7月30日午前3時ごろ群馬県渋川市北橘町の養鶏場で、変電設備の銅線が切断され、銅線170メートル被害額500万円相当が盗まれました。
被害はそれ以上に深刻で、100万羽の鶏を飼育していたため、停電となり、空調が止まり鶏は暑さで死亡しているということです。
現在被害数が明らかにされていませんが、飼養羽数の一部に影響があるとされています。
報道では、渋川市内では太陽光発電設備等で銅線が盗まれる事件が発生しているということです。
ウインドレス鶏舎が普及しており、停電は致命的な損害を与えます。
多くは発電設備を持っていると思いますので、変電設備が不調であっても発電機からの電力が供給できれば鶏を守ることができます。
ですが、その発電設備からも配線が盗難にあう場合鶏舎設備が維持できないということもあります。
鶏舎の盗難と言えば、小型発電機、重機、軽自動車、事務所ガラスを割って侵入し小銭泥が多いように思います。
今回のように、銅線泥棒が養鶏場まで目をつけるということは、とても怖いことです。
多くの場合、変電設備は鶏舎敷地の内部に設置(多くは鶏舎のとなり、又は敷地の角地等)すると思います。
しかし、鶏舎の使われない区画に発電機や変電設備を設置するというのも普通の光景ではないかと思いますが、今回はこのような侵入しやすい又は通りから目立ちやすい場所で被害にあったという感じのように見えます。
確かに太陽光発電の多くは、元畑である場所だったり、荒れ地を地ならしして設置ということも多いと感じます。
その多くは通りに面しているのが多いように思います。
通りと言えど、交通量はほとんどない又は夜間は車人すら通らないのが多いでしょう。
最近は銅線盗難を防止するために銅線を入れているカバーにコンクリを流し込み引き抜きさせないものもありますし、そのような看板をあえて設置しているところもあります。
ウインドレス鶏舎の一番の問題になる電源喪失は、多くは鶏舎温度を上昇させ熱死に至ることが一般的です。
このため、停電時は自動的に入気口を開放する構造を持つ鶏舎もありますし、停電対応のため発電機を導入して支障がないように活動されてることでしょう。
最近は停電時の開放機能をつけるところは減りました。
それは、緊急機能は発電機にまかせることで、緊急機能による弊害(温度低下等環境の急激な変化によるストレス防止)もあり、あえて付けないということもあります。
また、緊急電話機能を持つ農場もありますので、停電した場合自動電話発信装置を取り付けていち早く駆けつける農場もありますので、発電機が機能しない可能性も視野に入れた二重対策も必要になるかもしれません。
また、銅線等金属を盗まれないように敷地に入る者を検知する防犯カメラも有効かもしれません。
カメラで検知してスマホに通知されるようなカメラもありますので、感知した場合カメラがマイクになり離れた場所から威嚇することもできます。
農場だから盗まれるものがない、臭いから立ち入る者はいないということも考えがちです。
しかし、JGAP畜産のように農場に入る不審者への対策は昔は不要であったとしても今の時代必要になっていると認識しても良いかもしれません。
少し前に家畜が盗まれるような事例がありました。
これも畜舎のカギをかけないということもありましたが、根底は侵入する人はいないであろうという昔の考えから抜け出せないことも要因です。
今回のように銅線を盗むことはないだろう、それは太陽光発電設備だけの話と思い込んではいけません。
そのためにカメラで監視し威嚇できる機能を取り入れることもできます。
又は、盗まれないように配管を丈夫な管でまとめることもできます。
そして、停電になるリスクを知ると、第2の予備のために自動電話発報装置を取り付けることも必要ではないでしょうか。
いや、夜勤の人間がいるから安心だし、常駐させているから不要という発想もあります。
でも重機を使い線を盗むというより切断して引き抜くのが一般的な盗難の方法です。
つまり騒音を出さないので気づきにくいわけです。
皆さんの農場での夜勤は、高温で異常通知があって夜勤者が確認するというのが一般的ではないでしょうか。
何もなければ巡回はしないでしょうし、仮眠をとるという人が多いのでしょう。
そもそもガードマンとして夜勤をさせているわけではありません。
万一犯人と鉢合わせた時従業員を守ることができるでしょうか。
どの農場でも、さすまたや警棒を持って巡回する人はいません。
真っ暗の中をたまに怪談話しながら歩いているのではないでしょうか。
そこに鉢合わせする。
想像するだけでも、とても危険なことです。
それより、機械設備を活用して未然に防ぐ又は盗難されないような工夫を考えていきましょう。
お金をかけることも大事ですが、カメラのように1万円しない物でスマホで感知をして威嚇音声を離れた場所から安全を確保して撤収させる方法もあります。
そして警察に連絡して従事者を守り鶏を守るという方法もあります。
昔の発想から抜け出し、金属泥はもはや公園や太陽光発電設備ではなく、私たちの仕事場も標的になっているのかもしれません。
鶏を守るためにも、今回の事件から皆さんの農場はどのような方法で守れるのか。
そう問う機会を皆さんで考えてみてはいかがでしょうか。
まだまだ暑い夏が続きます。
熱死から守るためにもできることを考えていきましょう。