nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

重量取引と定重量(個数)取引 鶏卵流通の今

 

鶏卵は農林規格により取引されていますが、2000年初めから1パックに定めた重量を入れる定重量パックが多く見られるようになりました。


重量取引とは、規格(M、Lといった6gクラス分けの重さにより区別される)ごとに取引値が決まるもので、需要の過不足が生じると値段が上下するデメリットがありました。


現在も変わりませんが、消費者は大きい卵を好む傾向があるため、LやMサイズの鶏卵を目標に飼養管理を行い需要とマッチングを図ることが経営の第1とされる農場も多かったと思います。


しかし生産者から見ますと、生産コストはサイズ関係なく同じであるためできるだけ鶏卵の価格は同じであるほうがよいという意見があり、定重量(ミックス卵)が多く見られるようになり量販店での取り扱いが増え消費者に認知されるようになりました。


定重量取引は、個数取引と呼ばれ1個の鶏卵はサイズ関係なく同じという性質があります。

ですから経営側から見ますと高い取引があるクラスの鶏卵を生産すればよいのかもしれませんが、工業品と異なり規格を統一した生産はできません。


平均卵重61gの農場とした場合、規格ではMサイズ(重量58gから64gまで)となりますが、平均ですからばらつきます。
ばらつきが少なければ良いのでしょうが、現実は不可能です。

鶏個体差があり鶏卵を金型に入れて生産しているわけではないからです。


実際は農場により大きく異なりますが、一例としてMサイズは全体の57%といわれます。次いでLが21%、MSが20%となり、SやLLが各1%程度存在すると言われます。


価格の有利な重量区分に多く収まれば経営に大きく寄与しますが、日齢が進むごとに平均卵重も大きくなり平均63gというところもありましょう。
この場合も、平均ではMサイズですが、現実はばらつきがありMサイズが45%、Lが35%、MS13%、LL6%となります。


このように、平均では見えませんがサイズのばらつきが当たり前の生産量となるため目当ての重量を維持する生産は技術がいると言われ、全ての生産者が出来るわけではありません。
多くは餌の配合を変化させたり、体重増加を抑制して卵重増加を緩やかにする技法が確立しましたが、多くは鶏へのダメージを与え必ずしも成功したという話はごくわずかというのが現実でしょう。


ですから、種鶏メーカーは日本で好まれるような品種改良を進めており開発して数年後、生産側から「変わったね」という話が出始めます。


そのような背景の中、鶏卵取引は規格取引と、定重量取引が存在し生産者への安定した利益をえる方法が確立されました。
では、それぞれどのようなメリットがあるのかデメリットがあるのか考えて見ましょう。


まず重量取引ですが先ほどのように一般的な取引であり主流でもあります。

しかしサイズにより過剰卵が発生するため利益に変動が生じます。
産卵重量が多い場合は飼養摂取量が多くなりますが利益が高いと言われます。(餌代を下回る鶏卵取引はほとんどないため)


一方、個数取引では飼料摂取量が少ない場合では重量取引よりも利益が高いと言われ鶏種選びが重要ですが販売方法によりこのような影響があります。
(餌代が少ない場合、多くは小ぶりの鶏卵が生産されますが、1個の鶏卵価格はどのサイズでも同じであるため変動しないメリットがあります)


それぞれには、このようなメリットがあるので、個数が良いという意見もあることでしょう。


しかし、デメリットも存在します。


重量取引である場合、過剰卵発生がある場合はその分利益を押し下げるという原則があります。
一方、個数取引では、定重量パックの平均卵重(一般的に59g)よりも大きくなる場合は不利になる傾向があります。つまり1パックは580gから610gで収まるようになっているのでMやLサイズに近い鶏卵は、重量取引のほうが有利に働く可能性があり飼料摂取量が少ない場合でも、引き取り単価の高いほうが有利になります。


群馬県畜産試験場では2008年にこのような試験を行い農場での選定に役立てる研究を発表しています。


現在の飼料要求率は多くの農場で1.8から2.0が多いと思います。
つまり卵1キロ生産するためのえさの量は1.8㎏から2㎏というわけです。

1.8を下回るところはそう多くはないかもしれません。


この場合の多くは生産量(個数)が少なくなる傾向が多いため重量取引では若干不利となり、個数取引では個数減少により不利になり可能性があります。


逆に2.0を超えるような場合の多くは、餌を多く必要とする傾向のため、鶏体が重く卵重も重い傾向があり、重量取引では有利に働く可能性がありますが、個数取引では1個の単価が同じであるため必ずしも有利な価格で取引されるとは限りません。


実際、店舗での鶏卵販売はミックス卵(定重量)と規格鶏卵(MやLサイズ)とは価格は異なり、ミックス卵は安く販売されている傾向があります。


また、現実飼料要求率は多くの農場で1.8から1.9程度が多い(特に白)と感じますので飼料摂取量はよほどの鶏種でない限り又管理や疾病の有無により増減ありましょうがどこも同じと感じます。


つまり、摂取量の少ないことによる有利不利は、農場で左右される要因にはなりにくい傾向が進んでいるように思います。


それだけ鶏種の改良が農場サイドにこたえるようになりつつあるということです。

 

今後、鶏卵取引は自社GPがあることで個数取引に向いている、原卵出荷であれば重量取引が向いている等納め先や販路の希望で決まることでしょう。


販売先は、消費者の希望に沿う納品を希望しています。

ですからすべてがミックス卵にはなりませんし、すべてが規格重量卵の販売もしません。


しかし、消費者は大きい卵を好む傾向は今も変わりませんので、低価格販売にはミックス卵が良く、消費者にこたえる場合は重量取引卵がよいのでしょう。


但し、ミックス卵には580~610gという幅があるとはいえこの基準を満たしますし、大小デコボコする鶏卵は見栄えから好まれません。


また、小ぶりの卵が10個入ると消費者にはあまり好まれません。


この場合小玉ミックスとタイトルをつけて販売することもありましょう。

この場合の多くはさらに低価格になり特売でよく使用されます。


販売方法は、農場により検討される大事な要素です。

鶏種の選定で飼料摂取量が変わり、卵重の大小があります。
鶏種の選定は経営に大きな影響をあたえることでしょう。

成鶏更新・空舎延長事業が終了しました 秋に向けての安定経営を目指しましょう

令和2年9月24日標準取引価格が基準額を超えたため23日申し込みしている方までで事業が終了となりました。


また、9月相場東京M基準値は15円高160円となり上昇基調となっています。
先月からの上昇平均価格(1日から末日までの価格を平均化した額)は例年12円が多い中まだ6円と延長事業が終了したもののまだ上昇を期待したいところです。


足元では、鶏卵消費動向は外食向けに本調子でないものの上向きが見られます。シルバー連休による買い付け、家庭消費の例年を上回る需要が続き家庭消費頼みが続きますが、季節は消費上昇時期にもあたり更なる期待もあります。


外食やコンビニの鶏卵をふんだんに使用したメニューも散見され消費機会を至る所で見ます。

 

前年と異なり、主産地の台風等災害による畜産被害は少なく安定した生産活動も続き皆様の安定経営が継続できると良いと感じます。


台風は12号の関東東側通過はありましたが、昨年の15号や19号といった産地直撃や周辺地域の甚大な被害もなく安心はまだできませんが、警戒し不安な状況ではないことでしょう。


季節は秋となり、残暑も終わり涼しい季節になりました。

鶏たちも暑さのストレスを忘れて産卵回復があることでしょう。


同時に鶏卵消費に貢献される時期でもあります。
鍋物、温かい食べ物と鶏卵の組み合わせ、サンドイッチ、おでん等メイン商品もありましょう。


報道では、全国の鶏卵を集め好きな卵をパックに詰めて購入するイベントもあります。
主要消費地東京での話ですが、沢山の方々の購入がありスーパー等価格重視の鶏卵以外にも一定の買い手がいることがわかります。
恐らく購入されている方々のご自宅には卵はあり、今回買い足していることでしょうから需要上昇のヒントになるのかもしれません。


シルバーウイークは多くの方々の移動がありました。

公共交通は前年の5割程度でしたが自動車での活動は例年以上となり感染対策を意識した活動が見られました。


また東京を発着するGO TOトラベルも来月から始まり、都独自の給付をつけてのイベントになるようで、消費に大きく貢献する都民の皆さんの消費牽引に期待したいという地方もあるようで、この秋の観光に地域消費を促すクーポンも配布され50%を超える割引旅行となり、秋の自然散策を尋ねる旅行や温泉等もあり季節需要がありそうです。


そのような中、地域消費に畜産物や主要商品である鶏卵は需要を底上げする大事なイベントになりましょう。
祝日は11月以降までないのですが曜日を問わない方々はこれを機会に旅行と食事、宿泊を楽しまれることでしょう。


鶏卵も冬に向け需要が高まる季節になっています。

 

外食は例年の7,8割程度と言われますが春先と比べ改善傾向はみられます。

心配なのは年末に向けた加工筋の買い入れが例年通りあるのかという点でしょう。


供給は昨年と比べ増羽傾向であることはブログにも紹介しましたし関係団体のデータからも示されています。


現実筆者の近隣では増羽している農場もあり増築工事も盛んであるところも見られます。

 

増羽はそれ自体問題行動ではありません。


引き合い先があり資金力があるという農場の力を示すものであり、1農家の羽数増加している現実と一致をしています。


業界全体が大規模化し続けている現実からは避けることはできません。


いかに販路先があり付加価値又は自社というブランドを持たないと厳しい現実があり結果相場に左右され市場から撤退しなければならないという市場原則に従うことになります。


先日、日本養鶏協会は鶏卵需給見通し(令和2年9月)を発表しました。


内容を見ますと需要が供給を超えることに関するデータと現実を示し、将来の人口動態から見た需要見通しを示しています。

適正な生産と需要の喚起が大事であるという内容ですが、

実際増羽が進みどのように推移したのか過去を見ますと、増羽が進んだことで18年の12月は珍しい相場高にブレーキがかかりました。

最需要期であるにもかかわらず供給が需要を追い越したことによるもので19年1月は初市M基準値96円となり関係者を驚かせました。


それ以降初夏まで相場の低迷が続き成鶏更新・空舎延長事業が発令されました。夏は台風による主要産地の被害状況から相場高となり19年を終えます。


本年20年も春先までは新型コロナウイルスの影響もありましたが家庭需要いわゆる巣ごもり需要がありましたので安定した相場になります。
その後外食の需要低迷に家庭消費減退があることで相場安に至ります。
今後家庭消費も上向きましょうが、春先のような外食減退分を家庭が消費して均衡を保つのか注目されます。
それは、春先と違い増羽があるからです。


安定した相場のためには需要と供給がバランスを保つ必要があるのは皆さん承知の通りです。
ですから昨年の夏は供給に不安が生じたため相場が反応し全面高になるのです。


現在は需要の減少があることで供給過多と認識され相場安になります。

9月の平均上昇から見るとあと数日でさらに10円、20円増加するかどうかは微妙なところです。
10月も平均上昇額は12円であるように見えます。さて現実はどうなるのでしょうか要注意です。


12月は年末最大イベントクリスマスもあります。

加工とはいえケーキ等鶏卵の最需要期になります。準備は早ければ10月となりましょう。
買付はどこまで進むのでしょうか。

家庭向けは巣ごもりもあり上昇の期待が高まります。


しかし消費者心理は悪化しているのも心配です。
年末賞与の減額も聞きますし、廃業等により雇用の不安も連日報道されています。


個人消費は個人心理を悪化させると購買意欲減退が長引きます。

それは当たり前であり物を購入しないという流れは自然の事です。


物を購入しなければ更なる企業活動の低下と個人消費心理を悪化させるというスパイラルもあり、ここが正念場にも見えます。


需要の高まりを促すには消費者意識を改善するのが早道になります。

ですから価格競争があります。


価格競争は供給側の体力を奪います。

この点がとても心配です。


ですから、左右されない先ほどの好きな卵をパックに詰めて購入する消費者のように価格だけが購入基準にない方々を探し当て消費を促すような策をみつけなければなりません。


しかし需要の喚起は個人では限界があります。

ですから業界で取り組まなければなりません。


小規模農場のように地域住民がいてその方々が安心を購入するように鶏卵を買うような価格だけでない付加価値がさらに重要になります。


ただ物があればいい商品には相応の価格で購入する消費者に何を訴求し販路を見つけるのか。


秋はそんな課題を見つける大事な時期かもしれません。

品質維持向上するには農場HACCPが有効です

暑い夏で鶏たちも大変つらい時期になりました。

鶏卵の重量が小さくなり鶏卵相場も大玉高となり一部市場の小玉は下落となり生産状況が相場に現れています。


生産重量は収入に直結するため事態を把握されている農場も多いと思います。

しかしこの時期は鶏卵にとって品質保持が難しい時期でもあります。


昨年8月は千葉県で腐敗卵がスーパーで販売され消費者より販売店を通じて苦情がありました。


自社パッキングが主流となった時代、検卵技術が十分でない場合不良卵のはじき出しが甘いことから市場へ流通することもある一例です。
また9月には同じ千葉県でも過少重量のパック卵が市場へ流通し消費者より苦情があり回収となった事例もあります。


夏は、生産重量が少なくなります。

農場や気象環境によりますが、1個1gや2,3g小さくなることもありましょう。


サイズは6グラム刻みのクラス分けですが、一般的に1クラス変化することも珍しいことではありません。
LサイズであればMサイズが主流になるということもありましょう。
但しすべてが1クラス移動ではなく、そのうちの30~60%が移動ということであり、多くの割合が移動するという意味です。


さて、今お話したように鶏卵の品質保持はパッキングに頼ることも大事ですが、できることであれば農場で不良卵の排除ができるようなシステムを構築することで、2重の安全対策が講じられ品質への信頼が高まります。


私たちは、認証取得商売のように見えるかもしれませんが根底は品質保持による生産物への安全と安心をご提供しております。


養鶏事業は星の数ほどある農場のうち品質や重量違反が発生するのほんの一部です。
残留薬剤残存による品質回収事案もあり、ただ鶏を飼育し卵を回収し売り上げるだけという時代ではないことが分かります。


その中には、鶏病対策もありその中で薬剤残存があり県の検査等で発覚し告知され回収ということもあります。
昔と違い薬剤への関心が薄い場合事故に発展する事例でもあります。


食品という観点で鶏卵生産活動を見ないと、主体は鶏なので関心が薄くなりますが生産工程の中で人が危害を与えていることがわかります。


鶏卵回収の事例はあまり報じられることはありません。

回収した大変なこと、その後の経営再開のご苦労は報じることはありません。
ですから、発生農場への興味はありますが自社では昨日まで発生がないことから関心が薄くなりやすく又発生確率も低いこともありその大事さが伝わりにくいと感じます。


ブログでもいくつか回収する大変なこと、納品の打ち切り、廃業を決断されたこと等その大変さをお伝えしています。


しかし、自社で発生がない場合中々分かりにくいのかもしれません。

しかし品質管理の不備は消費者まで不良品が流れた場合重大な事例になります。


例えば、9月の過少重量の事案では、2日間出荷分計3800パックが東京や千葉県の販売店から回収しなければならないことになりました。

出荷パックのほとんどに重量に満たないものが混入しパッケージ化されたとしています。


8月の品質不良についても5000パックが回収対象になります。

もしかすると1パックのみの不良卵混入の可能性もありましょうが、外見から判断するのは困難であり、なにより品質失墜状況で他は安全であり販売可能とはなりませんし、何より販売店が納得できないため該当出荷日全てが回収対象になるのです。


そのような状況に陥る可能性がありますが、1日そんな少ない数出荷してないので影響がないという方もいましょう。


しかし、1日数千パックが安定して出荷していたそのうち1つが停止になるとその過剰分はどこに行くのでしょう。
相場基準の出荷先があると答えることでしょう。

そうであれば今後相場に左右される経営になるという不安が付きまといます。
それより、その後再出荷できるのでしょうか。

相手はそれを望んでいましょうか。


代替品が多くあるこの業界ではどうしても御社の製品でなければ困るということは今の時代あるのでしょうか。

 

そう考えた場合事故が出る可能性を未然に防ぐほうが、いらない心配をするより安定した経営が出来るのではないでしょうか。


では、品質維持するにはどうすればよいのでしょうか。


それは「仕組みを作る」に限ります。


今までは、特に仕組みはなく事故はなかったというのが本音です。

仕組みがなければ行き当たりばったりとなり、今日明日1週間程度は品質保持の作業はできますが多くは自然消滅します。つまり仕組みがないので忘れたり、安全であり作業不要と認識したり、めんどくさいことからやらないということもありましょう。


実際多くは今の3つのいずれか又は全部が理由になることが多いと言えます。

 

農場HACCPはシステムを構築し今のような品質維持を大事と考えた場合それにあった作業方法を構築します。

つまり仕組みを構築します。


仕組みができれば、作業をしますので作業をしたことについて記録をさせます。
記録があり、事故が発生した場合はその内容を精査し次に生かし同じことを繰り返させないことを認識します。


三者にも、仕組みがあり記録をしており事故発生は起きていませんと説明しやすくなります。


ただ、昔から事故はないですよという説明より説得力があります。


衛生管理対策に重点を置いた農場HACCPは、認証による利益拡大を狙う人たちには理解が得られていないのが実情です。

実際、目に見える収益拡大に貢献していないというお声もいただきます。

費用ばかりかかり費用対効果から見ても意味を持たないというご指摘もあります。


現実、認証を取得していない農場の製品は昔から実施しているシステムが良好なので事故として見えないことが現状でありその解釈は間違いではありません。


しかし、時代や作業者の質が変化していることは現実です。

これにより作業が伝承されなくなったり、作業者や管理者の質が変わり衛生について理解が薄くなり、効率重視や手間ある作業の廃止からおろそかになり昨日まで事故なくても今日発生してしまったということもあります。


実際事故が起きてしまった農場の多くはいい加減な作業ではありません。
むしろ、今のように考えの薄くなったことが少しづつ農場の衛生管理レベルを下げていて気付かないうちに事故を呼ぶような環境に変化していたというのが実情です。


それはどの農場でも当てはまるはずです。

それは、少しづつ変化することには気づくことが難しく、通常の管理に影響なく日々無事に過ごしていきます。

しかし一定の管理レベル分岐点を超えると少しづつほつれが発生し事故として現れます。発生したところで異常として初めて認識されバタバタとしてしまうのが多くの実情ですし現実なのでしょう。


考えることの大事さはブログにも書きましたが、常に考えることができなければ農場の生産ではなく、衛生管理の低下、結果病気や寄生虫の発生の誘発とコントロールが出来ないという形で現れ、薬剤により残存事故や品質低下する工程が発生し除去できず消費者へ渡してしまうという最悪の展開に至ります。


そのことで、生産量に現れたり出荷先の減少という一番の関心事にあてはまってしまいます。


ですから、農場HACCPが完ぺきとは言いませんが考える力を作業者に与えて事故の防止に一翼を担ってもらうわけです。
認証ですから、第三者の基準を満たす必要もあり、認証費用も掛かります。


その時間やお金がもったいないという方もいますし、その解釈は農場規模や従事者の力量によっては間違いではありません。


しかし、安全を維持するには偶然に期待するのもリスクはあります。

確率は低いのでお金を投じることに無駄を感じることもありましょう。


ですが、発生したときは甚大な損害があります。

 

品質に関すること以外にもあります。
それは鶏インフルエンザもあります。
農場HACCPには飼養衛生管理基準が法規制の根底にあります。

この基準は飼養管理する方全てが実行する決まりです。
しかし、100%完ぺきという方は多くはありません。基準のうちいずれかが不備を指摘された方もいましょう。


病気の発生を防ぐ、農場に広げない、農場外に持ち出さないという考えがあるこの基準に適合できるように農場の仕組みを考えると対策効果が大きくなります。
それでも完全ではありませんが、出来る限りの対策を講じているのは事実ですし行政機関も理解をしますし万一発生した際の負担金や助成金の満額支払いを受ける条件にも
あてはまります。


ですから、認証で商売繁盛とは言えませんが、今の経営に安定した安心をプラスできるのです。
それが、品質維持に貢献し結果商売が繁盛し長い年月安泰となるのでしょう。

 

まだ暑さが残ります。

品質に不安が多くなるこの時期安心して乗り切るためにも農場HACCPの取得を考えても良いのではないでしょうか。

餌の配餌とカビ発生にご注意を 季節要因もあり管理しずらいというお話も聞きます

7月も下旬になりましたが、雨の日が多く外気温は昨年から見ても涼しい日が続きます。


数カ月ぶりに訪問した農場主の方も笑顔で迎え入れてくださり本当にありがたいと感じます。
nogutikusanさん太りましたね と話されたり、前回訪問から本日までの農場内のお話をいただいたりと、人と触れ合うことの大事さ、Web訪問とは違う人とのかかわり方の大事さを改めて認識したした次第でもあります。


その中、この季節的要因のあると同時に配合飼料の油分から配餌不良とカビの発生がある農場を見ることが少し多いと感じます。


しっかり管理をされている ある農場は、今年は餌の配餌不良が多くて現場が困っているよ。というお話をいただきます。
その農場はホッパーフィールダー式で均し機(ならしき)が設置されています。
夏場は特に配餌不良のお話も伺いますし、実際管理しているときも見る機会が多くなります。


ホッパーより餌筒を通り、均し機からエサ樋に落下する原理ですが、筒が細くなる部位を境に餌が落下しなくなるという現象です。
衝撃を与えると再度落下を始めるのですが、よく見ると箇所箇所で餌が抜け落ちていることがあり、ひどい場合餌樋1通路全てが抜け落ちることも珍しくありません。


管理が慣れていない人は、餌樋を見分けることが出来ず餌が暑さで数グラム減り暑さが原因なのですね。と報告してくれます。
しかし、昨年と違い涼しい7月です。そんな影響があるのかよく見ますと、餌が抜け落ちていることが分かります。


しかも、複数列で抜けており、鶏を観察すると慢性的に不足しておりその列の産卵個数が少ない状況がわかります。
現場は、餌列の前後は確認しており問題ないということですが、よく観察するとその方法に問題があることが分かります。

 

餌の粒度は季節又は餌により異なるというのは現場管理者から見るとよくあることと思います。


本年は、湿度が高い日が多いこともあり、餌がカビ付くという話も聞きます。
餌がカビるというのは、餌樋に放置された餌が劣化することで発生するのですが、均し機がない給餌を実施ている農場では水こぼれが重なり固形化しカビる現象があります。
鶏は珍しいものに興味を示しますから、食べるだろうと考える管理者もいるかもしれません。
しかし、暑い日に湿った餌を食べることはありますが、固まりを好んで食べることはあまり見ることはありません。


カビは鶏に対しても良くない影響を与えます。
カビ毒といえば通じる方もいましょう。


生産性の低下、壊死性腸炎の罹患も有名です。しかし現場ではカビに関して意識が必ずしも高いとは言えません。


カビが付着した餌を餌樋に流し入れて鶏が食べるということもあります。
こぼれ水が原因とわかっても漏水しているピックの交換や水樋の位置調整等回避することが出来ていない農場もあります。
理由を伺うと、時間がない、修繕する方法がわからない、そのように指示をしていない等お話されます。


いずれも、鶏に対しての配慮が第1になっていないことがわかります。


鶏の生命に危機に迫っているときに同じ理由はされないと思います。(水が給水していない場合等)


このことから、現場で鶏の管理基本をご指導指することもあります。
カビは季節的要因もあり避けて通れないといえます。しかし原因を取り除くことは可能ですし、予見することもできます。
後は、その時間を必要かどうか意識にかかっています。


もう一つ、餌の抜け落ちですが、これも意識を持つことである程度防ぐことはできるはずです。
意識が十分な状況でない場合、餌抜けによる産卵率低下が2,3%から発生します。
しかし、原因が分からずエッグカウンターの異常と捉えたり、給水異常と捉え飲水量を確認したりと、大事なのですが主要因までたどり着けないという例もあります。


結果、お伺いしたときに原因が判明したり、修理業者から指摘をうけることもありプロであったはずの管理者が見落とししていたと言うこともあります。


管理者が、巡回し早期に発見することですがその機会は死鶏巡回の際に確認できるはずです。
巡回する際には鶏だけ見ていては大事な情報を見失います。鶏と餌を見るだけで1回でその用事が完了します。


最近は巡回と言えば、鶏の確認のみと答える管理者が多くなりました。農場でも大事な仕事ですからその通りでしょう。
しかし、その通りだけの仕事では後に、餌樋を見る時間が必要等無駄な時間が発生します。
これを無駄と感じるため、餌抜けを見つけることが出来ないのだと感じます。


であれば、抱き合わせで作業すればよいのです。


仕事は、必ず1作業1工程と考えてしまう方もいます。その通りですが餌のトラブルは生産量の低下に直結する異常事態です。
これを取り除くのであれば、その時間を作るか何等かに組み入れるしか時間確保はできません。


柔軟性が必要なのですが、その考え方を提案できる方がいないというのも実情です。


先ほどのように巡回は巡回では管理者は指導しやすいのですが、農場の管理レベルは下がっていきます。
なにしろ、従事者は巡回が仕事であると認識するからです。


通常はこれで問題はありません。

しかし緊急時や危険の予兆が芽を出した時対処もできません。


トラブルは必ず予兆があり被害を生みます。その予兆は見つけ出すしかありません。
しかしその見つけるにはコツがありますし、意識を持つ必要もあります。


組織内では、そのような意識が薄くなる場合多くは問題の隠蔽等経営にとってマイナスしかない場合もあります。


生産量はいずれ戻るから大したことがないという管理者もいます。
しかし、管理者がこのような発想では生産量の低下はやむを得ないし、すぐ戻るから問題なしという意識が、大きく悪化し対処できなければ隠蔽し「原因はわかりません」でよい。


そう考えてしまいます。


今後、養鶏は生産量が多いことで需要に答えるのか、自社ブランドを育成し量より質を第1にするか方針により市場に留まるすみわけになる時代が訪れます。


その時、このような意識がプラスになるのか考え直すきっかけになるかもしれません。


配餌のトラブルは季節や配合により発生しますが、それに立ち向かう現場の意識を再確認する良い機会でもあります。
カビについても同じで、季節だから仕方ないと考えるのか、仕方ないが除去する方法があるのか、ないのか。


その意識を問う良い機会でもあります。


問題の事例ですが、それに向かう意識がなければ残念ながら、緊急時も同じ道をたどる可能性もあります。


管理者は従事者と同じ頭の発想ではいけません。
汗を流し、働く姿勢を見せることも大事です。

しかし問題の解決できる能力がなければ結果は「何もできない上司」と評価されるだけで、その姿勢は無意味になるでしょう。

ましては無駄な雑談しかできない管理者では「暇で何もしない上司」と評価されるでしょう。ここまでひどくなると「それを容認する経営陣」とまで酷評されかねません。そうなるし士気は下がりますし経営に影響をじわじわと及ぼす可能性が著しく高くなる可能性があります。


考え、行動し、問題を発見し、考え、行動する。こんな繰り返しをするのが管理者の資質なのではないでしょうか。


これから、暑くなり鶏の変化が見られ対処しなければならない季節になります。
それを、季節だけで片付けるのか、知識をフル活用して考え行動するのか。
管理者や農場全体の管理レベルを底上げする良い機会になるでしょう。

鶏も動物愛護法の影響を受けることについて

和歌山県で令和2年1月に発生した肉鶏農場の死骸や鶏糞放置の事件は、最近大きく報道されていますのでご存知の方も多いことでしょう。


3月には一部町議会で対応について報告され、県が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき行政代執行します。


これにより周辺住民の生活環境を清潔にする是正措置が行われました。


放置された鶏の死骸回収と焼却処分には担当された皆様大変ご苦労されたと存じます。


私自身も過去違う農場で死骸回収作業に携わった経験があり、あの膨大な量と臭気に慣れているとはいえ大変な状況を思い出されます。


その撤去費用は約1億円となり、該当組合に請求されるという報道です。

事件報道はこれで終わらず、今回経緯を明らかにするため動物愛護及び管理に関する法律により県警察が家宅捜索されています。


1月に鶏の餓死が発生したということは、少なくても前年秋には飼料代金の未払いがあり餌供給が停止し、資金がなく従業員がいなくなり管理等対応策がなくなり餓死させたというところと推察されますが、畜産農場の大型化は今後このような事例も発生する可能性があるため、十分に捜査され県等が次の対策を打つ下地になることを期待したいと考えております。


さて、今回動物愛護法が適用され捜査を受けることになったのですが、動物愛護法はどんな法律でどのような理由で鶏農場に適用されたのか考えて見ます。
なお動物愛護法は別名といえます。

正式名称は

動物の愛護及び管理に関する法律で昭和48年に制定したものです。


多くの方は、犬や猫等愛玩動物を放棄したり虐待したりすることを禁止する法律と考えているかもしれません。
その通りで、動物が生涯を終えるまで飼育する責任や虐待の禁止、動物販売店の責任や禁止行為の明確化と罰則も有名です。


目的は、動物の生命の尊重や動物が人に危害を与えることの防止が主な目的です。
愛護動物には犬や猫の他に馬、牛、豚、鶏、あひる等も含まれます。


このことから、鶏が虐待された(餌を与えず餓死させた)ことを重く見て捜査を行ったという流れに見えます。

 

鶏は、餌を与えない場合すぐには斃死することはありません。採卵鶏の多くの農場では強制換羽をさせていると思います。
これは、餌を与えず羽を抜けさせて、鶏が冬に向かい春への準備をさせる行為をさします。
10日、20日等農場によりますが断餌をして、水のみで生命を維持させます。

その間いくつかの鶏は斃死していきますが、結果、羽がごっそりと抜け落ち、新しく羽が生えてきます。


鶏の若返りとも言いますが、綺麗な鶏に仕上がります。

 

近年は種鶏メーカーが強制換羽を必要としない安定した産卵成績を示すような改良が進んでおり、少しづつですが強制換羽を取りやめていく農場もあるようです。
しかし、強制換羽のコストカットの魅力がまだ強いことから継続しているところも数多くあります。


但し、水がない場合は生命の危機を迎えます。


鶏の体温調節は水しかありません。汗をかかないため口呼吸で蒸発させないと体温調整が出来ないのです。
鶏は本来生命力が強いのですが、水がない場合すぐに衰弱しやがて斃死してしまいます。

 

動物愛護というと、JGAP取得を目指している農場では アニマルウェルフェアという考えもありましょう。


しかし、アニマルウェルフェアは動物に対する5つの自由を与えるべき指針であり、法令とは大きく異なります。

 

養鶏業を営むということは、家畜の命を大事に管理をして虐待してはなりません。
しかし、養鶏というと バカの鶏飼いと言われる時代があったように、深い知識や法令順守の考えを持つ必要があまりなく、庭先に鶏を放し卵を拾う平飼い、又は少数のゲージに管理をして簡素な建物で飼育し季節の温度に大きく影響を受けるような鶏に対して試練を与えるような時代もありました。


鶏を飼い商いをすることが重要視される時代が長く続きました。


しかし、今回のように経営が立ち行かない場合、鶏をいけないという知識もなく廃棄するということ、餌がないから餓死させるという行為はこのような大きなペナルティーを受けるということが分かりました。


鶏の命を軽視するということは、物を言わない鶏だから安心であるということでなくその考え自体が時代遅れとなり自らの経済危機をより深刻化することにもなるということです。

 

今回、餓死したことによる金銭損失は1億円以上となりました。

会社はすでに破産申請をしています。
回収できるのか分かりませんが、少なくとも該当肉鶏ブランドの毀損は避けられません。


餓死させたブランド鶏=今回のブランドというレッテルは貼られてしまいます。


話題性はありましょうが、そんな話題で商品を面白おかしく購入する消費者は恐らくいないと言えます。


美味しいからだけでは商品は選ばれない現実もあります。

ネガティブな要素は消費者購買意欲を下げてしまいます。


スーパーでも最近多く見ることがある有名でない○○鶏と名乗って販売していますが、知名度は高くはありません。日本固有の種鶏や有名なものは別ですが、消費者から見てその差別化は難しいといえます。


家畜を管理する私たちは、経営に不安なく過ごしているとき、そんな法令を考える方はほとんどいないでしょう。
増羽して収入を増やし、利益拡大を進める。そんな攻めの経営をされる方が多いと思います。


しかし、相場取引が収入源となる場合採算ラインを超えての相場展開は予測は出来ても、実現は未来の事であり誰もわかりません。


借り入れが常態化した場合金融機関も融資には慎重になりますから、手形振出しを選ばれる方も多いと思います。


今回の事件も前年末には金融機関との調整は不調に終わったと報じています。


その後人員の大量退職につながり、翌年事件が発生し破産事実が官報に記載され、3月に町議会、県での問題提起となり法令による代執行そして、刑事事件へと発展し進みました。

 

鶏を飼うという考えがこんなにも大ごとになるとはだれも考えなかったことでしょう。

 

しかし、知らないだけでは済まされないという現状、そして知らないことが後になって大変な事態になるという事実。

経済第1で物事を進めて鶏への配慮が忘れられ、後になり暴露されたり事件化される事例は今回が初めてではありません。

今の時代は鶏への配慮があるべき時代になっているという認識を持つと今回の事件の考え方が大きく変わるかもしれませんし、今後知らなければならないという無知であることの恐ろしさを回避できることもできることでしょう。

 

私たちの自覚を持ち合わせるべき事例となった今回の事件は今後も起こりうることなのかもしれません。

成鶏更新・空舎延長事業が発動しました

令和2年5月18日より成鶏更新・空舎延長事業が発動しました。
鶏卵の需要は不需要期に入る状況と供給量、最近の経済情勢もあり苦しいところですがやむを得ない状況です。

 

経済の再生は少しづつ進んでいくことでしょう。

また多くの学校は6月1日より始まり夏休みの短縮も予定されている地域も多いことから給食への需要もある程度期待できます。
但し、子供たちの学校への慣れを優先させるため給食提供は多くの地域で中旬以降になるとみられます。


しかし、外食加工向けは経済の低迷が避けられないことから見通ししにくいといえ、今後数週間の動向がこの先数カ月を占うといえます。
子供たちの夏休み短縮は家族という大きい単位の消費動向に多少とはいえ影響を受けます。

 

実際解除が最初に始まった39の県では、外食向け問屋の話としてアルコールは受注を受けるが日持ちしない食材はまだそんなに多く受け付けていないと言います。
人通りが戻らないと開店しても破棄が増えるという心配もあり様子見している店舗も依然多いと聞きます。
テイクアウトに収入を期待している店舗が多くないというのが実情で、食材の調達もまだ様子見となっているところもありましょう。

 

今月末までは越境を伴う人の移動は推奨されていませんので、観光や外食等の産業の方にとって消費意欲の高い首都圏の方々に期待している地域も多いのが実情ですので、もう少し時間がかかるのかもしれません。


自治体では、人の制限に関するロードマップを示しています。多くは3,4段階に分けて再開をしていくようですが経済にとって最も好ましいステージは多くは最終ステージになりますので、ステージアップに1週間や2週間をめどにしているというところもあり、最終まで1カ月程度かかるところもあり、本格稼働までもう少し時間がかかるのかもしれません。

 

そんな中、成鶏更新・空舎延長事業が発動されました。


経済状況次第ですが、秋口までは継続する可能性もあります。
昨年も5月成鶏更新・空舎延長事業が発動し秋まで継続しました。
令和元年度実施状況は約1100万羽が実施されました。

昨年も実施早々は廃鶏に前向きの農場はそう多くなかったといえます。


実施参加された方のおかげや、全体的には災害による主要産地の被害増大が相場を持ち上げるような状況で、災害による被害がなければ通年実施されもおかしくはないというのが本音ではないでしょうか。


本年はその昨年を上回る餌付けの増加と経済の低迷も重なり4月以降は相場安を続けています。生産量の調整がない場合不需要期と経済の低迷による一段安も容易に想定できます。


学校給食では相場を持ち上げることは厳しいと言えます。

外食、加工向けに期待したいところですが現時点では勤労者の賞与の減額や支給停止等収入の減少も現実味を帯びています。

 

廃鶏業者も規模によりますが慢性的に人手が足りていないというのは皆さんご存知の事です。
今や日本人が集荷して処理をするという会社はもう珍しいと言えましょう。

多くは外国人技能実習生が半分とは言いませんが、主力戦力として活動しているような状況です。


そのような状況下で、来週、来月廃鶏を引き上げてくれと言われても受けられないというのが実情です。


食鳥相場も昨年廃鶏による流入もあり低調気味でした。

過度の受け入れは結果昨年の二の舞となる可能性もあり今後の方向に注目されます。

 

家庭消費は頭打ちと言えます。

1日1個2個の消費を3個5個の消費を喚起してもなかなか難しいといえます。


食べるものが豊富な現代では無理ある政策になりましょう。


しかし、大型倉庫店のある店舗では珍しく鶏卵の品切れが発生している所を販売調査から見る機会が多いのです。
10個当たり140円程度の販売ですが大変人気です。
一般小売店では150円を超える販売が主流のように見えますので、価格で決めるという消費者が少し前に比べ増えてきているのかもしれません。


鶏卵の消費は半分は加工外食向けになる現実から、いかにこの分野の回復が重要なのかが分かります。
そのためにも、消費者への支援が必要であり、加工食品への消費を促すことが大事です。


鶏卵は安価であり調理のバリエーションが豊富な食べ物です。

しかし季節的要因も受けやすく、また調理過程での食中毒リスクもあることから高温時期は比較的回避される傾向に見えます。


調理や外食等おいしい色と呼ばれる赤、黄、緑、黒を上手に配置できることで料理の美味しさが格段にアップします。
その中でも、黄色は卵が代表されるように栄養と彩の両方を兼ね備えた食品です。
ですが調理中の室内が高温になることも回避される要因の一つです。

 

だからこそ中食や外食がこの不自由のところを補うのです。


このように誘導するには、消費者の懐事情にどのように支援できるのか考えなければなりません。
価格重視となる場合、相場は相応の値段を提示します。

しかし採算を割る可能性もあります。
今は、差額補填がありますので まあそんなもの と割り切れましょう。


しかし、低調な時期が続く場合補填資金が底をつき支給修了もありますし、出荷が大きい農場からの破格の商品供給もあります。
どちらも過去発生しています。

 

夏の鶏卵消費は中々打開するに難しいと言えます。


秋口以降は気温の落ち着きから、月見バーガー等卵の消費が上向くようになります。
夏は、鶏卵卵重の低下が進む農場が多くなると思います。それを見越しているように、MSサイズは直近(18日)10円安(M、Lは5円安)と大きい変化でした。
それでも基準値190円(5月では20円安、他サイズは15円安)と最も高い金額です。


6、7月は、例年学校給食があったとしても相場は横ばい又は低下となります。


このため廃鶏をして夏を過ごし秋に産卵生産量がピークなるような餌付けをされるところもありましょう。
今年は、小さいサイズが中心となって相場がもう一段下がると予測されます。

それを買い付ける加工筋も不透明と言えるからです。


生産を続けても卵重が下がりサイズが一段下がるところも増えましょう。


最近の白色は親鳥の影響が以前と違い小さくなる傾向が見られます。

これが拍車をかけるかもしれません。
赤色も以前と違い卵重の上昇が緩やかに見えます。

農場での管理技術というより品種改良が主要因と言えます。

 

採算ラインを考えると場合により空舎期間を長くとることも一つの手になる可能性もあります。
しかし、鶏舎は稼働しなければ儲かりませんし、固定費の節約にもならず判断に迷いがあると思います。


その中でも、たとえばワクモ発生が著しい鶏舎であれば消毒を徹底的に行い発生を遅らせる手法を確立することも可能です。


病気が繰り返すような鶏舎であれば消毒剤の選定から見直し十分に消毒し衛生環境を向上させるということもできましょう。

 

厳しい夏に向け生産量維持はとても大事なことですが、問題ある農場が生産計画を進める場合問題点を改善する期間として活用するのも、明日の生産性向上に大きく寄与できるのではないでしょうか。

 

 

令和2年の餌付け羽数(1~3月)

令和2年1月から3月までの全国の餌付け羽数は、前年を上回る状況で
1月は9480000羽で、前年同月比104.5%増となりました。
2月は7992000羽で、前年同月比102.6%増となります。
3月は9532000羽で、前年同月比112.3%増となります。

 

経済背景ですが、一昨年12月は最需要期にもかかわらず相場下落があり、新年相場が心配されていたころでした。
昨年初市は東京M基準値100円という低相場となり、成鶏更新・空舎延長事業が発動されました。
全農等は適正な生産量のための調整を依頼する等業界内で羽数の減少に取り組む風潮が浸透した時期です。


その相場安は夏まで続き、台風等災害により主力産地千葉県での損害が顕著になることで供給不安が生じ、相場高へと潮目が変わります。


この流れは、本年まで続き新型コロナウイルスの影響もあり外食・加工向けは低調も家庭消費(巣ごもり消費)が堅調に推移したこと事から、安定した相場展開となりました。


しかし、家庭消費が頭打ちとなり外食等加工向けが低調であることが長いことから、相場は季節特有以上の強い低下を示し現在に至ります。


足元では餌付け羽数は昨年夏以降の相場高・供給不安定の解消も重なり順調に餌付けを増やし始めます。


外食や中食等加工も年始は堅調でしたので、家庭消費とのバランスも良く順調な需要展開でしたが、2月ごろより世界での新型コロナウイルスの影響がある報道が散見されます。


日本では3月から訪日観光客を中心とした業態に影響が見られ始め、4月は緊急事態宣言発令もあり全国的に外出をしない「ステイホーム」状態となります。


このことで、経済は急激に低下を示し人々は最低限の出費をすることで、外食等経済を反映する大口需要先が一気に活動縮小を余儀なくされ、需要が供給とのバランスを失い始めます。


4月上旬ぐらいまでは家庭消費(テーブルエッグ)が加工向けを吸収するくらいの需要がありました。
しかし、外食等の需要が更に弱くなると家庭消費だけでは吸収できず相場下落という展開に至ります。


5月の大型連休以降も相場下落は続き、全農等は適正な生産量を業界にお願いするという流れになります。

現在、39の県では緊急事態宣言が解除されました。経済活動が再開されますが、他県をまたぐ移動は自粛されており、なお回復に時間を要する可能性もあります。

 

消費に大きく貢献するといわれる首都圏、大都市圏の方々はまだ特定地域に残されており活動できない状況です。

 

すでに今回の影響による企業倒産も相次いでおり、インバウンドや観光需要を期待している方々は大変ご苦労されているようです。

 

さて、全国的に餌付け羽数が増えていることはデータから見て分かりました。
細部を見て見ましょう。

 

採卵鶏の生産量は1位茨城県、2位千葉県、3位鹿児島県と並びます。(平成31年データより)


2・3位の順位入れ替えがあるものの概ねこの3トップは不動のものになります。


また、飼養羽数は関東が最も多く48077000羽とほか地域を寄せ付けない圧倒的な羽数になります。


総生産量(羽数)は全国を100としておよそ30%となりその中に茨城、千葉県と主産地が上位を占めています。


理由として、養鶏に適した地域であると同時に首都圏に近く消費人口が多い地域への輸送が容易であることがあげられます。


次に多い地域は東海、東北、九州、中国と並び概ね各24000000羽程度となり関東の半分となります。
総生産量から見れば各地域全国の12,13%を担う立場となります。


北海道は6657000羽で主に道内で消費されますが近年は東北等本州への移動も見られます。

沖縄は1356000羽で、県内で消費され不足分は本州から移動されているとみられます。

 

では、主産地の餌付け状況を見ます。
第1位の茨城県は令和2年1~3月の前年比増加は103.3%となります。
第2位の千葉県は同111.5%増加、3位鹿児島県は119.3%となります。
全国平均は106.6%となります。


先ほどの通り、主産地は関東でその生産量は全国の3割を占めています。
千葉、茨城以外の関東では、栃木131.4%(期間中の餌付け羽数774千羽で茨城県の餌付け51%程度)


群馬113.8%(同2312千羽、茨城比較154%)、

埼玉92.9%(同784千羽、茨城比52%)
神奈川95.8%(同23千羽 茨城比1.5%)となります。

(東京は8千羽程度なので省略しました)

 

参考までに期間中の茨城県は1493千羽、千葉県は1612千羽となります。


これを見ますと、主産地茨城、千葉に並び群馬が健闘していることが伺えます。
大都市圏は一大消費地でもあり最低賃金が高く消費意欲が高いとされます。


このこともあり、関東で新たに開場する農場も見られ混戦模様になります。
同時に1農場の飼養羽数も増加しており施設の大型化も進んでいます。


このこともあり小規模展開している農場は、引き取り先との兼ね合いから少しづつ減少している現実もあります。

 

令和2年の最初は、新型コロナウイルスの影響を加味した餌付けをされているところはなかったと思います。
むしろ、生産量を増やすことで安定した供給を第一に展開されていたことでしょう。


しかし、この経験したことのない影響は急激な不況となりつつあり、世界恐慌を超えるともいわれる状況です。


いち早く景気に敏感な業態から影響を受け始めあらゆる産業へと波及し始めています。


このため、需要量の半分(少し前までは51%と半分を超える)を外食・加工が消費していたのですが急激に不需要となり、家庭消費に助けられ何とか需要と供給がバランスを取れていたといえました。


その家庭消費も一息つき、新たな消費先が見つからないまま5月の下旬に入っている状況です。


このこともあり、適正な生産量のための協力を求めている昨年と同じ構図になっているようです。


まだ、成鶏更新・空舎延長事業は発動されてはいません。
6月から学校給食に一定の引き合いもあり7,8月も期待されています。(夏休みの短縮措置)


しかし、家庭需要は例年通り弱くなり、外食が経済動向次第で回復が遅れる可能性は消費の減退に直結され心配です。


夏の災害も心配され、資金力が弱まるところで災害による強烈な出費も想定され経営の持続にネガティブな要素も加わります。

 

今後生産調整が進むかはまだ不透明です。


明日廃鶏して売上げを下げるという選択をする農場は多くはないと言えます。
通常の廃鶏処理、強制換羽による生産量の調整で秋口への期待をする等特別な動きは期待できないと思います。


足元の相場安もジワリと進行することは例年の通りでもあり、今は我慢する時と多くの農場は思われることでしょう。

 

今後の餌付け状況によっては供給過剰となり、経済状況次第では需要低迷により大変な時代が訪れる可能性もあります。


経済の低迷は、餌付け羽数を大きく引き下げてもなお、需要が持ち上がらないということもあります。


それだけ外食等に依存している状況では、世界恐慌を超えると言われる今回の影響をどこまで和らげることが出来るのか国の手腕が問われます。


V字回復を目指す日本政府ですが、多くの経済エコノミストはL字回復になるのではと心配している声もあります。


それだけ、経済が弱くなり大企業に依存している中小企業の影響を心配しているということでしょう。
実際半分以上の労働者は中小企業に在職している現実があります。

 

その方々が、畜産物をはじめ消費をしている現実。


私たちもできうることは何でもやる覚悟が必要なのかもしれません。