nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

採卵鶏の給餌 養鶏の基本

近年、鶏卵相場のサイズ別取引の横並びが進んでいます。一昔はLサイズが高く、順にM,LL.MS,Sとなる傾向がありました。
しかしこのところ相場はL,M,MSあたりまで同じ取引値になりました。
現在はM、MSあたりが高くなりましたが、できれば高い取引に近づけるサイズに揃えたいというのが本音でしょう。


その中、最近の鶏は餌を食べないのだよ。

とか体重が揃えきれなくて困るのだという声をいただく機会が増えました。
確かに、この1~2年位からそのような傾向を管理から感じたり、ご相談をいただくこともありました。

 

鶏は小さいほうが良いという時代があり、それは鶏卵の重量が小さいことでM,MS当たりを中心にそろえて利益を上げたいと考える方、それによる餌コストを抑えて一挙両得を目指している方。

あるいは、小さいことで初生雛から育成期までのコストを抑えて成鶏舎に経営資源を投じる方もいましょう。


その中、問題として見えるのは、成鶏ピークごろに散見される斃死の増加でしょう。

よくある事象として、産卵による事故死亡が見られます。

鶏体は様々でやや細い骨格の鶏も見られることからピーク差し掛かりの少し長い期間斃死が多く表れその数が多く問題視する方もいます。


また、小さく育てたはずなのに異常と考え体重増加をさせる管理に変わり、体重増加と卵重の増加というスパイラルに陥ります。(生産量は一時的に上がるが日齢相応の低下を示し始めることが多く持続に寄与できていない)


生産量は増えるので問題ないと見えるのですが、卵重64g、65gということも珍しくなく結果サイズがLL,Lが中心となり一般的な生産者が多い市場供給のサイズとなり相応な価格になります。


今の相場であれば、サイズは二の次であり1個でも多く供給したいと考えますが、不需要期のような相場では採算ラインも意識して目標サイズを維持したいと考えるはずです。


その中、各養鶏家皆さん独自の管理技法で小さく管理することを意識した取り組みがあるのも事実です。


種鶏メーカーも養鶏家の意見を取り入れたり、市場動向を意識した育種改良を進めています。実際ピークから持続までを長く管理することは多くのメーカーが表明しています。


つまり、今の鶏は、相応の管理さえすればピークから安定しその高い産卵能力は長く続くというのが普通でありどこの養鶏場もできるということです。


しかし、その表明までは年単位でずれがあることが多く鶏種が改良され思うとおりになったときにはじめて公表することもあります。
ですから、改良途上である場合、生産者側に違和感を感じて鶏を見ることが出来ればリスクを回避できるのですが、そうでない場合なんだかわからないがうまくいかない又はそもそもうまくないと思っているという状況です。

 

生産量を意識する時代でなく、自社のサイズ管理をどうするのか、生存率をどのようにするのか、病気や寄生虫被害を防ぐ手法等数でなく、質を考えることが重要となりました。


今日のお話となる、給餌から見た鶏を見る力と考える力をご紹介しましょう。


鶏がエサを食べないという声をいただき、鶏舎を歩きますと様々な状況が見えます。
温度、環境、餌の量、育成期からの問題や影響等がすぐに見えます。


鶏は食べないという先入観が多いのですが、実際は温度による影響で食べる量が少ないこともあります。

また餌の配餌量が多すぎて鶏がダレるという症状を呈していることもあります。


育成期の影響も見られます。

明らかに成長が遅い場合産卵活動が始まらず餌が多すぎてダレるのですが、これを管理異常と捉え、餌を食べさせるための管理に仕向けるという先ほどのスパイラルに突入する方もいます。

 

配餌の基本を考えて見ましょう。
餌の適量はいくらでしょうか。1日の摂取量目標はいくつで何回配餌するのでしょうか。


多すぎた場合は、配餌の方法が適切でしょうか。

 

鶏の観察力が大事なのですが、近年10年管理している方でも中々判断できない方が多くなったと感じます。
管理に自信がないのか、上からの指示が絶対で何もできない風土があるのかわかりませんが、少し時代が変わったと肌で感じることがあります。

 

餌が多すぎる場合、鶏は餌が配餌されるということを何でわかるのか考えるとまた違う見解が出来るはずです。


つまり、配餌しないで給餌機・コンベアーを動かして餌を流していることを意識させるというのも一つの手です。


鶏は時間概念はあるようですが、多くは機械音に反応することが多いはずです。人の気配や機械音で騒ぐのはその理由です。

 

鶏のスクールもありますが、管理技術はスクールでは何とかならないのが実情です。先輩から教わり腕を磨きそれが技術になるのが一般的ですが、今の時代教える人材がいないのが実情です。


ですから、簡易化した管理に変わり簡易なので外国人技能実習生で要件が済むことで、最低限の管理ができるが、それ以上はリスクが大きく思い通りの結果が結びつかないというある意味そうなるしかない結果と現れるのです。


そのこともあり、最近のエサを食べないということについて、十分でない技術を持ち込み結果思い通りに進まず生産量が年間と違い、廃鶏まで続く不採算ロットに陥るという話も聞きます。

 

餌は、鶏へ与える基本です。

水・エサ・空気は管理の三大基本です。

 

これが出来なければ何もできません。

最近はウインドレス鶏舎が主流で機械管理になりました。


しかし、管理させる命令(設定)は人が行います。この点から間違えた管理は結果まで間違えたまま進むことが多くなります。


外国人技能実習生が主体となる農場では、この点を意識されているところとそうでないところで大きな差があるのも事実です。


今後、生産量は安定して増えていくことでしょう。

また管理技術も平準化していくはずです。例えば強制換羽はもしかすると数十年後にはないかもしれません。
動物愛護の観点もありましょうが、多くは育種改良で必要としないという状況です。


強制換羽も技術が必要です。再立ち上げで思い通りにならず結果うまくいかないということもありますし、私自身失敗して青ざめたこともあります。

 

餌は基本管理です。

ただあげればいいわけではありません。

必要量があり、配餌方法があり、食べ方を見て適切を見出さなければなりません。


配餌は機械が管理しましょうが、基本は人がかかわり管理をしています。

そのことを考えて管理できれば今日お話したことは、大した話ではないと言えるのでしょう。