10月29日キューピー傘下のキューピーたまごがたまご白書2026を公表しました。
この白書は17年より公表を始めて今年で10年となります。
詳細はキューピーたまごから記事を参照していただき、消費者が思うたまごの姿と、生産する私たちが感じる鶏卵の価値を改めて再確認でき、次の経営に生かすきっかけを作るものになると思います。
今日は、白書の内容を細かく見るのではなく私たち養鶏家が思う鶏卵の現在地を確認して見ましょう。
まず消費者がたまごをどれだけ好感を持っているのかという設問に対し、回答全体の48.5%はとても好きと答えました。
やや好きは35.7%でおよそ84%の人は鶏卵が好きと答えてくれています。
昨年は好きとやや好きをあわせ約85%と鶏卵の人気は継続している模様です。
生産者にとって好きという声はとても励みになりますね。
卵を扱う・使用する等のストレスに関して聞いてみると、割れやすいが圧倒的に多く26年では31.8%と多くなります。
次いで殻等のごみが出ること、賞味期限が短いことと並びその順位変動は変わることはありません。
そして不満・ストレスは感じないが31.4%と全体の3割は不満はないと答えてくれています。
弊所でも鶏卵の店舗状況を確認していますが、最近の鶏卵はパック詰めの段階での不良品(ヒビ卵やザラ卵といった卵殻が弱い鶏卵)はよくはじくようになったと感じます。
実際2022年の白書から見ても減少傾向で22年は35.9%あったのが、去年は32.1%、今年31.8%と改善していることがわかります。
また鶏卵容器も多様になり、パックから紙パックまで多様化しています。
どれも品質を保持する強度を持ち、少し前まで散見された柔らかすぎるパックは小玉用等に転用しているのでしょうか、しっかりと使い分けをしている傾向があります。
数年前鶏卵パックの持ち方が悪いと歪みヒビが入るというしょうがないパック詰めをしていたところもありました。
恐らく破卵によるクレームや店舗側からの苦情もあり改善したのでしょう。一部は他社製品に置き換わるところもありましたので、何かをきっかけに契約が終わり棚変更が生じたのではないかと感じる時期もありました。
鶏卵は品質は良い物は当たり前で、それは生産段階だけで良いというものではありません。
お客様が手に取りかごに入れて、エコバックに入れて家に持ち帰っていただき、冷蔵庫に入る瞬間に割れていなければ品質不良ではなかったと認識されます。
ですから容器代をケチるようなGPは数年前の卵価高騰でのクレームによっては淘汰されたのではないかと感じます。
そして代わりの業者が入り棚入替戦が発生した店舗もあったのではないかと思いますしそう答える店舗責任者もいました。
それは結果、鶏卵を好きになっている消費者への信頼につながり高卵価であっても購入を続けてくれている良い結果になっているのでしょう。
消費者が健康のために意識して摂取している食品を聞くと、野菜、乳製品、大豆製品、卵とならび順位の変動はなく上位4位にいます。
鶏卵は動物性たんぱく質が取れるといったイメージがあり食べるものが不健康というイメージはありません。
そして料理のバリエーションは多く、サラダに牛乳にパンと目玉焼きという朝食もあるでしょうし、納豆、ごはん、厚焼き玉子に味噌汁という家もあるでしょう。
昼も牛丼に生卵付きと言うこともあるでしょうし、お弁当を作り厚焼き玉子に揚げ物、ポテトサラダのようなお弁当もできます。
設問には全体の27%は特に健康を意識して摂っている食材はないと答えており、健康食と言えば野菜や乳製品や大豆製品は認知されていますが、卵や以下順位にある「きのこ、魚、肉」は健康でしょうが野菜と同列の健康食というほどではないように感じます。
ですが、普段食べたい食材の中では人気ある食品は卵ということになるでしょうか。
消費者は1日に何個の鶏卵を食べると答えるのでしょうか。
白書では、1日1個未満と答えた人が全体の65%と多く、平均個数は1日0.8個というものでした。
なかなか2個です3個ですとはいきませんが、鶏卵の価格の問題もあるでしょうし、調理にそこまで時間をかけられないといった世帯もあるのではないでしょうか。
実際中食向け外食向けは堅調に推移しており、時間をかけることが毎食あるわけではない今の日常があるのでしょうか。
では、鶏卵を購入する決め手は何でしょうか。
白書では価格であると答えた割合は全体の41%で、サイズが決めてという方12%、国産10%、殻の色(白や赤等)6.6%と続きました。特に重視していることはないも意外と多く6.6%でした。
価格はこの白書に限らず、さまざまな鶏卵に関する消費動向での設問では必ず上位にいます。
ですから、消費者は価格がいくらで、高いのか買い時なのかという判断を買い物のたびに行っているということです。
9月の鶏卵1パックの平均小売価格は317円で先月より2円高いとされます。(総務省小売物価統計調査)
1個あたりは31.7円ですが、10個まとめて、6個まとめてとまとめ買いが基本になり1回あたりの出費の大きさを意識しているとされます。
しかし白書では卵を使うストレスの設問にばら売りしていないことをストレスとしている人は全体の4.1%でストレスでは下位になります。
実際小売りしている事例は多くなく、例えばたまごフェス等付加価値が高く1個80円、100円といったものにはあるものの、市販鶏卵に1個売りという事例はありません。
ですから、消費者は1個は31円としても購入時は317円とか348円とかとなると買いたいがどうしようかという買い物選択のせめぎあいがあるのかもしれません。
皆さんが生産する鶏卵は生産者自身が価格をつけて売るという所は少なく、多くは今月又は3か月間は納品価格207円とか、203円とか相場値に基づき決めているのではないでしょうか。
自分で決める場合は自社売店で300円とか、道の駅等地域販売所で設定する、自販機を設置して350円とするといった場合に限られ選択肢は多くはありません。
ですから価格は自由に決めるというより、採算ラインからどれだけ上なのかという視点で見るのではないでしょうか。
ですから年末相場までは安泰でいかにこの時期に1個でも多く生産し、お金に換算できるのかという生産技量が試されるわけです。
相場は上昇を続けています。
確かに日経新聞にもありましたが「鶏卵価格が高止まり、強まる縮小均衡消費不振と生産減で相場動かず」27日記事にもありますが、荒れ相場で消費者が離れ、需要と供給がともに減る縮小均衡の様相が強まるというものです。
日経新聞は鶏卵に関して良く分析して業界内をよくみているといつも思います。
ですからこの視点は間違えではありません。
消費行動はデータで見えるようになった時は、もうそうなっているという遅い現実です。バックミラーのようなもので過去を可視化しているだけにすぎず、予兆は先に察知しているべきで、後から右往左往しても仕方がないのは知っている方は知っています。
ですから予兆を知りどうするのかという経営戦略は必要になります。
確かに消費動向は年々下がってはいくとされます。
これは人口減少も要因にあります。
それを補うインバウンド需要も訪日観光客数により左右されます。
参考までに9月の訪日外客数は前年同月比5%減でした。
要因には航空券価格の高騰もありましたし台風による欠航といった気象要因もありました。
また消費税の減税が来年施行されることにより、外食向け需要喚起策GOTOイート等の政策も期待され、鶏卵の需要底上げもあり得ます。
ということは、人口減だから生産減になるということではなく、生産数維持又は増羽により生産数の確保と引き合い策の拡大という方法もあるということです。
消費者に選ばれるには認知度というものも大事かもしれません。
しかし多くの消費者は皆さんの農場も知りませんしブランド名もあるとしても知らないというのが実情ではないでしょうか。
今の時代、鶏卵は販路先又は納品先の餌メーカー名や商社名、農業団体名といった納品先ブランドが納品数維持のカギになっていると思います。
ですから、数を揃えるというのは店頭での棚を確保する最低条件になるのです。
うちは地域では有名だからといってもその地域スーパーでは強みになるでしょうが、中堅規模(同一県内複数出店)になる店舗では知りませんになります。
つまり地域有名では自己満足にしかならないという現実もあるのです。
実際消費者の多くは価格以外選択肢は持っていないのです。
これは白書以外にも同じ結果になっており、アンケートの人々が違えど答えは同じになっているのです。
そして、店舗ではどうしてもブランド卵が前面に出てしまい棚争奪戦になります。
○○農場の卵、▲▲さん家の卵として納品するわけです。
でも消費者は○○知らない、▲▲さん知らないとなります。
販売する営業もその農場ブランドを知ってもらうつもりはありません。
ブランド名がないと棚に並べられないという現実があるだけだからとも言います。
国産鶏卵として並ぶものは昔はいくつかありました。
しかし鶏卵を自社パッキングする農場が増えたこともあり、結果ブランド卵(正しくはブランド卵?風)になるだけで、国産という生産者混合卵を出すところがなくなったということです。
ですから、ブランドでない問屋に納めるだけでは販路先がその問屋の力で決まり、弱いと加工向けになるだけと言うこともあるのです。
ある程度力があれば問屋名の〇〇爺さん家の健康たまご等それなりの命名権を得る事ができ販路先を獲得できる最低条件が整うのです。
でも農場が小さいなら1日1万個程度しか納品できないのにパック数が500なら5千個ですが、壊れ、汚れがあれば3割程度ははねだされるわけで、心もとない数になります。
ですから納品個数は大事になるわけですが、自信があり自社販売先があれば余裕ですが、そうでないところが多いのではないでしょうか。
第三者が絡む契約は最低個数(最低納品数)が設定されるのは自然なことで、商取引では当たり前のことです。
初めから欠品ありきで納品をお願いする変わった店舗はありません。
そんな貴重な製品ではないのです。
わざわざ売り切れを意図的に作るという店舗は、購入機会を損失し来客期待度を下げるだけで良いことは何もないからです。
白書から見えることは、価格を意識した消費者は今も多く存在し、購入する期待度は変わらず高いため購入機会が減るということはありません。
そしてブランドを意識した消費者はほとんどなく、ブランドは店舗納品の際の最低条件にすぎないということであるということです。
産地混合卵(農場名がわからないので国産鶏卵という総称になる)は今の時代ほとんど存在せず、生産農場1社の製品が主流になるという現実があり、それがブランド卵という識別名称があるのが店舗の常識になっているということ。
納品するには最低個数があって初めて棚確保戦争に参加できるという実情が存在しているといことを知ると、安全である安心できるだけではそれは商品のスタートライン手前にいて勝者確定と思い込む人と同じでしかありません。
それは当たり前で、そこに誰が伴走しているのか、餌会社か団体か、自社の営業かということに気づけているのかということです。
小規模養鶏家の多くはこの視点はありません。
自販機で売れるから地域店でも売れるはず、あわよくば全国チェーン店でも納品できる鶏卵という野望と言いますか希望を持っている養鶏家もいます。
しかしそう甘いものではなく、バイヤーと話し個数や価格で試しはできるでしょうが、3か月で撤退という事例も良く見ます。
この先店舗棚は増えていくことはありません。
減ることはあります。
それは地場密着型に多いとされます。
その鶏卵が外にはじかれ右往左往していても大手店舗だから助けるということもありません。
実際販路先の契約が切られ力尽きる養鶏場もあります。
他人の棚を奪いに行くということはそんな易しいことではありません。
値下げすれば振り向くことはできます。
でも採算から見てどうなのかという視点で難しいということもあります。
だから多くの養鶏家は八方塞がりに見えてしまうのでしょう。
でも人口減少から店舗の統合廃業も避けることはできません。
好きといってくれている消費者の手まで届けられない農場も存在し、この先も出てくることは間違いはありません。
だから白書を見て参考にして販路先を想像する、自社で確保して見る、POPを作る、パックからインパクトを与えるといった方法もあるかもしれません。
大事なことは行動に移すかどうかを知り、分析するということです。
ただ卵があれば良い時代から、安全であり安心であり販路先、消費者に知ってもらう鶏卵に育てるのか。
生ませて売るだけのものから、育てるものに変化しつつある養鶏なのかもしれません。