nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鳥インフルエンザを警戒した管理とは 見極める力が問われます

農研機構は14日、過去と異なり発症から斃死に至るまでの期間が長いということを発表しました。


養鶏家の皆様から見れば、高病原性はトサカの変色や沈鬱している鶏の写真や、斃死が多いというイメージを想像される方が多いと思います。


しかし、農研機構の調査では6羽の鶏を鼻からウイルス接種し、全羽死亡するまでの期間が6日であったと言われます。
過去では、斃死するまでは数日あれば様相がおかしいと言えるくらい異常な死亡数になるのが一つの目安でした。


そのようなイメージもなく長い時間がかかり死亡していく経緯というのは大変心配な状況でもあります。


今後は、倍に増えた死亡が疑わしいだけでなく、農場での通常の死亡数から見てどれくらい逸脱しているのか把握する必要があります。
把握が遅くなるということは、ウイルス排泄が長く続き結果地域蔓延の可能性がありますのでとても心配です。

 

沈鬱以外の症状が認められないというのは従業員や管理者の見る力が問われることにもなります。


農場ではどのような判断基準があるのでしょうか。


現場は、異常と捉えるような力が身についていますでしょうか。

それを異常と認知できる管理責任者はいますでしょうか。

 

3週間前の2倍以上の死亡が異常であるという方もいますが、3週間前の数値を記憶している方はどれくらいいるのでしょうか。


また記録類を活用するという意識を持たせることも大事です。


記録は書いておしまい。


それでは記録の意味はありません。


記録は、このような事例の時確認や振り返りするために必要になるのです。
毎日の記録の書き込みは意味を持たないと言われますが、振り返りの時の記憶が完ぺきであれば良いのですが、多くは記憶から消去され見ることで思い出すということもありましょう。


例えば、1万羽のところで6羽死んでいるという通報もありました。

若日齢では多いと言えませんか。


老鶏ではそれもあるかもしれませんが、通常より多ければ異常と捉えるという見る力も大事になります。


ですが、私ども外野が異常と正常を発言することは適切ではありません。


しかし、判断が遅くなるほど周辺への感染拡大の可能性もありますし、農場の意識を問われることもありえましょう。


1日20羽、40羽死亡しています。ということもありますが、よほどの大規模鶏舎でなければそのような単位の死亡は一般的に珍しいことです。
老鶏や若日齢の鳥でも異なるはずです。


日報で幹部や経営者が判断するということもありましょうが、よく状況を理解できない場合、死亡鶏の放置が長い(取り残し)という理由をつけることもありましょう。
ですが、そんな取り残しが多いということ自体異常でもあります。


それを、そうだな明日様子を見ようと片付けるのも危険です。

様子見という責任逃れに飲み込まれてしまい、大事な分岐点を通過し状況を悪くするという事例も多くあります。


しかし、自分の目で確認はできない。
であれば、なにを信用して判断を下すのか。


それは、部下が絶対正しいという自信なのか。


一般的に斃死が多い鶏舎はワクモによる被害もありますが、大腸菌症によるもの、近年はコクシによる減耗もあります。
そのような鶏舎は異常と認知できる数値は高いはずです。


ですから、判断が鈍くなる。


これは農場を長く知り管理していた筆者から見てそんなに的を外れていない意見です。

 

呼びかけでは、死亡の推移、音への反応、動きが弱くなる鶏が多いというところも判断するポイントになるのでしょう。
ゲージの脇を通るときに騒ぐことがなく、首を下げて動かない鶏がいるという雰囲気を読み取るような力も必要でしょう。


大事なのは、鶏舎を通り肌で感じる、ざわつき音で感じる、人によりますがホコリの立ち方で感じるというのもありましょう。

昔は、通路を通るときはただ通るな。と言われました。

箒1本持ち掃除しろ。という例ですが、今はそうではなく漠然と歩くなという意味に置き換わります。ただ歩かず、今のように雰囲気で感じる、という五感を使うということです。

ただ、死亡した鶏を取り除くだけの仕事ではそこまで感じる方は多くはないと思います。


それは取り出すことが仕事であり、生きてる・死んでるの01判定しかしていないという方も現実いると思います。(病弱は生きているという判定の事例です)


通常はそれでよいかもしれません。


しかし今は異常事態と認識し、そんな誰でもできるだけの作業員ではもしかすると被害にあい、対処も遅いという再稼働に明らかにマイナスになる可能性もあります。

 

鳥インフルエンザへの対応は農場の見る力によって発症後の初動対応が変わるかもしれません。


今まで違いたくさん死ぬという時は、すでに時間が経過したという可能性もあり早い発見により周辺への影響を最小限にとどめることができる大事なことであると思います。

 

それを可能に出来るのは、現場従事者の力に他なりません。
それには異常を異常と捉える判断力「武器」が必要です。
戦いには武器は必須です。何もできないでは戦えません。
それを可能にするには経営者の正しい判断と指導する力が必要でしょう。


国はワクチンを保有しており積極的に接種すべきという意見も聞きます。
しかし、抗体検査では当然陽性となり、野鳥由来の陽性なのか判断できません。
ですから、広がりが止まっているのか、広がっているのか分からない。


それでよいとは言えません。


鳥インフルエンザ発生国は多くの場合輸出が停止します。(相手国が停止します)
卵や肉類に感染がないと言われていてもです。
それは、日本も同じです。家きんの輸入は発生国からは輸入はしません。
それだけ各国の国内蔓延を考え真剣に取り組むべき内容なのです。

 

ワクチンがあれば感染が治まる可能性もあるかもしれません。
鳥インフルエンザが発症した前回、前々回もこのような話を聞きます。
しかし、意見は言えど実情は変わりません。


国の政策に意見をすることも大事ですが、まずは法令順守であり出来るだけの方策を取り続けることが現実であり、それが国を動かす動機になるかもしれません。

 

例年と異なり、異常といえる鳥インフルエンザ


環境省の検査以外にも各県の検査も充実し検知数が増えています。
それだけ実際は発症地域やそれ以外にも検知するような状況であると考えるのが自然であり脅威が迫っているということでもあります。


ですから、一部地域の問題とは言えません。


すでに広がりを見せているのも事実です。


最近の報道でも、従事者が出入りしていたということで関連農場も併せて殺処分される例も増えています。
農場個体の問題では済まない可能性も散見されました。


本当の冬は今週から本格的になりました。

野鳥の飛来も広い範囲で始まり冬将軍がやってきました。


例年以上の殺処分数と発生地域と農場数。

これからの数カ月は本当に心配が続くそんな12月になりました。