nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

ハエ対策と養鶏 効率よく行うこと

最近は、畜産農場と周辺住民との距離が近い地域が増えており、臭気問題以外にも「衛生害虫」問題も良く聞かれるようになりました。

 

ハエは人に不快感を与えますが、同時に家畜にもストレスを与えます。


よく言われますが、病気の伝播もあり「たかがハエ」と言えない時代でもあります。
伝播によるものとして、ニューカッスル病、鶏インフルエンザやコクシジウム症はハエが広めていくという話は有名です。


そのハエですが、近年は畜舎に通年発生することも珍しいことではなくなりました。
これは鶏舎の近代化が大きいといえます。温度が適切に管理できることで家畜に寒さによるストレス軽減に貢献していると同時に、ハエに対しても繁殖の通年化ができる環境を与えているからだと言われます。


実際鶏舎を拝見すると、ウインドレス鶏舎は真冬であっても20℃を超える管理が可能で暖かく、眼鏡が畜舎に入ると数秒で曇ります。


適度な温度と湿度、新鮮な鶏糞やこぼれ餌の変敗等があり、強く風が起きていないことで飛散しやすい環境が整っているといえるのです。


ハエは、繁殖力が強いことで有名です。代表的なイエバエは成虫まで8日から14日程度と短く1個体の産卵は3回程度と言われ約300個の卵を産むと言います。


嗅覚はほかのハエに比べ劣り遠い場所のエサには誘引されず広範囲に飛び回るとされ、明るい場所へ移動することから、薄暗い鶏舎から脱出し近隣住宅地等へ移動することで問題化します。


また、鶏舎内では殺虫作業等により有機リン系殺虫剤に強い抵抗性を持っているとされ、ピレスロイド系にも抵抗性を持ち出していると報告されています。


それでは、対策は何が一番効果的なのでしょうか。


よく言われますが、除糞が一番とされます。これは、繁殖地を畜舎から出すことで発生を抑えるからだと言えます。しかし近年の鶏舎構造では、スクレーパーで上手に鶏糞をかき出すことが出来ないため結果、残ってしまい繁殖するケースや集糞ベルトの隙間で繁殖するケース等除糞による効果を実感できない施設があるのも事実です。


一般的に集糞後は床面に幼虫が多く歩く場合は床面の清掃を行い排出することも重要です。先ほどの通り成虫まで8日から14日ですので、幼虫時点で4日程度経過しています。
まもなく成虫になる状況では大変危険です。


頻度を上げて集糞すべきと言えますが、作業の点から見ても難しいのが実情で、薬剤による駆除に切り替えることになるのでしょう。


薬剤は多種ありますが、大量発生時には追い付けないため日ごろから実施することも検討してはいかがでしょうか。しかし、耐性の問題もありますので同じ薬品の使用は避けて、効果が減じたときは違う種類に変更する等効果を持続できるような仕組みが必要です。


成虫への羽化を防ぐ薬剤もあります。経験から見て効果はあると思いますが、近年の鶏舎構造と鶏糞回収頻度から見て散布する機会はないのではと感じています。


それよりも、回収した鶏糞を早く処理することが重要ではないかと思います。


たい肥場はハエとウジが多く発生しています。これは運び込まれた鶏糞に大量に含まれるウジが右往左往しているからです。


先ほどの通りウジの状態では残り4日から8日で成虫になるカウントダウンに入っています。速やかに処理したいのですがどのようにしましょう。


それは、切り返し又は急速発酵機へ投入することでしょう。
発酵熱で、鶏糞では60℃を超えて70℃くらいまで温度が上がります。成虫は50℃で40秒で死滅します。ですので早めに対策することでたい肥舎からの発生を抑えることが出来ます。


薬剤散布はその次に考えるべきでしょう。


いずれも、対処療法になりますが、本当の対策は、発生させない環境を作ることではないでしょうか。


鶏舎内では、鶏糞の話をしました。しかし鶏糞以外にも発生源はあります。それは、こぼれエサに水が混じって変敗したものに集まる餌場やピック水樋に餌が付き腐敗する等
少し鶏舎を歩くだけでもその機会に遭遇します。


つまり、清掃するときにこのような場所を見つけ片付けるのも発生を抑えることが出来るということです。


温度を変えるや餌をこぼさないというのは難しいものです。しかし、原因が分かれば対策は講じることが出来ます。スクレーパーもかき出す刃に位置合わせを行うことで、
かき出し度が変わるはずです。何もできないではなく、できないが対策は打てるという考えで物事を見ると解決策が生まれるかもしれません。


畜舎とハエは関係を断ち切ることはできません。しかし抑え込むことは可能なはずです。完璧な駆除ではなく、迷惑かけない駆除を考えていくのも重要ではないでしょうか。


今日お話したことはすぐに実行できることは少ないかもしれませんが、考えるきっかけになるのではないでしょうか。