nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

養鶏の仕事 プロであるべき姿とは

まもなく4月。新卒採用者が入社する時期でもあります。研修の依頼が多くなる時期となり、多くの方とお会いするとても楽しみな春となりました。


最近思うのは、ご依頼いただく企業の多くは社員の定着化を求めていることで「仕事の楽しさを伝えてほしい」や「やりがいを感じさせるような研修をお願いしたい」等このような依頼を織り交ぜて研修を開催する機会が増えたというものです。


以前にも書きましたが、「来るもの拒まず 去る者追わず」このような原則で採用を行っていた養鶏家の中にも外国人技能実習生中心の組織運用に心配をしている経営者がいることを肌で感じるようになりました。(詳しくは「ライブドアブログ」nogutikusanの畜産ブログをご覧ください。)


本日は、私の専門である養鶏の仕事とはなにかについて考えてみます。
「養鶏はプロフェッショナル集団であるということ」私が研修の中で必ずお話する言葉です。

プロである以上

「鶏の見立てのプロである」

「環境変化を感じ取れるプロである」

「自己研鑽し昨日と違う自分を作り鶏へ貢献するプロである(いつでも考えていること)」


なんだか堅苦しい言葉ですが、その昔私の師が唱えていた言葉です。


「鶏が分かるのには5年はかかるのだよ」

その師はいつも説いていました。

入社したばかりの私には当時の言葉の意味は分かりません。それが分かるには10年とは言いませんが長い時間がかかりました。(正直もう少し早く理解したかったと心残りでもあります)


「四季があり、鶏の状況を見る目を養う。そして考えて「最適」を見つける。結果生産性に現れ自身に還元される」というもので入社後のわずかな期間でどれだけ目を養うヒントを与えられるかがカギとなり、師のような上司が指導してくれたおかげで今の私があるのだとこの時期つくづく感じているのです。


さて、養鶏の仕事も時代と共に変わりました。かつての高床式鶏舎が少なくなり、四季により換気・保温等環境変化を感じ取る時代が終わり、近代建物である「ウインドレス鶏舎」に代わり、四季がない自動調整する換気・保温システムと主な仕事は数値読み取りが主流になります。


数値から適正かどうか判断するのですが、最近はその適正はわかるのですが応用できない人材が多いことに気が付きます。
つまり、通常の作業はできるが「攻めの管理が出来ない」ということです。
鶏舎環境は人為的に変化でき生産性向上に寄与できると鶏卵相場が良い時代に盛んに建て替えが進みましたが、管理者の教育がなかったため十分な恩恵が受けられない養鶏家もいます。


しかし、基本操作は建てメーカーが説明し、試行錯誤で温度・換気調整ができますが、無駄を削り利益をだす可能性が無限大であるにも関わらずその機能を使い切れていない。ですので些細な(十分に考えることなく実行)実行で生産性を崩し、鶏病を誘発させ結果廃鶏まで採算が取れない等、人の失敗に対応できる教育に重点を置く企業が増えたのだと感じています。
技術を教える会社もあります。その典型的な例として「テクニックはあるが操作できる人がいない」という相談も受けます。


私は「技術指導も行いますが、基本人材育成(教育)」をすることで、テクニックを駆使する前に基本を教えてから実践に入る形式をとっています。
いきなり免許がない状況で車に乗り時速150キロで走破せよとは言えないはずです。(基本がないと応用はありえないのです)
つまり、アクセルだけ吹かせば良いのだという話ではないのです。


多くの経営者とは言いませんが、この技術にこだわるがために「基本を忘れている」と感じるのです。
そのような養鶏家からご依頼いただく際によく言われるのは「テクはある。重要なのはそのテクを駆使できるよう指導してほしい」という言葉です。


私は、そのテクはそのコンサルタントの方が出来る技であり、御社の従業員には駆使できないのではないかとその中身を見て思うことがしばしばあります。
大事なのは身の丈にあった技術取得から始まり、応用できる力を身につけ先ほどの「テク」を駆使するのが王道であろうと。


人の育成には時間とお金がかかるのは事実です。

 

しかし、10数年前までの昔、古い建物の時代は体で自然に会得できた技術や師がいたはずです。
その当時の流れを大事にすれば技術や先ほどの「鶏の見立てのプロ」「環境変化を感じ取れるプロ」が育成されていたのだろうと感じます。


しかし、養鶏は外注化が進んだ分野でもあります。「鶏の移動業務」「ワクチン投与作業」「水洗業務」「鶏舎管理作業」等は外部委託が進みました。


ですので、この分野(人材教育)も外部委託になるのだろうと感じています。(実際ご依頼頂かないと私が困るのですが・・)

 

時代と共に変化したことにより、十分に教える機会がなかったことで「技術伝承」が途絶え、補う予定であった「近代建物」の技術が、実は管理者の技術により明暗を分けるとは誰も思わなかったのでしょう。

また、技能ある従業員の定着が進まず、簡単に採用できる外国人技能実習生にシフトし日常作業中心の管理に変化が進み更なる変化を遂げています。


ある経営者は言います「技術なんかいらないよ。だってウインドレス鶏舎建てるから」という言葉を思い出します。


その会社は、その後ウインドレス鶏舎を立て、技術会社からテクニックを得て生産性向上さるような話でしたが実際は「○○さんとこ大金はたいて鶏舎新築したけど散々みたいだよ。生産性はうち以下だし費用だけ掛かった感じだよね」という噂も聞きます。


人は、自分が正しいことは絶対正しいと思いがちです。反論に耳を傾けることが出来ない方もいるのも事実です。また、右腕になる方の良しあしで会社が変わることも珍しいことではありません。

 

それが正しい・間違いという議論はしませんが養鶏を志し入社してくれた従業員の皆さんにぜひ「仕事の楽しさ」をお伝え頂きたいと思います。(数値読み取りが仕事ではありません)

今時、新卒採用ができることは大変幸せな会社でもあります。中途採用でも苦労する会社が多く、ましては技術(「テク」というのでしょうか)を有する人材に巡り合えることもまれな時代に人が採用できることは大変すばらしいことです。

多くは、コスト等もあるでしょうが、外国人技能実習生という一時しのぎとは言いませんが、根本の対策を後回しにして急場をしのぐような状況を常とする考えが広がる中で4月を迎え新たな一歩を踏まれることでしょう。


技術は数年で会得できないのは今の流れからしてやむを得ないことです。(最低5年はかかることでもあるのです)


促成栽培ではありませんが時短として「コンサルタント」にご依頼するのも一つの手でしょう。しかし、テクニック重視では心配もあります。


しかし、突然に変革を起こしてもすでにいる従業員には理解を得ることが出来ません。それは「その作業や考え方が社内の考え方であり当然として過ごしたため変改する理由がなく戸惑うのです」


「基本がなくて応用できるのか」

「いつも考えて行動できる人材がいるのか」

「テクニックが先か 操作できる人がいることが先か」

自問自答して良い答えを見つけて頂きたいと思います。

まもなく4月桜の開花も聞こえる今日。新たな年度に向けて養鶏が発展していくことを念じております。