」との回答が「取扱う予定はない」を上回り、
小売業は他業種に比べGAP関連農産物 を積極的に取扱う姿勢がうかがえます。


では、GAP関連農産物を扱う予定がないと回答した企業はどのような理由なのでしょうか。
「取扱う予定はない」と回答した食品関連企業(593 社)を対象に、GAP関連農産物を取扱うえでの課題を聞いたところ、
現在の流通において、必要性を感じない42.3%)が最も多く、
次いで「コストの増加が見込まれる41.1%)」、
GAPの概念が消費者に浸透していない(37.8%)」、
GAP認証を取得した生産者が少ない(35.2%)」
の順となりました。

これらの結果から、GAP関連農産物の取扱いを拡大させるためには、食品関連企業に対しGAP関連農産物を取扱うことで得られるメリットを正しく周知していくことが重要と言えそうです。
また、GAP関連農産物の取扱いに伴う食品関連企業の仕入れコストの増化が見込まれることや、消費者のGAPに対する認知不足、GAP認証取得の生産者の不足 など、今後解決していかなければならない課題が複数存在することがわかりました。
(報告書から引用)

 

食品関係企業と消費者はGAPが理解されていないことにより「必要性を感じていない」ことで消費者は現状の価格より高いことに拒絶感があり、企業もコスト増加が見込まれているが転嫁しにくいと考えていることが推察されます。
不必要な費用負担を望んでいないのが現状となっています。
両者ともGAPの必要性はある程度理解を示していますが十分に理解していただくよう引き続き説明を続けていくことが重要なのでしょう。

 

しかし、一部大手の販売店は自社ブランドにこの認証制度を取り入れることを表明し実行しています。

2020年オリパラに向けての対応もありましょうが、自社製品の付加価値化を意識した対策でもあるように感じます。

製品の安全と労働者の安全、地球環境の保護と、GAPの基本部分をアピールできるため他社製品との差別化ができると判断されてると推察されます。

今後、販売業界でも差別化(商品の付加価値化を前面に出すことのPRで自社と自社ブランドの価値向上)する、しない(消費者への訴求力がないことで特に対応しない)がさらにはっきりと進むのでしょう。

その時、消費者は何を基準に選んでいくのでしょうか。


コスト増加がない認証製品が流通できるよう、どこかが努力(企業または生産者がコストを吸収し価格に転嫁しない)してもらうことで認証品が流通でき少しづつ流通・消費量が増えることが出来るでしょう。
それは現実的かは分かりません。

 

しかし、それ以前の問題で本当にコストが増大するのでしょうか。

私が見る限り、確かに構築・認証審査・維持更新には費用が掛かります。

かかった分転嫁したいのはそうですが、転嫁しなければならないほどの金額でないとも感じます。ですから、普通の製品と認証がある製品でどちらが販売店が好むのか?

という基準で生産することでいずれお客様は認証品を選んでいただけることで結果、認証して良かったと考える程度で良いのではないでしょうか。

 

認証農場次第でしょうが、差別するためのツールでこの認証で付加価値つけて、値上げて販売することをねらう方々にはまだ早い取り組みでしょう。(消費者は値上げを希望していません)

 

認知度がなくコストが上昇するだけで認証品とそうでない品の差がはっきりしない場合どこもコストアップには理解を示すことはできないのです。

現在の安全安心な製品で見える化されているといわれているだけでは納得できていないのでしょう。


購入者(消費者・食品関係企業とも)は意味のない不必要な出費を好んでいないのです。


生産者は本認証により増収増益につながると考えるより、認証のない製品と取引値は同じであってもシェアを広げることで、結果増収増益に結び付くという考えが正解なのかもしれません。


それでいいとは言えませんので、結局はGAPの理解に国や地方自治体が広報活動することで広く浸透することで製品の価値を見つける知識を植えることが近道なのです。


東京オリンピックパラリンピック選定食材に向けての認証取得ブームはまもなく終了します。真のGAPの存在価値はそのあとが本番です。


ゆくゆくは国内消費では不安になる農畜産物。輸出も視野に入れなければならないためにもGAPは必要不可欠な制度です。

ですから、他人事でなく生産者や購入者の方々ともに考えていくのが数年先・10年先に未来に大きな変革をもたらすことでしょう。