nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

令和4年1月25日で成鶏更新・空舎延長事業の発動が終了しました 農場内の生産量確保に点検と検証をしましょう

本日25日鶏卵相場が上昇したことにより、安定基準価格159円を上回りましたので昨日24日をもって本事業が終了しました。
初市から3週間程度で終了し昨年に続き早い段階で解除になります。


現在、一定の需要が発生しており相場も中旬から上昇をしており、2月の季節商品向けも好調と聞きます。
また全国的に寒い日が続き鶏卵と鍋物等冬商材も堅調で家庭消費が一定のけん引役となっています。
相場も1月中25円の上昇と例年に近い堅調さも確認でき、消費に力強さを感じます。


生産側を見ますと、1月より配合飼料の一段高となり相場の上昇を願う方が多いと思います。
また、例年1月の相場安を想定した廃鶏も進み春先に向けてスケジュールを進めている農場もあります。


今回の事業に賛同した農場もあることでしょうから、春先3月までは通常よりやや少ない羽数で生産が行われると予測されます。
この事業では60日間未満の再導入には返還金を求められることから、2月も生産量が著しく増加する可能性が少ないため、相場は上昇基調になると思われます。


家庭消費は過去を見ますと4月頃までは堅調に推移する傾向がありますので、加工向け次第では供給側の懸念からの相場高とは違う、上昇相場になる可能性もあり、今後の需要に関心があります。

 

現在広い地域で新型コロナウイルスの影響が報道されています。

多くは飲食店等の時短や休業を求めるような状況でないため一定の引き合いがあることを望みますが、消費者の行動は感染拡大が報道されると同時に控える動きが見られます。


12月は年末まで外食売上げが好調でした。

その背景にはこの時期には感染者の増加が見られず、故郷への帰省や飲食店でのイベント等に消費者が行動をしました。
この影響が来客数の増加や売り上げの増加に寄与されたわけですが、現在は1月早々からの感染急拡大による人々の行動に変化が見られ、感染ピークが下がるとされる3月まで予断を許さない状況と言われ、鶏卵の引き合いにどのように影響を受けるのか心配されます。


この時期は、相場の減少は見ることはないのが一般的ですので、需要が低下して相場安に至ることはないと見えますが、上昇が頭打ちになる心配もあります。


先ほどのように、配合飼料価格は上昇をしており更なる相場高を期待したいところですが、2月も上昇があるのが通年とはいえイベント行事はなく季節要因の家庭消費増加を意識されると思います。


観光需要の起爆剤GO TOも実施未定でもあり、観光関連の需要もまだ期待できる状況ではなく当面は家庭消費頼みになることでしょう。

 

本年も相場上昇により早い段階で成鶏更新・空舎延長事業が終了したことは業界内でも良いことと安堵されたことと思います。


しかしこれからが正念場でもあります。


補助事業に乗ることなく、自力で生産量を維持又は上昇させることでいかに売り上げを取っていくのか、配合飼料等コスト転嫁には十分ではないとはいえどのようにコスト増を抑えていくのか、そして農場を維持していくのか。
足元の鳥インフルエンザといった感染症から鶏たちを守っていけるのか。
課題が多い毎日が続きます。


現在の東京M基準値は165円です。採算ラインから見て皆さんの農場はいかがでしょうか。
もう一声ほしいという声が聞こえそうです。
ですが、1月中の上昇は恐らくないと思います。


2月の最初1日には更なる上昇があるのか注目されます。


餌付けの動向も気になりますが、今は皆さんの農場に意識を向ける時ではないでしょうか。
採算に乗り始めることができれば、あとはいかに生産量を維持し増加していけるのか。
収入面の工夫に力を入れる時でもあります。
そうして、次回の餌価格改定があるとされる4月1日までに体力を少しづつとはいえつけていくことが、安泰の第一歩と思います。


昨年の相場高は鳥インフルエンザによる生産量減少が引き金でした。
ですが、今年はその影響が僅かとはいえあるにしても、インフルエンザが主要因ではありません。
あくまでも需要が堅調であることが上昇要因です。


これは例年の本来の姿です。


これを忘れず、生産性向上に取り組まなければ、5月以降の不需要期に大変なご苦労が待っていることでしょう。

いくつか農場では生産性が低い成鶏があり、原因を探しても解らないという声もいただきます。

成鶏だけでなく、実は育成期や幼すう期に影響がある事例も確認できます。

特に自社育成の場合は広い範囲にわたり検証すると要因を見つけることができる場合がありそうです。

つまり、餌代を削減する等目に見える数値だけにとらわれた目標実行が、結果生産性を下げるという事例があるということもあり得るということです。

その影響は今日明日に分かるものではなく、長い期間を経て現れることもあります。

 

数年前の養鶏バブルではありませんが、相場高が再来しているわけではありません。
相場が高いから餌代が賄えるわけですから、実入りは確実にその時より少なくなっていきます。
それが、この先餌代も下がるとはまだ断定もできません。


ですから続くことも意識して農場運営にあたることが生き残っていく健全な姿ではないでしょうか。
成鶏更新・空舎延長事業が終われば厳しい冬が空けるのですが、本当の農場間競争が健全に始まるという号砲でもあります。
皆さんの農場も生産性の再確認を今一度行い、努力されることを期待しています。