令和7年度の最低賃金額改定が全国平均1118円となり、前年度から63円の増加となりました。
引き上げ額としては過去最大となり、多くの農場は支給額との比較を必要と知るところがあるでしょう。
もっとも高い地域は東京の1226円で、次いで神奈川1225円、大阪1177円と平均上昇額となる63円を加算したような金額です。
養鶏が盛んな地域を見ると、茨城1068円、千葉1139円、鹿児島1017円となります。
傾向としてはC地域は64円以上と都市部以上の引き上げを決めています。
多くの地域は10月1日からの施行となりますが、一部は11月1日以降としています。 9月に間もなくなります。
10月施行であれば、今のうちに現行支給額が改定額を満たすのか確認しておく必要があります。
さて、一部の農場は今の時給額からは数字を切り上げた程度の金額を提示して支給しているところもあるでしょう。
例えば千葉県の現在の最低時給額は1076円です。
多くは1100円程度を提示して算出根拠にしていると思います。
1日6時間実務であれば、日6600円で、週休2日であれば月132000円程度でした。
ところが、次期改定額は最低1139円ですから、多くは1150円程度か1175円、1200円とした額を想定しているかもしれません。
1150円とするならば同条件で、日6900円(300円現行より不足)同条件で月138000円(6000円不足)となります。
多くの農場では慌てふためいて右往左往することはないでしょうが、時間給で見てこの最低額を満たさないことは農場側は違法行為になりますので、毎年改定を要する農場は支払額が超えていることを確認してください。
さて、鶏卵を仕分ける方や技能実習生は今でも時給作業者を中心に想定していると思います。
そして時給最低額より少し多い程度を給与としているところも多いのではないでしょうか。
この2年程度急激に最低時給額が改定されており、上昇がキツイという声も聞きます。
しかしながら、人を安定して雇用できる環境がないと結局は人が集まらないから負担を増して仕事をさせることになり、離職者の発生とその補充ができないとジワジワと農場内の業務に支障が見えるようになります。
良く見るものとして、鶏舎内の清掃が滞るようになり、時間がないから、作業者が急に休むことで今週が清掃無し、場合により2週実施無しという所もあります。
酷くなると、前回はいつ清掃したか農場誰もわからないほど経過したということもあります。
現場は清掃程度で騒ぐことはありませんが、弊所ではその末路を見ていますのであまり軽度に捉えるものではありません。
この場合、清掃がおろそかになり、鶏舎内に不要物が集まりネズミが集まり始めます。
特に秋以降外が涼しくなり始めるとクマネズミといった鶏舎を好む小動物が鶏舎と外の行き来といった通勤を止めて鶏舎内に住み始めます。
当然ネズミ同士の競争がありますので、高所に巣を作れない個体が散見されると清掃がないことで、床にある ほこりが集まる場所に巣を作り出します。
集糞ベルトのベルト間に鶏の羽をベースにした巣を作ることもあります。
ベルト間に巣を作るわけがないという方もいますが、多くは針といったベルトのたわみを防止する横板と言われる針金を入れているはずです。
これが、通せんぼをして巣の壁は動かないですが、床面だけ動くと思うでしょうが観察すると、そのようにならないように床目に羽を敷き詰めているようで、巣自体は動きません。
ネズミの尿臭があり巣があるとわかりますが、人がいないという理由で気にしない、気にする時間がないと言っていることが多く、当たり前が崩壊してしまった農場もありました。
根本は人がいない、足りないといった理由ですが、その根底にあるのは支払う賃金が少なすぎることや、人を維持する思考力が足りず潤沢に補充できると信じ安易に人を放出したものの補充が全くできないということが主要因になるものです。
ネズミは様々なマイナスを農場にまき散らします。
配線の断裂による機器類の漏電や故障、集卵システムの回転部にネズミが挟まることの集卵停止や異物となったネズミの除去といった現状回復、そしてサルモネラの検出といったこともあり、たかがネズミと言っている農場は残念ですが、衛生管理は底辺にあると言えます。
そしてそのネズミを増やす要因に清掃の未実施があり、鶏舎に人がいないからこそ好き勝手に動き回るのです。
でもネズミとくくると、増えるから穴をふさぐとか、殺鼠剤をまき散らしておけばよい考えることもあるでしょうが、根本は人の目がないからこそ気づけないということに気づけていないのです。
最低時給は年々増加していくことになります。
これは労働力が減少していくからこそ人確保の手段として賃金上昇で人をつなぎとめることになるのです。
国の政策で人が潤沢に増えていきやすい、従業員が確保できるという時代ではありません。
安い作業者にすがるだけでは、この先も厳しいことではないかと感じます。
そう遠くない時代全国平均1500円は不可能ではないように感じます。
物価高を国の税制補助があるとも思えず、値上げた分は賃金に回すような時代になっているように思います。
いずれこの上昇による脱落者は一定数発生するでしょう。
これを助けるような政策を国はするのかわかりません。
そうなると、賃金を十分に支払えるような人の配置を見直ししたり、人が多ければ安泰という昭和時代しか通じない思考から脱却する必要があるようにも感じます。
ある農場は役職従業員を増やしすぎて、労務時間から割高すぎる賃金を支払い続けている農場もあります。
役職者は俺の右腕であり低賃金作業はさせないからという視野で物を見ている経営者もいます。
一見正しいような意見ですが、その役職者は仕事がないので寝転がっていたり、お気に入りとガススタンドへ社用車の給油しにいくといった無駄な人材に成り下がっていることに気づいていない農場もあります。
でも賃金が高いから低作業なことはしないから、清掃はさせない、集卵業務はさせない、それより次回の会議の議題を考えろというお金にならないことに力を入れています。
人が不足していく時代になりましたが、それでも昭和思考で1150円支払いすれば潤沢に集まると信じているのが皆さんが育てた農場が存続できるのか。
人はいるのだから低賃金者だけ採用していければ解決できるのか。
そもそも役職者とは何をしている人なのか、明確に説明ができる経営者はどれだけいるのでしょうか。
多くは農場責任者、統括者、部長というでしょう。
ではその人は何をしている仕事をしているのでしょうか。
多くは農場を見て管理している、異常を検知して解決策を見つける事ができる、部長だから偉いのである。
そんなところでしょうか。
しかし、農場を見ているのに掃き掃除をしていない場合、その責任者は何をしているのでしょうか。
そう尋ねると多くは現場職員が悪いと論点をすり替えます。
それを監督するのに忘れている役職者であるのにです。
そんな者に余計に支払いをしているからこそ、低賃金者は低賃金で良いではなく、それしか支払えないという現実になるのです。
経営者も自ら減額して低賃金者に補填するという奇特な人はいないと思います。
そうなると、最低時給で良い、最低時給の端数上昇した額でよいという思考しかなく、いつまでもお金がないから人は集まらない、そして農場が崩壊していくというスキームができてしまうということを知ると、 最低時給をベースにした人の雇用維持は無理が来る時期がそう遠くなく訪れることでしょう。
ではどうのように農場を維持していくことが大事でしょうか。
いつまでも最低時給をベースに組み立てしていくのか、本気に支払い、オールマイティな仕事をする人材に育て1つの仕事1人ではなく、2つの仕事1人のような幅を持つ人材にして人件費を吸収していくのか。
役職者は本当にその人数必要なのか、その仕事は一般職と変わらないなら、その役職は必要なのでしょうか。
役職はコストがかかる人材です。
頭を使い実行できる人材を農場は求めているのではないでしょうか。
ではそのような人材に育てられないなら、役職者は必要でしょうが、代用できるならそもそも不要です。
ある農場は、経営者と農場統括者、農場従事者だけの組織があります。
その農場は経営者が主に方針を示し、進捗や実施責任を統括者が行うのですが、よくできている農場ほど、統括者と従事者の頭抜けた連携で問題解決に取り組み成果を出しています。
丁度今の時期ですと、高温による鶏の影響対策と実行に従事者が取り組み逆に統括者が感心するといった先行く思考と実行があり農場は進化しているように感じます。
つまり、目先の人件費をどうしようかと考えている農場は、この先もそれなりの仕事をそれなりにして、鶏の能力に助けられて経営している農場のように感じます。
人件費は重いものですが、鶏の生産能力を引き上げたり、維持するためには人のかかわりは必要になります。
鶏の生産能力はこの数年更にに改善が進み高産卵、高産卵維持が当たり前になりました。
ピーク97%で500日齢まで90%持続というのは珍しいものではありません。
強制換羽は不要なのだろうかと感じるような高い生産能力を感じる方も多いと思いますし、経営されている方も実感しているかもしれません。
でもその高い生産能力は偶然で発生するわけではなく、人の管理でそのようになるという視点を忘れると、人は生産しないからこそもったいないお金と解釈することもあるでしょう。
お金は確かに有限です。
だからこそ無駄のない出費が経営の基本です。
その思考に仕事を本当にしているのか?という人材に現場従事者より多く支払う価値はあるのか、俺の右腕(俺のお気に入り)には惜しげもなく支払うという姿勢が毎年上昇する賃金圧力に耐えきれなくなっているような農場も散見されます。
皆さんはそんなこともないでしょうが、そうなってしまった農場もあります。
この先賃金上昇圧力は続くと思われます。
その要因は人手不足からの獲得のための上昇と外国人労働者を迎えるためにも世界に通用できるような賃金水準の維持が目的と言えるでしょう。
ですから、下がることもなく横ばいになることもないでしょうから、耐えてしのいでいくのか、生産確保のための方策に尽力して生産量確保に努めていくことで、収益を確保するということになるでしょう。
その時人件費をどうにか圧縮するというコスト思考は見方を変えると大変なことになると思います。
その使い方使途を見直すことも大事でしょう。
毎年最低時給の話題がありますが、根底は人々の購買を維持するためにも必要な物になります。
スーパーの食料品売り上げは毎月増加しているようですが、これは値上げ分が加味されて増えているのであり、売り上げが活況であると言うことではありません。
実際購入点数は少なくなっており節約志向があるとされます。
大手流通店舗は、自社ブランドの商品の充実や値下げによる来店頻度を上げたり購入につなげる行動をとっています。
ですから、賃金を引き上げることが悪と考えると最終的には、私たちの製品購入機会を少なくすることになり良いことではありません。
ではどうしましょうか。
流通店舗に納めているのであれば、購入機会を増やすように商品を間違いなく納入することが大事になります。
それで選ばれるのかどうかは消費者が決めることになりますが、先ずは数がないと話になりません。
地域密着店舗に納めているのであれば、その店舗の畜産物代表になるようなブランドになるよう育てていくしかありません。
テレビに出るような商品ではなく、地域の顔になる商品になるということです。 ○○さんの卵とか、指定農場の美味しいたまごのようなものです。
そのためには数も大事ですが、地域で良いイメージを持ってもらうことが大事です。
加工向けや外食向けで生産しているのであれば、商品の品質や安全性を前面に出すことが大事です。
そのためには、衛生管理を実施ていることを知ってもらう、第三者の認証をもらい客観的な評価をもらっていることが大事です。
どれも人が関わることになります。
生産能力だけで解決できるものではありません。
その人にお金を惜しむでは、数年先は大きな変化はないでしょうが少しづつ安全性や商品のイメージが崩れていくことになります。
それを支えるのは人なのです。
いかがでしょうか。
毎年10月は気が重いという声も聞きますが、大事なことは人はコストではなく投資と思い込むことではないかと思います。
その人へのコストと考えてしまう要因に、出費の在り方がどうなのかと言うこと、人を育てるコストはコストではなく投資であるという視点。
ブランドに育てることや安全な生産物のためには人のかかわりが必須であるということを知ると、ただの人ではなくオールマイティな人材に育てることが解決策になるということになるのではないかと思います。
間もなく改定時期になります。
10月以降時給は最低63円以上の改定が確定しています。
その上昇分を吸収するために削るのか、安い人材に活路を見つけていくのか。
経営者の手腕が問われる、そんな10月になるのではないでしょうか。