nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

養鶏場の破産が続きます 富山県の養鶏場が飼料関係会社へ譲渡し破産申請へ

帝国データバンクによると、9月30日富山県にある床鍋養鶏と関連会社合計3社が取引先である飼料事業者の湯浅商事(名古屋市)の関連会社へ譲渡し富山地方裁判所へ破産手続きに入る方針を固めました。 譲渡先は鶏卵の生産と販売を継続し、従業員の移籍を行うことにしています。 申請を行うのは、養鶏事業を行う床鍋養鶏(30万羽飼養)と法人向け鶏卵卸トコエッグ(高岡市)と鶏卵の小売りを行うトコフーズ(小矢部市)の合計3社です。 養鶏場は富山県小矢部市南砺市にあり飼養羽数は30万羽を超える規模とされています。 オリジナル飼料を製造し給餌しているといわれ、魚粉を使用したマリンエッグが地域では有名で、そのほか越のきらりというブランド卵を展開し、 法人向けや地域スーパーや飲食店、食品製造業者へ鶏卵を販売していました。 また、都市部で展開している幻の卵屋さんに出品していたようで、取扱いたまご88種の中の1つになっています。 小矢部市の特産品としても紹介されており、地域とともに共存されていたことが分かります。 有限会社床鍋養鶏は1950年創業でブランド卵を生産していきます。販売会社を買収して子会社化していくことでグループ化していきました。 今回、破産を決めたことには、飼料高騰と資金繰りが厳しくなったといわれます。 また、富山新聞によれば6月より香港へ輸出を行っており、業界が厳しい中でも新しい世界へと模索し続けていましたが、続いていく飼料高は本当に厳しいものです。 負債総額は3社合計20億円を超える見込みです。 本年は、過去にない養鶏場の民事再生や破産が続いています。 中堅規模では、2月に岡山県で10万羽農場が負債総額3億円で破産手続き、4月に静岡県で70万羽農場が負債総額11億円で民事再生を申請、5月にイセグループの三重県の農場が負債総額30億円で民事再生と連鎖が続いています。 個々の経営体力や組織等様々な理由があるようですが、多くは配合飼料高騰によりコストが増加し体力を失っていくという例が多いように見えます。 コストが高いということは、収入を上げるという意識も必要です。 今の生産が数年前より低いということであれば、やはりこの先も心配です。 12月までは前期と同じ価格となることが決まって、行政の支援が拡充されつつありますが、根本を立て直すことも忘れてはいけません。 生産量が低くなっている農場は鶏の管理を早急に見直してください。 生産量を下げる要因が何なのか、商品化率が低くなっているのであればそれは何が原因なのか。 人なのか、機材なのか見極めて、早急に手を打ちましょう。 どんなに努力をしていても、細部を見失うとその努力が無意味なることもあります。 見えにくい農場内部を今一度点検し、鶏卵相場が上昇していく秋以降の鶏卵相場を見ながら1個1個に価値を持たせましょう。 傷玉がよい、汚れ玉が良いではこの先のコスト高も重く感じていくことでしょう。 10月に入り相場は上昇期になります。昨年とは違い平時の相場動向にも見えます。 その点を意識して、年末を迎えていきましょう。