nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

令和4年1月成鶏更新・空舎延長事業が発動しました 昨年に続き発動しています

1月5日令和4年初市は東京M基準値が140円と昨年止め市の210円より70円安で始まりました。


基準値(159円)を下回るため本日、成鶏更新・空舎延長事業が発動しました。
2年続けての発動です。


昨年は120円で始まり7日後には15円高、更に7日後に15円高、更に7日後5円高鳥インフルエンザが拡大し主要産地を襲うことになり、品薄感から上昇していきます。
このこともあり翌月には発動した基準値を上回り終了するのですが、本年は散発的な発生がありますが相場に大きな影響を与えるのか注目されます。


例年1月は滞貨玉が多いことから相場を下げるのが通例で本年も70円安でした。

また1月は相場安が続くことが多いため、この事業が発動するのは今までの経緯から見ても2月以降というのが多く、1月早々からの発動は昨年に続き珍しいと感じます。

 

今年も飼料価格が高騰しているため、相場回復を見据えて春先に照準を合わせる農場もあるかもしれません。
強制換羽を使い成鶏導入価格を後ろへと回す農場もあるかもしれません。
通常この事業が発動する場合比較的長い期間続くことが多く、賛同するのか悩まれる農場が多いように感じます。


ですが発動する基準値は多くの農場で採算を見る上で指標になるところも多いのではないでしょうか。
恐らく現在までの飼料価格を反映するともう少し高いという声も聞こえそうですが、採算が合わなければ農場運営が持続できません。


ですが、自農場の鶏を整理したからといって収入を減じることもできないという声もありますし、固定取引なので影響しないという農場もあることでしょう。


様々な思惑を持ちながら春に向けての相場上昇を期待するのですが、今年はどのようになるのでしょうか。

 

雛の餌付けは令和3年11月までを見ても上下あるものの餌付け数は令和2年度同じか多いと見込まれます。
つまり生産能力が上昇していると見ることができ、需要と供給のバランスがどのようになるのか注目されます。


昨年は巣ごもり消費から家庭での鶏卵消費が強く、品薄感が強いこともあり相場をけん引しました。
新型コロナウイルスの影響が見える令和2年の1人1日当たりの鶏卵消費量は55.2gで影響が加味されない平成31年(令和元年)と比較すると1g程度の減少となります。


家庭消費に31.7gと2g増えているのに対し業務加工向けは23.5gと前年より3g少ない影響があります。


令和3年の数値が公表されていないため昨年の動向から予測すれば、家庭向けは同様かやや少ないと見えます。
業務加工向けは令和2年より更に減少している可能性もあり需要が弱くなっている可能性もあります。
相場は秋以降例年と違い相場上昇はなく、この結果を裏付けている可能性があります。


今後、生産量の増加と需要の弱含みが相場に与える影響も心配されます。
令和2年は需要に応じた生産のお願いが配布されています。

本年もこのようなお願いが発布されないことを期待したいところです。

 

不安要素として、飼料価格の高騰も続いており1月より3月は全農配合飼料は前期より値段が高くなっています。
4月以降の価格は3月の中旬に公表されますが、現在為替相場は5年ぶり1ドル116円と円安が進行しています。


株式相場は自動車等景気敏感株が円安に反応するのですが、輸入に依存する私たちには逆風でしかありません。


5月には原料価格等を踏まえて予測しますので、改めてお知らせいたします。

 

今後収入の基準価格である鶏卵相場と最大の支払い先配合飼料価格のバランスは皆様を悩ませることでしょう。


また労働者確保の観点から多くは外国人技能実習生の配属を待たれているところもあるでしょう。
現在の新型コロナウイルスの影響から入国に遅延が生じているところも多いと聞きます。


4年目以降の特定技能に移行をしたいという農場もあるようですが、研修生全てが応じているわけではありません。


日本の賃金が世界的に見ても安いと感じるようになってきているようです。


外国人技能実習生が日本の養鶏を希望する声が少なくなることがないように国や受け入れ団体はつなぎ止めが必要になるのかもしれません。


ますますかじ取りが難しくなっていますが、課題1つ1つをクリアにして、平穏な春を迎えていきたいと思います。