12月も下旬になり、街はクリスマス色が色濃く見られ、スーパー等では新春を迎える食品が並び年末になったと感じる時期になりました。
本年は1月から2月にかけて狭い範囲での集中発生事例が見られ、被害数も相応になる大変な年で始まりましたが、その後は終息し令和7年度(4月以降来年3月までの集計)の被害は少なくなると予測しておりましたが、ふたを開けてみれば、全国で8例目になり被害羽数は約240万羽になります。
傾向としては、最初に発生した時期は例年通りで本年は10月22日、通常は10月下旬ごろの傾向であることことから特段の変化はありませんでした。
被害が大きくなった令和2,4年は最初発生から急激に広がり年末で約30農場(6年度)、多くて約45農場(2年度)と急激に増加しその流れを引き継ぎ年を越していきますが、本年は本日時点で8農場とゆるやかな増加傾向にあります。
ただ、どの年度も年が明けると急激に増える傾向があり、特に6年度(本年7年1月から)は年を越しての被害が甚大になりました。
これは近隣農場の連続発生という地域内での感染拡大が要因ですが、そうでない年でも急激に増えるのが1月以降の厳しい冬の時期になる傾向が見られます。
どうぞこの先も衛生管理に十分な配慮と行動をしていただき被害ないようにお過ごしください。
さて、本年8事例の地域は北海道(道央地域)と、新潟県、宮崎県、鳥取県、兵庫県、岡山県となります。
鶏の内訳は、全体240万羽のうち約227万羽の採卵鶏と約12万羽の肉養鶏となります。
そして再発した農場も複数あり、まだ被害数から見て正しいとは言えないでしょうが全体の4割の被害農場は再発から回帰した農場であるという傾向があります。
少し多いようにも見えますが、皆さんはどのように感じるでしょうか。
また、野鳥の感染確認も多くなっています。
18日時点57検体から鳥インフルエンザウイルスが検出されH5N1又は検査途中のH5の結果があります。
傾向として、北海道では道東地域が多く、道央にかけて散発的に見られますが、本州や九州では件数が1件という所もあれば、鹿児島県ではツルや環境試料からの検出が多く見られますが、通年でよく観察されることでもありますが、本年は鳥取や兵庫、岡山県のように野鳥の検出がなく、なおかつ近県の検出もないという事例もあることから、野鳥からの検出がなければまだ危機は差し迫っていないという思考は危険でもあります。
ある地域発生が見られた農場も近県の野鳥や農場被害はないことから、消石灰も2~3週間に1回でいいかという思考と行動、人の出入りの活発で鶏舎修理に他所属農場の従事者を導入して修繕をするという、人の出入りの甘さも散見されるところもありますが、近隣で被害がないからまだ安全であるという考えのようです。
確かにブログを書いているこの日より数日前の出来事ですから、その後被害を聞くわけではありませんので確かにその行動が危険と言うことではないでしょう。
しかし、多くの被害農場も同じです。
消石灰は数週間毎に散布する、人の出入りは修繕を含め出入りをしている。
それは自社社員だから安心である。
修繕が止まったら、あなたが責任を取れるのかと言われそうですが、その後被害が発生したという事例も見ており、人のリスクは思うほど低いとは言えないと感じます。
よく聞かれる、集糞に自社社員を使用して実施している農場では、集糞操作機が鶏舎の内側にあり、出入りの際には一応靴の履き替えをして操作機まで進み操作して作業するというのが一般的ですが、多くは下手に位置する場所を集糞場所にしていることから、その農場は茂みが多い場所が下手になりカラス等が木の上から集糞トラックを眺めていて隙あらば荷台に乗った鶏糞を食するという事例もあります。
眺めているだけなら良いのですが、野鳥の糞があちらこちらに散見され、長靴も鶏舎に入る際に履き替えれば良いのですが、どうせ鶏舎から3メートルくらいだからそのまま立ち入ってもいいだろうという甘えが生まれ、ある日被害が発生したという事例がありました。
鶏舎の風の流れからもあるかもしれませんが、この事例では下手に斃死が集中していたということがありました。
これだけで、人がリスクとは言えないでしょう。
しかし見えないウイルスだから、人の行動だけを信頼すると万一の際、多くの方は心に残るといいます。
つまり、きちんと履き替えていれば大丈夫であったのではないか、カラスが多くいる場所からの出入りは本当に良かったのか、消石灰は面倒だから、集週間ぶりの散布の予定だったけど雨で順延になり3週間ぶりだったけどしょうがなかったという思考は、では翌日の晴天の時に他の作業を後回しにしても優先させなったかのだろうかといった後悔の言葉をよく聞きます。
そして再開の際に家保からの指摘事項(改善事項)の対処の他、従事者への教育の際の従事者自身の懸念事項を集計するとこのような話を聞きます。
そうすると、経営者は普段農場を見ているわけではなく収入だけを見ているとは言いませんが、農場への意識が薄くなりすぎていたことを痛感すると言います。
そしてその責任者も従事者と同じ視点しかなく、改善や指導を出来る力量がなかったと反省している経営者もいました。
人の指導は弊所でも良く行う業務ですが、あまり農場管理や生産レベルが高くない場合の多くは責任者を経営者の色眼鏡で決めてしまい、力量とイコールになっていないことが多く、通常は従業員の行動が悪いで片つけられていた事例も、このような重大事例の際にはそもそも力量がないから、何もできていなかったと後悔するわけです。
外国人技能実習生の日本語能力が低すぎるからコミュニケーションが取れないというご意見もいただきますが、そもそも教育訓練をしていませんので、日本語がどうのこうのという以前の話です。
ある農場は、集糞作業員が退職したことで、集糞時期が大幅に遅れます。
しかし農場を管理している外国人技能実習生の人たちは、集糞が遅延していることに関心はありません。
それはその人の作業は鶏舎の掃き掃除や集卵業務であり集糞ではないからです。
ある日経営者が久しぶりに鶏舎を見て愕然としたと言います。
糞が積りすぎて通路まで流れ出しているのに、作業員はうまくよけながら作業をしているのです。
聞くと集糞がないからそうなっているという答えだそうで、なぜ言わないのかと指導したそうです。
私は、それは間違いであると経営者に意見をしました。 根本は集糞ローテーションを崩したことを知っていたのに、スケジュールを組みなおさない日本人管理者の問題ですと言いました。
つまり集糞の責任者は誰ですかということです。
作業に分担があり、その分担で各従事者はその職務を全うします。
あれもこれもとなれば今以上に作業労力が必要になり時間内に終われないでしょう。
だから分担があり、管理は外国の方、集糞は日本人責任者としていたはずです。
それをその責任者は離職があったので、2週先から新規スケジュールをスタートするので結果遅くなるという立案の問題、行動することの問題予見ができなかったことであり、鶏舎掃除をしている方に不備があるという色眼鏡はだめですと厳しいですが意見をしています。
これも先ほどと同じです。
自社従業員(この場合は日本人責任者)は安全(この場合は作業をきちんとしているはず)であるという思い込みです。
人は楽を求めるのが常であるのは時代が変われどこの点は変わりません。
誰も見ていないから長靴を履き替えない、3メートル先の鶏舎内に用事だから大丈夫、そんな面倒なことは今日はしなくても良い、出入り業者に厳しくさせれば大丈夫、だって自社従業員は安全だから。
そんな思考で漠然と過ごし、今年は被害にあった。
そんな農場もあります。
鳥インフルエンザは見えないものだからこそ過剰な防疫作業になると考えがちです。
入気口のフィルターもどこまでの効果かわかりません。やらなくても変わらないかもしれません。
しかし、空気の流れで広がった地域という推測できる事例もあります。
また消石灰を撒いているだけの農場は感染しなかったが、消石灰をして、作業者の衣服に消毒液を散布させて出来るだけのウイルス持ち込みリスクを下げる取り組みをしっかりしていたのに被害にあった農場もあります。
常日頃靴の履き替えすらしていない農場もあるが被害がないということもあれば、しっかり靴を履き替え、鶏舎ごとに衣服も替えている意識を持つ農場から被害が発生したりと、これを行えば感染を防止できるという決め手がないのが鳥インフルエンザです。
野鳥が媒介するかもしれませんが、これだけ全国各地に渡り鳥が飛来しているのにその近隣農場では被害がないというのもほとんどの例ではないかと思います。
でも近隣の水田で羽を休めている渡り鳥のいる農場で被害が発生したということもあります。
ですから、被害がないためにも出来ることを惜しまず、後悔しない管理をしていただくしかありません。
被害が発生し殺処分されると多くの経営者は後悔の気持ちが高まり、気分は大きく沈んでしまいます。
確かに複数年度も発生すれば、またなったのか程度かもしれません。
でもブログをご覧になっている皆さんの農場は恐らく感染した経験はないでしょう。
だから油断も生まれてしまいやすいということもあると感じます。
弊所が人の意識を大事にしているのは、完ぺきに防御できる手段が人の意識であると言うことではありません。
万一の際の心残りをなくさせるためでもあります。
衛生管理は、設備での対処と管理者の対処の両輪で対応するのが一般的です。
多くは設備での対処について議論されますが、鶏に一番近づくのは実は人です。
空気もありますが人なのです。
人は衛生的、不衛生的を自身で決めることができます。面倒なら不衛生とは言いませんがリスクが上がります。
そして怖いのはこの程度なら安全という意識の低下による更なるリスクを高める行動に移るということです。
そのうち、靴の履き替えは面倒になる。手袋を外だろうと他の鶏舎だろうと使いまわしリスクであるという意識がなく、揚句に野鳥の糞が付着した軽トラの荷台を触りそのまま鶏舎に入り設備を触るということもあるでしょう。
これではフィルターがあっても素通りされていますし、設備は問題ないけどそれだけで大丈夫なのかと考えるどうでしょうか。
でも、多くは皆さん目にすることはありません。
経営者も常時建物の角から覗き監視していることもないでしょう。
つまりわからないもの(ブラックボックス)になっているのです。
本来その点を可視化するために責任者を配置しているはずですが、一部は従事者と同じ思考で行動するのでその視野が完全に断たれている状態の農場もあるのです。
通常は管理ミス程度しか見られない事例しかないでしょうが、この時期は場合により鳥インフルエンザのような大きな事故に至る場合もあるということを知っておくと、今の管理で大丈夫だろうか、教育できているのだろうか、そもそも鳥インフルエンザ対策はこれで十分と言い切れるのだろうか。
そう考える時期が来るかもしれません。
被害にあえば、そこから考えるしかありませんが、まだ被害ない時期であるならば今のうちに考えておくしかありません。
人を信じることも大事です。
従事者作業は余力があるより少しきついほうが作業効率も上がるでしょう。
でも人は皆さんが思うほど甘いものはありません。
経営者は欲と二人連れです。
利益があり儲けを考える思考で物を見ます。
しかし従事者はきつすぎる作業を欲のために行動することはありません。
どこかで調整(作業の簡略や省略)して1日の作業を行います。
残業させれば大丈夫と考えがちですが、残業させるような作業が養鶏業にあるのかと考えると、養鶏を知る私から見てほとんど残業はないと言えると思います。
そのような農場はただ人がいなすぎる、作業進行が遅すぎる、無駄が多すぎるしかないと感じます。
確かに鶏を自社で移動させる農場は涼しいうちに移動させるから早朝から作業させる早残業することもあるでしょう。
でも所定時間を超えるほどの作業は多くはないはずです。
これだけ効率化を進めた養鶏でそのようなことをしている農場はよっぽどの老朽化した鶏舎でいつもいつも修繕して解決策がない農場か、残業代貰わないと賃金が低すぎる農場といったところでしょうか。
お伺いする農場がこれに該当するところほど、経営者は良い車に乗り、お金がありますオーラを出すような行動をしています。
でも肝心な収入源は・・ そんなところもあり、何もない季節は恐らく人集めに労力を注ぐくらいでしょうか。
でも季節は冬ですと、油断から殺処分に至るということもあります。
鳥インフルエンザの季節になると、訪問が減りますので冬季は皆さんがどのように対応されているのかは見えにくい時期でもあります。
でも農場によってはこのような良くない行動から被害が発生していくこともあります。
この先も疫学調査のような表面的な調査では見えないことですが、調査の結果が正しいと解釈せずその内部といいましょうか、その先に見えないものは起因していないのかという先を見るように眺めてみてください。
あと10日程度で今年も終わります。
静かに広がりを見せている鳥インフルエンザ、他人事と捉えずに皆さんの農場ではそうならないようにどうするのかという視点で設備以外にも目を向けてみましょう。
きっと見えなかった危害が見えるはずです。