nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

秋の気配が聞こえます 皆さんの農場は何を準備しますか

9月も下旬になりました。今月は鳥インフルエンザに関わる研修や人の意識を再確認する研修といったハードとソフトの両面を再認識していいただくような研修が全国各地で行われました。 私もいくつか参加させていただき皆さんと一緒に次の一手を考え行動するきっかけをご提供していました。残暑の中のご出席本当にお疲れ様でした。 さて、気づくと9月も下旬となり、朝は涼しいと感じるような季節になりセミも鳴く日中ではありますが間違いなく四季は秋へと進んでいると感じます。 草むらでは秋の虫が季節の変わり目を教えてくれます。仕事が終わりいつもの駅で降り立ちとセミが鳴く季節から変わりつつあると感じ、残暑厳しいと毎日報道されていても季節は変わるのだと改めて思います。 全農は21日次期配合飼料価格を今より2700円値下げすると発表しています。4期連続の引き下げではありますが、これでも昨年7月期の12000円引き上げを相殺できるまでの価格にはなっておらず、 まだまだ飼料価格を意識しエネルギー価格の変動を意識しなければならないと思います。 ガソリン価格は政府補助が厚めに入ることになり、現在平均価格は170円台前半程度まで下降しました、ですが補助対象にならない灯油といった、幼雛を温めるための燃料等は上昇傾向が見られます。 これは、原油価格の上昇が続いており円安と重なり、原料価格が上昇していることが要因です。 秋を感じるということは、気温も下がり始めます。 人は過ごしやすいと思いますが、ヒヨコたちは保温して体温を維持しますので、夏以上に加温する必要が生じます。 ですから、我慢しなさいとは言えません。皆さんのエネルギー価格への意識は高まるかもしれない、そんな頭が痛い中ですが、そんな9月は鳥インフルエンザへの警戒を意識する月でもあります。 昨年は野鳥からのウイルス検出があり、令和4年の大流行へと進んでいきました。 多くの皆さんは、その季節が来たのかな程度であったと思います。でもここまで被害が拡大し消費者に大きな影響を及ぼすような大惨事とも言える事態に至るとはどなたも想像できなかったと思います。 では、今年はどうでしょうか。例年同様渡り鳥が飛来する時期まであとわずかになり、すでに樺太方面では野鳥感染が報告されていて、ヨーロッパ方面や中国大陸からも7月以降報告されており飛来に心配が報じられています。 でもこれは昨年も同じでした。では今年も同じ程度の認識で大丈夫でしょうか。 鳥インフルエンザの研修では被害発生時の手順の確認や農場に入れないための研修が行われていたと思います。 でもピントこないからこそ「まあうちは大丈夫だろう。だって昨年も被害がなかったから」と言ってしまうかもしれません。 しかし、その意識だけで本当に大丈夫だろうかと皆さんご自身に問うてみてください。 昨シーズンは2年連続農場発生もありました。これを周辺の渡り鳥が原因だけで片付けてはいけません。 大事な点を意識してください。 野鳥が農場に持ち込む、ねずみが媒介する、猫が鶏舎に入り広げる・・ それは皆さん知っていることでしょうが、そこだけ知っていて安心でしょうか。 それも大事なことですが、もっと大事なことは交差汚染を意識するということです。 交差汚染?と言われてしまいますが、つまりウイルスといった汚染物が何らかの経路で鶏舎に入る人に移り鶏舎に入り込むというものです。 履物を鶏舎用と分けなさいと言うのは履物が外を歩いたものでそのまま鶏舎に入るリスクを想定しているわけです。 研修でお話しするとき、冬の鶏舎は石灰の足跡がありませんかと思い出してもらっています。 石灰の付着した履物の足跡はあらゆる箇所に置き土産のように存在していると思います。 鶏舎、靴の履き替え場、皆さん自家用車のフロアマット等 ただ汚れているようで迷惑とか、洗う際に汚れが落ちにくい、フロアマットはプラスチック製のほうが洗いやすい等といった話を伺いますが、実際は見える汚染物がこれだけ広がっているということを知ってほしいと言います。 ウイルスは目に見える大きさではありませんので、石灰を想像していただきたいと思います。 履物を鶏舎で専用の物に変わると、敷地に散布した消石灰を踏んでいない限り鶏舎に足跡がつくことはありません。 これは履き替えて遮断しているということです。 手も同じです。石灰の付着した軍手をそのまま鶏舎で使用すれば鶏舎ドアのノブ内側扉や手を付いた壁、死亡鶏を取り出すならば取り出した鶏やゲージの扉に石灰が付着していることがわかります。 これを汚れるとか、冬はそんなものと認識しているのかによって農場の衛生意識は違います。 交差汚染を意識して見ると、石灰が鶏舎にある、壁やゲージに付着していること自体良いものではありません。それは外に蒔いた石灰が人を介して鶏舎に入れたということです。 自家用車のフロアマットが汚れていると感じるならば、外の汚れが車内に入るということです。 では、どう考えるのでしょうか。 石灰は目に見えない外のウイルスを踏み歩いた足跡と同じです。ではこの履物で鶏舎に入るとどうなるでしょうか。又はその履物を鶏舎に限らず歩いた跡を見ると、鶏舎作業している方と足跡が混ざることはありませんか。 鶏舎入り口で履物を変えると思いますが、その変える場所は外の履物と混ざることはありませんか。 この視点で見てください。 ウイルスは見えないから、防疫措置をしている。消毒をしている。何もしていなくても何かしていると見えてしまいます。 多くの場合、ウイルスは存在しないかもしれません。だからこそ被害はある範囲の左右の農場から爆発的に発生しているわけではないのです。 実際には発生農場の道幅3メートルの他の農場では発生がないという事例もあります。 これは空気感染も意識しなければならないのでしょうが、そもそもそれだけを意識することで解決できると言うことでもないということです。 では鶏舎にウイルスが届く要因には他に何があるのでしょうか。 それには交差汚染を意識して見てください。 汚れが交差するところは実は危険性があるということも知っておいておくと農場では何ができるのでしょうか。 鶏舎で履物を変えるだけでよいという意識は、正解なのでしょうか。変えないリスクを知った説明なのでしょうか。 石灰のように歩いた痕跡が残るのなら履き替えるでしょう。でも見えないものであるなら皆さん本当に履き替えてくれている(はず)ではないかと思います。 消毒設備があり、きっと鶏舎で履き替えてくれるとなれば設備から問題ないように見えますが、何かが足りていないということです。 人は義務で押し付けるようなものを好むことはありません。 でも必要なことであれば押しつけではありません。そうしてもらう理由とリスクを説明して納得を得ることが大事なことです。 その説明をすることの重要性を知っているでしょうか。 ただ、履き替えろ、消毒しろ、長靴を新品買ってやるから履き替えて使えといった事実だけを話していてはあまり意味はありません。 人を信用している、人を大事にしているそんな農場でないと多くは、消毒??するよ?(多分)となることもあります。 交差汚染を意識しているということは、汚れをどこかで遮断するということです。 ただ履き替えるだけの視点で安心してはいけません。 遮断するという意識と見えないものを断ち切るという意識が本当に大事であるということを皆さんに知ってもらうということです。 人にお願いし作業している私たち養鶏業は、養鶏家と高給取りとされる幹部クラスが熱心だけでは、末端部の作業員の方々までその熱意は伝わりません。 私が感じる鳥インフルエンザへの意識は、設備の充実で解決できるわけではなく、人が鶏に近づくことのリスクを意識することが最大の防止策であると言えます。 当然ネズミや猫の侵入は防止しますが、それだけでどうかなるわけではないことは皆さん知っていることと思います。 どうか、やれ・履け・何とかしろではなく、これだけの危険性を皆さんで防いでいこうという姿勢で話してみてください。 長靴を買うからやれでは、そんなの要らないよと言われるだけです。 買ってどうにかなるわけではありません。 「意識」という、この1点をどう伝えて知ってもらうのか、この点に重点を置いてください。 10月は渡り鳥が飛来する時期に当たります。約1週間後には10月です。 時間はありません。できることをしていくわけですが、その根底は機材の充実もあるでしょうが、人への意識をどう考えていくのか。 そう考えてみてください。

9月の鶏卵相場 この高コストだからこそ生産量を維持を目指して

9月に入り鶏卵相場の動向に関心がある農場も多いことでしょう。 長い休止していた大口需要が購入再開を始めます。涼しさを感じる時期になれば消費が増えていきますから、相場に弾みがつくわけですが、既に鳥インフルエンザの被害があった農場の多くは再開しており生産活動も本格化していることでしょう。 現在、鶏卵相場最高値350円(東京M規準値)から70円安い280円で1日時点取引されています。例年9月はこの時期から緩やかに上昇を始めます。 大流行であった令和2年の相場を見ると、需要再開の9月は増羽が進んでいたこともあり9月の上昇は約15円程度までと小幅ではありました。 この流れでは年末にかけて大きな上昇は描くことはありませんでしたが、今の値段で280円ですから下がることはないでしょうからこの値段からいくら上がるのかという視点で見てみましょう。 9月は国の補助事業がいったん終了する時期でもあります。 電気、ガソリン代といったものですが、政府は10月以降も継続するように準備を進めているようです。 10月分(9月の使用分)以降は電力料金が大きく上昇することが既に明らかになっています。 これは9月の補助額が当初予定通りの補助額となる半分のみとしているため、差額分がそのまま上昇することが主な要因です。 ですから、今使用している電気代は6月の上昇があった時期とほぼ同じ額になると試算しておくと良いでしょう。 これはガス代も同じです。エネルギー価格への補助が一服したことで上昇が見込まれています。 ガソリン価格は170円台を維持するような補助をすると発表していますので、高い状況から幾分和らぐのかもしれません。 では、皆さんの農場ではこのコスト高からどのような対策を講じていくのでしょうか。 多くは出来る手立ては既に打っていると思います。だからもう手段はなく受け身でしかないという話も聞きます。 でも何もできないのでしょうか。 農場によりますが、この夏生産量を大きく下げたところもありました。 猛暑だから?そうではなく人災です。 それも成鶏舎での終夜点灯をしてそれに気づくまで数日要したことによる産卵停止です。 採卵鶏の基本を知らない農場で起きた悲劇ですが、その農場はヘンデー産卵92%まで維持していた鶏舎でしたが、終夜点灯で8%まで下がりました。 それに猛暑が重なり餌を食べません。ですから産卵押上げが非常にゆっくりとなり、事故発生から7日経過しても25%までと日齢から見ても9割回復は困難とみており、この高卵価からみてコスト以前の話になっている農場もあります。 多くの農場ではコスト削減、無駄取り、出血を抑えるといったキーワードで出費抑制を推し進めたところもあったと思います。 でも行き過ぎたコスト削減は結果コスト増にしかならず収入とのバランスを欠けてしまうという問題も生じます。 ですからこの話のように人災をいかになくすのかという点で農場を見ることが一番のコスト意識になるのだと思います。 餌代より卵価が高いは養鶏の基本で、今がその時期のはずです。 でも収入が低くなり餌代が賄えないでは養鶏の基本がなくなった農場であり危険信号が点灯したことを意味しています。 そのような状況で高コストと言っても話にはなりません。まず無意味で無駄な会話です。 それより人災をなくす努力をしなさいとなります。 農場は経営者がいて代行者(農場長等役職者)が指揮をとり作業員がいるという構図になるはずです。 最近の農場を見ると、代行者までは養鶏の基本や気づくポイントまではよく理解されているように見えますが、その先の作業員まで浸透しているのかと見ると、どうもそうではないような事例が多くなっていると感じます。 その理由に離職が多く教育をしない、理解度が低いから作業できれば良い程度の教育しかしない、基本を知る指揮者でないため作業しかできない人材しか伝承されない等農場の中のコミュニケーションが欠落しているところがあるようです。 そして、基本を知らないから、点灯して忘れてどうなるのかというリスクがわからないし、想像できないことで「残念!まあ次回気を付けよう」程度の認識しか育ちませんから、また繰り返すのです。 そんな残念な環境がある農場では収入が下がるのでコストは人一倍敏感です。でも解決策はなく繰り返すだけというところもあり、何が根底にあるのかまでわかる農場は多くないように感じます。 教育は無駄である。良く研修で質問されますが本当に無駄だから教育をしない農場は結果「農場自身が無駄」というだけで、やれあいつが悪い(人が悪い)、指揮者が無能だ(そもそも教育されていない)、高給待遇なのに成果がない(そもそも高給で優遇するほどの能力があったのか)といった責任転嫁をする経営者もいます。これも非常に残念です。 自身の任命や採用に欠陥があったのに、それを自身の責任と認識できないからです。 そのような状況ではいくら人を入れても、いくらお金をかけても何も変わりません。変わるのは人件費というコスト増だけです。 そんな農場もあります。 高コストは確かに問題であり解決したい事柄です。でもコストは物を作る時に必要な維持費でこれを0にすることはできません。 ではコストをどのように捉えるのでしょうか。出費と答えたのならば残念な回答になります。 正解はコストを最大限生かし収入を得るという視点です。 鶏の性能は大きく変わりました。ではその性能を最大限に高めるにはなにができますか。 人災を起こす組織は皆さんが考える「皆さん通る為のイベント」なのでしょうか。 それは、そもそもなくても良いイベントではないでしょうか。 9月は補助額が大きく変わり10月支払額は上昇します。では皆さんの農場は何ができるのでしょうか。 金融機関からの融資?それもあるでしょう。 でも農場の中を見てください。何か気づきませんか? その視野と気づきがあれば9月からの農場運営も安心感が増すことでしょう。

令和4年の大流行 鳥インフルエンザから学ぶべきこと

読売新聞は17日「鳥インフルエンザで殺処分した死骸、予定地に埋却できず計画変更325万羽の処理に影響」という記事を掲載しました。 その中には鳥インフルエンザが発生した26道県のうち12道県で埋却に問題が生じたとしています。 記事には地下水など環境への影響が懸念されるなどで325万羽の処理に影響があり2か月程度の遅延処理があった事例もあったとしています。 農水省によれば畜産業者に対して鶏等の死骸を埋却や処理施設を確保し都道府県に報告することになっています。その報告では全国の養鶏場のうち95%以上が確保済みと報告しているとしています。 記事では、支障があった26道県に対して処理状況を尋ねたところ予定地では死骸を処理することが出来ず、別の土地を用意したり、焼却に切り替えたとしています。 変更理由では、予定地で地下水が出て埋却することへの環境問題、面積不足、近隣に民家や河川があることによる施行規則違反、自治体による事前確認や指導不足が不十分な事例もありました。 このため今年度から農場と都道府県が事前に試掘調査をした場合には費用の5割を支援する制度を導入し、確実な埋却地の確保へ強化することにしています。 この記事を見て思うのは、農場側がいかに必要な土地を確保できるのかという点が要になっているのかというのがわかると思います。 多くの農場から聞く意見としては、農場側が必要な面積を用意できるわけがない。自治体が責任をもって県の所有地の使用や焼却をするべきであるという意見もよく聞きます。 規模が大きくなっているのだから殺処分ではなくワクチン接種をして殺処分を防ぐような新しい取り組みをすべきであるといった意見もありました。 筆者は養鶏の業界にいて思うのですが、鳥インフルエンザによる被害は確かに農場にとってとても苦しいことですから、被害者であると思いがちです。 報道もそのように報じます。確かにそうでしょう。 でも、鳥インフルエンザによる被害は周辺から空気感染して鶏舎に入り込み被害があるのか。そして農場の衛生対策は本当に充分であるのかという視点で本当に語られているのかという点です。 確かに何万羽100万羽という単位で鶏がすべて殺処分されます。鶏達の命が一斉になくなる、養鶏家の苦労が始まる、そして相場の高騰から消費者のご苦労が続くという話題になるのでしょう。 最近は感染力が強いからという理由でしょうか。2年連続して鳥インフルエンザによる被害がある農場も現実あります。 これは非常に深刻だと私は思います。 それは、感染力が強いからではありません。 むしろ農場の運営がどうなのかという視点です。 疫学調査の概要は発生があると数か月後に公表されます。その中の多くは調査時点では指摘する事項は特に記載されていない事例も見ますが、多くは通報が遅い、鶏舎の修繕が遅い、野生動物が侵入しやすい不備、従業員の靴の履き替えや消毒への対策が十分ではないといった事例も記載されています。 そして従業員の消毒への意識についてはどの調査でも記載はありません。消毒設備はある、立ち入り禁止の看板はある、記録類は整備されているといった目に見えるものは聞き取りや目視で確認できるので記載はありますが、では人はその設備を本当に活用されているのかというとそれは意識がある従事者だからしている(はず)と答えるはずです。 でも衛生対策の根本は何ですかと再度認識してみると、従事者が外部との遮断がしっかりできて鶏舎に入り作業をして汚染物を入れない、広げないという意識が根本にないと成立しません。 だから作業員は鶏に一番近いところを携わっているわけですから十分な対策が必要になります。そして野鳥や交差汚染しやすい箇所に鶏以上に近づく危険な立ち位置でもあるのです。 でも目には見えませんから、消毒設備はある(だから消毒して遮断しているはず)、立ち入り禁止の看板はある(だから部外者は入らないはず)、記録類は整備されている(だから万全であるはず)という良い視点で物を見ているという姿にも見えます。 そして2年連続繰り返す農場も存在する。 それだけウイルスが強度化したのでしょうか。そうであれば近隣農場は被害続発になるのですが、そうではないというのは何か説明ができるのでしょうか。 令和2年の大流行では確かに1農場を中心として近隣農場の被害もありました。農場の行き来がないのに道路を隔てた別会社の農場にも飛び火したという事例もあります。 では4年度もそうであったのか。大きい農場道隔てたよその農場も発生したという事例は多くはなくむしろ少ないと感じます。 この差は何でしょうか。そして2年度被害があった農場は4年度も発生したのでしょうか。 どうも十分説明できない被害発生事例が多く見えます。これは渡り鳥のウイルスルートが違うから、弱毒化しているから等理由をつける傾向もあります。 確かにその通りなのでしょう。でも説明が十分できないことから「ある可能性がある、発生経路が風の流れにより違う」では少し対策への影響に支障があります。 つまり、経路がわからないのだから機材をそろえて、法令を遵守しましょうでは、これだけ揃えたのだからやっても十分やれなくても同じと解釈してしまう従事者もいます。 発生するかしないかは運しだいということに聞こえます。 正直これは運でどうのこうのという話題ではありません。遮断できるのか、できていないのかの違いで、発生したしないの話で運という要素はありません。 ルーレットゲームのように赤が出る、黒が出るという話と同じではないのです。よく対策しているから黒しかない、不十分だから赤になるという話です。 感染するかわからないなら、今までと同じで十分だろうという意識も芽生えます。その意識は渡り鳥もいない何もない時期であればいいでしょうが、このような緊急時ではどうでしょうか。 従業員は皆さんの指導方法で大きく変わります。まあ冬は家保がうるさいから石灰撒いてね。消毒していてね程度の説明では、冬はそれなりにしていれば良いという認識しかありません。 農場責任者は鶏が殺処分され無収入になるという危機感はあるでしょうが、従業員はわかりません。「大変だね。それよりも25日は給料日だね」という認識です。考えの視野が違うのです。 ある養鶏家は県の養鶏会合で2年連続発生した農場の経営者が出席し涙を流したという話をしていました。 その涙の意味は分かりません。 無収入になったという苦しさの涙なのか、わからないけど発生が継続したという苦しい涙なのか。 でも疫学調査概要を読むと、その農場には鶏舎に不備がある、作業員と交差汚染が予見できる施設には防鳥ネットがなく野鳥が出入りしていると指摘されていると、その涙は何だろうと個人的には見えます。 野鳥は正直どの農場にもいます、カラス、セキレイ、スズメといった物は農場に限らずいますし、周辺や上空を飛行しています。ですから野鳥がいるというのは普通のことであり、だから何ですかということです。 問題はその野鳥からどのように鶏舎にいる鶏へ移っていくのかということだけです。野鳥は鉄砲で四六時中追い払うわけではないからです。 先ほどの話ではないですが、では従業員はその鳥インフルエンザによる被害をどのように想定していたのでしょうか。 経営者が従業員として働く農場は多くはありません。恐らくほとんどは監督者である責任者にその仕事をさせているはずです。 では、経営者は無収入の怖さはわかるにしても、では責任者は、作業員は同じですか。ということです。 一昔と違いその農場で鳥インフルエンザが発生すると周辺数キロは鶏卵出荷は止まりますが、以前ほど長い期間にはなりません。多くは翌日か翌々日には再開できているはずです。 ですから収入停滞は短期間であり問題にはなりませんから、厳しい目をする養鶏家はいません。 でも2年連続発生してしまうということは少し課題になると考える養鶏家も少ないですがいますが、多くは残念ですが他人ごとになります。 だから大変と思うが関心がないのです。「あの農場が被害にあった!うちはどうなのか?」という視野はほとんどありません。多くはうちは感染しないと信じているからです。 組合でその農場を守るような議論はなくそれよりも時期の鳥インフルエンザはどのように対策をしますかという話題になるでしょう。 今回のように埋却に問題が生じたということは、私たち養鶏家も考える必要があるということです。 国がやるべき、ワクチンを使用すべき、そもそも短期間での殺処分は不可能であり感染遮断の意味はないという意見。 多くは養鶏家の意見ですが、本当にそれは正しい意見なのでしょうか。 法令を変える力があればよいのでしょうが、陳情が精一杯でもあります。 陳情は議員さんの間では聞くという意味で法令へ何か働きかけるという意味ではないそうです。 であれば従うというのが現実です。 不満は不満で様々あると思います。 でも今は何も変えられません。 であれば従い十分な対策をするしかないのです。ほかに選択肢はありません。 厳しい話ではありますが、埋却地に右往左往している農場もあります。 筆者もそのような農場を見ます。 でも十分な土地を用意して埋める準備は農場がする。それが法令で示した義務です。 それが用意できないから、県所有地を使うべきでは少し残念です。 そんなものできない、お金がない、脆弱な経営では難しいという法令以前に自身の財布事情を話していてはどこまで行っても平行線になり意味はありません。 やるしかないのです。 それができるのか、できないのかという違いです。できないから土地を借りたり(緊急時は借地として借り埋却する地主との契約)して負担を小さくするという発想があり実行している農場もあるのです。 できない理由はあまり意味を持ちません。 令和5年の発生はどのようになるのでしょうか。 2,4年と大流行でした。偶数年だけなのか。そうでないのか。 あまり時間はなくなりました。皆さんの埋却地は適正な土地でしょうか。 そして、それ以前に発生させない対策を構築されているでしょうか。 埋却は発生させない意識を持って取り組むことで使用する土地にはなりません。 人の意識という課題、そして土地の確保。 短い時間で多くの課題にどう向き合っていきましょうか。

鶏卵相場の下降が始まり 代替品に関心が寄せられるような時期になりました

全農鶏卵相場は6日東京と名古屋の市場ですべての規格で10円安となる相場を発表しました。 最高値となる350円(M規準値東京)からみるとまだ20円の引き下げにとどまっています。 少し前より相場値は安くなっていますが、この時期特有の需要減退期と鳥インフルエンザからの回復期が重なっていることも要因になります。 大口需要の学校給食も間もなく終わり、8月いっぱいまで需要はなくなります。 例年の鶏卵相場であれば給食がないし、相場も温度上昇とともに下がるからこの時期に廃鶏に回すという農場も多いと思いますが今年はどうでしょうか。 さて、配合飼料は下がっているという話題は聞かれていると思いますが、一部飼料メーカーは値上げに転換したところもあります。 飼料の原料は下げ止まりの傾向がありますが、製造・輸送コストとなるエネルギー価格は上昇をしておりここで転嫁する必要があると判断したメーカーもあります。 ですから、餌代が安いから利益もその分あるはずとは言えない状況の中、例年通りの相場安へと流れが変わり農場経営も安泰とは言えないのかもしれません。 その中、鶏卵に対する消費者のイメージは変わり昔は安い物、今は高い物というイメージがつくようになりました。 1パックの総務省小売価格統計調査での平均販売価格は5月時点で305円となり、過去最高を更新しています。 6月も同額か少し高いとなりますが、過去最高額であることに変わりはありません。 1個は30.5円ですが、10個まとめ買いとなりますから305円と言われるので高いと感じるのではないかと思います。 また加工向け供給も遅延していましたが、輸入による効果もあるのでしょうか遅延は解消されつつあり加工商品の再販売開始と言う話題も聞かれるようになりました。 そして、消費者に近い位置にあるスーパーでも代替卵を扱うようになり、テレビも紹介しており代替卵が認知されつつあるようになりました。 コンビニ大手ローソンは代替卵を使用した卵サンドを販売します。 食べ比べのセットとして販売しており、鶏卵と大豆由来の代替卵をセットにしています。 商品名は「食べ比べ!2種のスクランブル」です。手に取った方もいるかもしれません。 商品開発には「鶏卵高騰により代替卵へ手に取る機会を作り消費者に知ってほしい」「鶏卵不足の長期化を見据え代替卵の商品に力を入れていく」という考えがあります。 さて、代替卵は高額であり普及しないというイメージがあると思います。 開発部門も植物由来食品の市場は伸びてはいることを承知していますが、まだ普及は遠い状態であるということを知っていて、代替卵というものに対してハードルを下げたいという思惑があります。 私自身もすぐの普及はないと考えていましたが、今回の高騰は毎日使うものであり普段品であることから供給が遅延することで商品提供に支障が出ることがメーカーも知ったのだと思います。 であれば、安定供給と適正な仕入れ価格を維持するためにできる手段を構築したというのが本音ではないかと感じます。 少し前にお話ししましたが、加工筋はいかに安定した仕入れができて商品として組み立てて提供できるのかという意識が最優先です。 ですから今回のように原料の遅延と高騰は商品価格見直しに直結し、場合により店舗に潤沢に供給できないことで欠品とすることによる損失もあり、その防止策を構築します。 国産は安全であり安心できるもの、だから顧客は離れないし代替品はないと考えているのは生産者側だけであるというのも現実の話です。 多くは、安全で安心は当たり前であり、安いからこそ顧客は購入を継続しているが欠品や遅延は商売上問題である、だからこそ安定供給が見込める代替品を使用した商品を開発するという流れになっているのです。 商品開発をしたということは、元に戻す必要はないということを知っておく必要があります。 代替卵はまだ高い物というイメージも供給が十分できるようになれば、大量生産という低コストも期待できるということもありえます。 そうなると、消費者は選択をすることができます。 安い物、鶏卵と遜色ない物、という買い物判断基準で購入をしていきます。 そして輸入卵と言うキーワードもありました。 全ては供給が不安になることが起因なのですが、大事な点は鳥インフルエンザをいかに農場に入れないのかという意識が、この先の販路がどうなるのかという未来を変えてしまうターニングポイントを阻止できるのではないかと思います。 鳥インフルエンザの発生は農場だけの被害だけではなく、その先となる消費者や加工向けの方々に大きな影響を与えることになりました。 であれば、消費先と安泰な関係を継続するためにも、鶏病を寄せ付けない農場を作るしかありません。 それは、防げないから、できないからではなく、絶対に防ぐ、できないことをなくすといった意識を持つ必要があることを改めて知る機会になったと思います。 鳥インフルエンザによる農場被害は、以前と違い厳しい目を向けられることはなくなりました。 だからこそ仕方ない、やむを得ないではなく、農場に入れないような仕組み作りや作業者への意識向上の教育をすることで、防ぐ意識を持ち続けていくように取り組みをしていきたいと感じます。 昨年は9月に野鳥からの感染話題がありました。 その後今回ご存じのような大流行になり県生産量の2割、3割の生産減に至るような殺処分が全国ありました。 そして今日の話題のように代替品の話題や輸入卵の話題が聞かれ、最近の鶏卵相場の低下から、鶏卵販売価格が安くなっていくというような話題も聞くようになりました。 皆さんの農場だけではなく、多くの農場が鳥インフルエンザから守るような仕組みを今から構築しておくことが必要です。 ブラジルからの輸入鶏卵は、鳥インフルエンザ発生時防疫措置完了から再度開始には90日経過を必要とすることにしていましたが、最短28日後輸入再開とすることと改めました。 これにより国内への輸入量停滞を最小限して流通による影響を最小限にしたいという思惑がありそうです。 加工向けとはいえ輸入卵に頼るという図式を作り出すような結果になっています。 鶏卵は国内で生産し国内で消費するという図に戻すためにも、この秋からの防疫対策は本気で取り組んでいくと業界内でそのような機運になることを期待しています。

生産再開と相場値の動き そして秋に向けての衛生対策を知る

鳥インフルエンザの被害が終わり、多くの農場は通常管理を行っていると思います。 昨年から被害があった農場では農場の再稼働が本格的に始まっています。 既に鶏卵相場も動きがあり、12日から大阪、13日福岡の市場はMSサイズの鶏卵規準値を10円下げています。 多くは農場で鶏の入れ替えを終えて、産卵を開始し早い段階で規格卵として出荷されていると思います。 そのため店舗では、大玉サイズ規格卵を除き欠品は見られなかったと思います。 代わりに小玉ミックス卵もどの店舗も欠品なく販売していたと思います。 小玉ミックスは産みはじめを中心にそろえなおかつ相場値も安いことで値引き品、目玉品として活用されていると思いますが、折からの相場高で鶏卵価格が高いこともあり小玉を取り入れて店舗の中心にする販売店もあったことでしょう。 それでも1パックは180円それ以上と通常100円前後と比べれば高い商品でもあります。しかしサイズミックスで270円、290円となれば割安に見えることでしょうから店舗を観察すると安い小玉ミックスを手に取る消費者も多いと感じます。 それだけ価格への意識が高いことを感じます。 やっと安くなってきたと感じる方も多いでしょう。 確かに需要の減退期に入りますので鶏卵も安くなってきます。 しかしこの先は猛暑もあり順調にMサイズ、Lサイズとアップしていきサイズも潤沢と言うわけにはいきません。 個卵重の抑制は早ければ7月中旬ごろから見られるかもしれません。そうなりますとこの先もMSサイズは潤沢で、次いでMサイズが多く、Lは例年より少ないということもあるでしょう。 これにより昨年もありましたがLサイズ規格の大玉ミックス卵では計量違反が発生し回収騒動も予想されますので、自社パッキングの農場は計量ミスには十分に注意してください。 そしてこの先、鶏卵回復は夏ごろから初秋にかけてがピークになり秋を迎え、最需要期の冬へと変わっていくことになりますが、昨年9月下旬には野鳥からの鳥インフルエンザ検出が確認されました。 そのような話題になると10月、11月から農場からの発生が報道され本格的な感染シーズンになるわけですから、残された時間はもう多くはないということがわかると思います。 ですが、自農場は感染しないという自信もあるのでしょう。まあ石灰でもまいて、消毒しておけばなんとかなるでしょうし、来年早々に家畜保健衛生所から消毒の通知も頻繁に来るだろうから、それまでは例年通りの対策で十分だろうと考えてしまう農場もあると思います。 でもその繰り返しで何とかなるのでしょうか。 管理獣医師から衛生対策を行う、行えと言われるところも多いでしょう。 では、どう行うのでしょうか。 考え方は3つあると思います。 農場に入れないという視点、農場内で増やさないということ、農場から外へ持ち出さないという意識になります。 農場に入れないということは、農場入り口で汚染源を入れないということ、鶏舎に入れないという意識が必要です。 ですから、通勤車両のタイヤ消毒、手指足の消毒もするでしょうし通勤着から作業着へ着替えて外からの危害を排除するという食品工場の基本的な考えを実行します。そして鶏舎に入るという遮断するという視点が作業内にあるのかという点を確認してみてください。 そう考えると、通勤車両には消毒する設備があり確実に行うということ、必要な消毒液の濃度であることが必須になることがわかります。でも面倒であれば消毒ゲートを導入し自動消毒もするのでしょう。でも車の塗装が痛むからまあ適当にという意識もあるでしょうし聞きます。 そういう農場では、消石灰を使用した石灰帯を作ると良いでしょう。 消石灰を10メートルか大型車両が侵入する場合はその車両の2倍の長さの消石灰を散布し、タイヤの接地面に石灰を付着させることも有効です。 その際雨天でなければ数日に1回は散布を作業員に指示をして実施させる必要があります。消石灰は通常7日から10日程度は強度のアルカリが保持されると言われます。ですから大事をとって数日おきに散布をすることが大事になるでしょう。 そして大事な点は、農場の敷地内にも危害があり、野鳥の糞も散見されますから、鶏舎に入る際の履物は鶏舎専用のほうが安全ですから、法令では鶏舎用の長靴を着用させているわけです。 長靴を鶏舎専用にして入る際には手指の消毒をするということを行えば、作業員が触るもの(汚れた物を触る、外の器具類を触る等)からのリスクも少なくなるでしょう。だから法令は手指消毒を義務付けています。手袋は鶏舎内専用を使用し外では使わないことも大事な意識です。素手を軍手が代わりをしますので、手指は消毒しても軍手はしないでは意味はありません。だから最初から軍手は鶏舎内専用とするのです。逆にしても良いでしょうが大事な点は鶏舎内と外は共用しないという意識です。 そして皆さん知っている殺鼠作業もこれに該当します。鶏舎に入れるリスクにネズミの侵入があるからです。だから金網が壊され侵入した形跡がある、穴をかじる、鶏舎の天井等高い場所に巣を作ることで断熱材の欠片が落下しているという事例も見るでしょう。 ただのネズミではなく、外からのネズミです。そしてそこで生息数を増やすのです。だから殺鼠剤を使用し駆除をしていくわけです。そして多くはクマネズミです。だから高いところを生活圏にして生息し行動しているということも知っておくと殺鼠剤の設置場所に無駄が少なくなり作業性も上がり手間は少なくなります。相手を知るということです。 農場内で増やさないということは、鶏舎内での汚染が違う鶏舎にうつるということです。鶏舎内で使用した長靴や軍手をそのまま違う鶏舎で使用したらただ汚染をまき散らすだけということを知っておいてください。 消石灰を長靴に付けて隣の鶏舎に入ると、足跡が続き、次の鶏舎内まで足跡が残っているはずです。つまりウイルスは見えないものですが、消石灰を参考にして考えると広範囲にまき散らしていることがわかります。でも各鶏舎用の長靴を作業員に用意させられないというのであれば足ふみ消毒槽を設置し適正な濃度で消毒剤を作り汚れたたび(通常は朝と昼の2回程度)作り変えをして効果を維持し次の鶏舎で遮断させることが大事です。 そして鶏舎から出る際には手指を消毒してください。これにより鶏舎内での危害をリセットして次に作業ができます。意外と忘れがちですが大事な点は鶏舎内も鳥インフルエンザではなくても様々な菌類が存在しそれによる悪影響もあるでしょうし、手が鶏臭いのに手を消毒せず退出しそのまま食事をする、トイレに行くのもなんかどうでしょうか。 そして、今まで考えがなかった農場の外へ持ち出さないという点も大事になります。 少し前までは、鶏糞を搬出するトラック荷台にシートをかける農場は多くはなかったと思います。でも今は必要です。 それは、鶏糞にウイルスが残存しやすいということがわかっているからです。だから飛散しないようにシートをかけるわけです。 シートをかければ鶏糞が道路に落ちて見栄えもあるでしょうが、汚染を広げないということが出来ます。少し前までであれば道路にこぼれた鶏糞は次搬出する際にわざとタイヤで踏んで広げてわかりにくくしていたというところもあるでしょう。 それは今は常識ではないということです。 そして、搬出時には車両を消毒し農場内の危害を除去し外へ持ち出すということになります。 どうでしょうか。普段からされている作業も多いともいます。その作業には理由があり除去する目的があるのです。逆に知らなかった。昔は問題なかったという話もあったかもしれません。 つまり飼養衛生管理基準は時代とともに変わっていることがわかった良い機会であったと思います。 法令は遵守することを国は求めており、家畜保健衛生所も定期的に巡回して状況を見てくれます。 その時、この作業は意味がないと思えば相談しても良いでしょう。その時丁寧に説明をしてくれるはずです。 つまり自己判断、勝手な解釈は後で問題になりやすということも知っておくと、今日の話はただの理想像ではなく「やらなければならない」物と理解できることでしょう。 本年の鳥インフルエンザは流行するのかどうかはわかりません。でも令和に入り毎年発生し2,4年度は重篤化しました。 では5年度は軽度で治まるかもしれませんし、やはり深刻な年度になるのかもしれません。 先のことはわかりません。だからこそ相手を知り・農場でどのように展開するのか。 ただの自己判断は知識が足りない場合も多く、知った気になるだけです。 そのような中、青森県は養鶏場管理者や従業員向けに衛生管理の研修会を今年度初めて実施することにしています。 もう時間がない中、知識ある方々の意見や助言を参考になると思います。 ただ知っている。何となくやっている。そして今年も感染しないかもしれない。 そんな不安を研修を通じて自身の知識として活用しそれが技量として繁栄し農場が安全である環境を作る機会になることを知っていただければと思います。 今後全国的にこのような研修も広がることでしょう。 ぜひ参加をしていただき、感染しない強固な農場を目指していただければと思います。

人材採用ご苦労されているからこそできること 業界のイメージ改善と風土改善を

皆さんの農場では、人材を確保するとはどのような方を想定しているのでしょうか。 作業員、幹部候補(農場長や事業部長)、外国人技能実習生とあるでしょう。 最近は人の確保にご苦労をされているというお話しや、人件費が高くなるのでどのように前年同様の賃金を提示できるかを考えているという方もいます。 規模が大きくなる農場では、作業員としての雇用の他、農場長としての活躍を期待した新卒者の確保をしているところもあります。 一般的に規模が大きくなる農場では、経営者(社長)だけでは細部まで(特に飼養管理による収益増減理由)の農場経営が見えなくなりやすいことから、農場を見ることができる農場長として育てる方も多くいます。 規模が大きいという定義はありませんが、よく聞かれる規模として飼養総羽数50万羽を超えると少しづつ細部を見るより、ざっくりと見るようになるといいます。 これは、農場内を細かく見るより、収支や生産量(生産収支)から見ることで異常を把握しやすくなるという理由ですが、本音はそこまで見ることができないのでそうなるという理由のようです。 ですが、よく聞く話として農場内に良く見ることができない人材しかいない農場では、データからしか読むことができないことで何が原因で何があったのかという原因究明が遅くなる又はできないというところもあります。 ご指導時にお話しするのは「データは結果であり、今を映しているわけではない」とお伝えします。 生産量が下がるということは、何かがあることのでそうなるということを早急に探す必要があります。 そうでないと不備が更に生産量減少へとつながり、それは仕方ないとは呼べないレベルまで悪化することもあります。 皆さんよく分かっていることではありますが、でもそうなる事例が多くみられるのもまた現実です。 先ほどのように経営者もデータから把握するという流れになる農場では、農場を見ることができない農場担当、経営者という、本来は二重のチェックになるはずが同じ視点で同じものを見ているだけと言う状態で早期解決が遅くなる典型的なパターンにもなります。 採卵鶏が生産量を下げるということは、今日突然発生することはまずありません。あるとすれば斃死までの緊急事態が一般的です。 そうです鳥インフルエンザのような致死率が高い事態です。 鶏は生産をやめるとき、自らの身体を守るためにやめていきます。ですから異常の把握は鶏がなぜ身を守る行動をとるのかを探し早急に解決する必要があります。 ですが、計器類だけで確認しているだけでは飲水・配餌量は総量から見てわずかに少ないといった誤差と呼んでしまうこともあるでしょう。 ですが、誤差と呼べるのかよく考える必要もあります。 では、農場はどのような人材を雇用しようと考えるのでしょうか。 仕事を覚えることでそのようになると信じて作業員を募集するという農場も多いでしょう。 皆さんも感じると思いますが、作業員として雇用した場合の多くはいつまでたっても作業員のままというところもあるでしょうし、先ほどのように細部を見るところまで育たないという現実もあるかもしれません。 その要因には、現場では仕事を教えるのですが、あくまでも今日の仕事をこなすための仕事方法で、その先を見据えた教育をしていないというのが原因です。 一昔前は、そこから工夫を好奇心が経験と混ざり合い新しい視野を開くということも10人いれば1人はいるともされましたが、最近はそのその仕事を繰りかえすことはできてもその先までは発展しないということもあるようです。 その最大の問題点が最初の雇用目的になります。 作業員はどこまでいっても作業員のままになりやすい風土は改善がない限りこのまま何年も続いていくと感じます。 では、最初から幹部職員を目指して雇用するとどうでしょうか。 いつまでも作業員として教育することはしないと思います。仕事を覚え次の知識を得てもらうというスムーズな教育ができます。 率先して教育している農場では、いつまでも作業員として見てはいません。 この視点がない農場では、そのうち幹部になるような人材になるはずだし、10人全員がならなくてもいい。1人でもなればそれでいいという昔の基準で見ている農場も多く見ることができ、 そのような農場ほど、仕事ができる人材が去っていくと農場管理レベルは下がり、巻き返しができず劣化が進んでいくというような感じがあります。 先ほどの産卵成績が下がることはわかるのだか、その原因まではたどり着けることができず発見が遅れたり、問題認識の把握が難しく誰かが教えて気づくということもあるでしょう。 今は、作業員から経営幹部まで育てることは、人も変わり昔の教育では難しいともいえますし、このような壁に当り何年ももがく方もいます。 では新卒を採ろうとなるのでしょうが、最近は新卒採用は畜産業では難しくなっているのも現実です。 今は新卒売り手市場とされ、新型コロナからの企業回復がすすんでいることから、大手や有名企業を中心に採用活動が進んでいきます。 私たち中小企業ともいえる畜産業では、中々働きやすいとか希望する職種にマッチするのかという現在を知る必要があります。 多くは採用をしても応募はゼロ又は数名あるものの採用までには至らないということも多いでしょう。 多くは4年農業大学系、動物専門学校、又は県農業大学校へ求人を出されると思いますが、なかなか集まらないというのも現実です。 一昔はOBのコネを使い4年大学から後輩を獲得するという手段もありましたが、コロナ禍で人とのかかわりが途切れてこの方法が成り立たないという農場もあります。 また新卒を採用しても1年や3年待たずに退職するということもあります。過去3年間の採用で定着率が高いところで8割あるところもあれば3割以下という厳しいところもあります。 畜産業以外の中小企業も働きやすさ、求める仕事像といった現状改善に取り組むことで採用できる知識を得るような状況のように感じます。 この先も採用できる対策を考え続けていくことが重要になるでしょう。 ブログにも書いていますが、作業員としての人材は不足していない農場は多いと筆者から見て感じる状況です。 それは、作業員向け募集であれば中途採用で円滑な雇用が成り立ちます。 畜産業へ転職する方に見られる傾向として在職中に求職活動するより、離職後に探す傾向も見られます。 求職者もすぐにでも仕事に就けるというメリットが互いにウインウインになるわけです。 会社も幹部向けに育てるという意識がなければいつまでたっても作業員もままになります。 経営者等農場を見ることができる方がいればまだ何とかなるのですが、先ほどのようにいないとなればどうなるのでしょうか。 でもそれは問題ではないという意識では、人を育てたいといってもまず難しいことになるでしょう。 作業員は、この先も求人すれば問題なく採用できるはずです。 もしできないのであれば、恐らく待遇面で、慢性求人でブラックと見られているのか。 人を採るという行いを見直ししてみてください。 それが難しいとき、外国人技能実習生を積極的に採用するかもしれません。 その理由は、監理団体が必要数を揃えてくれるというメリットがあるからです。 ですが、その方々は3年又は5年で帰国し、また農場に戻る方も多くはありません。 年齢が進んで他企業には難しいとなった時、以前お世話になりまだ採用できるとなれば特定技能として戻ることもあります。 作業を知っており、給与は以前とは違い高くなることで他が難しいからいい機会だろうとなるのかもしれません。 その技能実習生も今見直しをしており、技能を教えるという看板は外れることになりそうです。 つまり外国人労働者として雇用することになり最低時給で良い、残業代は申告制にして法定額未満で良い、寮費は最大限控除といった、経営側の無知は法令違反でご法度です。 安い労働力が安定して確保できるという基準で見ることができなくなるということです。 そうなると、そのような農場はどのようになるのでしょうか。 円安で母国通貨が下がり安い日本通貨国より違う国が給与が良く通貨両替しても多く受け取ることができるという現実もあり少しづつ来日情勢が変わることも視野に入れておかなければなりません。 では、日本人では作業員として募集するにしても時給換算で積上げる程度では他産業に負けることになり募集は難しいでしょう。 他より高く支払うので来てくださいとなれば地方でも時給換算で1000円は超えるでしょう。 労働業界は時給1000円では企業が人件費圧迫になり廃業すると危惧しているようですが、今や労働者争奪戦になりつつある現在ではうちは時給930円だから来てくださいと言って、他が1000円、1100円と支払うのに来てくれるのかということです。 そう考えると、賃金ねん出がうまくいかない産業になった時、賃上げして廃業するのか、人が集まらず労働効率悪化から採算不良で廃業するのか。どちらも異なる未来は描けません。 今の時代、人を集めるには、労働環境だけではどうにもなりません。そこに待遇という賃金競争も両輪で考えなければなりません。 でも、その人集めには労働人口減少から昔からの常識では解決できない現実があることも知っておく必要があります。 今日は5月5日子供の日です。 子供たちが少なくなっていくこの国で、皆さんの農場を発展させていくにはどう考えていくのが解決に導くことができるのでしょうか。 昔からの常識で進んでいくのか、今の時代を知りそこから勝ち取る知識を得て発展させていくのか。 子や孫に農場を託すとき、今の人材で引き渡して安泰できるのか。 配合飼料多エネルギー価格の高騰等課題も多い中ですが、やがて現実としてやってくる人の確保という問題。 今日のお話から何かを考えるきっかけになればと思います。

鳥インフルエンザの被害とため池の影響 発生数が過去最高で周辺にも影響も

鳥インフルエンザの話題がだいぶ聞く機会がなくなりました。 本年度(令和4年度)の被害は4月7日の北海道の発生が最後になり、現在殺処分も14日に完了しており清浄性確認検査結果を待つ状況です。 この先も被害なく推移すれば5月中旬には制限区域も解除されやっと長く厳しい時期を終えることになるのではないでしょうか。 14日時点26道県1771万羽が殺処分されています。また過去発生がない6県(福島、群馬、鳥取、山形、沖縄、長崎)でも新規発生が確認されており、例年話題になりやすい地域以外でも被害が発生するという深刻な状況でもあります。 また、鳥インフルエンザによる話題として、鶏卵価格が高騰して消費者や加工向け、外食・中食向けに供給が遅延するという話題もあり、今もエッグショック等話題も聞きます。 その中でも昨年被害にあった農場では再開しているところもあり、少しづつ生産回復が始まっているようで夏ごろには順次回復が進んでいくでしょう。 ただ、餌付けはローテーションを意識した導入になるでしょうから、すぐに3ロット、7ロットと同時には入れないはずです。ヒナの不足は聞きませんが、それはローテ通り入れていくことで、不足が生じないと言えます。 いくつかの孵化場にはヒナの入手が可能かどうかの問い合わせはあるようですが、購入に至るまでの深刻な不足は生じていないように感じます。 ただ、急激に増羽するという農場はないため不足解消はこの先緩やかに進んでいくことになり、被害前の水準に戻るまではこの先1年か1.5年先まで時間がかかるように感じます。 さて、鳥インフルエンザによる被害の爪痕は様々なところで話題となり、深刻なダメージを受けた農場もありましたし、地域もありました。 100万羽単位の農場が殺処分され、再開までご苦労されている話もあります。 また、殺処分数が大変多いため、県職員への負担が重くなっているという話もあります。 本年は地域によって、発生農場周辺で続けての発生もあり、県職員の方々を中心に複数農場を続けて防疫措置を継続している地域もありました。 その他にも、鳥インフルエンザで防疫措置を終えてまもなく、豚熱による防疫措置を行う職員の方々もいて地域により法令で速やかに措置を講じることの難しさが課題になるようなところもあります。 速やかな処分はその通りなのですが、その任に当たる職員の方々は続けて行うという現実を想定していないという感じもあり、感染拡大を防ぐ観点とそのための職員を動員することまで今後検討することになるでしょう。 その中、分割管理という手法についても検討されており、青森や千葉県の養鶏場では試験運用を開始していくことになり、この結果次第で農林水産省は処分の在り方を検討することになり、今とは違う被害発生時の姿があるのかもしれません。 今回殺処分による地域への影響として埋却後の流出が話題になりました。 鳥インフルエンザ発生により殺処分された家きんは一般的に埋却されることが多いことは皆さんご存じのとおりです。 確かに焼却することもできますが、鶏の脂肪が焼却時炉の中で流れ出て、いつまでも燃え続けるような形になることから、結果的に焼却炉を傷める形になり焼却数を制限することが多く短期間で多くの鶏を焼却することは困難と言えます。 このため自治体は複数の焼却施設と緊急時の取り交わしをしていると思いますが、いずれにしても1施設で1万羽とかまとまった数は焼却できません。 速やかに処分するため、焼却炉の全室(ゴミ溜め場)に貯留することもできないはずですから、すぐに炉に入れることになり収集ごみと合わせて速やかに燃やすことになります。 多くの地域は市町村税で焼却施設稼働費を賄います。このため地元では有償無償問わず受け入れはしてくれることは多いと思いますが、よそ地域の焼却設備費は支払っていませんから、ほかの市町村へ鶏を処分依頼すると産廃扱いとして1羽又は1キロ単位で処分費用を支払うのが一般的です。 また産業廃棄物ですから地元市町営焼却施設であっても規定に従い有償で行うというところもあり、やはりコストは大きくなります。 埋却は、埋却地を農場が用意することを法令(飼養衛生管理基準)は定めています。 ただ、埋却に適した地でなければならないという規定はなく、多くは格安な土地を買い付けたり、農場建設のために購入したものの適地でないため放棄している地を選定しているところもあるでしょう。 それでも用意できない場合は、地域によりますが焼却するという形で準備をしているところもあるでしょう。 ご存じの通り、焼却にしても埋却も農場がそのコストを支払うことはありません。殺処分からその最終処分まで国が全額支払いその処分を県に命じます。県は処分を担当しその費用は地方交付税を原資に支払いを行います。 地方交付税は県の活動全般のために活用される補助金ですから、鳥インフルエンザのために何十億円と支払われるものではありません。 ですから県によっては、いくらかの予算は付けておくでしょうが、大規模農場から多く発生し処分までに時間と労力と人件費等コストがかかるという地域もあるところは予算がひっ迫するということもあるでしょう。 それが理由ではないでしょうが、茨城県鳥インフルエンザ予防及びまん延防止に関する条例を整備し50万羽以上飼養する農場を想定し4月1日から施行する(一部は10月1日から)ことになりました。 それによれば、防疫措置を円滑に進めるために鶏舎設備を県が設定(広さ・通路幅等)しており新築する時、建て替えする際に規制を受けることになります。 図面の提出もあり、万が一の際には鶏舎構造や処分の円滑な方法を構築し、県の活動に支障なく進めることができるような制度にしています。 また農場にある人員や機材を防疫措置対応計画に記載させることになっています。 農場から、斃死が多い等通報を受けて、簡易検査で陽性が疑われる場合県は速やかに埋却等の準備に入ります。 県や関係団体からの人員補充を手配し、農場と詰所までの人員輸送手配、重機移送とオペレータへの依頼と埋却地の選定と試掘と埋却堀の作成をします。 多くは取り交わしがあるはずですから、団体や専門業者へ片端から電話して手配可能か問い合わせるということはなく、一報あると手配まで完了し行動に移るはずです。 確定検査(遺伝子検査)により疑似患畜と判定されると、速やかに殺処分のための行動と埋却先までの輸送と、埋却作業と分担し進んでいきます。 こうなると、農場従事者や経営者は汚染防止の観点から作業することはできません。ですから手慣れている農場従事者をその作業に入れるといいはずと言います。 ですが、汚染を広げない観点から出入り自由(作業途中で昼食を買いにコンビニへ等自由行動)では困ります。 防疫措置を行う方がと同じように広げない措置まで同じようにできるのかという視点がなければ、ただ処分を短時間で済ませて再稼働を早めたいと聞こえる感じもします。 一段落したあとの話題として、近年は埋却後異臭騒ぎやため池の汚染といった日常生活への影響が見られます。 昨年12月九州のある農場で鳥インフルエンザが発生し埋却先には農場が用意した敷地に鶏やそのほか汚染物を埋却しました。 そのあと時間を置かずに、異臭が発生しハエが沸きだし、近くのため池が白色化するという騒ぎになりました。 1月に県は周辺住民へ現状を説明し、埋却のやり直しを伝えます。それから月日は流れ4月20日住民代表への説明会を行いましたが、稲作農家がいまだ田植えができないことや、再埋却完了は7月までずれ込むという見通しを示したことで、住民との話し合いは紛糾しました。 ため池の白濁化も20日時点でも白いままで異臭を感じる状態が続いているようです。 県によれば今度の敷地は竹藪の地で21日から竹の伐採を開始し7月上旬をめどにしているとのことで、漏出防止から遮水シートを敷き消臭剤をまき入れることにしています。 ため池は定期的な水抜きと水質検査を行い、汚染した川では川底を洗浄し継続することになっています。 なお、稲作農家が求めていた水質変化による補償は農業用水基準では水質には問題ないということもあり、実行しないことで話し合いは平行に終わります。 農場が用意した埋却地が適切な処分地であれば再埋却は必要がない工程でもあります。 ですが、適正なのか良い判断ができなかったのか、良くないとわかっていてももう掘り出しており、他処分地を選定している時間がないといった後戻りできない流れでは、失敗がわかっていても進んでいくしかないという明らかな失敗につながりそう感じながら作業をしていくことになります。 ではどうするべきなのか。 作業は急いで防疫措置を進めていく前提で工程が作られています。 急いで殺処分し、フレコンに詰め込み、輸送し埋却する。 それぞれの工程に問題がないことが前提ですが、今回のように埋却部門に問題が生じると、全ての工程を止めることになります。止めるということは各工程の職員の手も止まり機能が不全になるとも言えます。 ですから、事前に適正なのかを知っておく必要があるのです。事前とは確定検査がわかる数時間までの間ということではありません。 事前に敷地を見て確認しておくのです。認証を与えておくという手段もあるでしょう。 急ぐ必要がある作業だからこそ、失敗は大きな事故に発展するのです。今回は再埋却となることになりその時期までが当初より3か月から遅延したということです。 それによる周辺住民への影響が大きくなってしまうのです。 養鶏は周辺との分かり合いが大切な産業です。臭いから、音がうるさいからでは近隣との関係は悪くしてしまいます。 今回は殺処分による昼夜の騒音からその死骸等を埋却し、その後の異臭と白濁と周辺への関係を大きく損ねる結果となりました。 田植えが遅れ稲作農家の方にとっては風評被害を心配するという声もあります。 大きな影響が被害発生から5か月経過してもまだ解決できていないという今後の課題になる事例になるでしょう。 そしてそのような地を用意しないよう、養鶏家は埋却地であることを理解し、必要面積を満たす土地を用意しておけばよいということではないことを知るきっかけになったのではないでしょうか。 確かに日常は活用しない土地です。おそらく多くの農場では生涯使用する機会はないかもしれません。 であれば、通常は田畑として貸して、緊急時は作物を補償するので優先して埋却するという発想も必要になりますし、近隣の大口農家さんとそのような協定をしてもよいでしょう。 土地は有限ですから、自前の土地か農家さんの土地を借りるという手段も検討して良いのではないでしょうか。 最近は農地をソーラー発電所へ転用するという地もあります。有効活用かもしれませんがその地を農場が借りて第三者農家へ転貸して緊急時は活用するという手段もあるかもしれません。 行政を含めて検討しても良いのではないでしょうか。 今回の鳥インフルエンザの影響は発生後の話になります。でも本当はそうならない農場運営を検討することもあるのではないかと感じます。 出来ることは一生懸命行ったという方も多かったでしょう。でも何か隙を突かれたのかもしれません。 その隙は何か皆さんも考えてみませんか。発生する農場と発生しなかった農場の違いは何か。 それは些細な違いだけで、あとほんの少し何かを手にすれば防ぐのかもしれません。 大変な被害があった令和4年の大流行。まだ油断はできませんがもう終焉を迎えているはずです。 であれば今年令和5年は何をしていくのでしょうか。土地の話かもしれませんが、何かを感じていただければと思います。 殺処分に対応された多くの方々には本当に感謝を申し上げ、そして命を失うことになった多くの鶏達には養鶏家一丸となり同じような被害を出さないように努力を続けていくことをお約束し先の世でゆっくりと過ごしてほしいと思います。