nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鳥取県で鳥インフルエンザ発生 75000羽の防疫措置実施

鳥取県は2日米子市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザであることを公表し、飼養している75000羽の殺処分を開始しました。

県によれば11月30日午後10時頃養鶏場から複数の鶏が死んでいるという通報があり、1日朝西部家畜保健衛生所の立ち入り検査を行い簡易検査をしました。

その結果陽性が確認され遺伝子確定検査に回ることになります。

この時点で700羽の斃死があるという状況でした。

2日早朝遺伝子検査の結果H5亜型が確定され、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜であると判定され防疫措置を開始しました。

防疫措置見込み数は約75000羽でブロイラーです。措置には2日程度を見込み処理に当たります。

これにより本年の発生は6例目となり、北海道、新潟、宮崎と続き今回鳥取県となります。

報道によれば、この養鶏場では11月25日から死亡鶏が増え始めており、30日までに1400羽が斃死している状況です。

5日間で約1.9%の減耗で異常と言えます。

皆さんの農場で1.9%はどれだけの数字になるでしょうか。

10万羽飼養なら、5日間で1900羽です。

50万羽なら9500羽です。

パーセントで議論するとわからないという方が多いのですが、減耗率はパーセントでなければ皆さんと危機の共有はできません。

この場合なら1400羽の斃死であって50万羽農場であれば0.28%程度です。

1日280羽程度で10鶏舎の農場なら1棟平均28羽程度です。

これでも多いですが、でも人によっては少し多いくらいしか認識できないという従事者もいると思います。

だからこそ数字だけで見れば多い、少ない、その程度くらいしか漠然としか把握できません。

皆さんの農場は1日どれくらいが斃死してパーセントに直すとどれくらいでしょうか。

多くは0.01から多くて0.02程度ではないでしょうか。

つまり50万羽10棟であれば1棟当たり5万羽で約4~8羽くらいの斃死でしょうか。

この場合40~80羽が農場全体となります。

これを少ないと見るか、強制換羽鶏舎はこんなものではないと言われるのか、大びなとして導入した日齢ならもっと少ないという方もいるでしょう。

どれもその通りでしょうし正解です。

大事なことは大びな導入したら1万羽当りどれくらいの斃死となるのかという視点、強制換羽で落ちるならどれくらいなのかという目安があってしかるべきものですし、養鶏家は鶏を失う(死なせる)ことは売り上げの損失になるのです。

だから減耗はシビアに見る物なのです。

今回75000羽の養鶏場で1400羽(5日間)は飼育している人から見れば異常であり、通報しなければならないレベルです。

この先疫学調査概要でこの点について説明があることでしょう。

この農場の見立てが悪いということではなく、視点が少しずれていたというのが実情に感じます。

養鶏家が知っておかなければならないものの中で、通報ルールがあります。

飼養衛生管理基準にもありますので、俺は知らないでは済まされないものですが、一般的に3週間までの斃死数の2倍を超えた場合は通報するように言われています。

又は固まって死んでいる鶏が5羽を超えている場合も通報すべきとされます。

多くの農場は、この基準をベースに先ほどのように若鶏なら1万羽飼養1羽なのか、老鶏なら1万羽当り4羽くらいとか農場での自然減耗に少し許容を設けた通報ルールを定めているはずです。

だからこそいつもと違うから何かおかしいと肌で感じるのです。

ところが、そのような基準があっても守られない養鶏場が過去から良く見ます。

例えば、いつもより5倍とか多いとしても、腸炎が疑われるので様子を見るから通報しないという事例や、死亡が多いが作業者が死亡鶏を良く見ていないことが蓄積されたことでいつもより多いから様子を見るという事例もあります。

いずれも指針から逸脱しているのですが、鳥インフルエンザではないし、そうでないはずという期待から通報が遅れるという事例になります。

この事例ではいずれも後日、国が再開するために支払う手当金は減額処分を受けています。

つまり何となくおかしいけど通報のリスクを考えるなら、とりあえず様子見してもう一度考えるという先送り思考は理由は、何であれ後日経営を再開したということで国の手当金を請求する際査定を受けて満額なのか、減額なのかと判定されて支払われるのですが、多くは減額処分となります。

少なく見積もっても1割減、大体2割は減額されると考えて間違いはありません。

たかが1日遅い通報と思っていても減額処分されることが一般的です。

それだけ通報の遅延は周辺に迷惑をかけるような行動になるのです。

であれば、通報を早期にすることを徹底するように意識を変えて、従事者に浸透させるしかありません。

様子見は、何もしないという意味で解決するものではありません。

斃死が今日だけ多いということはあまり経験から何と感じませんでしょうか。

鶏が死んでしまうということは理由があります。

その多くは、老鶏であり減耗していくということもあるでしょう。

あるいは、病気があり減耗することもあります。

また夏の熱死もありますし、換気機能が停止し高温で同じく熱死することもあります。

どれも理由があり、偶発的なものではありません。

腸炎であるという農場も確かにあります。

ですが、冬の腸炎というより夏の腸炎というのが正しく、冬にいきなり腸炎になるというのは経験から見てかなりレアなものです。

そしてそのような症状が自身で解剖し確認できるので、冬の腸炎とみなしてしまう農場もあります。

ですが、鳥インフルエンザを知っている方の多くは、高病原性である場合チアノーゼがある、駄眠をしている鶏が多い、腸炎の症状があるといった事例より、多くの鶏が死んでしまうという数に違和感を持ちます。

病気の症状でわかるということはないと思って間違いはありませんし、そのような視点を見ると通報が遅くなります。

鶏に詳しくない方は症例から判断すべきと通報ルール策定の時話をしますが、鶏を知る経験者から見るとそれは不可能であると感じます。

それよりも通報し家畜保健衛生所に見てもらうのが正解です。

簡易検査で陰性であれば鶏を引き取り病理検査をしてその後の指導をしてくれることもあり、自費で検査するより的確でむしろ利用すべきことです。

でも万一であれば殺処分され無一文になるという不安があるのでしょう。

症状から見て判断を誤ることも多いのが実情です。

そして高病原性鳥インフルエンザであっても、気づいたら1日に100羽、200羽と死んでしまうということは経験から見てありません。

むしろ30羽、50羽と少なく始まり、ここで違和感を感じるのですが、更に日が過ぎると倍々と増え100羽、200羽と増える事例があります。

ですから通常よりは多いので違和感を感じることで通報をしているのが多いのではないでしょうか。

そして固まって死んでいるというもう一つの基準に抵触するので通報に至るということも多いはずです。

通報ルールに関することはブログにも紹介していますが、大事なことはいつもより多い死亡は家畜保健衛生所に通報する。

そして空振りであってもその要因を探すきっかけを作ってくれると理解しておくと良いでしょう。

冬の多くの斃死は、鳥インフルエンザを心配するのが正しい姿です。

うちはそうならない、そうなったことはない。

そう信じていても多くの感染した農場も同じ思考であったはずです、でもそうでなかった。

これが現実であり、本音でしょう。

鳥インフルエンザは周辺に飛散する可能性が指摘されています。

偶然ではなく、通報が遅くなることで広げていく可能性もあり危険なことです。

この時期の斃死の異常は通報するよう、まだ通報ルールが定まっていない農場は早急に決めていきましょう。

そしてルールがあっても症状で判断するのは農場レベルで独断するのはやめましょう。

管理獣医師や家畜保健衛生所の簡易検査でまずは感染の可能性を否定しましょう。

その後原因の究明か様子見か決めていきましょう。

このように手順があることを知り、ルールを徹底し、農場の人が迷わない仕組みを構築しましょう。

詳しくは家畜保健衛生所に尋ねるのも良いでしょうし、管理獣医師の方と相談しても良いでしょう。

身近に獣医師の方がいないのなら、近隣の農場の方と話し合うのも良いでしょう。

いずれも様子見は良いことはこの時期はないことを知っておき、師走を過ごして無事来年を迎えていきましょう。