nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

分割管理はできないことなのか 病気予防だけで何とかなるでしょうか

1月5日全農鶏卵市場も初市を迎え、初値310円(東京M規準値)で始まり16日時点も同額で推移しています。

過去5年にない高値で始まり、本年の鳥インフルエンザの影響のみならず、主要産地での再開が進んでいるとはいえ遅れが続いている現状から、 正月明けは市場は滞貨玉あるにしても大きく下げるような要因がないことを示しているように感じます。

その通りで、需要期に入っていることでますます卵価が下がる要因がないのが今の状況でしょう。

メディアは鶏卵が高いから消費者は買い控えしてしまう、だから小売店は厳しい、個人加工向け商店は厳しい経営が続くような論調で鶏卵の異常な高さを報じるのではないかと想像できます。

しかし、生産側の状況を見ても決して高卵価を喜び歓喜するような状況ではありません。 餌の価格は安い頃よりまた高く最高値23年よりは下がり気味ですが円安要因もあり無制限に下がり続けるには難しいでしょう。

経済的な要因(餌代人件費の高騰等)以外には、生産側の鳥インフルエンザの被害が身近なものになっていると言うことでうちは被害なく50年、70年と経営したけど今年、昨年でその輝かしい歴史は止まるといった、新規被害農場が見られました。

今年は、過去3年以内の再発農場が本年発生のおよそ3割を超える農場で散見されており、鳥インフルエンザの被害といえば、ボロ鶏舎で高床式鶏舎であるという昔の意識的な基準ではないことを現実化されているように感じます。

病気予防の観点から、昨年飼養衛生管理基準が改正されています。

特に20万羽規模経営者は、羽毛の飛散対策を必要としています(本年10月施行で現在は猶予期間中)

これは、令和6年度の地域内での連続発生では換気の排気口から周辺にウイルス飛散したことが要因として考えられることから羽毛等見える物が周辺に飛散しないような措置を講じるように努力義務を課しています。

そして、分割管理の検討をするように言われています。

ある県知事が、鳥インフルエンザが発生した際に全処分する大変さを語り、そうしないような方策を国に求めるような趣旨報道がありました。

ある意味大切なことですが、今の法令、世界の封じる方法から見てまず不可能ですし、日本だけ特例で殺処分は最低限しかしない、それは防疫員の負担が大きすぎるから、農家の経営が成り立たないからと言っているようなもので、合理性もなく難しいと感じます。

一部養鶏家は良くいったと拍手を送ったと聞きますが、その養鶏家も無責任です。 まず最低限鶏を残しておきたいのなら分割管理をするべきです。

現在それしか方法はありません。

昔のように無申告してだまって鶏を飼うという事例がありましたが、今はこれだけコンプライアンスにうるさい時代です。

すみません、間違えましたで済むことはありません。廃業を決断するくらい悪質なものになるでしょう。

正直1つ養鶏場が飛んでも誰も困らないからです。それが大規模であってもです。

さすがに1000万羽飼養とかであれば地域の影響はあるでしょうが、まずそんな農場はありません。 良くて国内には100万羽程度の農場しかありません。

また大規模ほどそんなコンプラに反することをしてまで経営したいとは考えていませんしそんなリスクを負う経営はしません。

鶏卵は融通が利きますし、加工向けは輸入比率を上げて対応ができるから代替品がありますし、それにより国内産の生食用と加工の外国産と住みわけがはっきりできます。

それによる損をこうむるのは養鶏家(生産者)側にあります。

多くは機会損失につながり真綿で首を締めるような でもコストが、残存で経営できないから、人が重機がお金がと理由をつけて実行しません。

ですから、鳥インフルエンザの被害で鶏を処分するなという多くの意見は、本音はお金をかけず手間もかけず処分させず、あわよくば最低限の処分で済ませたい。 でも分割管理はしたくない。

このようなところでしょうか。

本当に鶏を心配するならば是が非でも分割管理を導入しているはずですが、人を雇用するコストのように遅配することの社会的信用低下、法令違反による行政罰を意識して優先して支払うでしょうが、 分割管理は導入しないことの罰則もなく、コストをかけずに何もせず情勢が変わり、最低限の処分で良いという政策変更を期待して何もしないという所が本音に感じます。

これには理由があります。

分割管理はコストがかかります。

新規に養鶏場を1つ開場するくらいの設備を余計に作るという大きな負担があります。

ただ農場の中心に柵を1つ直列に延ばせばよいという話ではなく、分けた数の集卵設備と車両の区分け、餌人の住みわけといった農場内に他所の養鶏場が鶏舎設備を借りて経営しているようなものになります。

最低5千万、億のコストを要します。

多くの自治体は融資をして支援をしていますが借入するリスクを見て導入できないという本音が透けて見えます。

最も費用が高いのが集卵設備でしょうか。

次いで、餌や卵の動線の改良にお金を要することでしょう。

正直集卵設備、特に集卵室を分けることはあまり意味がありません。

鶏が水平感染することを心配するならば、鶏舎内の遮断を想定するだけで十分です。

卵が水平感染する要因ではありません。

確かに殻に付着していたらどうなのか、そこに羽がついているだけでリスクが上昇するのか。

いやそれは今審議することではなく、とにかく普及させることに邁進すべきことではないかと思います。

そのためには、無駄とは言いませんが、核心部分(鶏の水平感染なのか、付帯の卵までリスクなのかという優先順位の思考)をまず想定して開始してもらうよう国は考えるべきです。

見ていると、農場HACCP導入初期の思考によく似ています。

なんでも作業に対する記録付けのために記録表を作る、HACCPだから細かく作業をさせて安全という満足を得るために手間を増やすといったものです。

専門家として内部を検証すると、この手間によるメリットがないということが多くあり、たかが手間ではなく作業者がこの作業をしなければHACCP認証がもらえないのかという疑心暗鬼から、 無駄な物意味ないものと認証に向けて努力する経営層と現場に温度差が生まれるという典型的な事例です。

手間をかければ(この場合何でも分別すれば)交差汚染リスクは下がると考えて分けますが、でもよく検討すると、分けることに意味を持っているのか(この場合分けても分けなくても被害発生するリスクに差があるのか、そもそも本当に意味があるのか)という視点がないと、何でもやれば何となくやった感があり満足できると思いますが、大事なことは現場(この場合養鶏家)はそのことに意味を持つのかという疑念を生じさせないということです。

そのためにまず必要なことを抽出して実行してもらい、そして検証して追加するのか廃止するのか決めていくのです。

検証という工程が必要なのです。

PDCAが大事とよく言われます。

何でも計画して実行しておしまいでは、よくできない農場のPDDDと同じです。

実行して満足してあとは何もしない、または忘れていき惰性で動いているだけでは、そこから無駄なこと、大事なことの欠落を見つけるといった事ができません。

だからPDCAが必要なのですが、分割管理も同じ視点で物を見ているでしょうか。 とにかく分けるだけではないでしょうか。

でも養鶏家の方々も政策に批判しているだけではあまり意味はありません。

それは正直人員はそんなにお金がかかるとは思えないからです。 最低賃金が高くなり人のコストが重いと言いますが、それに見合う設備投資をしているのであれば作業の効率は上がっているはずです。

今の時代10万羽1名管理は基本であり簡単なことです。

清掃に1名、卵取り1名、鶏糞処理に1名ではなく10万羽程度ならコミコミ1名で出来るのが今の養鶏というコストを削減した姿です。

昔から10万羽で何人も必要な管理はありましたか。

いや、ないです。

集糞くらいでしょう。

高床であり年1回のイベントまで貯留するからツケを払うので人数を要するのです。 今の時代集糞に高床という養鶏家はいないでしょう。

養鶏は効率を高めることに邁進した優れた畜産家の集合体である産業です。

何でも人がいないと何もできない、やれない、廃業するという所は見たことがありません。

廃業するときの多くは負債が巨額か販路先の細さによる収益が悪化して改善見通しが立たないと言った時に低卵価か鳥インフルエンザの被害で収入が細くなる又は無収入に至り決断するという事例が多いように見えます。

養鶏は低卵価の時代が長いからこそ、いかに効率を高めるのかという視点で長い時間をかけて改善してきたのです。

人がいないとこの先労働人口が少なくなっていき集まらない、産業として成り立たないと言われます。

その通りですが、無理に雇用してコストを上げるだけでは、数年後10年後には本当に人件費というコストで破綻するという農場も見ることでしょう。

ある農場は採用に先着順に人を雇用して、育たずに1人で作業していたのに2人でやっと作業が完結するという遂行能力が低い人材を雇用したところもあります。

人件費は1人前なのに作業は半人前と笑えない事例があります。

当然作業は楽なので離職はしませんので人だけは多くいます。

卵価はこの先昔の100円台に戻ることはないでしょう。

今の300円が普通で、200円台後半は低卵価だなと感じるような時代になると思います。

これは物価高もありますが、円の弱さによる輸入品の代金が上昇することで仕入れ値が上がることで下げることができなくなるからです。

餌代、電気代、設備更新に係る物品作業員の手間賃、そして人件費。

あらゆるものが高くなりそれが常態化していくのがこの先の日本の姿になると思います。

今1ドル交換に158円です。

2年前はこの水準で円安だ大変だ為替介入だと騒がれていましたが今はそんなことを言う人はいません。 この水準になれているからです。

確かに高いかなという程度でしょう。

ですから、この先仕入れに関する費用は高く推移していきますので卵価にも影響をしていくことでしょう。

そんな収入の中で、どのようにコストを考えていきましょうか。

鶏を守るにはコストがかかります。

それが無駄であるならば行政が負担して処分していくしかありません。

冷たいと言われますがそれしか今の日本に選択肢がないのです。

行政は国の命令により処分を執行します。

確かに負担は大きく協力企業の手を借りないと成り立ちません。

行政が国に陳情することはできますが、多くは国が納得できる理由を示せないので何も変わりません。

であれば、行政も積極的に分割管理をしてもらうように働きかけるしかありません。

国に一定数飼養の養鶏家に分割管理をするのかしないのか方向を決めた書類を提出させて、しないと決断した養鶏家に対して万一の際の器具機材を用意させることや、埋却地の不足があればその面積に応じた羽数に減羽させるといった処置をしていくしかないでしょう。

でも国に対しその権限ができるように法改正を働きかける必要があります。

養鶏家も何もしないでたくさんの鶏を飼うという発想から転換していく必要があります。

鶏をたくさん飼うことはコストを下げますので利益が増えます。

その利益から器具機材を購入する又はリースして備えるくらいの負担は必要になるでしょう。

そして埋却地面積が不足しているのであればそれに応じた羽数に改めるか、近隣のごみ処分場に持ち込めるような協定を結んでおくしかありません。

特に1回鳥インフルエンザの被害で埋却面積が足りなくなった農場は不足分の用地が確保できず断念した事例がありますので、養鶏家は発生させないような管理を今以上に意識しておく必要があります。

被害が発生すると近隣が拒絶反応を示すことがあります。

埋却地が地下水を採取する住宅地の場合いくら自社の用地であっても拒否されることもありますし、不足面積を拡張する際反対運動に発展することもあります。

耕作放棄地や空き地は全国沢山ありますが、すべてが購入でき活用できるというわけではないことを知っておくと再開には意外な落とし穴があることを先に知っておくと対策をどうするのか、そもそも埋却面積を不足させないために分割管理して少なくしておくのか、よく考えておく時期が来るでしょう。

国も行政も、そして養鶏家も手間とコストとのバランスを考え普及できる方法をもう一度模索して見ると良いのかもしれません。

だから分割管理はできない、だから分割管理に意味がないとは言われない方法を検討してみてください。