nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

GAPの認知度と課題 データから見る実情

日本政策金融公庫農林水産事業は、平成30 年1月に実施した「平成29 年 下半期食品産業動向調査」において、食品関係企業に対してGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況を調査しました。


その結果、食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答しました。
今回のデータは平成30年3月28日に発表されたものです。


また、消費者側のアンケートを農林水産省が平成30年3月30日 農林水産省生産局農業環境対策課 がまとめた資料も併せて検討してみます。(アンケート調査時期:平成 30年2月8日から2月12日調査地域:全国 インターネットで回答)


1、消費者からみたGAPの認知度と考え方及び予想される消費行動
①消費者のGAPの認知度

知らなかった」と回答した割合が 72.7%と最も高い結果となり、

次いで、「名前を聞いたことはあるが、内容までは知らなかった」と回答した割合は 22.0%、
「知っていた」と回答した割合は 5.4%となっています。


GAP」について認知している人の割合は合計 27.4%となっています。

 

②企業に求めるGAPの取り組み姿勢
「取組が可能な農業者は取り組む必要がある」と回答した割合は 62.5%、

「すべての農業者が取り組む必要がある」と回答した割合は 30.0%となっています。


③国内の食品関係企業(食品製造・卸売・小売・外食等)が、農畜産物の取引にあたって、GAP認証を取引の要件としたり優先的に取引することについて評価しますか。「評価する」と回答した割合は 56.4%、
「わからない、どちらともいえない」と回答した割合は38.3% でした。


評価する方が多いのですが、分からないという決めきれない方もいて、GAPを知らない方が多いことから評価する決め手に欠けているといえます。
ただ、内容は分からなくとも何となく良いものは分かるため評価しないという回答をする方はいないのだと思われます。

 

では、評価すると答えた方のその理由を尋ねると、
「企業の社会的責任だと思うから」と回答した割合が 47.9%、
「信頼できる企業だと思うから」と回答した割合が 45.8%となっています。


消費者は取り組むことを当然と考えており、取り組むことで信頼を得ることが出来ると認識しています。

 

逆にGAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
あまり必要性を感じないから」と回答した割合が 42.1%と最も高く、
認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」と回答した割合は 38.3%、
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」と回答した割合は 13.1%となっています。

 

消費者は、GAPに取り組む必要があり食品関係企業が優先して取り組むことに理解を示す方が多く、そして信頼できる生産元と回答しており、積極的に商品を購入してくれそうな回答ですが、購入する条件について質問すると以下の通りの状況でした。
同程度の価格であれば購入したい」と回答した割合は 71.8%、
「割高になっても、購入したい」と回答した割合は 18.5%となっています。


では、購入したいと思わない理由を尋ねると、
GAP認証を「評価しない」と回答した理由をみると、
「あまり必要性を感じないから」
「認証の有無よりも価格や鮮度、味などを重視するから」
「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
という回答のように、GAPの取り組み理解がまだ十分でないことから、割高な商品では購入を躊躇してしまう現実があります。


現在の価格と同程度であれば手に取ることに抵抗はないことから、「認証がなくても安全・安心な農畜産物が手に入れられるから」
の回答のようにそもそも現在の品質に不安を感じていないことから付加価値を見いだすことが出来ていないことが原因と推察されます。

 

消費者は、GAPを知っている方5.4%ですが、GAPに取り組む必要があると考えています。(92%の方は必要としています)
また、商品を食品関係企業が取引要件にしたり優先して取り組むことに50%超える方は賛成しており消費者にはGAPを取り入れた製品にある程度期待していることをうかがわせています。


しかし、商品価格は割高になることに抵抗を示しており、その理由として「認証なくても安全安心な製品を購入できるから」と回答しており認証があることによる付加価値分の支払いに違和感があるという考えです。


このことから、認証のない商品と差別するすることに要したコストは認証を取得した企業が負うことが望ましいといえます。つまり認証取得がある製品が認証ない商品と同額であれば「認証品」を購入するといえます。
商品へのコスト転嫁は現在ではできないと考えられます。


では食品関係企業はGAP認証を受けた農場などで 生産された農産物の取扱い状況等をどう見ているのでしょう。

 

2、食品関係企業からみたGAPの認知度と考え方及び予想される行動
食品関連企業の約5割が「GAPを知らない」と回答
現在、食品関連企業はGAPはなにか認識されておらず認証品のあるなしによる差別を考えていないといえます。


GAP関連農産物の取扱いの拡大に向けて、まずは食品関連企業に対してGAP認証制度とそのメリットを周知し、GAPの認知度を高めることが重要であると考えられます。と報告しています。


②GAP農産物の取り扱うことについて
GAP関連農産物を「取扱う予定はない (28.6%)」と回答し、
「取扱っている(6.4%)」、
「今後取扱う予定である(14.5%)」を合わせての 20.9%を上回り、
GAP認証を認知していてもGAP関連農産物の取扱いには積極的 ではないとの考えが優勢であることがうかがえます。
業種別に見ると、小売業のみ、GAP関連農産物を「取扱っている」または「今後取扱う 予定」との回答が「取扱う予定はない」を上回り、
小売業は他業種に比べGAP関連農産物 を積極的に取扱う姿勢がうかがえます。


では、GAP関連農産物を扱う予定がないと回答した企業はどのような理由なのでしょうか。
「取扱う予定はない」と回答した食品関連企業(593 社)を対象に、GAP関連農産物を取扱うえでの課題を聞いたところ、
現在の流通において、必要性を感じない42.3%)が最も多く、
次いで「コストの増加が見込まれる41.1%)」、
GAPの概念が消費者に浸透していない(37.8%)」、
GAP認証を取得した生産者が少ない(35.2%)」
の順となりました。

これらの結果から、GAP関連農産物の取扱いを拡大させるためには、食品関連企業に対しGAP関連農産物を取扱うことで得られるメリットを正しく周知していくことが重要と言えそうです。
また、GAP関連農産物の取扱いに伴う食品関連企業の仕入れコストの増化が見込まれることや、消費者のGAPに対する認知不足、GAP認証取得の生産者の不足 など、今後解決していかなければならない課題が複数存在することがわかりました。
(報告書から引用)

 

食品関係企業と消費者はGAPが理解されていないことにより「必要性を感じていない」ことで消費者は現状の価格より高いことに拒絶感があり、企業もコスト増加が見込まれているが転嫁しにくいと考えていることが推察されます。
不必要な費用負担を望んでいないのが現状となっています。
両者ともGAPの必要性はある程度理解を示していますが十分に理解していただくよう引き続き説明を続けていくことが重要なのでしょう。

 

しかし、一部大手の販売店は自社ブランドにこの認証制度を取り入れることを表明し実行しています。

2020年オリパラに向けての対応もありましょうが、自社製品の付加価値化を意識した対策でもあるように感じます。

製品の安全と労働者の安全、地球環境の保護と、GAPの基本部分をアピールできるため他社製品との差別化ができると判断されてると推察されます。

今後、販売業界でも差別化(商品の付加価値化を前面に出すことのPRで自社と自社ブランドの価値向上)する、しない(消費者への訴求力がないことで特に対応しない)がさらにはっきりと進むのでしょう。

その時、消費者は何を基準に選んでいくのでしょうか。


コスト増加がない認証製品が流通できるよう、どこかが努力(企業または生産者がコストを吸収し価格に転嫁しない)してもらうことで認証品が流通でき少しづつ流通・消費量が増えることが出来るでしょう。
それは現実的かは分かりません。

 

しかし、それ以前の問題で本当にコストが増大するのでしょうか。

私が見る限り、確かに構築・認証審査・維持更新には費用が掛かります。

かかった分転嫁したいのはそうですが、転嫁しなければならないほどの金額でないとも感じます。ですから、普通の製品と認証がある製品でどちらが販売店が好むのか?

という基準で生産することでいずれお客様は認証品を選んでいただけることで結果、認証して良かったと考える程度で良いのではないでしょうか。

 

認証農場次第でしょうが、差別するためのツールでこの認証で付加価値つけて、値上げて販売することをねらう方々にはまだ早い取り組みでしょう。(消費者は値上げを希望していません)

 

認知度がなくコストが上昇するだけで認証品とそうでない品の差がはっきりしない場合どこもコストアップには理解を示すことはできないのです。

現在の安全安心な製品で見える化されているといわれているだけでは納得できていないのでしょう。


購入者(消費者・食品関係企業とも)は意味のない不必要な出費を好んでいないのです。


生産者は本認証により増収増益につながると考えるより、認証のない製品と取引値は同じであってもシェアを広げることで、結果増収増益に結び付くという考えが正解なのかもしれません。


それでいいとは言えませんので、結局はGAPの理解に国や地方自治体が広報活動することで広く浸透することで製品の価値を見つける知識を植えることが近道なのです。


東京オリンピックパラリンピック選定食材に向けての認証取得ブームはまもなく終了します。真のGAPの存在価値はそのあとが本番です。


ゆくゆくは国内消費では不安になる農畜産物。輸出も視野に入れなければならないためにもGAPは必要不可欠な制度です。

ですから、他人事でなく生産者や購入者の方々ともに考えていくのが数年先・10年先に未来に大きな変革をもたらすことでしょう。