nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

畜産業が苦境に立たされています 養鶏では民事再生法適用申請もありました

大型連休が終わりました。今年は制限行動がない大型連休でしたので、交通機関や観光地・宿泊も昨年以上の活況であったといいます。 畜産物の消費が活発でした4月に、静岡県の養鶏場が民事再生法適用を裁判所に申請しています。 配合飼料の高騰や新型コロナウイルスによる社会活動の変化から、畜産物に対する厳しい時期が続いています。 本年に聞く畜産家の声をまとめてみます。 ▲佐賀県の養牛農家は2月の新聞取材に、佐賀牛の値段が現時点で持ち直しており、経営が持ちこたえているとし、肥育農家は子牛を20か月かけ月育てるため、配合飼料は1頭について5~6トン消費するといいます。 1キロ15円の値上げがあると、1頭75000円の増加になり、200頭飼育していると1500万円増加になり頭が痛い状況といいます。 基金の補填があるにしても、原料の平均値との差額になるため、現場のマイナス分までは補填しきれていないというのが実情です。 ▲福島県の養豚協会の話では、飼料価格がこの2年で3割上昇していて、最悪な状況が続いていると警戒感を強めています。 組合員の養豚家からは限界になりつつある、運転資金の融資が必要になるという切実な声が続いています。 ▲鹿児島県の養豚会社の話では、目の前の経営に精一杯で、養豚農家の9割は赤字ではないかと話します。 年間豚を4万7000頭出荷するこの会社の経営者は、餌に1500トンを毎月使用しており、経営コストの半分はこのエサ代に消えていくといいます。 影響がない範囲で安いものに餌をシフトしているものの限界があり、厳しいという意見です。 ▲鹿児島県の6万羽を飼養する養鶏場は、直売所での鶏卵価格を5~10%引き上げをしたといいます。 背景には餌代の他、パックなど包装資材や輸送費用が上がっており値上げ分だけでは、コスト増には追い付いていないという声も聞きます。 ▲島根県の乳牛団体は、生産費の中で配合飼料価格の割合が高く、牛乳の生産による黒字経営は難しいといいます。 生産1キロ当たりの生産コストはほぼ同じになりつつある。100頭いれば月100万円の赤字になっている農家もあると話します。 このように配合飼料に対する負担増が日増しに重くなっている畜産家のご苦労が多く聞かれるようになりました。 このような中の4月18日静岡県掛川市にある養鶏農場(70万羽飼養)が東京地方裁判所民事再生法の申請を行いました。 負債額は11億3500万円です。 この農場は2007年に設立し、鶏卵生産の他、自社ブランドの卵を関東や県内のスーパーで販売したり、食品メーカーにも加工用鶏卵を販売しており、 昨年12月期の売上高は15億3800万円でした。 農場では、養鶏施設老朽化による設備投資等で金融機関からの借り入れが増えていたといいます。 卵の需要低迷に加えて、輸入飼料価格の高騰が響き、経営が厳しくなったといわれます。 営業は継続しており今後負債を整理していくことと思われます。 配合飼料の価格は畜種により異なりますが現在平均工場渡し価格で87731円/tとなり、過去最高を更新しています。 全農は6月までこの値段を基準に販売されるわけですが、7月以降の価格が大変気になるところです。 今期の値段ベースはコーンが7.5ドル、為替116円程度とみられ、現在の価格より低い状況です。 現在コーンは7.8~8ドル、為替130円程度になり、コーン価格換算1013~1040円となり、今期870円と比較すると143円から170円の増差額になります。 コーン単位はブッシェルですから、トンに換算するともっと大きくなります。(1トンに換算すると約40ブッシェルになります) 単純比較で、1トン当たりの取得費は5720円から6800円程度の増になります。 円安による輸入価格の上昇は飼料の原料だけではありません。 輸送賃も気になるところです。 現在、飼料運搬船の輸送賃は、1トン当たり75ドル程度とみられます。 為替による変動がありますので、輸送賃に変化がなくても差額14円/ドルの増になります。 支払いはドルになることが多くなりますので、結局は日本円を変換しなければなりませんので、円安の影響を受けます。 このように原料調達にかかる費用が春先と比べ増えているのが現状で、先ほどの畜産農家さんの声はさらに深刻化しないことを願うばかりです。 飼料価格の補助には、基金の支払いが一般的ですが、多くは1万円と少し程度になりますので、農場にかかる費用をすべて補うほどまでにはありません。 このこともあり、国以外にも各都道府県の行政側も何らかの補助をしてほしいという請願が寄せられていると聞きます。 静岡県は6月から県独自の支援を行うことを決定しています。 しかし支払う算出基準や助成する期間、予算の関係もあり十分な補填にはならないとされ、さらなる拡充を求めいると報道されています。 ですが、次期(7月から9月まで)の配合飼料価格は現状を超える可能性が非常に高くなっており、夏場の食下量が下がるとはいえ、高騰分を下げるほどの効果があるわけではありません。 やはりご苦労が続く可能性が高くなりそうです。 昨年愛知県の養鶏協会の方の話を思い出します。 相場の値段が200円台でなければとても大変である。というものです。 今の飼料価格を見れば養鶏家の多くの方はコストの6割から7割は飼料代になるかもしれません。ですから生産量を上げて売り上げを上げるしかないのでしょう。 そんな無理なことと言われそうですが、生産者側は何もできないのかといえば、先ほどのように餌のグレードを引き下げて仕入れ値を下げることができます。 しかし過剰な引き下げは鶏の体調を崩したり、生産性の低減(個数や卵重の軽減化)に至ることもありますので慎重さが必要です。 そして、無駄にダラダラ餌を与えないこと、健康を意識したメリハリのある配餌をする等工夫はあります。 ですが、コスト増をすべて補うほどではありません。せいぜい数%の削減に寄与できる程度になります。 餌以外にかかるコストも意識する必要がありそうですが、不健康な削減は結果生産量低下という、コスト増に対抗できる唯一の手段を失いますので、 知識がある方とよく相談して進めてください。 その他、商品の付加価値を探すのも手かもしれません。 安全の認証や国際的な認証もあります。 他とわが社は違うことを示すことで、取引の有利性を高めることができると思います。 何もできない、変われないと考えてしまうと、何も変わりません。 ですが、何か道を探し進んでいくことで、すぐに結果は伴わないものの新しい世界にたどり着けるはずです。 この先も、廃業に近づく農場がいくつか出てくるかもしれません。 それを回避するためにも、体力がある今のうちに探しに行くことが大事です。 時は金なり、時間は皆さん平等に与えられた権利です。 その権利を有効に使うのか、あきらめに消費するのかは皆さん次第です。 ですが、7月以降の配合飼料は今と同額ではない可能性が高いという現実が目の前にあります。 国に陳情するもよいでしょうが、予算付けまでは時間がかかります。 であれば、自農場でできる何かを見つけるしかありません。 この先も、ご苦労が続く可能性がありますが、良い転換点は必ずあります。 夜明け前が一番暗いという言葉あります。 苦境にあっても反転する時期があり、それは一番暗く厳しく見えるものといわれます。 どうか、あきらめず反転があることを信じ皆さんの家畜が一番であることを信じ 前を進んでいただきたいと思います。