nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

配合飼料の値上げが続いています 餌こぼし等無駄をなくしましょう

全農は2021年7月から9月までの配合飼料価格を前の期に比べ4700円/t値上げすることを発表しました。


値上げは4期続いており値上げ幅は前回(4~6月期)5500円/tに次いでの値上げとなりました。
既に2021年は1万円/tを超える値上げが続いており、飼養農家の皆様には頭が痛い問題です。

 

原因は原料の高騰で、トウモロコシは昨年12月上旬で1ブッシェル4.2ドルでしたが、6月上旬で6.7ドルと、一時7ドルを超えていた時期があります。
日本円に換算すると昨年12月は441円/25.4㎏に対し、6月は730.3円/25.4㎏と65%増という推移になります。


為替が円安に進んでいますので、相場高と相まって高く推移していることがわかります。


アメリカの輸出が旺盛であることから、引き続き高い相場展開になるものと予測されます。
大豆は、作付けが順調にすすんでいることから、3月時点と6月現在は概ね同額となり、下落する可能性があります。
コンテナ運賃は運賃の高止まりが進んでいます。輸送賃は今後も高い状況が進むと見られますので飼料価格設定の上でネックになるように思われます。
為替は、現在米ドルは110円台前半で推移しています。一時的に109円台後半に円が高くなることもありますが、アメリカの経済回復やインフレへの圧力、中央銀行の政策発表等により、大きく動くように見えますが、今後秋に向け概ね109円から112円程度と円安が進む下地があると見られます。

 

今回の値上げによるコストアップは単純ですが、4.7円/㎏となります。

飼料要求率1.8であれば単純ですが8.46円の上昇となります。


配合内容により変わりますが、前期に続き生産コストが増加することに変わりはありません。


現在の鶏卵相場は先月の相場からもちあいが続いており、売り上げにネガティブになるような要因はありませんし、夏季は鶏卵の重さが軽くなる傾向から、最も高価格帯のMSクラスに多く移動する可能性もあります。


また、摂取量も減少しますので相場が維持できれば、自然とコストが下がり、歩留まり良いクラスの鶏卵が多くなる可能性もあります。

しかし、飼料の購入は1㎏、1tで1カ月使用できるところは少ないと思います。

1羽105g程度摂取するとして、1万羽で1050㎏/日と単純ですが計算ができます。
皆さんの農場飼養羽数で計算すると正確にわかることでしょう。

 

ですから、上記の場合1カ月31.5t消費となり単純値上げ145700円の支払い増加になります。餌が現行1t2万円とした場合63万円がエサ代となり、値上げを加算すると775700円と単純ですが計算できます。


餌代金を支払う場合の多くは収入の半分を少し超える分は餌代で消えてしまうともいいます。それだけ餌のコストは大変高いものと言えます。
皆さんの農場の実情で計算すると、大まかの値上げによる影響を感じることができるはずです。


鶏卵の取引値は、農場の平均卵重で収入を予測することも可能です。


一般的に、収入より餌代が高くなることはありません。

そのような時はよほどの低相場の時になります。

ですから、現在の状況では赤字になることはありません。


しかし、赤字でないとはいえ、せっかくの利益からコスト分を支払いますので手持ち資金は今より少なくなるということでもあります。
修善や増築等設備更新による規模拡大にはブレーキをかけることでもあります。

 

さて、このようなコストアップは私たち畜産家にとって頭が痛い問題と同時に、いかに無駄なエサを削り取れるのか腕の見せ所でもあります。
多くは、管理経験豊富な先輩方がいますでしょうから飼養給餌のあり方やこぼれエサの発生抑制を取り掛かることでしょう。


私たち従事者は与えられた仕事をこなすのは当然で、さらに先ゆくコストや無駄の改善も大事な仕事です。


ご依頼いただく教育には多くはこのような点を意識させること、感じたことを具現化すること等気づきを教えてほしいという声が多くあります。


ここ最近は飼料価格の高騰から、配餌のあり方や無駄の点検といった餌に関する課題をいただいており、私たちアドバイザーも多くの知識をどのように組み立ててご提供できるのか、腕まくりをして皆様と一緒に考えております。


また、教育を行った後気づくことの楽しさから仕事への向き合い方が変わったという声をいただき、日々ご努力されている農場もたくさんあります。

 

まず配餌ですが、鶏の習性や食べる時間を考えて手厚く配餌するというのが一般的でしょう。
これは農場の特性や管理の方法によりますので一概にこうですとは言えません。
これが、ノウハウというもので持っている農場とそうでない農場で差が出てしまいます。
ですから先輩方や鶏を見る目を持つ方の知識が必須になります。

いかに鶏を見て変化を感じるのか。
鶏はお腹をすかせてはいないか、イライラしてないか。経験から感じることが大切です。

 

皆さんすぐに出来るのが、無駄餌の無駄取りです。
ホッパー配餌の農場は多くは、搬送スクリューにより餌をホッパーに溜めて配餌をします。
この時、ホッパーからあふれて床に散乱したり、スクリュー終点部に餌をこぼしたりと構造的問題を持っている農場もありましょう。


実際お伺いするホッパー式給餌機では多くはこの問題点があり、無駄であると同時にネズミが食していたりと問題が多いと感じます。


現場の方々からすればたかが数百グラムの無駄餌で神経質になるなと言われますが、その数百グラムが毎日無駄にしているということを感じることが大事なのです。


金額換算では、1こぼれ(200gとして)2万円/tとすれば0.4円です。今時では駄菓子すら買えない金額と言われてしまいます。


ですが、こぼれは多くは毎日発生します。

1こぼれでなく、2こぼれ、3こぼれもありましょうし、少し多量のこぼれもあるはずです。
ですから、月で見ますと安くて12円でそれ以上となります。

何だ大した金額ではないな。

そう感じることでしょう。


しかし実際200gからこぼれた場合、毎日1羽以上の鶏が食べたであろう餌を捨てたことになります。食べれば産卵し利益を生みますが、捨てればカビが生える、酸味臭ある床になるのか、ねずみが喜び排せつ物からサルモネラや問題となるもの等嬉しくないプレゼントがもらえるのか。


飼料代金から見て節約ではないようでしょうが、損害金額は計り知れません。


対策はどうするのか、そう考えたとき皆さんはどうしますか。


仕方ないなのか、こぼれ出ないようにガードをつけたりと物理的対応が可能なのか。


そう考えていくと、なんでも仕方ないではないことがわかります。


考えること、そして考えて具現化しそれが成功した時の嬉しさはそれが経験となるのです。
経験は失敗でも学べますが、成功した時の学びは強い印象として残ります。

それがいずれ応用となり更なる改善へと進んで行きます。


学ぶことは、学生だけでなく私たち従事者も同じです。

いかにそれに気づけるのかそれが分かれ道になっているのです。


それに気づけるのか、私たち外部者から気付いて頂けるのか。

そのいずれかの経路によって「気づき」が生まれます。


ただ、そのうち気付くであろうでは「気づくことはできません」気づきは気づくことを知っていないと素通りしてしまうのです。
教育を大事にされる農場様ほど、その気付くことを気付かせたいという思いがあると感じます。


経験は体験して取得できます。

ですが経験する機会がなければ、そして経験しそのことを知ってもらわなければ、経験として記憶されていくことがありません。


多くは、のど元過ぎたように忘れ去っていきます。

そして問題を繰り返すという悪循環に至ります。

それを遮断したいという願いが込められているように感じます。


無駄餌は、ホッパーだけではありません。

餌箱の餌の残りからのカビもあります。

また飼料タンクの錆から穴が開き雨水を通してしまうカビ餌も問題です。
このように農場を歩くだけでも視点が餌にあれば無駄は見つけることができるはずです。


ですが、多くは素通りしてしまいます。

気づくことがわからない場合は何年たっても素通りしてしまいます。
気付くことは簡単なようで、気づく視点を知らないと簡単ではありません。


皆さんも、経営者からエサを削れだけの指示では漠然としてわからないことでしょう。


ですが、削ることは簡単なようでそうでもありません。

いかに見る目を持つことが大事であり、間違いのない対応ができるのです。


今回は餌の話をしました。

経営に携わる方々はこんな簡単な話ではないということは筆者もわかります。


しかし従事者は難しい話では理解が難しく、ただ削ればいいしか記憶に残りません。
そうなったとき、目先の餌削りのために被害にあう鶏たちのみならず、生産量の減少から更なる減収に至り、餌代より生産収入が高い現実から、結果無駄取りが収入を取り上げられてしまう残念な結果にもなりかねません。

 

餌の高騰は私たちの力では何ともなりません。

ですが高いからこそどのように使っていくのか。
そう考えていくのもある意味コストを削減することが可能なはずです。


皆さんも、まだまだ高騰が続きますがいかに無駄をなくすのか、そう考える機会にしてみてはいかがでしょうか。