消毒命令の延長等鳥インフルエンザへの備えが続いています できることを惜しまず続けましょう
全国的に猛威を振るっている鳥インフルエンザですが、多くの県で期間延長した消毒命令が発令されています。
27日時点で全国25道県で1209万羽の殺処分が行われています。採卵鶏はそのうちの9割ですから1080万羽程度となります。
全国餌付け数の約7.5%程度(前年2月時点と比較)と大きな損失となっています。
ご存じの通り、昨年から配合飼料価格の高騰が進んでいることから、餌付け羽数は減少気味です。一部地域では前年比100%を超えるところもありますが、全国レベルでは減少している状況の中の殺処分で回復には時間がかかることでしょう。
そのなか佐賀県は27日、例年1月末日までとしてる家畜伝染病予防法に基づく消毒命令を3月末までとすることとした旨知事が命令をしました。
既に多くの県では緊急消毒命令として発令していますが、いずれも3月末日までとしているようですが、熊本県は4月末日としていますので、地域により少し幅があるようです。
それだけ地域により鳥インフルエンザの猛威にできる対策を継続してほしいという思いがあるのでしょう。
皆さんの農場も恐らく発令地域になっているでしょうから、鶏舎周囲と農場境界へ消石灰の散布を徹底していく必要があります。
これにともない、消石灰の無償配布をしている地域もあるでしょうから速やかに受け取りこまめに実施していくことになります。
もらって数回散布してあとは倉庫に保管され続けてしまうということがないよう、こまめに実行をしてください。地面に触れた今日アルカリは時間とともに弱まり殺菌力が薄くなっていきます。ですから継続が大事といわれます。
石灰による予防は100%有効ということはありません。鶏舎の空間除菌が期待できる商品も発売されて実施しているところもあるでしょうが、それでも完全ではありません。
大事なのは飼養衛生管理基準にあるように、農場に入れないこと、農場内で増やさないということ、そして外へ持ち出さないということ。
この意識で農場を見てください。鶏の近いところにいるのは人という要因もあるということです。
消石灰をまくということは、農場敷地内に落下する野鳥の糞からの汚染を断ち切るという期待があります。
消石灰がまかれていることで、ネズミが新たに外部から侵入することを阻止できるという期待があります。
ですが、それだけで鶏達を守ることはできません。
先ほどのように農場に入れないという視点で見れば、鶏舎に入れないためには長靴の履き替えと作業着の交換、手指の消毒を確実に毎回行うということです。
これを行うことで、外部との遮断が期待できるとされます。
ですが目に見えないウイルスですから、人の意識が頼りになります。
「今日は履き替えしなくてもいいや」「誰も見ていないから手間を省略しよう」「俺だけでなく、みんな同じように手間を省略しているから同じだ」
こんな意識では、いつかウイルスを鶏舎へ入れてしまうということもあるでしょう。
見えないからこそ、今この瞬間に侵入される可能性があるということを意識して管理をしましょう。
そして、上司である幹部社員や経営者は率先して手本を見せましょう。
農林水産大臣は10日養鶏関係先に対し、飼養期間の延長をお願いする要望を発表しています。
これによりLLサイズといった大玉鶏卵が増えるという趣旨を話しています。
今の鶏の白系はだいぶ品種改良が進んでおり、一昔前のようなLLといった鶏卵は一部程度までとなるでしょうが、強制換羽が主流となっている今の飼養では飼養期間延長では卵殻の強度が下がりやすくなりヒビや破卵といった規格が増加し、奇形卵(極少卵や鶏病由来の筋卵や勾玉形状卵)も見られ、商品価値がさらに下がっていきます。
ヒビは品質問題に直結しますので、農場としては出来るだけ過去経験則から決めている日齢までの飼養で入れ替えしたいところですから、期間を延長するということは少し心配になるでしょう。
このこともあり、加工向けには良いのですが、テーブルエッグより引き取り値は著しく低いので、国はこの低価格に補助をつけるといった制度を設けると、飼養期間を長くしていくという農場も増えていくと思います。
テーブルエッグ向けの供給に不安はないとされています。であればひっ迫し始めている加工向けにこのような政策を持っていくこともぜひ考えてほしいと思います。
また年間スケジュールで鶏の出入りをしている今の養鶏という産業を理解していただき、現実的な飼養期間延長できる方法を検討していただきたいと思います。
一部報道では、今年度は例年より長い鳥インフルエンザの発生が続くと思われるといわれています。そして鶏卵回復は長くなり鶏卵価格は高い状況が続くといわれています。
これにより一定数発生することを見込んだ餌付けを検討すべきという内容もあります。
これは難しいことで、鶏卵相場は供給と需要により値付けが決まります。
いわゆる低卵価とされる時期は、供給が多いことで採算が合わない価格まで低下する現象があり、養鶏業ではこの相場展開が通常の姿とも言われます。
この数年前までは、供給過剰が見込まれるという養鶏団体のレポートも発行されるぐらい、このような鶏病発生がない平時は餌付けが過多になりがちです。
その要因に相場が高ければ飼養羽数を増やし利益を大きくするという流れが多く、一般的なことになります。そして供給過多からコスト増から廃業が見られそして適正値に戻り餌付けを増やすという循環になります。
ですから、予め多く鶏を餌付けておきなさいというは難しいと感じます。乳用牛もそのような感じで増頭数をして今の供給過多から牛乳を廃棄しなければならないという報道もあります。
これも国の政策により増やしそして補助するので減らしなさいという似たような構図になりやすい危険性があります。
今回の鳥インフルエンザの発生は養鶏家のみならず消費者や国といった広い範囲まで影響を及ぼしています。
通常3月頃まで発生が散発的に見る時期ではありますが、昨年は5月まで続き、今年はそれよりも長くなる可能性もあるといわれますので、渡り鳥が去っても野鳥の中で感染が続いてくと言われていますので、農場に落とされる野鳥の糞も、捕食者である猫やカラス、キツネやタヌキも感染しているといいますから身近にいる動物もリスクが続くのかもしれません。
こうなると消石灰は冬の仕事と考えていた多くに方も通年必要になる可能性があるぐらい、年中安心できない時期が続くこともあり得ますので気を抜かずに取り組みを継続していただきたいと思います。
まずは、ピークになるこの時期も油断なく意識を持ち農場管理を続けていただきたいですし、そのように従事者の方々にご指導いただきたいと思います。