nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鶏を飼う技術とは 作業員がいるだけの農場と思考がある農場

季節は鳥インフルエンザ発生の話題が聞かれる頃になりました。
13日時点の農林水産省発表では6道県8事例108万羽が殺処分対象であると公表しています。


10月17日に始まり10月は4事例(北海道、千葉、新潟、島根県)と11月現時点4事例6農場(香川(関連農場あり)、宮城(関連農場あり)、北海道)となっており、大流行した令和4年度よりその発生頻度は低い状況です。


参考までに令和4年度は10月28日岡山県から始まり、10月は2事例(岡山、北海道)、11月は1日香川県から始まり19事例(関連農場6を含めると25農場)と爆発的発生となりました。

12月は30事例(関連農場も別途あり)となり大流行を感じさせる年度でもあります。


毎年聞かれることでもありますので、改めて鳥インフルエンザへの備えについて語ることはしませんが皆さん引き続き最大限の対応をお続けください。


さて、最近はウインドレス鶏舎に設備を置き換え人員を作業員として迎える人材は安い人材で回そうという農場も見られます。
悪いことではありませんが、それによる弊害を見る機会が多くなりました。


ウインドレス鶏舎に置き換えた方に伺うと、多くは設備が老朽化しており高床式鶏舎から最新式ウインドレス鶏舎に置き換えると言います。
その通りですし、更に伺うと飼料費の削減と労務作業が改善できるからと続けて言います。


高床式鶏舎の一番の大変さは温度管理と鶏糞管理です。
ウインドレス鶏舎は気密性が高く保温効果があることで、冬場の食下量の改善が期待できます。


一昔は白鶏で1日115g、120グラム食べるということが一般的でした。

育成舎でも70g、85グラムと多く食べて体重が乗るということもあったと思います。


寒いからこそ鶏は食べて自身を守る行動をとるわけですが、体重超過になり管理が困難とも言えます。


これでは飼料コストが重いですし、改善したいとすればよい機会なのでウインドレス鶏舎に置き換えるという農場もあります。


また、ウインドレス鶏舎は作業性の改善に大きな効果があります。


保温性が優れるということは鶏舎環境は自動で操作され面倒なカーテン操作、換気操作は基本的に不要です。


設定した鶏舎温度を維持するために排気換気口の運転や停止といった細かい作業に人が関わる事がありませんので、他の作業に専念できます。


他の作業と言えば、鶏糞排出になるでしょう。

高床は1サイクルの間は貯留させることが一般的です。

 

これは集糞に多くの人出と重機が必要になるからですが、床下に溜まった鶏糞を重機で集めダンプに乗せて堆肥舎へ運搬する、

量が多いほど作業日数も必要となりそのための人出の確保、堆肥舎の保管場所面積の確保といった様々な問題を事前に織り込み準備をするといった手間があります。


成鶏舎では夏を超えることで、水分量が多い鶏糞が排出され堆肥舎の専有面積を大きくすることもあり、堆肥の売り先がしっかりしないと堆肥舎がパンクすることもあります。


ですがウインドレス鶏舎では、貯留できる面積がほとんどありませんので、毎週1回、2回といった排出作業がありますが量は少なく一般的に乾燥していることが多いはずですので排出に充てる人員は少なくても問題はありません。


そして自動化しているため改めて鶏舎用の重機といった機材も要りません。

多くはボタン操作でベルトから排出する鶏糞を鶏舎の隣に堆肥舎を建設すればそのままベルトに乗せて排出しますし、そうでないにしてもダンプに乗せて搬出するだけです。

しかも1週間分しかありませんので排出量もなく短時間で完了します。


では鶏糞排出に長い時間当てた時間を何に使うのかといえば、死亡鶏の抜き出しといった衛生管理に充てると思います。


高床式鶏舎では一般的にAラインゲージが多く、段数もせいぜい2段、3段、4段と言ったところでしょう。

つまり抜き出ししやすい位置にゲージがあり作業としては楽でした。


今は農場の戦略によりますが、5段、8段、10段、14段といった高い段数であることが一般的です。


作業効率を考え2階、3階建てにして管理しやすくする農場もあるでしょうし、高所作業用台車で巡回させるという所もあるでしょう。


その作業時間は1棟でせいぜい30分、45分といったところではないでしょうか。


ではその他の作業は何をするでしょうか。


多くは機械の正常な運転確認(数値からの点検)、故障物があればその対応、鶏舎の掃除と言ったところではないでしょうか。


そうなると割高な日本人より外国人労働者にその作業をさせるという所もあるでしょう。


ある農場は日本人管理者と外国人労働者の組み合わせで農場を回しているという所もあります。

でもこれはある農場だけの話ではなく多くの農場の話でしょう。


長くなりましたが、今日のテーマになる作業員がいるだけの農場と思考がある農場になりますが、浮いた時間に何をさせるかという視野しかない農場と、その時間で何をしてもらうのかという視点がある農場でただいるだけの農場とそうでない農場の違いが見えてきます。


どちらも同じような言い方をしていますが、つまりは「作業させて時間の穴埋めをしているだけ」か「鶏の異常を見つけるスキルを持つ又は持たせる時間を作るのか」ということです。


多く農場を見ますと大体は前者が多いかなと感じます。


理由を伺うと「管理者がいるから作業だけできればよい」というのが多く聞かれます。


まあその通りなのかなと思いますが、笑う話もあります。


ある農場は日本人管理者がいて外国人労働者が鶏舎作業をしています。
ある時日本人管理者が鶏舎を確認すると鶏糞が通路まで流れ出ていました。

なんだこれはと外国人労働者に尋ねると集糞作業者が来ていないからだと答えます。


この農場は集糞担当者が系列農場を巡回して集糞をしているのですが、ある時担当が変わり巡回順序が変わり期間が開いたようです。


先ほど話しましたが貯留は以前より出来ないと言いました。

多くはベルト式でベルトとゲージの底面の高さはせいぜい20センチ、30センチという所も多いでしょう。


多段式になればその面積分建物の高さを必要としますから建設費も上昇します。

ですからできるだけ無駄のない高さにして過剰な高さにしないように設計図を描くはずです。


またベルトを引くモーターも許容量を超えて引くことになると過重となり停止して作業どころになりませんし、最悪の場合集糞ベルトがつなぎ目や弱い箇所から切れます。


ではどのように復旧していくのかといえば、通路に鶏糞をかき出しベルトの負荷をなくして何とか集糞するしか方法はありません。

そしてベルトが切れるのならベルトに乗った鶏糞を出来るだけ掻きだしベルトの負荷をなくしモーターで動かしながら切れた箇所まで運転しつなぐしかありません。

ここまで行くと作業を修理業者に委託するでしょう。


この場合掻きだしに数日、ベルト接着に1日、また切れるならまた数日と何日も職人手間賃を払います。


そうなると、昔の高床式鶏舎作業どころではなくただの手間仕事になりその作業が何日もかかり人手がいくらあっても足りません。


ここまで行くところもないでしょうが現実あります。


この原因には「作業者は指示されている作業は間違いなく実施していたが、集糞作業が部外者で集糞の遅延は異常であると認識していない」ということです。


作業者は与えられた作業をします。

掃き掃除、故障個所の修繕、機械類の点検と記載といった日常作業をこなします。


でも集糞は部外者であり作業指示の範囲外ですから気に留めることはありません。


ですから、作業者が悪いとは言えないのです。


問題は管理者がきちんと把握しているのかということです。
物事が改善する時多くは、コストカットできた、最新式になることで人件費を抑制できた、修繕回数が減り維持費が少なくなったと金額に換算しがちです。


確かに目に見える成果ですから誰もが納得する数字になるのでしょう。


でも今のような事例になった時、1日2万円の職人がこの不手際で10日も作業にあたれば20万円、2人いれば40万円、3人ならいくらでしょうか。(当然宿泊費も加算されこの額で十分かわかりませんが)そして修繕費数万円、ベルト全交換なら10万円以上となることもあり、削った費用から持ち出します。


でも農場内をしっかり見ていれば、そもそも従事者が異常と捉えればここまでの大規模コスト発生に至ることはありません。


何も見えないというのは、外野はわかりにくいのですが、わからない・知らないというのは本当に危険であるということです。

 

また、ある農場では死亡鶏が少しづつ増えていくという事象がありました。


1日3羽、5羽、9羽、15羽と少しづつ増えていきます。
この農場は成鶏舎導入してから壊死性腸炎の発生が度々あり、今回も同じであろうということで様子を見ますが死亡数は増えていき1日20羽と増加していきます。


管理者は夏ということもあり鳥インフルエンザを疑うことはしないようで、まあ様子見になるなといいます。

しかし異常から7日、14日と経過し数は低下せず横ばいで推移するため管理獣医師に相談をします。


管理獣医師は解剖して大腸菌症である可能性を示しやっと生菌剤投与に踏み切りました。


この間100羽以上の減少となり、異常を異常と捉えられられない事例もありました。


管理者いわく、ゲージに固まっての死亡はないから個体の問題である、数が多いかもしれないが夏特有の影響もあるし、腸炎であろうと思いどちらにせよ減耗する期間を過ぎれば回復し治まると過去の経験則を持ち出します。


異状を異常と知ればここまでの期間をかけず自ら解剖するなどして先に情報を集めることができましたが、面倒であると同時に過去の経験則で十分と手間を惜しんだ結果でした。


ウインドレス鶏舎に置き換える時、多くは便利で作業性改善が期待できることを期待して改築をしていくと思います。


ですが、多くの農場はその作業性改善の使い方を「他の作業をさせて時間の穴埋めに使う」という目先の楽な思考に陥りがちです。


そうなると散見される「勤務年数は長いが、経験値が低い」という穴埋めに使った時間は経験値に反映されないという事例が多くなるように見えます。


鳥インフルエンザ防止に意識を向かわせる時期ではありますが、いくらハード面を強化しても、管理する人の意識や技量が伴わないと足元をすくわれるということもあります。


ウイルスが鶏糞を通じて空気感染するから除菌するといった情報があれば殺菌方法を構築して防ぐという発想も大事です。

でもそれはハード面の整備しかありません。


大事なのはそれを行う人というソフト面が両輪のように実行されないと十分な効果が期待できないということです。


鳥インフルエンザの発生がウインドレス鶏舎から多く見られるのは、今の時代ウインドレス鶏舎が主流だからであり高床式鶏舎が安全と言うことではありません。


入気口に殺菌剤を流して除菌した空気を送るにしても被害があるのは空気中の殺菌が十分ではないということになりますが、そもそも完全除菌は可能なのかという視点も大事です。


では何を意識していくのかということ。

一歩先まで想像することが大事ではないかと感じます。


今日の2つの話から皆さんの農場の人の在り方はこのままで良いか、時間の穴埋め作業員でいいのか、そもそも管理者は技量があったのか。


課題が見えるきっかけになると思います。


鳥インフルエンザへの対応は喫緊の課題です。

でもその課題を想像するとき、消石灰まくだけで解決できていないのも事実です。


ではどうするのか。

入気口に殺菌剤の注入や塗布という方法もあるかもしれません。


でも根底にあるのは人ではないのかとも思いますが、皆さんはどのように感じるでしょうか。

 

鳥インフルエンザへの警戒をお続けください 思い込みから見方を変える管理もあります

10月渡り鳥のニュースが聞かれ始めた頃から例年より早い農場被害報道が聞かれます。
既に4事例発生しており北海道、千葉、新潟、島根県の発生となっており約45万羽(うち肉養鶏は1.9万羽)の被害が発生しています。


多くの自治体は養鶏家に対し消毒命令を発令しており、消石灰や消毒液を配布して警戒を続けるよう促しています。


10月25日群馬県は県内432農場に28日から25年3月末まで鶏舎と農場周辺2メートル以上の消石灰散布をするよう求めています。
また鶏舎の消毒徹底の他、野鳥侵入がないように金網や壁の穴あきの点検と修繕を求めています。


10月30日福井県は県内の養鶏家に対し消毒する等の徹底を求めて消石灰20トンの配布を行っています。


10月17日佐賀県は北海道での感染事例が確認されてからすぐの21日から消石灰を養鶏家に配布しており、県内191の農場に既に配布を終えていち早く防疫措置を開始しています。


現在野鳥からの感染報告は9件(環境省発表)で、11月1日時点発表ですが、
9月30日北海道乙部町ハヤブサH5N1亜型、

10月8日別海町ヒドリガモでH5N1亜型、

16日斜里町オジロワシH5N1亜型、

18日福島県会津若松市コガモ、21日新潟県長岡市オオタカ

21日秋田県潟上市コガモ、23日新潟県阿賀野オオタカ

24日北海道清里オオハクチョウでここまでは全てH5N1亜型、

25日滋賀県長浜市カルガモは検査中となり9例確認されています。

現在25日北海道浜中町オオハクチョウについて簡易検査では陰性ですが、詳細な検査を行っているとしています。


現在監視レベルは3(国内複数発見時)モードの最も高い監視(検査優先種は1羽以上から可能な限り検査対象)となっています。


大流行した令和4年度の発生と比べればまだ緩やかな発生頻度に見えますが、心配なのは野鳥検出より早く養鶏場での発生が全国に広がっているということです。


ご存じのように例年養鶏場での被害発生の前に野鳥から感染があるといった報道が多く聞かれます。
そして野鳥感染数が多くなり11月に入ると農場被害も聞かれていくというイメージですが、本年はいくつか野鳥発生を聞くうちに北海道、千葉、新潟、島根と広い範囲に広がりました。


確かにある農場の被害発生の少し離れた水田を見ますと、例年より早くコハクチョウが田んぼで羽を休めている風景も見ますし、それを写真に収める写真家や周辺の方も見られ、秋が深まったと感じるのですが、少し飛来が早いように思います。


野鳥が感染を広げるとも言われますが、今年はその検出数が少ないうちから農場被害が多く見られ、なおかつ疫学調査概要を見ても被害農場の周辺に鳥が飛来している、水鳥がいるというわけではないような記述も見られ、少し戸惑う感じにも見えます。


農場を見ますと、既に防止措置を最大に引き上げて取り組まれている農場を多く見ます。

消石灰、消毒槽の薬剤濃度の再点検と交換頻度の見直しと言った、鶏舎とそうでない区域の遮断する行動を多く見ます。


意識が高まってこれから発生を多く聞く時期に入るからこそ真剣に取り組む農場も多く見られます。

引き続き警戒感を持った飼育管理をお願いしたいと思います。


そのような中、農場の衛生管理を考えるあまり過剰な管理を推し進めようとする農場も散見されましたので、本当に必要な管理は何かと言うことを皆さんと考えていきたいと思います。


鳥インフルエンザを防ぐには衛生管理区域とそうでない区域を分けて遮断するということは皆さんよく存じていることと思います。


従業員の通勤車を消毒させ、外部業者の車両も消毒して衛生管理区域に入場させることは、養鶏家にとってとても大事なことです。


ある農場はそれ以外に、従事者が昼食を取るために車両に戻り車内で休息させることを問題視していると幹部会に報告し禁止させるべきと言う意見がまとまっているところがあります。


理由は、通勤者の車内は外部からウイルスを持ち込むからこそ危険であるからで、通勤着の汚れが作業している服に移るからであると言います。


一見もっともらしいのですが、弊所からアドバイスするならばでは、社用車は完全ですか?と言う視点がないという視野の狭さです。


その外部からのリスクはよくわかりますし、その通りです。


ですが、社用車となる軽トラはどうでしょうか。
鶏舎の作業着を着て外部地域に行く、給油をする、修理部品を買う、あるいは他堆肥舎に向かい、廃棄作業をするといった作業は問題がないのでしょうか。


ある農場は農場出入りを制限していない農場もあり、ある従事者がA農場を訪問したらその車でB農場に向かい鶏舎に入るそうです。
また、作業着は農場単位で分けられておらず、A農場で散々徘徊した服で、B農場の衛生管理区域や鶏舎に入るのだそうです。


その理由は、自社農場は汚染されていないからと言うのが理由で、外部と比べ汚染はないという見解でした。


でも通勤者はその車で買い物にも行く、馴染みの店舗ではない給油所に行くから得体が知れないという危害分析の結果です。


弊所では、車両まで分けるのであれば、そもそも自社であってもA農場、B農場に行くという行動は危険です。

汚染を広げるだけです。


そして、服も替えずA、B農場を渡り車内も消毒せず、違う従事者が給油や堆肥舎に行くという行動は汚染を広げるリスクを高めているだけで、通勤車と汚染の考え方は変わりません。


汚染が見込まれるフロアマット、衣服から汚染するであろう座席、背もたれは従事者の自家用車と異なるリスクとなるのでしょうか。


多くは自農場は清潔であり汚染度は低いと見るようです。


でもよく考えてください。
自農場は清潔と考えていた農場は鳥インフルエンザの被害にあった農場も同じです。


あんな衛生面に不安がある農場が鳥インフルエンザ発生になると考えるような養鶏場はこの数年見なくなったと言えます。


ウインドレス鶏舎であり、鶏糞が通路まで垂れ流れるような畜舎でもなく、悪臭漂う堆肥舎でもないのです。
一昔風で言えば、よくやっている農場と言う状況です。


では何が違い被害にあうのか、そうではないのかと言う視点です。


だから自農場は衛生的であるからと言うなら、もう目先しか見えていない人と言えます。


そうではないのです。


恐らく人の意識が大きいと感じるのです。


長靴を十分に踏み込み消毒していない人、長靴履きなのに運動靴で入場する人、鶏舎の出入りを厳しくしていても外部者は同じ衛生管理区域とそうでない区域、あるいは鶏舎も違いがない同じ服で入るということはありませんか。


何がいいたのかと言えば、自農場は衛生的と言う思い込みがそもそも思考の失敗をする出発点であるということです。


物事の想定が違えば、答えも本来と違うものになります。


何もなければそれが正解と思い込みますが、実は被害にあってから違ったということも多いのです。
ある県で発生した農場では、従事者の出入りに問題があったと認識できたのは殺処分され、消毒され、ふき取り検査をして陰性がわかった時の農場も見直しの時でした。


みんなそうしているはず、消毒濃度も目検討ではなく必ず濃度上限の濃さで溶解しているはず、履き替えをして遮断していたはずといった振り返りから、


実はたまに面倒なもので踏み込み消毒を省略していた、踏み込み消毒の薬液も目検討で投薬し希釈していた、交換が面倒で数日放置していた、履き替えはしていたが、修理業者が少しだけ見たいから稼働鶏舎に入れてくれと言うので、そのままの状態で招き入れた等々


やっぱり人の意識に回帰していくわけです。


ネズミの穴がどうのこうの、入気口の薬剤投入機器を導入するどうのこうの、見える部分に趣をおくことは部分的にしか物事を見ていないということもあるということです。


これを経営者であればどう考えるのか、経営幹部ならどのように部下に指導していくのか、その視点がなければ、ただの会議で見えるだけの自農場は清潔だからという根拠が乏しい理由で物事を進め思考し行動してしまい、

結果運が良ければ何事もなくその通りであった、

発生したら業者が悪い、野鳥が悪い、役人の決め事が悪い、ワクチンを使用させないことが悪いといった責任転嫁ともなる思考しか残らず悲劇を繰り返すということもあります。


弊所の指導で感じることは、衛生基準は農場自身格段に高くなっているとハッキリ言えます。

でもそれはハードの部分(システムや薬剤の導入等)であって、運用するソフトの面(人、意識、考え)が左右するような差があると思っています。


全国にたくさんある養鶏家の農場で多くの被害が発生するということはなく、少ない農場で鶏を多く飼養するから殺処分数が大きいだけです。


そして、最近繰り返し発生する農場が散見しているということもそれは何が原因なのかと感じるところです。


私自身も30年から養鶏に携わりいろいろの農場を拝見しています。
その差は、いろいろな面で確かに大きいものです。

資金が少なくオンボロの高床式鶏舎もあれば、資金が豊富な農場の最新式ウインドレス鶏舎というところもあります。


でも最近の鳥インフルエンザの発生はきれいなウインドレス鶏舎でも発生しています。
汚いから・ボロいからそうなるというわけではないのです。


大事なのは、農水が定めている飼養衛生管理基準にしっかり適合していること、

そして人の思考力です。


意識を継続するのは難しいといいます。

ある経営者は意識意識と言うが、意識でどうにかなるわけないだろうと言います。


そうでしょう。

従事者はお給料が遅延なくもらえればそれでいいのです。


でもそれはあなた(経営者)がどういう基準で選んだかわかりませんが幹部職員も同じです。
酒を飲むいい飲み友達でしょうし、耳ごごちの良い管理者もいるでしょう。


でもあなたの分身ではないのです。

行きつく先は銭をもらうかどうかなのです。


では意識意識といっているのは誰ですがと問えば、多くは管理職ではなく作業員に向けた言葉ではないでしょうか。


そうでしょう。
従事者はお金が目的で仕事をしていると決めつけているから、視野が狭くなっているということです。

 

だからできないと片付ける前に、そもそもそれを教える幹部職員はどうですかという視点が抜けていることに気づけていないのです。

 

ここが人の意識です。


人は教えればその通りに仕事をします。


でも教えない、面倒だから適当にやらせる、失敗したら従事者が悪く管理者は悪くないという風土では、意識意識と言っても確かに意味はありませんし、
組織として意味を持ちません。

恐らく何も解決できない、生産量が低くても解決法が見つけられないし、鶏が悪いと決めつけて幕引きを図ります。


そして高確率で鳥インフルエンザのような被害には合わないでしょうが、来年はわかりません。
ルーレットゲームのように赤が出るまで勝ち続ける要素しかない、運しだいとなるのです。


毎年お話ししていますが、農場を動かすのは経営者ではなく管理職員でもありません。
多くは従事者です。
その人は日銭をもらい仕事をしています。

当然必要なら教えることをしなければならないのです。


何もせず仕事ができると思い込む程無知はありません。


今の時代教えなければ、教えるような仕事はできないのです。
勤続10年程度の人を農場で良く見ますが、一昔の3年4年程度の技量や思考と言う人が多いように見えます。
それが管理職員と名乗るという農場も見ます。
やはり何か足りていません。


教えられない、思考力がない、想像力が足りないという事例も見られます。


そして経営者であるあなた(または管理職にいるあなた)はどうでしょうか。


親から譲られた農場で(年数序列で管理職に登用され)、何もしなくても鶏は卵を生み1個30円の鶏卵を生産している、今この瞬間も銭が生まれているという程度の思考はないでしょうが、必要なことを考え実行させるという思考はお持ちでしょうか。


たかが他県の鳥インフルエンザの話題と聞き流すのも良いでしょう。
だって自農場は清潔だから。


本当にそうでしょうか。

その根拠は事実ですか。


100万羽単位の農場も殺処分される時代です。
設備をよくしても解決できないのも事実です。


確かに金網を細々直していくだけでどうにかならないのもその通りです。
でも法令があるなら守るのも意識を持つかどうかの一つの目安になります。


意味がない、現実的ではない、プロである養鶏家を知らないという意見も聞きます。
でもその思考で鶏を守れるのでしょうか。


俺のやり方が完全であり間違いがない、優秀な管理職がいれば農場は衛生的である。
まだその思考で来年を迎えていくのでしょうか。

 

鳥インフルエンザの被害はこれで治まるようになるのでしょうか。

そのためにできることは、消毒液の濃度だけ意識していればいいのでしょうか。

石灰を撒くだけで解決できるのでしょうか。

行政から言われたことだけ実行していればいいのでしょうか。

 

もっと根本があるのでしょうか。

 

北海道で鳥インフルエンザが発生肉養鶏19000羽処分 本年初の発生事例

渡り鳥の飛来が9月下旬ごろから聞かれ、北海道、東北、北陸では今年もハクチョウ飛来等の見出しで報じており羽を休める鳥たちを写真に収めています。

ほほえましいシーンですが、例年渡り鳥の飛来が聞かれる頃には鳥インフルエンザの不安が高まります。


例年10月頃には野鳥からの感染事例が聞かれ始め、11月になると養鶏場からの被害報道が聞かれる傾向がありました。


本年は、9月30日検体回収した北海道乙部町ハヤブサから、10月8日北海道別海町から回収のカモ類の糞便からそれぞれH5N1亜型の鳥インフルエンザが検出されており、消石灰散布を始めたという方も多いことと思います。


野鳥からの2事例は北海道内であるものの道東、道南と離れた地域で検出されており、今回発生農場の道央地域と離れています。


先ほどお話ししましたが、渡り鳥は9月下旬ごろから東日本地域には飛来が始まっており、報道がないから安心というわけではありません。
渡り鳥飛来の話の多くは、養鶏家に向けての報道ではなく、地域の話として報じられており全国広く網羅されているわけではないということです。


ですから9月にはリスクが上昇していると考えていただくと、この先本格シーズンにむけて皆さんの農場をどのように守っていくのかという意識が高まることと思います。


そのような中、1例目になる北海道厚真町の肉養鶏場では16日農場から鶏120羽が死んでいるという連絡があり、簡易検査で陽性反応が確認され、17日遺伝子検査で確定となり、同日午前10時から飼育している19000羽の殺処分が始まりました。

この農場は平飼い飼育で採卵鶏農場ではありません。


これにより移動制限となる半径3キロ圏内に2農場32万羽、搬出制限半径10キロ圏内に3農場39万羽が制限をうけています。


処分そのものは数日で完了するものと見られ、鶏卵搬出はすぐに解除できると想像できますが、鶏は清浄化が確認できるまでは搬出は難しいでしょうから留め置きとなる可能性もあります。


該当されている地域の方々は、廃鶏出荷等のスケジュールについて1か月先以上の変更も必要になるかもしれません。

県の情報を集めてご対応ください。


例年11月頃から農場被害が聞かれますが、本年はそれよりも早い発生です。


早いから事態が深刻化するということはないでしょうが、それだけ早く皆さんの農場も鳥インフルエンザへの対策を始めていただくということです。


例年翌年4月頃までは不安が続く傾向にあります。
今年は7か月くらいの警戒が必要です。
飼養衛生管理基準を守り、車両の消毒、人の消毒、機材の受け入れの消毒の他、農場から出る人、物の消毒も大事な時期になりました。
そして、効果がないよと言われがちの消石灰散布も大事です。


最近よく耳にしますが、ウインドレス鶏舎なのにウイルスが入るのは本当に小動物が原因なのか?
野鳥が保菌している可能性はわかるが、それがウインドレス鶏舎に侵入することがあり得るのか?
ネズミに数粒のウイルスがまき散らかされるだけで被害が甚大になるのか?
金網をふさげば何とかならないのが実情なのだから、本当に動物に原因を押し付けているだけではないか?
といった見えないものだからこそ、推測とその防止の手間に疑問を感じているところもあるように思います。


では意味がないとくくってしまうと、何もしないほうが良いという結論に至ります。

被害があるかないかは運しだいと言われるゆえんでもあります。


でも見えないものだからこそ、思い込み、根拠が明らかでない推測はとても危険です。


数多くある養鶏場で毎年甚大な数な養鶏場が感染することはありません。
最も被害が深刻であった令和4年の大流行でも86事例(農場や施設)です。


つまり被害を生みやすい地域(周辺にため池が多い、野鳥が多く検体回収からウイルスが検出されやすい、周辺に同業が多い等)もあるでしょうし、飼養管理のレベルの差から異なることもあるでしょう。


ですから、意味がないとくくることは「うちは大丈夫である、だから根拠が乏しい作業は無意味である。だってうちは発生したことがない」という思いはないでしょうか。


確かに確率から見ても小さいものです。

その小さいはしっかりとした管理と発生しやすい地域でないといった理由があると思います。


是非おごらず、被害ないような謙虚な姿勢で取り組みを続けてください。


空気感染もささやかれていますが、根本はウインドレス鶏舎であれば、人が持ち込むリスクもあり得ます。ネズミといった小動物が持ち込む可能性もあります。
確かに空気を媒介していくこともあるでしょう。
でも空気を除菌して入気口に入れるという方法は現実的ではありませんし不可能です。


そうなると無菌室のような設備を作りウインドレス鶏舎にする必要がありますが、その投資額は莫大です。


人の風邪や人間のインフルエンザ防止には手洗いうがい、マスクの着用といった方法を推奨しています。
でも完全に防げてはいませんが、新型コロナの時期には人が外出しなかった、マスクを着用していた、手をマメに洗っていたといった方法が人のインフルエンザ罹患率を下げたとも言われます。

 

このことを想像しながらできる方法を想像すると、

まずできる方法として、金網補修から動物の侵入防止、人の出入りには手指足の消毒と、履物を鶏舎用に限定したものだけを使い遮断するということを徹底していくことが大事になるのです。
そして農場敷地内には野鳥が徘徊しているはずですから、農場敷地の石灰散布をして強アルカリで殺菌効果を期待するのです。

 

いずれも直接ウイルスに効果を及ぼす方法ではありません。

先ほどの手洗い、マスク着用と同じで間接的な効果しかないでしょう。

でも、それがかなりの頻度で防ぐ方法にもなっているのです。


もしお金をかける余裕があるのなら、入気口に消毒液を流し殺菌した空気を取り入れるシステムを導入する、昨年から試験導入している農場もある鶏舎内に赤外線照射した殺菌システムを導入するという方法もあるでしょう。


でもそこまでできないのなら、換気をまめにできる方法を模索することも大事ですし安上がりです。
コロナもそうでしたが、狭い空間で換気がおろそかなら感染が広がりやすいというシーンを思い出すと、滞留させないという発想から、換気するから冷えるからしないではなく、間欠運転させて排気を操作することも防ぐ策の1つになるかもしれません。


でも換気は冷えるからできない、効果がわからないから動物侵入策は意味がない、人はそんなリスクを知っているはずだから原因にはなりえないといった、現場側の思い込みでは隙を突かれてしまいます。


今年は農場被害報道が例年より早い季節で始まりました。

鶏卵相場は今年も高い位置で推移しています。
この先年末にかけて上昇もあり得るでしょう。
であれば、お金がガッポリ入るではなく、いただいたお金を鶏達のために改善できることに少しでも投じる必要があるでしょう。


それは機材のお金もあるでしょうし、人への投資(知るための投資、気づくという成長のための投資)もあります。


知っていただきたいのは、被害を受けた農場皆さん同じことを言います。
「何が原因かわからない。できることをしっかり実行してきたのに・・」
皆さんも同じ発想で対策を講じているはずです。

同業だからわかるでしょうが、いやあの農場ではねぇということもあるでしょうが、

多くは本当に理由が分からず被害にあってしまうという現実もあります。

 

最近の疫学調査概要を見ても、不備を指摘する事項がないものも散見されます。

つまり、相当の管理をしっかりされていて不備を指摘するものがない事例も存在しています。


そして発生する農場が全国に存在しそれは毎年場所を変えて発生を続けているのです。


皆さんの農場は、謙虚にそしてリスクを考えてこの季節を迎えていることと思います。
この先の半年、被害なくお過ごしいただき笑顔で春を迎えていきましょう。

 

労働安全衛生法を知っておきましょう 移行期間が満了し施行されています

令和6年3月まで農業分野に対する労働安全衛生法の一部教育の省略が認められていましたが、本年からは省略規定が廃止されています。


JGAPをご指導している農場の皆様には昨年からこの点についてご説明をしており、その対策と教育訓練方法について既に取り扱いを変更して運用されていますが、まだご存じでないという農場も多く、恐らく相当数の農場までこの指導規定を知っているという方はいないのではないかと感じます。


弊所のブログでも飼養衛生管理基準のお話しや、その他労働安全衛生法に関する違反事例を畜種ごとに説明しています。


多くはそんなもの関係ない、事故は自己責任なのだからという思考を持つ農場も多く、これが農業に対するブラック化に至るという発想を持つ方は多くありません。


確かに就業中であっても事故は会社がそのように仕向けているわけではなく、被害は自身ではなく不注意な従事者でありその大変さ まで思うということもないからと、ある畜産関係者は言います。


これが自己責任論の危険なところで、今の時代労働者にけがをさせる又は死亡させるということがどれだけ罪深いのかという発想がまだ醸成されていないことから、法令順守と言う発想力もまだ身に付かず、ましてや事故の責任やその防止策まで想像できない組織体制もあり「農場の常識は世間の非常識」とも言われます。


そんな、自らの農場存在価値を下げていく農場やその責任者の方々とそれが正しいと思い込む組織の弊害に気づけていないのでしょう。


弊所では、ブログを通じて世間の常識を知り自らを修正するというきっかけをお届けしておりますが、ご指導と違い自己解釈が多いとも感じます。

できるだけ専門家の助言を受けることをお勧めしております。


さて、今人を雇用した時、どのような流れになっているでしょうか。


採用し、労働契約を結ぶというのが一般的で、書面交付が主流です。
昭和・平成初期頃はそんな紙で何かを交わすという発想はなかったと思います。

昔話として、昔は履歴書すらいらなかった「履歴書ないけど、明日から雇ってくれ」と言えば採用された時代だったと聞きます。


そして令和6年初頭までは作業に従事していただき、仕事を覚え一人前になるまで指導が続き、定着化していくというものです。


しかし制度が変わり、雇用し労働契約を結び、研修教育させ、従事していただくというステップになっているということまで知っているという方は少ないと感じますが、これが正しい雇用の在り方になっています。


これが世間の常識です。

これを知らないということで世間の非常識と言われてしまうのです。


どういうものかと言えば「安全に仕事をしてもらうために、安全教育をして事故を起こさない組織を作る」ということです。


もっとはっきり言えば、従事者にケガさせない、死なせない、重機を正しく使用させ人身事故を起こさない義務があるということです。
この視点がないので、自己責任であると平気で言ってしまう組織・農場・経営者になってしまいます。


これが世間の非常識と言われてしまう一つの例になっています。


いくつかの違反事例はこのブログやはてなブログにも掲載しているのは、そのような組織が最終的に事故を起こした時のペナルティーがこのようになったということをお話ししているのです。
それを他人事のように笑って見るのか、大事な視点と捉えるのかという農場側の意識です。

 

さて、労働安全衛生法の教育は8項目あり、農業分野は1から4までが省略できました。
1,機械等、原材料の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
2,安全装置、有害制御装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
3,作業手順に関すること
4,作業開始時の点検に関すること
5,当該業務に関して発生する恐れのある疾病原因及び予防に関すること
6,整理整頓及び清潔の保持に関すること
7,事故時等における応急措置及び退避に関すること
8,前各号に「掲げるもののほか、当該業務に関する安全のほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
とされています。

 

重機や機械類を操作する際には必要な講習や特別講習を受講させる必要があります。
フォークリフト運転業務
油圧ショベル運転業務
・高さ2メートル以上ある場所で作業させる場合で、作業床を設けない場合脱落防止器具フルハーネス型を用いて作業する業務の場合
・刈払機の取扱業務


このような物が、農業や畜産業に該当すると考えられ、必要な教育訓練をさせるようにご指導しています。


その労働安全衛生法を知らない、聞いてないということはブログをご覧いただくとわかりますが、畜産業の一部事例では行政側から違反がある場合処分を受けています。


回転する機械に腕や指が巻き込まれて切断したり死亡したという事例、重機の講習を受けず無資格で操作し周辺にいた人を潰して死亡させたり、労基署の立ち入りがあっても平気で乗り回し行政処分となった事例、ポンプ点検をして三相電源に接触し死亡してしまう事例、排水配管を埋設させて土が崩れ生き埋めになる事例、草刈りをさせて熱中症になり必要な措置を怠ったという事例もあります。


これらは自己責任ではなく、必要な教育がないことで、そういうもの・少し危ないけど気を付ければ大丈夫と言う組織風土になり、事故は昨日までないから大丈夫と言う過信から、今日は事故に至り大変なことになるというパターンです。


危ないものは、気を付けて行うという思考がそもそもダメなのですが、大事な視点は事故防止のため「このように対策を講じて行い、そのために安全第一で気を付けて行う」という流れが必要なのです。


ここまでの視野で注意喚起や教育をされているでしょうか。


それが足りないので事故に至ると言うことなのですが、その視野がないので自己責任であり従事者の問題と捉えてしまい組織もそのように理解してしまうのです。


では、皆さんはどのように教育していきますか。


例えば、畜産業では機械類を多用した器具が多く採用され稼働しています。


ウインドレス畜舎であれば、空気を入れる設備には排気するファンがあります。

その回転羽をメンテナンスするため機械を止めるわけですが、止めて作業することまではわかりますが、ではその止めた機械が動くということまで想定していますか。


スイッチを切っているからあり得ないというでしょう。
でもスイッチが切れているから誰かが異常と感じスイッチを入れるということはありませんか。


そんな1名しか農場にいないというでしょうが、でも修理があるから誰も来るなと入り口に張り紙はしていないでしょうから、突然に尋ねることもありでしょう。
その時はどうしますか。

万一機械が動作したら、三相モーターでしょうから、指腕は切れる可能性が高く、体を入れて作業してたらどうなるのでしょうか。


そんな時、作業手順を定めて組織内で共有していれば、誰かが突然来るという想定もいらないでしょう。

細かく想定するから無駄である・意味がない思考であると考えてしまい、まあ気をつけてくださいになるのです。


だから事故がある日発生し大変なことになるという未然に防ぐきっかけを失い、偶然から事故が発生せず毎日が流れいつしか危険と言う意識が遠のき・忘れ去られていき、あり得ない想定には気を付けてという程度になってしまいます。


安全と言う言葉は昔からのことですが、安全が大事であり常識化されていると知ったのはここ最近なのかもしれません。
ましてや安全と言う言葉は知っているものの、それが今農場で必要とされていることまで知らないということもあるでしょう。


このように労働安全衛生法をすべて正しく知ることも良いでしょうが、先ずは大事な8項目を知り取り入れていくことを知っておくと良いでしょう。


そして、安全を維持させられず、落ち度がある場合相応のペナルティーがあることも知っておく必要があります。
そうすることで、安全と言うのは当たり前のことではありますが、それを疎かにしておくことがマイナスになるということです。


時代が変わり、従業員の安全確保は当たり前です。

それを昔から疎かにしているのではないでしょうが、意識は薄かったことでしょう。


今は、その意識が薄いことが問題であるということです。
そして安全に配慮した組織に慣れないことで、事故を起こし処分されるという時代です。


たかが制度改正で、労働安全なんか気を付ければよい程度の喚起で良いではないということです。


JGAP畜産は、当たり前のことを論理的に対策を講じる仕組みがあります。

家畜への衛生管理だけではなく、労働者への配慮も当たり前になってるわけです。


意味がないと言われるJGAPの思考も今の時代必須になっているということを知ると、取得するということより今必須になっていることを認識するきっかけになります。
法令順守が当たり前になる中、農業だから畜産業だから除外されるという時代ではありません。


今を知り、今に合わせた組織があることで「世間の常識は農場の非常識」と言われないようにもう一度見つめなおしてはいかがでしょうか。

2024年度の最低時給が決まりました 皆さんの農場の従事者は大事な資源ですか

都道府県別最低賃金額が8月29日揃いました。
全国平均時給額は51円高1055円になります。

徳島県は84円の引き上げですが、20都府県は50円高で決定しています。


これにより、時給は1000円を超えた地域は16都道府県になり、800円台の地域はなしで、最も低い地域は秋田県の951円となり、次いで952円の沖縄、宮崎、熊本、高知、岩手県となりました。

 


養鶏が盛んな地域を見ますと、茨城は1005円、千葉1076円、鹿児島953円となります。
東京商工リサーチがインターネット調査を行い回答数5500件から、10月からの上昇額により、最低額を下回り引き上げしなければならないという企業が、調査した数の11.7%となり、最低額を超える水準まで引き上げると答えた企業が7%と全体の18%は最低額以下に陥ることが浮かび上がっています。


しかし、アンケートの全体約6割は改定して上昇したとしても、最低額を下回ることはなく、給与変更はないと答えた企業が約6割と答えています。
一般的に最低額を支払い基準にする企業は、毎年最低額に合わせるように引き上げを必要とします。


人件費を抑制したいという企業にとって賃金は重いものと考えているように感じます。
その通りと思いますが、一般的にそのような企業ほど原料代、燃料代、エネルギー価格すべてが重いと言います。
つまり収入に対する出費の割合が高すぎることで、何もかもが重いと感じるのだと思います。


それは仕方のないことですが、削っても良い物、そうでない物の区別ができないと、企業の存続にかかわることまでわかっているという方は、思いのほか多くのないように思えます。


車の稼働に使用する燃料代、よく農場を見回すと無駄な運行があるという事例があります。
例えば、従業員が燃料を購入するため馴染みのスタンドまで運行し給油する。

これは一般的なことです。


しかし、細部を見るとスタンドに給油し農場に戻る。

次に出庫し近隣の農業資材店に行き除草剤や殺鼠剤等を購入する。

次に出庫し近くの系列農場へそれを配り戻る。次に出庫し備品等の購入にホームセンターに行く・・


このような動きはありませんか。

何が言いたいのかということですが、用事は1回で済ませるという意識が農場に定着しているのでしょうかと言う話です。


これは時間効率と言うことではありませんが、この無駄とは言いませんが不要な動きにはコストがかかっているということです。
多くの場合、農場の隣はホームセンター、ガススタンド、資材販売店と言った好立地な所に農場はありません。
大抵、車で5分、10分、それ以上と言った場所に目的地があるはずです。


多くは軽自動車で動くでしょう。

燃費はどうでしょうか。うちは電気自動車だよという所はありません。
ガソリン車ですから燃料が必要です。
片道3キロ、6キロ、10キロ超えるということもあるでしょう。
つまり往復(農場に戻るので)で見ると、楽に1リットル、2リットルと消費されていきます。


1リットル170円くらいではないかと思いますが(多くはフルサービスの馴染み店でしょうから少し割高ですが・・弊所の近隣もそうですが窓は拭いてくれませんが世間話するサービスがあります)、1運行で170円、340円、510円と消費して目的を達成します。


たいしたことがないという方もいれば、これを週何日されているのかわからないという所もあるでしょう。
これを何回か発生して月ガソリン250リットルとなれば42500円(170円リットルとして)となりますが、適正な執行であればそれは農場を維持するコストである無駄ではありません。


でも無駄な動きをされていて、本当の稼働は半分でも良かったとなればもっと違う請求になるはずです。
でも運行記録簿のようなものはありませんので、どのような使われ方をしているのかは農場しかわかりません。

そして農場も意図的に無駄な動きをしているという自覚はありません。


多くは時間が余り隙間時間に動いて用事をしているということが多いようで、無駄な動作ではありませんがそもそもその行動が無駄ということまでわかりません。

良かれと思って又は時間つぶしに動いているということが多いような事例も意外と多くあるように感じます。


弊所でもコスト削減の取り組み支援をしている場合必ずこのような見えないコストを探し提案しています。


問題は金額でありません。

それが必要なのか、そうでないのかという区別ができないということです。


これができないと、物が壊れたから農場が修繕発注させたら、適正値以上の請求が届いたということもありませんか。
多くはその業者がぼったくりしている、あの企業は高い請求をいつもしている等本質まで見えていないこともあるように感じます。


確かに紙で印刷された請求書からは適正値やその修繕の適正価格を読み取ることはできないでしょう。

だから相見積したりと探るわけですが、農場器具の場合の多くは競合がいるということはありません。


特に建築を終えて稼働している場合は、その建設メーカーの部品を取ります。

だから相見積もりはいらないのです。

互換性のある部品がないからです。


では、特に何が無駄なのでしょうか。
多くは交換する部位が広すぎることが原因と見ることが多いのです。
例えば、集糞ベルトは通常作業時に片寄ったりすることはありません。

多くは何かしてベルト位置を直すことでずれが生じ、それが偏りに至り折り曲げるという事例が多いように思います。


ここで大事なのは折り曲げるリスクまで想定した作業になっているのかということです。

位置を修正するということは偏りをさせるということです。
多くはそこまで知っていると答えるもののそのような動きになっていないように感じます。


そして折り曲げてしわを作ります。

これが偏りに拍車をかけるのですが、農場の多くは折れたので更に片寄ることで、位置を修正させるのですが、既にまっすぐになっていないベルトを修正してもできるわけはありませんが、それでも位置を修正していくのですが多くはそう時間をかけずベルトが箸から折れ始め半分まで折れていくという所もあります。ここまで行くともう修繕どころではありません。


鶏糞の多くはベルトに乗せられないほど細い状態になるのです。

そして回転が速いものほど損傷も酷く全交換に至ることも珍しいものではありません。

 

さて、そのベルトいくらぐらいですか?と尋ねると多くはそれなりの適正価格を知っています。
1メートル1300円です、2200円です等幅や品質による差まで知っているようです。


では、それをどれくらいの長さ全交換しますかと尋ねると、多くは鶏舎の長さが20メートルなのでそれくらいと答えます。
しかし、ベルトは片道の長さで用が足りません。

つまり20メートルなら40メートルは最低限必要です。
ですから1メートル1300円の20メートル26000円ではありません。


往復分52000円です。

ですが少し予備の長さまで購入するはずですから、45メートルぐらいになるでしょうか。そうなると約6万円が原料代です。


当然自分たちで交換できません。

重みのある集糞ベルトを手で引くことはできませんから、モーターを使い引き出します。ですから職人の手間賃を払います。


多くは1日2万円、3万円それ以上と言うこともあります。

ですが2万円の職人を1名で行えと指定はできません。
それは職人の稼働状況で決まるためです。

ですから今回は3万円の職人、珍しい5万円の職人となるのです。


でもこれに文句を言うことはできません。

お前のところから6万のベルトを買ってやったのだから工賃はいらないだろうとか、2万しか払わないとかカスハラもどきのことをしているところもありますが、
今の時代カスハラを容認されているほど優しい日本ではありません。

 

このような農場ほどお金を節約していると自負されているように思いますが、実は損もしているのです。
例えば、修繕の順序が後回しにされている、手間賃2万のために得意ではないような職人がやってきて勉強のために設置していく、ベルトのグレードを1つ下げて原料費から落としていくということ等、相手も損はしないのです。


どちらが大きな損失になるのかという視点で見れば、受け手側が大きいのです。

だってわからない原料、取り付けなのです。でも請求書は希望通りです。
6万のベルトを納品した(販売値で見ればそうでしょうが、本当は5万円を下回るような適正価格だったり)、手間賃は2万円(本当は専門ではないが勉強のために設置させた、適正価格は13000円くらですが)等


例えばズボンが定価9990円を4980円と言われれば本当にお得だと感じるはずです。

でもその店舗は9990円でも他所のお店は5200円とか、4280円とかが適性であれば、あれ?得した?になりますが、他店をはしごして確認していませんからわかりませんし、今回の事例では相見積していませんから安いしかわかりません。


そして多くの場合修繕まで時間がかかります。

だってそんな低価格作業より新築農場に従事している方が賃金や実入りは高いのです。


皆さんもそうでしょう。

外資系倉庫店時給1400円のバイトあります。

簡単に商品陳列する業務ですというものと、近隣ホームセンター時給990円で簡単な商品陳列をする業務。

どっちがいいでしょうか。


多くは990円の方が軽作業だというでしょうか。

いやもらえるなら1400円の方が良い。

そうなるはずです。


相手もそのような損得勘定があるのです。


だから後回しになるのです。

でも早く取り付けろと催促しても「すみません、職人が今遠い地域にいるので早く戻していますが後2,3日待ってください」等かわされます。


急ぎなのに残念なことですよね。
でも仕方がないのです。
お客様順位から見て低いから仕方のないことなのです。

あなたも業者さんの見る順位は低いはずです。


相手もコストを見ています。

あなただけではありません。


どうでしょうか。
事を見る時物の値段しか見られない農場は多くの場合、表面的には損していないような買い物上手に見えるように感じますが、多くは購入先がそのような満足させる請求書を作っているのです。


その金額と適正値は同じであるとは限りません。
損させていないような表面的な視覚の話だけです。
ガソリン等見えないエネルギーコストも同じです。


今月はガソリン500リットルしか使わなかったな、先月は850リットルもあったのにいいぞとなるかもしれませんが、本当は適正量は300リットル位ということもありのですが、表面から見ることはできません。


そして鶏舎システムを更新したいな、国内業者仕様は約1000万円か、アジア圏の業者なら約780万円だな。どっちがお得かな?
となった時、お金節約を自負しているところは780万円だなとなるでしょう。

だって2割くらい安いのです。


でも修繕になると国内業者に依頼します。

当然外国メーカー仕様ではありませんから、部品はそれに似ているもの、仕様が異なるので広い範囲まで交換するということもあります。


そうなると、国内メーカー品の作業で8万円としても、外国メーカーでは20万円くらいするという事例もあります。


つまり後から浮いた分が回収されていくという視点で選んでいるのかということです。


まあカスハラすれば(自販機を叩くようにしていれば安くなる)だろうとなれば、相手先は優先度の低い農場になり早く来るわけがありません。
コストは、考え方や視点を変えるといくらでも節約ができますが、誤ると結果損をしています。


ですから「損して得取れ」という言葉があるのです。


目先10万円浮いてなにができるのか、それより鶏舎であれば20年先稼働させて最終的なコストはどっちが安いのか、駆けつける速さはどっちなのかと言う視点、ベルトの修理は全交換が基本ではありますが、損傷箇所が短い場合多くは部分交換もできるのですが、それを知っている農場は多くはありません。業者はそんな面倒なことを勧めるより全交換の方が良いのですからそっちを勧めます。


それ知っているのか、そうであればなぜ損傷を広げるまで使用しているのかという視点。


ガソリン等燃料代も、用事を1回で済ませるという視点が農場にあったら本当に毎月300リットルも必要になるのでしょうか。
見えないから、見ないではなく、見なければならないし想像しなければならないのです。


見えるコストしかわからないでは本質を見誤るのです。


さて、人件費ですが10月から50円以上の上昇です。

先ほどのアンケートでは、来年以降上昇しても許容できる金額は50円程度が最も多いそうです。
つまりもうこれ以上の上昇は価格転嫁等雇用側が増収努力しないと解決できないという意識が見て取れます。
つまり、目先しか見られない企業はいよいよ淘汰されていく時代に入っているということです。


そのために効率化DX等の話を聞きますが、その通りでしょうが本質はそこでしょうか。
私たち養鶏家は効率化を率先して進めてきた畜産業です。

恐らく畜産部門では最も効率化を達成している産業と言えます。


ではその先は何ができるのでしょうか。
餌代の節約?、鶏卵取引価格の上昇のための交渉?、やっぱり人件費の圧縮?
目先で見ているだけではどれも見誤ります。


良い鶏を育てるには何が必要か?
良い餌?、売価の高い鶏種の導入?、最低賃金をベースにした外国人作業員の増員?
これだけでは表面しか見ていません。


良い餌より良い環境からのアプローチ?、売価の高い鶏種をバタリーで飼育して付加価値が上がるのかな?、やっぱり固定費の代表格人件費の圧縮が早い?
なんか短絡的のような感じもします。


良い餌は高い値段の物しかないのか?、売価が高いためにノウハウはないがゲージフリーを実施して1年以内に黒字化させる?、日本人雇用より回転ドアのように入れ替わる外国人労働者を増員するに限る?
なんか現実的ではありませんね。


ではどうするのか。


それは表面ではなくあらゆる角度からご自身で見て、想像して、考えることしかありません。
鶏が安定した生産を得るためには人のかかわりはどこまでできているのでしょうか。
ただ餌を与えれば良い、水が出ていれば良いで何とかなっているでしょうか。
環境はどうなのか、そもそも寄生虫がわんさかいる農場になっていないはずでしょうからこれを維持するためにはどのように人が関わるのでしょうか。


知恵を持つ人が多くいる農場は本当に安心感があります。
でもそうでない農場は運任せのように見えます。


鶏が主役であるため人の存在価値は低く見られがちです。


特にロットを増やした農場ほどそのように見えます。10あるロットのうち1つ2つ優れなくても大丈夫、分散投資のような感覚です。
でも金融投資と異なり、各ロットは成長していくノウハウがあるわけではありません。(企業は成長のためのノウハウを持ち持続していきますが、鶏はそのロット限り成長していきます)


環境と毎回導入される鶏が高品質であるという前提条件がないと金融商品のような分散投資的な発想にはならないのです。
ダメな時は10のうち3,4,5と増えていくこともあるはずです。
原因がわかり解決されていき5,4,3と減っていくのです。


それは成鶏の問題の他、育成の問題があるということもあるでしょう。
それを解決するのは人です。

コンサルタントに頼むこともできるでしょうか、コストコストと言う方は恐らく依頼はされません。


ご自身で解決していくしかありませんが、その場合人が解決を見出すということです。
安い人材は、安いなりの理由があると思います。

作業員、集糞運搬員と鶏を見て感じて解決作業員は同じでしょうか。


それは年単位で鶏を見たというノウハウが必ず必要になります。
鶏は工業品ではないのです。

ではどのように人を確保するのか。それとも育てていくのかという話です。


でも、それなりの人材は、それなりのお金を必要とします。

だって今いる職場から鞍替えするメリットはないからです。
では、今いる人材を育てるという方もいるでしょう。
でも1週間、半年で何とかなるほどノウハウを会得することは簡単ではありません。それは見て感じて考えるというその人の行動力が絶対に必要だからです。
多くは1年以上3年、5年でどうでしょうか。
そんな時間がないという農場は、即戦力を採用しているわけです。


でもそんなコストをかけるほど余裕はないとなれば、どうしていきましょうか。


多くは育つだろうから、それなりに採用して作業員どまりの人材が多く残るか退職していき、いつも不足しているとなるのではないでしょうか。
だから安定雇用の外国人技能実習生を主体に採用していく。

今年は3件の中規模養鶏農場が既に破綻しています。
どれも農場維持費が高くなり撤退を決めています。(1件は鳥インフルエンザからの再稼働断念という事例ですが同じでしょう)
競争相手が減るから商機ありなのでしょうか。
いや、どこも厳しいからこそ先の視点で経営できるのかという手腕を試されているのではないかと感じます。


うちは固定客がいるから安心だとよく聞きます。
でもその固定客も厳しい環境にあるという事例も良く見ます。
だから農場も撤退しているように思うのですが、それとこれは別なのでしょうか。


たかが50円、されど50円。
その50円は重たいでしょうか。それとも人をつなぎとめるためには安いものでしょうか。

8月の台風と鶏舎の被害 台風災害に備えていきましょう

8月ももう終わりを迎えます。

皆さんの農場も暑い、暑いが挨拶のように話す機会が多かったと思いますが、朝晩は草むらから虫達が秋が来ることを伝えている頃ではないでしょうか。

まだ残暑が続いているとは思いますが、猛暑の峠はもう超えたように感じます。

あと一息頑張ってまいりましょう。


さて、その8月は台風が多くやってくる時期でもあります。

例年8月の台風は8個程日本近辺にやってくると言います。
今年はその8個目の台風が27日から28日頃にかけて南からやってくると言います。
先週も東北地方に上陸し大雨をもたらし、交通機関も運休や遅延といった混乱もありました。


通常沖縄九州からやってきて西からやってくるというイメージが強い台風ですが、最近は南から北上し本州へ上陸するパターンも増えているように感じます。


このため、勢力が強い状態で本州にやってきて強い風雨をもたらし、暴風による停電や鶏舎の破損(屋根の吹き飛び、設置物の損傷等)が多くなり、復旧も大変というお話も聞きます。


季節災害だから仕方がない、やりようがないと言われますが、できることもあるということを知っておくと、鶏が雨にぬれて生産量が減少した、給餌システムが故障し手押し車で餌を配餌した、カーテンが破けて隙間風が鶏舎に入り金網も破損し動物が侵入し、鶏に被害が出た等このようなお話も、しっかり対策できていればもっと被害は小さい又はないということもあります。


まだあきらめず、できることに万全を期していただき、しっかりと対策を講じてください。


台風と言えば、停電・強風・大雨による被害を心配されます。


最近はウインドレス鶏舎が主流になりました。
多くの場合発電機を備え、停電による被害を防ぐ措置を講じていると思います。
普段から燃料の在庫(満タン点検)は行っているところも多いのですが、いざという時発電をしなかったというお話も聞きます。


これは、発電のためのエンジンがかからないということもありますが、多くはエンジンがかかっても発電しないという場合が多いように感じます。
これは機械本体の問題が多く、回路の不具合や、発電に関わる部品の故障もあります。


いずれも私たち素人で直すというものではありませんので、専門業者にお願いすることになりますが、多くは万一発動時にわかるという厄介さがあります。


多くは、試運転してエンジン始動まで行うというところもあるでしょう。

最近はテスト始動はボタン1つで簡単にできる機械が多く手軽さもあり確認も簡単になりました。
燃料も発電容量によりますが、以前より燃料を激しく喰うような機種も少なくなり、省エネ・静音性に優れたものが多くなりましたので、万一に備え数百リットルの燃料備蓄を要するというものでもなく、導入して保有中の手間もだいぶ解消されていますが、発電機の要である発電できないというトラブルはあまり減っているような感じはしません。


このため、最近の発電機には点検やメンテナンスをする専門業者も多いことから、定期的な点検を行う保守契約を結ぶ農場も多くなりました。


しかし、そのような保守契約ができることを知らない農場も多く、台風に限りませんが、災害に対して不安を残す農場もあるでしょう。


せっかくの万一のための発電機が十分に発揮して鶏達を守るためにも、保守契約できるメンテナンス業者に委託することを今のうちに検討してはいかがでしょうか。
発電機はお守りではなく、万一に備えた設備です。


本体が鎮座しているから安心、燃料があれば安心、高い発電機だから安心ではなく、万一の際、発電できて鶏舎に風を送り込めるまでできて初めて安心ではないでしょうか。


でもそれは、外見から判断ができません。

発電機にコンセントはないでしょうからスマホ充電を兼ねた確認もできません。(多くは100ボルトで発電していないでしょうからそうなります)
ですから、多くの場合万一発動時に驚き慌ててしまうことになります。


去年発動したから大丈夫と言う方もいるでしょうが、いつ故障とは言いませんが発電できないのかはわかりません。

後悔したとき鶏達に被害が出た時です。
それでは遅いように思います。


保守業者には、近隣の農場をまとめて行う場合通常より値引くところもあります。
うち1件では高いが、近隣数件まとめて同日行うことで値引きされ負担が軽くなることもあります。(出張費がかなり軽減されます)


何事も違う視点からこのサービスを取り入れる方法を模索することです。

高いから何もしないでは、この先も何もしません。


次に多いのは建築して年月が経過した場合に良く見る屋根の剥かれ、カーテンの損傷です。
ウインドレスであっても、高床式鶏舎であっても柱は鉄骨又は木製でも、屋根を抑えるのは、垂木を使うことが多いのはないでしょうか。
その垂木は、通常長い期間腐食せず屋根を抑える役割を果たします。


ですが、年数が経過すると、屋根から雨漏りをすることもあるでしょう。

早ければ新築して間もなく床に雨漏りの痕跡を見つけることもあります。
最近の屋根材はガルバ材を採用した屋根・壁材が多く使われるようになりました。ガルバに断熱材・アルミ膜(最近は壁)のサンドイッチです。


ガルバはトタンと違い、錆がすぐに浮き出るようなものではありません。

防食作用に優れています。

ですから耐久性が格段に上がり鶏舎の建築に採用されているわけですが、問題は職人の腕に左右されるということです。


屋根として使う場合、垂木に釘を打ち固定させるわけですが、通常垂木は歪みなくまっすぐなので、直線に釘を多く打ちます。

ですが、同じ作業を延々行うことで、稀に位置ずれをおこしてしまうこともあります。


几帳面の人であればコーキングして穴を埋めますが、そうでない時はそのままにされることもあるでしょう。


そして雨が降り貫通した穴から雨がしみこむというパターンが多いわけですが、時間が経過したとき、それが垂木の腐食をもたらし、固定する力を徐々に低下させることで、屋根が飛ぶということもあります。
ですが、屋根が飛ぶ場合の多くは、鶏舎内に大量の風が流れ、その風が逃げられないことで、固定が弱い箇所がはがれ屋根が飛ぶ、壁が飛ぶということが一般的です。


このため、暴風が想定される場合、鶏舎に過剰な風が入らないか点検する必要があります。


壁と屋根に隙間がある場合、入気口に風よけや雨除けできるような機能がない場合、集卵バーコンが鶏舎を通り穴がある状態の場合は、風を入れないようにしておくと良いでしょう。
入気口は換気上必須ですが、多くの場合十分以上な数があるはずです。

 

では、そのうち半分をビニールシート等でふさいだ場合、被害はあるでしょうか。
多くはそのようなことはないと思います。
全てをふさぐことは冬季以外できないでしょうから、半分それ以上はふさいで排気口を稼働しておくと良いでしょう。


ですが、換気能力を阻害しないように建築したメーカーと換気量の設計について確認しておくと安心です。


またできるだけ入気口はシャッター等封鎖できるようにする設計だと安心です。

現在の多くはこのような構造ですが、少し前(10年、15年前)あたりは、暗視壁だけという場合もありますし、そもそも入気ファンを設置せず、カーテンで開閉して調節する場合もあります。


大事なのは、風を著しく鶏舎に入れないように警戒しておくということを知っておくと対策方法が見つかるはずです。

また、高床式鶏舎であれば、逆に閉鎖することで壁屋根を損傷させるリスクが高くなりますので、むしろ鶏が雨風に濡れないように開いて風を逃がす方が安全です。

大事な視点は鶏舎を袋状にしないという意識です。

風が行き止まりになると破くというイメージです。


カーテンであれば、破れも想定されますので、薄い板を用いて打ち付けしておくと破れをある程度防ぐ事ができます。
既にやぶれている場合は、ガムテープの強化版を使用する(ビニール製)と良いでしょう。
透明タイプ、黒等色も各種ありますが、大事な点は水に強く、強度を持っているということです。
カーテン生地は時間経過すると、突起物に触る場所、先端部、力が絶えずかかっているところは劣化が早まり薄くなり破れていきます。
生地の性質上、横に破れるより縦に裂けるようなことが多いのではないでしょうか。
縦に裂けると、カーテンを抑えている上部まで到達し更に横に広がり、お化け屋敷のようになってしまい穴が大きく広がります。


ここまで行くと多くは再取り付け又はブルーシートで養生していくと思いますが、早いうちであれば穴の開いた箇所に丈夫なテープをつけることで止めることもできます。


大事な点は、破れた穴以上に大きくテープを貼り穴の箇所を完全にふさぐことです。
穴がテープから残ると、そこから穴をあけていきます(広がります)ので、完全にふさぐということです。


このように、何もできないしないではなく、どれも早いうちに対策をしておくだけで未然に防ぐということもできます。
後は、それをする時間と人、お金だけです。


これを面倒がると、被害が大きくなり、仕方ない、何もできないと諦め言葉で片付けるしかないのです。


そして鶏舎周りの排水を点検しておくと、雨水の流れが鶏舎へ広がることも防げるでしょう。


このように台風前と言うのはやることが実は多くあるのです。
それは全て大切な鶏達のためでもあります。
鶏のいる世界は毎日が晴れです。それしか天候を知りません。
でも人が管理を遅らせてしまうと、急に雨模様になり鶏も濡れて産卵に影響を及ぼすことになります。


鶏が濡れてうつむく姿を見たことがあるでしょう。
何か寂しそうな仕草をしていることもあります。


8月の台風に限らず9月も例年6個ぐらい発生するようです。
今月の話ではなく、この季節のイベントを皆さんで考えながらできることをしていきましょう。

養鶏場で銅線が盗まれ鶏が死亡 銅線窃盗に十分な対策を

7月30日午前3時ごろ群馬県渋川市北橘町の養鶏場で、変電設備の銅線が切断され、銅線170メートル被害額500万円相当が盗まれました。


被害はそれ以上に深刻で、100万羽の鶏を飼育していたため、停電となり、空調が止まり鶏は暑さで死亡しているということです。
現在被害数が明らかにされていませんが、飼養羽数の一部に影響があるとされています。


報道では、渋川市内では太陽光発電設備等で銅線が盗まれる事件が発生しているということです。


ウインドレス鶏舎が普及しており、停電は致命的な損害を与えます。


多くは発電設備を持っていると思いますので、変電設備が不調であっても発電機からの電力が供給できれば鶏を守ることができます。
ですが、その発電設備からも配線が盗難にあう場合鶏舎設備が維持できないということもあります。


鶏舎の盗難と言えば、小型発電機、重機、軽自動車、事務所ガラスを割って侵入し小銭泥が多いように思います。


今回のように、銅線泥棒が養鶏場まで目をつけるということは、とても怖いことです。


多くの場合、変電設備は鶏舎敷地の内部に設置(多くは鶏舎のとなり、又は敷地の角地等)すると思います。


しかし、鶏舎の使われない区画に発電機や変電設備を設置するというのも普通の光景ではないかと思いますが、今回はこのような侵入しやすい又は通りから目立ちやすい場所で被害にあったという感じのように見えます。


確かに太陽光発電の多くは、元畑である場所だったり、荒れ地を地ならしして設置ということも多いと感じます。

その多くは通りに面しているのが多いように思います。


通りと言えど、交通量はほとんどない又は夜間は車人すら通らないのが多いでしょう。


最近は銅線盗難を防止するために銅線を入れているカバーにコンクリを流し込み引き抜きさせないものもありますし、そのような看板をあえて設置しているところもあります。


ウインドレス鶏舎の一番の問題になる電源喪失は、多くは鶏舎温度を上昇させ熱死に至ることが一般的です。


このため、停電時は自動的に入気口を開放する構造を持つ鶏舎もありますし、停電対応のため発電機を導入して支障がないように活動されてることでしょう。


最近は停電時の開放機能をつけるところは減りました。

それは、緊急機能は発電機にまかせることで、緊急機能による弊害(温度低下等環境の急激な変化によるストレス防止)もあり、あえて付けないということもあります。


また、緊急電話機能を持つ農場もありますので、停電した場合自動電話発信装置を取り付けていち早く駆けつける農場もありますので、発電機が機能しない可能性も視野に入れた二重対策も必要になるかもしれません。


また、銅線等金属を盗まれないように敷地に入る者を検知する防犯カメラも有効かもしれません。
カメラで検知してスマホに通知されるようなカメラもありますので、感知した場合カメラがマイクになり離れた場所から威嚇することもできます。


農場だから盗まれるものがない、臭いから立ち入る者はいないということも考えがちです。

しかし、JGAP畜産のように農場に入る不審者への対策は昔は不要であったとしても今の時代必要になっていると認識しても良いかもしれません。


少し前に家畜が盗まれるような事例がありました。

これも畜舎のカギをかけないということもありましたが、根底は侵入する人はいないであろうという昔の考えから抜け出せないことも要因です。


今回のように銅線を盗むことはないだろう、それは太陽光発電設備だけの話と思い込んではいけません。


そのためにカメラで監視し威嚇できる機能を取り入れることもできます。
又は、盗まれないように配管を丈夫な管でまとめることもできます。
そして、停電になるリスクを知ると、第2の予備のために自動電話発報装置を取り付けることも必要ではないでしょうか。


いや、夜勤の人間がいるから安心だし、常駐させているから不要という発想もあります。


でも重機を使い線を盗むというより切断して引き抜くのが一般的な盗難の方法です。

つまり騒音を出さないので気づきにくいわけです。


皆さんの農場での夜勤は、高温で異常通知があって夜勤者が確認するというのが一般的ではないでしょうか。
何もなければ巡回はしないでしょうし、仮眠をとるという人が多いのでしょう。


そもそもガードマンとして夜勤をさせているわけではありません。

万一犯人と鉢合わせた時従業員を守ることができるでしょうか。
どの農場でも、さすまたや警棒を持って巡回する人はいません。

真っ暗の中をたまに怪談話しながら歩いているのではないでしょうか。

そこに鉢合わせする。

 

想像するだけでも、とても危険なことです。


それより、機械設備を活用して未然に防ぐ又は盗難されないような工夫を考えていきましょう。


お金をかけることも大事ですが、カメラのように1万円しない物でスマホで感知をして威嚇音声を離れた場所から安全を確保して撤収させる方法もあります。

そして警察に連絡して従事者を守り鶏を守るという方法もあります。


昔の発想から抜け出し、金属泥はもはや公園や太陽光発電設備ではなく、私たちの仕事場も標的になっているのかもしれません。
鶏を守るためにも、今回の事件から皆さんの農場はどのような方法で守れるのか。
そう問う機会を皆さんで考えてみてはいかがでしょうか。


まだまだ暑い夏が続きます。
熱死から守るためにもできることを考えていきましょう。