nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

忘れていませんかサルモネラ菌による汚染リスク 鶏卵に安全と言い切れるような管理を

8月の祭りで提供された冷やしラーメンによるサルモネラ菌検出と食中毒がありました。

鶏卵のお話ではありませんが、近年サルモネラ菌が原因とした食中毒の話も聞かなくなり、養鶏家の皆さんもサルモネラ菌に関して記憶が薄れていることではないかと思います。

私も、この件があるまでサルモネラに関して思い出すような日はほとんどありませんでした。

お伺いする農場のサルモネラ検査結果には目を通すものの、惰性と言いましょうか検査毎月行っているね、陰性だねといった程度で事務的な流れになっていたと思っています。

農林水産省が令和2年に実施した市販鶏卵の菌汚染状況調査では、全国から20個鶏卵で同一のロット検体1点を1870点、37400個を購入し、卵殻と卵の内容に分けてサルモネラ検査を実施したものです。

それによれば、卵殻について6点(全体の0.3%)からSE(SalmonellaEnteritidis)が検出、卵内容は1点(0.05%)から同じくSEが分離されています。

 1点20個を攪拌して検出していますので、どれくらいの個数かわかりませんが、そのうちの1個が汚染したと仮定すると今回の市販鶏卵の割合は0.0027%程度と試算されたとしています。

(参考までに個数関係なく検出されてはいけないので個数がわからいことを問題視することは意味がありません)

 ちなみに、前回平成22年の結果は0.0029%と推測されたとしています。

この事例では追跡調査が行われており、それによれば今回同様地域別に鶏卵を購入しており、総検体数5400のうち、3検体の検出で、東海地方、関東地方、近畿地方で各1検体となります。

 SE汚染が確認された3銘柄はそれぞれの鶏卵を供給しているGPセンターであり相互の関連は見いだせないとしており、つまりは個々の農場原卵が汚染源で、GPセンターで仕分けされ、他のGPセンターで再仕分けしているわけではないということです。

また特定できた2か所の汚染卵生産農場はいずれも中小規模の養鶏場であったとされます。

つまり、農場で生産した汚染鶏卵はGPセンターを通り販売店に並び、消費者(今回は検査材として国が購入)してわかったというものです。

この報告でもGPセンターでの汚染よりも、農場の汚染(ineggSE汚染を反映している可能性が高いと思われるとされます。

 詳細は内閣府食品安全委員会からご参照ください。

さて、今日お話ししたいことはサルモネラ菌を思い出してくださいという話ではなく、このように安全であり安心されるような鶏卵作りをもう一度思い出すことに力点を置いています。

 私のように(ほとんどの方は意識された生産を継続されていると思いますので恐縮ではありますが)惰性とは言いませんが、事故に至っていないから意識せずに生産活動を続けているというところもあるかもしれません。

先ほどのように、混入される割合は検査が行われるに従い改善が進んでいます。

 これは、ネズミが原因とかいろいろ言われ対策を講じているからと言えます。

確かにネズミが媒介すると教えられた方も多く、だからこそ対策を本格的に取り組んできたことの証なのかもしれません。

または昔と違いSEのワクチンが普及しましたので、だからこそ汚染が防げているという方もいるかもしれません。

どれも皆さんの管理方法が正しい方向に進んでいるからこそ、ゼロにはならないもののだいぶ改善が進んでいるのではないかと思います。

 実際昭和時代から見てもおおよそ1割の低減が達成していると言っても過言ではないと思います。

 それだけ、皆さんやその先代さんはこの問題に取り組み続けてきているのではないでしょうか。

 だからこそ、問題が表面化されなくなりつつあり、いつしか農場検出がないことが当たり前になり日々邁進していくという所もあれば、たまに検出されるけど、通路等消毒してネズミとわかっていて再検査して陰性になることを確認している程度の農場もあるかもしれません。

つまりは、検出されると悪い物はわかるが、検出頻度は低い又はないから安心、検出しても消毒して再検査して大抵は陰性になるから安心といった考え方の違いが農場によって差が出ているようにも感じます。

 昔はネズミ対策をしていれば良いと考えていた方も多かったと思います。

しかし、近年はウインドレス化が進みネズミ対策を講じる手間をなくすような壁の作り方、高所に梁を通さずネズミが通らない環境を作ったり、外壁も壁を登らないように柱を壁内に埋め込みフラット化した農場もあります。 これは、ネズミの習性を意識した鶏舎作りをしたもので、最近は鶏舎メーカーもよく考えてきているように思います。

 昔までは、ただ保温できるために壁を張り、高所に梁を入れて強度を保つと図面を引き組み上げたりと、あまりその点を意識したメーカーはありませんでした。

 しかし、養鶏家側からの要望もあり、この先を生き残るためにも耳を傾けだしていることで、管理(制御)しやすい鶏舎が増えつつあります。

改築を境に、ネズミ問題がだいぶ改善したという所もありますので、作業性が向上していることがこの問題を更によくしているような1つのきっかけにも感じます。

 また、人に意識も高くなりました。

 昔は外ではいた長靴は、そのまま鶏舎に入るというのは一般的でした。

 飼養衛生管理基準で履き替えとなり、しぶしぶそうなったというところもあるでしょうが、この履き替えが人からの汚染が遮断できているようにも感じます。

鶏に近づくリスクが、ネズミといった野生動物の遮断と人からの遮断がだいぶ改善していることが功を奏しているのでしょう。

どれも皆さんの努力が継続しているからだと思います。

 このいつしか当たり前になったことを毎日繰り返すことで低確率かもしれませんが、汚染する機会を遮断できているのがこの数値となって表れているのではないでしょうか。

でも目には見えない菌だから、油断するということもあります。

それは皆さんではなく、外部からの訪問者もあるかもしれませんし、新規に雇用した新入社員の方の意識が高まっていないうちに実践に投入することかもしれませんし、面倒だからという安易さから発生するということもあるでしょう。

見えないものだからこそ効果は実感できないという言葉は、面倒ならやらなくても良いという免罪符になることもあります。

 これを油断と呼ぶわけですが、サルモネラ菌はその油断が鶏舎を招き入れるきっかけにもなります。

でも検査では陰性だから大丈夫と思い込むと、今回の検査は陽性となり、消毒して再検査すればだいたい陰性だからいいだろうと更なる油断をします。

 またはSEワクチンを接種しているから大丈夫と思い込む農場もあるでしょう。 多くの方は知っていると思いますが、このワクチンはSEを完全に防御出来るわけではないということです。

 実際千葉県のワクチン投与試験(平成19年)では、通常1回程度で良いとされる接種を2回実施した場合と摂取しない場合と分けて評価しています。

その結果は1回より2回の方が良いが、接種しない群と比較しても明らかな差はなかったということ、接種をしたとしても完全に防御出来ることは困難であると言うことを示しています。

つまり、行っておけば安心な管理ができますが完全な防御を期待することはできず並行して衛生管理を継続するべきということです。

 だからこそ多くの養鶏家さんは、育成期にワクチンを接種し衛生管理を継続して遮断方法を継続しているわけです。

そのためには、安全な自社の鶏卵のためには地味かもしれませんが、履き替え、ネズミ対策がこの先も必要になるわけです。

先ほど鶏舎はネズミ対策を簡素化できる構造になりつつあるという話をしました。

でもネズミは外気温が下がれば暖かい鶏舎に向かい侵入をしてきます。

 例えば、鶏糞を排出するベルトから鶏舎に入るということもあるでしょう。

又は排水口から鶏舎に入るということもあります。 だいぶ少なくなったと思いますが、空気口の金網を破いて入るということもあります。

 だから目視で確認し、穴があればふさぎ、鶏舎に入る場所はふさぐ又は壁を作り隙間をなくすわけです。 でも意識しないと、気づけませんし、侵入しても勝ち誇ったようにネズミは鳴いて勝利を宣言することもありません。

目視でわかる時は、数が増えて縄張りから追い出された個体が新しい場所を探している時で、かなりの数がいる状態です。

多くはこうなってわかるのですが、不断から意識があれば早い段階で気づけますし、それ以前に侵入させない手間を惜しまず継続しています。

この差もサルモネラ菌汚染を上げるのかどうかの差になっているのです。 ぜひ、毎日の繰り返しでつまらない衛生対策かもしれませんがその継続が皆さんの農場の鶏卵価値を守っているのです。

どうか思い返して1回意識した対策を行ってみてください。 そして、そういえばこういう話は鳥インフルエンザにも通じていると感じたならば、ぜひ見えないものに挑む方法を構築して意識を持ち続けるような仕組みを作ってみてください。

最後に、鶏卵のサルモネラ菌問題はヨーロッパで拡大していることを少しふれておきます。

ベルギーでは8月に300人以上が卵を摂取した後サルモネラ感染症が発症したとされます。

欧州疾病予防センターは20年以降増加している事象で、世界でサルモネラ食中毒が2番目に多いと報告しています。

特筆すべきは26年5月以降イギリス200件を超える数で多く、オランダ100件程度、ベルギー15件、フランス、ドイツ、オーストリア、デンマークでも10件未満(1~6件程度)で発生しています。

イギリスの調査では家庭での調理ではなく外食が関係している可能性があるとしており、汚染卵があらゆる方法で人へ接触している状況であることを危惧しています。

そのヨーロッパは先駆けてSEワクチンを接種しているような国です。でもこのように大きく扱われるのは飼育している環境がどうなのかという点です。

 バタリーが優れているとは言いません。水洗ができていないからともいいませんが、ワクチンだけで満足している方がいるならば、効果はこの程度になりかねないという可能性があるということです。

では、日本はといいますと、令和7年まで見ますと、過去10年間でサルモネラ属菌の患者数は6754人で2名が亡くなっています。

令和7年の総数は1172件の食中毒が認知されていて、そのうちサルモネラ属菌が病因物質とされたものはおおよそ24件(全体の2.4%)です。

 多くはノロウイルスで約460件(全体の39.4%)で最も多く、次いでアニサキス、カンピロバクターと続きます。

実際サルモネラ属菌であったとしても鶏卵と特定できている事例は昔と違いないように見えます。

 例えば8月に福井県の飲食店で804名が食事をして、76名が食中毒になり、そのうち23名が入院し8名の便からサルモネラ菌が検出されています。

しかし、この店はビュッフェ形式の飲食店で様々な品目があり恐らく特定ができていないように見えます。 このように、昔は汚染卵が一般的で割卵した卵を放置したとか、常温に長らく放置したとか言われて実際サルモネラが検出されたという時代もありました。

 しかし今は飲食店も安全対策を講じています。必要な鶏卵を割卵してすぐ使用するといった放置のような不衛生をするところもありません。 ですから、原料の卵が汚染とは言い切れない時代になりました。 調理した店舗の衛生はどうなのか、その保存はどうなのかといった複合要因があり特定が難しくなっています。

だからこそ、安全な鶏卵を提供しサルモネラ菌であったとしても鶏卵が主要因ではないということを取り組み続けていくべきなのです。

 そのためにも自社の鶏卵は安全であると言いきれる安全対策を講じ続けてください。

 昔、養鶏場のあるパート従業員の方が言っていました。 うちの卵は安全だよ、卵の殻いまベロっと舐めてもお腹がくだるようなこともない安全な卵だよと自信もって見せてくれました。

 鶏糞が少しついていたので、苦笑いした記憶がありますが、でも本当に自社の鶏卵に自信があると感じたシーンを思い出します。

どの業種もそうですが、従業員から安全であると言われる製品は本当に安全対策を講じていると感じさせます。

 でもそうでない、そう思わないという方がいる農場ではどうでしょうか。

安心できないよね、いつもスーパーで買っているよ他所のやつなんて言われたら不安です。

多分、鶏舎はまあ汚れていて、ネズミが散歩していて、まさかワクモもいて殺虫剤が鶏卵にかかっても気にしていない農場なのかなと勘繰ることもあります。

 農場の衛生意識は本当にばらつきが大きいものです。

 でも問題が発生しなければどちらも同じなのです。 だから労力を注ぎたくないという思考も生まれるのわけですが、大事なことは防げる方法を継続していくという姿勢があることは、サルモネラのみならず農場の意識が高まる原動力になっているということです。

9月にプリンを製造したメーカーが自主回収を行いました。 原料卵「殺菌液全卵」の一部からサルモネラ菌が見つかったからというものです。

おおよそ19000個のプリンが回収対象になりました。 しかし、プリンは加熱殺菌を行い、このメーカー基準では中心温度90℃23分維持という厳しい品質基準で作られます。

 ですから、通常殺菌され菌が残る可能性はなく、実際保存した製品からも検査し陰性であるとされますが、原料段階で検出したので回収したという事例です。

それだけサルモネラ菌は、万一製品まで至ると大きな問題になるのです。

先ほどのように買い上げて検査して検出され農場まで特定されるということもあり得るのです。

 当然といいますか、ご承知の通りサルモネラ菌汚染の鶏は原則殺処分されることは知っているでしょう。 だからそうなってほしくないという思いもある農場は検査し陽性で消毒させて陰性になるという自己満足で心落ち着かせているところもあるかもしれません。

でも、サルモネラ菌汚染はあっていけないものです。だから私たち生産者側はゼロリスクはできないもののできうる方法で制御していくのです。

 鶏卵は仕方がないではダメなのです。

そんな思考では、さきほどのような消毒して再検査してという農場のように見えてしまったものを見えないように蓋をするだけにしかならないのです。

昔は、原料汚染は取引先から切られるからこそ真剣であったという農場も多くあります。

例えば平成23年宮崎県であった食中毒により3名が発症し1名は亡くなるという事件で裁判にまで発展した事例が1つあるとされます。

 この事件では生卵入りオクラ納豆を製造したメーカーが被告となり4500万円の賠償が命じられたものです。

判決では、卵の洗浄やパック詰め施設の衛生管理が不十分で、食中毒発生について生産業者に過失があるとされました。

つまり国産の卵は生食を前提とした対策が必要で、生産業者はそれを怠ったという認識です。 実際食べ残された料理や冷蔵庫に保管してあった卵の殻の表面、卵パックの内側からサルモネラ菌が検出されています。

つまり鶏卵が主要因であったということです。

農場HACCPを構築している方の高齢の方や、子供、ハイリスク者を想定するというのはこの点を意識して作ることを教え込まれるわけです。

どうか皆さんの農場の鶏卵は自信を持って安全対策を講じていると言える鶏卵をお作りください。

 そしてうちの鶏卵は殻をベロっと舐めても安全だよとは言いませんが、それくらい安全であると言える製品と農場を作ってください。

 それが、見えない脅威に対応できるきっかけにもなり、安心できる経営につながるはずです。

本年度の最低賃金額が全て出そろいました 全国平均は1177円となります

3日本年度の最低賃金額がすべて出そろい全国平均額は前年より56円高い1121円となりました。

 最も高い地域は東京で1280円となり、最も低い地域は宮崎県の1085円となりました。

養鶏が盛んな地域で見ると千葉1195円、茨城1136円、鹿児島1090円、宮崎1085円となります。

また昨年と異なり、改定額の発効日(施行日)は多くの地域で10月中になりました。

なお熊本県は地震による影響も考慮して12月となり、岩手、沖縄県も12月の施行となります。

 皆さんの農場でも施行日からは本年度の最低賃金額で給与の支払いが義務となります。

遅れなくご対応いただき備えていただきたいと思います。

参考までに()は最低時給額です。

10月1日施行は北海道(1131)、宮城(1098)、関東全域(群馬を除く)、新潟(1108)、富山(1119)、山梨(1113)、岐阜(1121)、愛知(1195)、兵庫(1172)、大阪(1231)、三重(1143)、香川(1092)となります。

10月2日は長野(1117)、岡山県(1104)

3日は石川(1113)、群馬(1120)、鳥取(1092)、和歌山(1101)、滋賀県(1136)

 4日は福岡(1114)、福井(1112)、奈良県(1107)

 8日山口県(1101)

 10日島根県(1092)

 11日広島県(1141)

 14日秋田県(1090)

15日静岡県(1154)

 16日福島県(1094)

24日宮崎県(1085)

25日鹿児島県(1090)

 29日高知(1086)、青森県(1090)

 30日山形県(1092) です。

 11月は愛媛(1093)、徳島(1103)、山梨県(1113)が1日から、長崎(1087)は2日から、15日に佐賀県(1095)、16日は京都府(1180)、となり、

 最も遅い12月施行は熊本(1092)1日から、岩手(1090)も1日からで、沖縄県(1086)が2日からとなります。

今年度の時給は皆さんにとってどの程度重いものになったでしょうか。

最低時給は時間給の方以外にも社員として登用している場合でも、外国人労働者であっても1時間当たりの労働賃はこの価格を下回ってはいけないとされます。

 例えば時間給1090円で1日6時間実働で1日当たり6540円の支払いです。

月23日労働した場合月の支払額は150420円を下回って支払ってはいけません。 ここから控除することは可能ですが、基本額はこの15万円である必要があります。

現行より56円高くなった場合の労賃上昇はこの試算例ですと、1日336円増加で、月当たり7728円増加します。(年間ですと92736円が10月以降の今年度分増加することになります)

 もし10名雇用されていれば単純にこの金額の10倍となるわけですが、これを高いと見るのか、そうではないと捉えるのかという視野でこの先の皆さんの農場運営は変わります。

 養鶏はコストを削減する優れた産業です。

 昔1名ができる仕事は鶏舎作業と集卵と出荷、集糞と多岐にわたり1日が長く週休2日は不可能とも言われていました。

しかし、自動化が進み集卵は機械がベルトを動かし集卵場まで運び簡易な検査をするだけと1名の仕事量は格段に下がりました。

集糞も高床式鶏舎と異なり成鶏1サイクル分をまとめて取り出すというより、1週間に1回や2回と少量の鶏糞を運び出します。

重機を使い掘り出すというよりベルトを動かし集糞するので簡素化しているはずです。

 これにより作業時間が短縮され、その時間を違う作業に当てはめることが容易になりました。

 以前からお話ししていますが、自動化が進んだ農場は1名が10万羽まで管理が可能になり、集卵業務まで行うことができるようになりました。

ですから30万羽の農場なら作業員は最低5名以上(交代要員を含めて)いれば理論上可能になります。

経験から設備がさらに自動化が進まない限りこれ以上の作業員数を削減すると多くの場合事故に至り生産量の低下や作業員の負傷が多く見られます。

ですから、なんでも効率化できるから人員を削減するという安易な思考は持たないほうが農場持続する上でとても大事な点になります。

それより販路先を広げるよう働きかける、加工品を開発し販売する、ネットや無人販売自販機等を活用し知名度を上げて売り上げを増やすといった知恵がこの先の生き残りの上で大事な視点になるでしょう。

 最低時給はこの先も上昇していくことは避けられません。 本年度の最低賃金額妥結に労使とも1回の交渉で解決したという事例は本当に少なく、大きな開きをどのように縮めるのかという話題が多く見られました。

雇用者側は出来るだけ安く済ませたい、労働者側は物価高もあり大きく上昇させたい等思惑があるとは思います。 ですが、労働人口が明らかに少なくなっていくこの時代、人をつなぎとめるには賃金(お金)しかありません。

 ある外資コーヒーチェーンのように低賃金でもあこがれる黒エプロンを着用できるような魅力ある職場というのはあまり存在せず、畜産業ではまずありません。

 ですから慢性的に人手が足りず、外国人材に労働力を補いなんとか農場を維持するというのが実情でしょう。

人材募集しても応募はなく、いつも人員は欠員ぎみで、既存の労働者は毎年1歳ずつ年を上げていくというのが今の姿です。

 多くは農場内の平均年齢は40代後半という所も珍しいものではなく、50歳台というところもあります。

 年金支給が後ろにずれ込む今の時代、65歳までは雇用確保が見込めるものの、60歳で一定数は退職していくというのも避けることはできません。

 その60歳台でも給与が高くなるわけで、違う農場や農業団体に雇用されるという事例も見られます。

特に技能や農場を動かすマネジメント力がある人材は60歳を境に違う農場に移るという方もいます。

つまり最低時給だけ支払う農場はいつの間にか優秀とは言いませんが、移動しやすい人材は同じ時給なら移動していくという時代でもあります。

 ですからこの額で高いとか払えないということは、人を減らしても農場維持できるのか試算したうえで発言できるのか、再度考えてみると良いでしょう。

 厳しいことを言いますが、全自動農場システムというのはまだ存在していません。

植物工場のように室内を液肥が流れ植物が育つようなシステムは養鶏にはありません。

 まだ中途半端な自動給餌システムがあり、たまに餌がなくても餌を流していくという弱点を持ち、水も自動で流れてはいますが、まれに水源地のポンプが故障や漏電で止まり渇水するということもあるでしょう。

 集糞も自動で集めて排出しますが、管理が悪いとベルトが片伸びしてローラーに絡まりしわが寄りベルトを交換しないと集糞できないという注意力が試されている状態もあります。

ですから、人がいなければ何とかなるというのは残念ですが規模を今より小さくしていかないとどこかでひずみが生まれ大きな事故に至るのが今の姿です。

 外国人技能実習生を多く採用することも良いでしょう。

 しかし、最近の日本円は本当に最弱通貨と呼ばれるくらい安いもので、東南アジアからの人材は日本より近隣国の方が稼ぐ事ができると言われるくらい人材確保の競争から負け始めています。 監理団体が積極的にセールスはしているでしょう。でもどこかで希望通りの確保に無理が生じていくと思います。

 そうなると、年齢が高くなっていく今の人材で回していくのか、特に取り柄がない農場であれば一定数離れていき慢性的な不足がさらに大きな不足になるのか。

 不足はただの人数だけで済むのか、生産量の低下を伴うほどの技量が下がっていくのか。

今の時代農場生産量は9割が普通の時代に、8割台前半まで落ち込んだとしたらそれでも採算が合うのか。

その間にも最低時給は毎年あがっていきます。それに耐えられるのか。

そんな数年先までを想像して見ると、人は潤沢にいた昭和に酔いしれている余裕はないように見えます。 時給が同じなら、労働者は何を基準に選ぶのか。

 安い人材は本当お買い得とはいいませんが、その農場にとって本当に利益をもたらすのか。 ただ人がいれば用足りるような時代でしょうか。

人がいれば生産量が増えていくのが普通ですが、何も変わらないなら何が悪いのか。 そんなことを想像して採用活動してみてはいかがでしょうか。

 人材確保は本当に競争であり厳しい戦いの世界です。 昔のように卵があればお金持ちになり、ウハウハになるというのは今の相場だからではないかと思います。

 昭和の時代のように1キロ100円台になることはないでしょう。 でも多くの農場の採算ラインは恐らく1キロ230円程度かそれ以上になるはずです。

 そうなると、今の卵価は儲かるでしょうが、250円まで下ったら、いや生産量が多くないので採算ラインは260円であるならどうか。

そうならないよう生産量を上げていくにはどうするのか。 せっかく人がいるなら、どう頭を使い活かしていくのか。

安い時代にしがみつくだけでは、恐らく生き残るには厳しい時代がこの数年先に訪れることでしょう。

 では皆さんの農場はどのように考えていきますか。

9月を迎え鶏卵相場の上昇が始まる時期になります 鶏の回復はどのように進めていますか

8月も終わりを迎えます。

 鶏卵相場は思いのほか値が崩れることなく推移しました。 28日時点東京M規準値295円で推移しており、8月最初の相場値で推移しています。

 8月の最安値は8月6日から24日までの290円でした。 通常9月に入ると相場は上昇基調になることが多く、いわゆる暮れ相場までは上昇していきます。

 ひな餌付け状況も前年割れで推移しており、生産量は昨年より少なく需要が旺盛な状況になります。

昨年は銅線泥棒が話題になり農場被害も確認されましたが、本年は農場被害に関する報道はなく無事に過ごしていることとおもいます。

 また8月は猛暑酷暑が西日本地域で散見され、鶏の生産量の低下、斃死の発生、体調を崩したことによる腸炎の被害も聞かれました。

気温は8月上旬から10日過ぎまでまで西日本地域は高く推移し、24日から27日までは関東地方までの広範囲が気温上昇するそんな8月でした。

弊所でも8月10日前後は西日本地域事業所内の鶏舎内温度に関する声を聞くようになり、アドバイザーやチーフアドバイザーが鶏舎内の設備対策についてお話しする機会が多かったと思います。

 前回のブログの通り猛暑が来たことにより、暑熱対策を急がれた農場も多かったと思います。 また養鶏の友にもお話しした通り、設備以外にも大事なことは風通しを作ることで、そのためにも掃除が大切であることを実感された方も多かったと思います。

たかが掃除、たかが目詰まりではなく、その少しの努力の積み重ねが鶏を守る最初の一歩になっていることを改めて実感したという方もいたことでしょう。

その上での設備増強やストレス軽減策を講じていくことになります。ですから前回のお話しのように、1つだけの対策では十分に対応できないのが今の夏になるわけです。

まだ残暑が続くことと思いますので、引き続き対応をお願いしたいと思います。

さて9月に入るわけですが、この時期は鶏の回復に重点を置く養鶏家さんも多いと思います。 弊所でも回復の重要性とその講じる方法をお話ししていますが、皆さんも自然に回復するから何もしないではなく、早く回復して利益を取っていくという鶏を主体とした管理が大事であることを知っておくと良いと思います。

 通常(といっても5年くらい前まで)は、9月は中旬まで残暑が続き、雑草から秋の虫が鳴き朝はだいぶ涼しくなり、従業員の方が風邪をひき欠勤するという連絡が聞かれるのが通常でした。

しかし、9月は下旬まで暑い時期が続き日中は真夏日、猛暑という時期が続き、中々鶏の回復が進まないという農場も多いことともいます。

餌を食べないと体力がつかないから、無知な農場主は餌を何回も流し、エサ入れ(餌樋)がガボガボになるまで流し、たんまりお食べと言わんばかりの給餌をするところもあります。

そして選び食いが始まり、食下量が増えず、生産量も回復せず、斃死がダラダラと増えていくという悪循環が始まるという農場も毎年聞きます。

最近は断餌であると言わんばかりに、1日1給餌で十分と餌を切る農場も見られます。

 悪いことではありませんが、1日の餌量は出来るだけ摂取させるという原点が抜けてしまった農場もあります。

この方法より低レベルで複数回流していく方が結果的には食下量が増えていくのですが、手間がかかる、面倒である、作業効率が悪いといった理由で実施しないところもあります。

しかし給餌に人力が必要という所はあまり見る機会はなく、自動給餌が一般的である中、面倒とか効率とかいう理由で手間をかけたくないのが本音のように見えます。

餌に反応するのは今も昔も鶏達は変わりません。 餌が流れて食べだすのは、粒子の荒いコーンとかを食べるかもしれませんが、周りの鶏達もつられて結果皆食べだすのを狙う手法です。

 だから餌レベルを下げて早い時間で餌樋が空になる又はだいぶ少なくさせて次の時間を期待させるわけです。

 人で例えるなら、わんこそばを多く食べる方が満腹食べた感があると思います。最初からどんぶり大盛のそばを2杯3杯食べるより結果多く食べられると思います。

それと同じイメージで見てください。

そうすると1回の配餌で良いとかにはならないと思います。

 そして鶏の食べる習性を知ると、荒いコーンだけでは栄養的に偏るからこそ細かい粒子の餌まで食べてもらうには時間を空けて減らすが、何時間も半日も空けることが産卵サイクルからして適切なのかという管理技法を思い出し想像し実行するわけです。

ただ減らない、手間だけで用が足りるような世界ではないのが今の養鶏です。

昭和は良かったでしょう。

卵があればお金になる程度の時代です。今は農場での生産量は9割が普通で、8割、7割ですと採算が割れるような世界です。

 数があってシェアが取れる。そしてそれがお金に直結する時代です。

庭先に餌を撒き放置するような養鶏の時代ではないのです。そこに技法があり、知恵が勝者と敗者を分けるような知識の差の戦いになっています。

 馬鹿にした隣の養鶏場が、大手の店舗に納品されている、俺より若い年下の子供の代になった養鶏場が、海外の倉庫店に納品されるような商品になっていたりと、ちょっとしたことで差が生まれるような時代です。

それは、地元の権力だからとか、お金を持っているだけで通用しているわけではなく、納品数が保証できるくらいの生産量がある、農場の衛生状態が優れており、いわゆる事故鶏卵を作らないシステムを持ち数があるという信用があるからです。

 少なく回数多くという方法がそんな手間で片付ける物なのか考え直すきっかけになるでしょう。餌のアップデートをしてみてください。

 なんでも多くあれば良い、餌回数は少ないほうが便利といった、この時期だからこその手間を手間と感じてしまう農場ほど、何もしないが何とかしたいと思っているだけで、夏を理解して取り組むことができないと少しの手間で改善できるきっかけを失ってしまいます。

弊所の研修で最も大事な視点ですが、願望だけでは何も変わらないからこそ、変えるという視点を知り実行する視野を持つことをお話ししています。ぜひ皆さんも替えるという視点を持ち改善をしてください。

 しかし、季節は9月になります。今から餌の与え方を知っても間に合わないのではないかと思います。 暑くなり食下量が減り生産量も減る。だから収入が下がり、秋に回復を期待する。 だから今から餌の配置を変えるでは遅いように思います。

 何もしないよりはましですが、既に時が遅いようにも思います。

では本題に戻り、鶏の回復を皆さんはどのように進めていくでしょうか。

 先ほどのように何もしない、気温が解決するという方法もあります。 ですが、大きくダメージを受けた鶏がピーク時のような高産卵に戻るのかは運しだいです。

多くは個卵重に移行し大きめの卵になり、輸送中の壊れによる収益の低下、規格以外の増加による利益の低下というパターンもあります。

あるいは鶏の増体重が増えていき斃死がダラダラと続くというパターンもあります。

では、それ以外に何か手はないのでしょうか。 いいえ農場を見てみると手はあると思います。

例えば、食下量が少ない時期が長く体重増加が少ないロットならば、換気量を増やし風を通し餌を増やすために先ほどの1回の餌量を減らし回数で追っていくという手法があります。

ただ時間を空ければよいというわけではなく、荒い粒がなくなり、鶏が水を飲み更に餌をついばんでいるタイミングで流すという観察する視野があると良いでしょう。

ただ次は2時間後とか、3時間ではないのです。結果的には2時間後とかにはなるでしょう。この視点と観察から推測する力が必要です。 早く餌を食べ体重の増やし連続産卵できる力を持ってもらう目的があるのです。

 では、生産量があるけど食下量が多くなっている場合はどうでしょうか。 換気が行き届き、生産量は少し下がるだけで、食下量が変わらず、少しづつ増えていき体重が増加している場合もあるでしょう。

 この時の多くは、餌のエネルギーを下げる銘柄に切り替えてそのまま放置するというのが多いと思います。 最近は餌のエネルギーを下げた銘柄で同じグラム数食べても結果少なくなるという論理で、平成の時代までは鶏管理の基本的な選定方法でした。

しかし最近の鶏を見ると、増えていく感じは平成とは違い大きくは増えていかないのが今の鶏のように見えます。 つまり、今の時代は省エネの鶏になっているとも言えます。

 実際鶏の改良は連続産卵に趣きを置いています。 ですから、平成時代の鶏とは少し変わっているようにも思います。

食べて産卵を押し上げるという時代ではなく、食べて体を作り連続産卵できる体力を作るという時代になります。 つまりその工程が十分にできない場合、どこかで産卵のためのひずみが生じてしまう可能性があります。

鶏と大きく育て、連続産卵する能力に合わせておくための準備を育成期に作り完成する。 成鶏では産卵が早まることから、いかに早く餌を与えて連続産卵できる環境を作る。 そこに夏季が入り狂うのであれば、最初に暑さに対処していくということになります。 いかに餌を食べさせるという維持を前提に考えていきます。 そのために涼しくする、食べる工夫を考え作る、昭和や平成とは違う気候を知り今の夏を知り対処するということに尽きます。

鶏が悪くなった場合の多くは、気候のせいと考えがちですが、多くは今の時代にそぐわなくなっていることに気づいていないということが多いように思います。 回復をどうするのかと考える時、もうガタガタにまで生産量の低下や斃死数が伴った場合、正直予後はあまりよくはありません。

 少しは回復はしますが、日齢が高くなるに従い腸炎が発生したりと、平成とは違うスッキリしない事象が散見されます。 そうなると、ストレス軽減対策や腸炎予防のために整腸剤を与えたりと昔とは違い鶏の体調がすぐれない時期が長く見えるロットが以前と違い散見されるところもあるでしょう。

そのような事例はないという農場もあるでしょうが、この数年前からよく聞かれる事象に感じます。

この2年前から弊所では、大事なことは回復ではなく、そうでない管理方法を構築するアップデートをする力を養うようにお話ししています。 例えば、育成期の餌は今より少ないことは正常なことなのでしょうか。

 例えば、成鶏期に入り産卵開始時期が早まるのに食下量が伸びていないのに、餌を増やすための方策ができていない。又は高温管理に固執して餌を食べさせない(食べる量を抑える)方法で結果食下量が増えず産卵開始となり、鶏のストレスが高まり病気が発生するという事例もあります。

産卵がピークに達したとき、食下量が頭打ちになり栄養的にもギリギリで経過した場合、300日や350日齢当たりで斃死が増えだし産卵には大きな変化がないものの斃死が続きスッキリしないという事例も聞きます。

 最近の鶏は繰り返しますが、だいぶ持続が優れていることは皆さん知ってはいます。 ですが、その多くはご自身の管理が優れているからそうなっていると慢心とは言いませんが、農場のおかげと信じてしまいます。

 確かにその意味は間違いではありません。

それは十分な餌を与え、ストレスを軽減している取り組みが実を結んでいるということで、結果農場のおかげでもあります。

 でもそのおかげを冷静に分析するとそこが核心になるわけです。

ですが、そこまでたどり着けない農場も相当数あります。 また病気だ、また生産減だ、また斃死が続く。 そんな声が今年も聞かれました。

 回復する9月ではありますが、今の時代回復は過去の回復のように元に戻るという事例は、若い鶏に限られているように感じます。

 多くは生産量は少し回復しそのまま過ごす。 そして強制換羽してリセットを試みるというのが今の姿でしょう。 そして餌を切ることで、被害は腸炎に限らず季節が鳥インフルエンザに入っていることで、体調がすぐれない中での被害発生というのも風のうわさで聞く事例もあります。

鶏が変わるということを知っているだけで、今の管理の良くないところ、改善するところが見えるのではないかと感じます。

 でも同じであり、暑いから仕方がない程度で終わる農場は来年も仕方がないで終わるのでしょう。 そして何年たっても仕方がない、でもお金が惜しいという言葉を繰り返し一人地団駄を踏むのかなとも感じます。

 冒頭の「馬鹿にした隣の養鶏場が、大手の店舗に納品されている、俺より若い年下の子供の代になった養鶏場が、海外の倉庫店に納品される」のように、何も見えていない人の痛い言葉は実はこのような差になっていたということです。

昔は馬鹿だったのかもしれません。

でもその人たちはきっとご自身をアップデートしていたのではないでしょうか。技量を付けて自身を磨き続けていたのではないかと思います。

 でも言った本人は何も考えず、昔は馬鹿だから今も馬鹿と思い込み何も努力せず過ごし差になっていただけではないかと思います。

 馬鹿の鳥飼いは養鶏の悪い言葉であることを皆さん知っていたと思います。

頭が悪かろうと、鶏がいれば高価な鶏卵が取れて生計が立てられたという時代の良くない言葉です。

でも今の時代で解釈するならば、何も学ばずただ時代に流されている人を馬鹿の鳥飼というのかもしれないと感じます。

 研修でも真剣に聞きいれている方や質問が核心を突くような一緒に考えるような切れ味ある内容を求める方もいますが、片や何も考えていない、関心がない、それよりこの後の懇親会が気になるという方もいます。

お話しする側は養鶏家の熱量を客観的に見ることができます。 ですからこのような差が生まれていくのだろうとつくづく感じます。

 今日のお話から是非回復の方法だけを知ろうとせず、回復するためには根底(前提)は何かを知ってみることも、皆さんの成長に寄与できるのではないかと思います。

回復時期が終われば鳥インフルエンザの時期に入ります。養鶏家にとって一番怖い時期がもうすぐやって来ます。

今年は令和の当たり年になるのではないかと心配をしていますので、この回復に時間をかけている余裕はないと思っています。

 弊所では回復時期は実行に入っており、来る鳥インフルエンザの対策を勉強しています。

1年は本当に早い流れになっていると感じます。 皆さんはどのような夏を過ごしていますか。

猛暑がやって来ました 皆さんの鶏はお元気ですか

今年は6月はまだ余裕のある暑さでしたでしたが、弊所の事業所内では7月梅雨明けからの猛暑や酷暑で鶏の被害を受ける養鶏家さんが多く見られました。

それぞれ管理獣医師さんがいて熱中症でしょうから鶏舎管理をしっかり行ってくださいという指導はあるようで、根本的な対策を指示いただけないというご相談もいただきます。

このこともあり、研修が多くなる7月中旬以降8月下旬までの間で、急ぎのご依頼をいただくことも多くなり、研修資料を揃える合間のご訪問やご相談に追われるような季節になっていると感じます。

皆さんの農場の鶏達は元気に過ごされているでしょうか。

さて、鶏舎の暑熱対策は様々方法があり養鶏家皆さんの知見が現れる対策の一つになります。

お伺いする農場のほとんどは、暑いから死んでしまい仕方がないのだけれども、今の卵価での損失は正直痛いので何とか減らせいないものなのかという相談で伺い、特に暑熱に対する方法がなく、風や天候任せの農場が多いように見えます。

もちろん昭和平成であればそれも良かったのかと思います。

しかし令和に入り50年に1度、10年に1度といった暑い季節が頻繁に訪れるようになり、もはや風や運任せで何とかなるような時代でなくなりました。

確かに昭和や平成では最高気温が30℃程度で35℃もあれば今日は珍しい暑さと言われるものでした。

しかし今の時期は、35℃、40℃と私たちの体温を超える猛暑が多く聞かれ、もはや送風だけの飼養管理の限界に到達しているような時代になります。

加えての鶏の性能による産卵ストレスもあり鶏達の環境は年を追うごとに厳しくなっていると感じます。

昔は暑熱対策と言えば、送風機の増設や暑熱対策ペイントを施して日差しを和らげて気温上昇を抑えるというコストの高い方法もありました。

どれも今までは一定の効果はあったのかなと感じますが、この時期の暑さには少し困難さも感じるように思います。

一昔前は成鶏の体温は42℃であり、この温度を超えない限り風を送り続ければ大きな減耗にならないと教わった方も多かったと思います。

だからいかに風を送り鶏を失わないためにも大型の扇風機を導入又は増設して自然換気又はトンネル換気に更なる送風を目指した方も多かったと思います。

しかし、今の時代この程度の設備導入でも減耗対策には十分な効果がなくなりつつあります。

この理由には、気温上昇の他、湿度の上昇もあります。 鶏が暑さに影響を受けるのは意外と温度は低く、29℃程度になるとまず食事量が下がります。

お使いの餌の銘柄によっては栄養が不足していきます。 そして飲水量も餌の2倍を超え、2.5倍、3倍当たりまで増えていき軟便が散見されていきます。

この時パウンディングしている鶏がいるならばその鶏舎は湿度も高くなっており体感的には30℃を超えていると言っても間違いではありません。

この対策に飼料の配合に軟便対策を講じた餌を購入する養鶏家もいますが、多くは十分に実感できないという方も多いように感じます。

そして外気温35℃を超えてくると鶏の減耗が確認できます。 なんか今日は斃死が多くいつもの2倍、3倍を超えるという所も聞きます。

多いところでは10000羽農場で150羽とか1%の減耗が1日で集計されたという農場もあります。

ですが、今日は暑かったから仕方ないよね、まあ明日も覚悟かな程度の認識で仕方ないで片付けていくしかないのが実情ではないかと思います。

ここで知っておいてほしいのは、確かに猛暑であり減耗は避けられないということですが、その数は対策しだいで減らせるということです。

先ほどの暑熱対策の餌もその方法の1つになります。

▲平飼いの養鶏家の方々は羽数も少ないことで自社で餌を配合するところが多く、エサに納豆菌といった菌類を混ぜるという所もあります。

既に実用化しているところもありますし、今試験中で来年以降に商品化を目指す企業もあります。 多くは菌が腸内環境の維持から餌の吸収を阻害させない作用を期待する、免疫機能を維持させるといった機能を期待しており、多くは試験データで維持できているとしたものを公表しています。

6月にForbesや読売新聞が報じていますが、ストレスを軽減させる効果を期待できる納豆菌を配合した飼料を紹介しています。 ぜひご覧いただき参考にしてみると良いでしょう。

▲湿度を抜くために鶏舎内に扇風機を増設しますが、その設置位置を様々な位置から風を当てるという農場もあります。

ウインドレス鶏舎の多くはトンネル換気ですから、風は入気口から排気口への一方通行になりますが、そもそもその方法だけで正しいのかという視点で様々な個所から風を当てて風量を上げて湿度を滞留させないというもので、鶏舎の湿度は排気口ほど高いのが一般的ですがだいぶ緩和し鶏のパウンディングも少なくなった鶏舎もあります。

柔軟性のない方は、風通りが悪くなるという狭い視野で語る方もいますが、大事なことは鶏舎は風を送る設計でもこの猛暑まで対応できる機能が十分でなくなっているという違う視点があるかどうかで変わります。

▲また20年以上前から良く見られました飲水にビタミン投与もあります。今はマルチビタミンを配合した新作もありますが、今の時代を見るとこれだけでは以前ほどの効果を感じることはなくなりましたので、これだけを持って十分な暑熱対策をしているということもないように思います。

▲ 出来るだけコストを抑えたい方の多くに見られた屋根からの散水、入気口のクーリングパッドへの注水をした方法もあります。

屋根散水は日光が当たる屋根に散水をして熱を下げる方法で、配管を農場自身が組み上げてエンジンポンプで散水するという方も多いと思います。

暖かくなった水を撒いても意味がないという方もいますが、散水すると蒸発することで熱を奪いますから結果鶏舎温度の上昇をゆるやかにする効果はあります。

またクーリングパッドの散水は梅雨時期はカビる可能性がありますのでカビによる影響を心配する方には向きませんが、

大事なことはどの方法も猛暑になって慌てて行ってもすぐに効果は見られませんので、気候を読み早めの対策が必須になります。

平成までの時代であれば、飲水や餌も十分な効果は期待できたと思います。 しかし、今の鶏の性能は平成時代と異なり連産能力はだいぶ良くなりましたので、当然ですが産卵ストレスも加わり暑熱ストレス以外にも産卵のストレスも従来より大きくなっていることを知っておくと今の対策で十分なのか、何か付け足す必要があるのかといった違う視野が見えてくるのではないかと思います。

建てた当時と今は違う、立てた鶏舎は養鶏のプロが設計しているから間違いがない、だから付け足しは意味がないからこそ換気を悪くするというその当たり前の思考を一回ご自身の経験で見直してみることも大事です。

その方法に先ほどの昔からの方法もあるでしょうし、エサから免疫といった新しいアプローチ方法もあります。

しかしどれか1つで十分であるという思い込みはこの夏やこの先の夏の猛暑や酷暑に対応できる十分な方法にはならない可能性もあります。

この先も暑くなり続けていくとされます。

確かに50億年先になると太陽が寿命を迎えていき猛暑は聞かなくなるかもしれませんが、そんな長い時間軸で今を考えても意味はありません。この場合の時間軸は目先でいいのです。

今の暑さ、来年の暑さ、5年先までの暑さです。

そして換気が悪い鶏舎は湿度が高いということも知っておくと、たかが湿度で鶏が死ぬのかという浅い思考が、こんなに大事なのかと思い知らされることも出てくるかもしれません。

鶏は暑いから死んでしまうのはその通りでしょう。でもその前にあるのは健康を崩してしまうことが起因している場合と、急激な暑さから湿度も加わり倒れてしまう鶏もいます。

もしまだ何も対策せず過ごしている鶏舎があるのでしたら、不幸にして暑熱で死んでしまった鶏のゲージの位置を集計してみてください。

多くは、直射日光が当たる場所(西陽が当たる場所も含みます)や風が弱く流れる場所、あるいは湿度が高く風が動かない場所といった普段見ている場所とは異なる不快な場所である場合もすくなくありません。

これを多くは仕方がない、なにもできない、意味がないと片付けていくのが現状なのですが、でも減耗は卵価から見て痛い、秋相場前の損失は痛いといった視野しかないと何も変わることはできません。

お金をかけられる農場とそうでない農場では当然できることは違います。

残念ですがこれは現実です。

お金があるなら、設備の増強もできるでしょうし、高コストになるでしょうが餌からのアプローチも可能です。

そうでないなら、自分で配管を組み水を流すといった初期コストが低い方法を主に考えることになるでしょう。

そして当たり前ですが、結果は複数組み合わせた方法の方が減耗はまだ少なく済むでしょうが、1つだけ又は何もしないのであれば相応の被害になるのは今の気候を見れば明らかなことです。

これを意味ないと片付けるのか、2つできることを取り入れようと視野を広げるのかと言うことです。

ただ鶏舎を眺めていても、脳内で考えているだけでも何も変わりません。何もしていません。

だから視野を広げ考え実行するのです。その際にコストを想像するのです。

実行前に何も考えず餌代高い、配管代高い、扇風機代も電気代も高いとできない理由を並べるなら何もできないでしょう。

でも結果だけは欲しいという甘い思考は何も変わらないことです。

今週の猛暑はいくぶん治まりましたが、来週以降もまた猛暑がやってくると言います。

もしかするとこれが今の夏の姿なのかもしれません。

では皆さんの農場はどう対処していきましょうか。 暑いから仕方がないと考え運頼みにしていくのか、いや対策はあると視野を広げ頭を使うのか。

暑さは始まったばかりです。

今の想像を具現化するなら早く動きましょう。 お盆は部品や部材を仕入れるのも大変です。メーカーが休みます。

そうなると早くて8月の下旬に導入になるという可能性もあります。そうなると1か月先の話をしています。

大事なことは鶏の暑熱ストレスは人と同じく蓄積していくということです。

そうなると、免疫の低下もありますが、鶏は大丈夫でしょうか。

餌が食べられない、ストレスにさらされる、そして蓄積していき体調を崩す。

そんな構図も想像できますが、皆さんの鶏はそれでも健康で過ごせるのでしょうか。

まあ1%の減耗は仕方がないよね、1%の産卵低下は想定内だよね、餌食べないから餌代がだいぶ節約できるね。

そんな昭和平成でアップデートが止まった養鶏家さんの声が聞こえてきそうです。

でもそれで大丈夫なのでしょうか。 せっかく卵価が高いのなら1個でも売りたいのではないのでしょうか。

猛暑を迎えた夏、皆さんの知識と技量が試される夏を迎えています。

エッグショック後の値崩れ警戒はあるか 増羽は危険なことでしょうか

鶏卵相場は安定した推移ですが、直近の高値となった昨年末から1割の低下になっているとされます。

10日時点東京M規準値は305円で、6月中旬以降持ち合いが続いています。

相場値の低下には採卵鶏の回復とされます。

また需要は低下していおり、4月の鶏卵消費は前年比3.6%少なく需給が緩む状況であると言われます。

記事にある養鶏家の消費減退の中での増産は23年に起こったエッグショックを思い出し踏み出せないという声です。 日本経済新聞は7日「鶏卵1年はぶり安値、供給回復でも消費鈍く 生産者は増産先送りも」の記事で詳しく書かれていますので是非参照していただきたいと思います。

さて、大規模農場の一部は再開の延期や入替時期の遅延を行い数を大きく増やさないという農場もあるのも現実あります。 これは記事にも紹介されていますので間違いはありません。

ではなぜ増やさないのか、再開延期をするのかと言うことですが、確かにエッグショックもあるかもしれません。

しかし弊所のお客様の中で増やさないとする農場はありますが、少し理由は違います。

その農場は飼養管理する期間を延長していくことで入れ替え期間が長くなり、結果増やすというより長く飼養するという方向に舵を切り出しているところもあるということです。

その農場は新規開場も含め増羽して経営力を高めていく方向で進めているというものです。

22年ごろの研修にご参加いただいた農場の方にはご記憶にあるかと思いますが、最近の鶏は長く飼養できるような性能が備わりつつあります。

700日ヘンデー産卵9割も可能であるというもので、最初はnogutikusan教の布教活動みたいですね、可能なのでしょうか。 そんな声や質問もいただきました。

それから4年ですが、最近は680日程度9割もそんな難しいものではなくなり、強制換羽(誘導換羽)も要らなくなり、換羽中の無収入を防ぎ安定した収入が期待できるようになりました。

卵殻の回復と個卵重の低下を期待した強制換羽は、誘導換羽と名を変えて僅かな餌で換羽させましょうという流れで換羽の失敗という事例も散見されます。

これでは意味がないということで一部は昔ながらの強制換羽を試みている農場もありますが、確かに羽が抜けてきれいな鶏にはなります。

でも産卵率は9割を超えて一見うまくいったとされますが、元が9割あるので、ただ期間中無収入になっていただけという事例もあり必ずしもすべてリセットして採算が合うという昔の手法であるとは限らないという時代になっているように見えます。

実際ある農場は数年前には換羽を止めたという所もあります。

理由は意味がないということです。

つまり、この数年前からは鶏は変化の過渡期を迎えており、昔ながらの思考で強換することで意味を感じなくなる、そもそも低産卵でない鶏が一般的であり必要性がなく(昔は7割、6割まで低下したので強制換羽で8割、9割に戻す)リセットがそもそもいらないと感じる農場もあります。

もちろん卵殻質も格段に良くなり老鶏はギズ玉が多く輸送事故になると言うのも古いかなと感じます。

むしろ農場特有の病気による奇形卵が多くなったと言えるところが散見されます。

これだけ鶏卵相場が低くないのであればみすみす10日か14日かわかりませんが、無収入になる必要がないのです。

そして餌代を節約するという理由も、今の時代1羽が110グラム、115グラムと食べるだけ鶏がいるという農場も珍しくなったとのかなと思います。

多くは105グラム、多くても107グラムとだいぶ少ないと思います。

これだけで5グラム、8グラムと削減できていますので、それ以上削る理由もありません。

ですから、よくお話ししていますが鶏が変わることを感じないといつまでも昔と同じ、だから赤字になる、利益が取れない、この相場値は減収になると錯覚してしまうのでしょう。

今は過渡期とお話ししました。

生産量が多いということは、連産している鶏が多いということです。

だから食べたものが卵重に回るより生産量に回る若鳥の時期と同じ状況が日齢が過ぎても同じ状況であるということです。

当然サイズもこの3年前とは違う小ぶりでないかと感じますがどうでしょうか。

鶏も以前と比べ多く食べる必要がない鶏舎環境もありますし、そもそも多く食べなくても良い鶏に変わっているということです。

だから、700日までは9割程度生産できるとお話ししているのですが、これを平成の時代なら450日9割、500日齢8割、550日齢7.5割という時代とはだいぶ異なるのですが、わからないので今までと同じ、強換必須な400日齢後半で実行。

そんな時代であると思い込む大規模農場も今はありません。 大規模は1羽のコストを見ています。

だから1羽の餌代がこの5年で変わっていることを統計で分かります。

生産量も農場単位で見ますので、鶏舎別でしか見ない小規模と違い1号舎が9割あるが、2号舎は8割しかないという単位で見るのではなく、1農場2棟平均で93%の生産と見て、この3年より3%程度向上していると判断しているところもあります。(細かく見る(例えば鶏舎固有の問題を探る場合)場合と経営コスト(農場の収支を見る場合)で見る場合は見る方法が違うということです)

ですから大規模農場が入替え時期の遅延をしていると感じる方もいますが、そうではなくあと1か月、2か月延ばした管理が可能になったということも理由にあるわけです。 延期できた場合、2か月伸びが可能であれば5棟ある農場なら1年に1回は入れ替えがいらなくなる、10棟ならと導入費用が削減できるのです。

ましてや今の時代種鶏の値段が上がりヒナの価格が上がり始めているヒナ代の節約、ヒナの数を集める難しさから解放されます。

大規模が抱えるコスト削減をこのような方法で抑えることができるわけです。 何も考えなければ、550日で入替だ、あるいは農場生産量が低いので510日で入替しなければならないといった無駄もなくなります。

でも考えていなければどうでしょうか。

今回のエッグショック警戒の理由である再導入の延期等の理由は必ずしも値崩れを心配するものであると言うことでもない可能性を知っておく必要があります。

生産量を増やさないのは増やせないというのが多いのかなと感じます。

増やすためにはヒナ代の他管理する人の人件費電力代といった光熱費が必要です。

伺う農場を見ると、増やさない農場はなく、通常通りの廃鶏と再導入のスケジュールで進めています。 不幸にして鳥インフルエンザに感染した農場も約半年から9か月になり再導入を始めていて、見合わせている農場はありませんでした。

実際再稼働に当り、埋却用地が見つからず大規模ゆえ広い埋却地がなく基準を満たさず閉場した事例はあります。

焼却等で代用する方法もありますが、まずは土地があるべきとするところもあり、土地がないけどすべて埋却とするから再開ということはないようです。

そしてヒナ代の上昇もあります。実際ヒナを仕入れるため親鳥が輸入されないこともあり結果値上げている事例があります。 ヒナ不足とは言いませんが、親鳥不足が起因していることもあるようです。

そしてエッグショックが再来するのかということですが、正直すぐにどうかということはないように思います。

需要は今は低調気味です。 供給が過剰になれば値段が下がり卵価は下がるのはその通りでもあります。

実際東京は305円ですが、大阪、福岡は295円とさらに10円安い基準値になり、養鶏が盛んな西側の方は更に低い水準です。

しかし、この値段は採算割れに至るのかといえば、多くはそんなことはないと言うとおもいます。

7月に入りこの値段で推移できるのは相場が値を崩す理由がないということです。

記事にもありましたが、今は底値で秋以降上がるだろうというコメントはその通りで、大きく値は崩さないのは業界内ではその通りの認識で間違はないと思います。

ただ、消費減退が秋以降確認できる場合は昨今の物価高もあり加工向け(クリスマスケーキ需要)は昨年より低くなると予想されますので、思いのほか相場が上がらないという可能性もあります。

9月の上昇開始で予測精度は上がりますのでまだ注意は必要です。

そして一番お話ししたいことは、鶏卵の個数を増やすことは昔と違い相場の下押しにならないということです。 恐らく1000、5000万羽程度の増加でどうかなるような供給量変化ではありません。

ですから1農場で30万羽、50万羽増やしたとしても何も変わりません。 昔と違い、資金力がない農場はこの先増羽は難しくなります。

ですから数年前と異なり誰でももれなく増羽増築が可能という時代は終わり資金調達にコストを意識しなければならない時代に入りました。

そして与信ももれなく100%という時代にはならなくなっています。 まあ返済はしているけど自転車操業だよねという農場にそれ以上の融資はあるのかなとも感じます。

でも鶏舎を建てればお金が増えるのはその通りです。

でも成鶏舎なら億の現金が必要です。

キャッシュは豊富であれば問題はありませんが、なければ 銀行は貸したいはずと思うでしょうが、調達資金にコストがかかるのに、返済危険度の高い方に積極融資という姿勢があるようには見えません。

つい最近はクレカ決済企業の破産があり地域銀行の一部は焦げ付きが避けられずその損失を計上することになるでしょう。

その損失は銀行自身が被るのか保証会社という子会社が被るのかはわかりません。

でも数十億という単位の資金は帳簿から消えていきます。でも預金客から預かった資金から相殺できると言うことはありません。

どこかで帳尻を合わせる必要性があります。それを新規融資で挽回するのか、経営者以下一定の役職が返上するのかはわかりませんが、まずは使うことをせずに準備する引当金として計上することになるでしょうが、いずれ準備は穴埋めに使うことになるでしょう。帳簿から消えるだけで済む話ではありません。 では金融機関はどう考えるのかということです。

融資の選別基準を少し変える可能性を考えるということです。 これは資金調達(金融機関からの融資)にかかる金利が上昇していることで安易に増築は難しくなる時代になったということです。

融資を受けて返す見込みがないならば金融機関は融資はしません。 返せる当てがあって融資されますので、個数が増えれば問題ないでは恐らく融資は難しくなります。

その販路はどこか、既存の販路はその増加を受け入れる余力があるのか、新規開拓が可能なのか、様々な課題をクリアしなければなりません。

今は少ないけど増やせる農場というのは、多くは一部の販路先がない又は納入数が少ないという状況であるのが一般的です。 つまり今の数で需給が満たせている(多くは他納品先で販路先は充足できる)わけで、今以上必要ということはよほどのことがないと珍しい事例になります。

確かに今50しか納められずあと数億融資があれば100納めることができるような販路先又は商品ブランドがあればまだ可能でしょうが、ただ相場高に乗りたい、増えれば現金が増える程度では、平成時代の売っても赤字時代と同じ構図になります。

俺は加工向けに全ツッパするという覚悟ならそれも良いでしょうが、今は加工向けも高いからこの先も高いと思うと返済数年で済めばよいでしょうが、通常10年程度は見るはずです。

10年先まで低金利で高卵価で時代が進んでいくのか見通せません。 そうなると、一定数は見送り又は改築程度までとして経営をしていくことになるでしょう。

つまり増羽は全ての農場にチャンスがあるという時代ではなくなっているように感じます。

業界内で選別されていく時代になったということです。

お金ある農場は増やすことが容易であり、そうでない農場はないなりに数万羽10万羽増やすがそれ以上はできない又は現状維持となる時代になっているように業界を見る者としては感じます。

つまり一部が増えていくだけで、総じて鶏の数は増えるものの大きくは増えていかない時代に突入しているわけです。

ですから増羽できると決意を示せる農場はエッグショック再来を心配した理由とした見送りは機会損失にしかなりません。

繰り返しますが全国皆さん一律に鶏を増やすということはあり得ませんし、消費が減退しているはこの季節要因もありますが総じて消費は堅調です。

今の時代テーブルエッグが生産量の5割と信じる方もいないと思います。 実際は5割を少し割り4.9程度までの低下です。つまり主たる消費は加工中食向けとなります。

この先もインバウンド需要からの需要の底堅さもあり消費が減退していくということは考えなくてもよいでしょう。

確かに消費人口は年々下がることは避けられません。ですからテーブルエッグが衰退してくわけですから、危機であると嘆いても何も変わりませんし意味はありません。

だからといって一人2個、3個毎日食べましょうと言ってもそれも難しいことです。

本当の卵好きは言われなくても2個3個と食べていただいているわけですから、需要喚起のお話です。

ではその卵はどうするのかという視点で見るべきです。 この先もテーブルエッグの比率は下がることになるでしょう。 恐らく4.5程度でしょうか。 でも残りは加工中食になるでしょう。

インバウンド需要は国策で左右されます。もうモノ消費ではなくコト消費と言われるほど物にお金をかける旅行客が少なくなることでしょう その中での鶏卵消費は確かにスーパー等の鶏卵(日配)は下がるように見えると思います。 でもスーパー自身は鶏卵の荷動きはまずまずといっていますので、特売で集客しているのかもしれませんが、それなりに購買意欲はあるように見えます。 ですが、購入層が減っていくわけですから結果少ない顧客の中堅調に推移していると見るべきものになります。

でも加工向けは販路が広く季節需要の他、中食向け、お菓子等の間食や土産品と姿を変えていきます。

そのためには国産優位でなければなりません。 海外液粉卵の方が安いと言われないよう相応の生産量で供給し、相場値は今のように大きく崩さない程度の増加でも良いのではないでしょうか。

確かに300円は欲しい、安定した経営なら400円は欲しい、290円では赤字ということはないでしょう。 多ければいいのはその通りです。

でも上ばかり見ているならば生産量を抑制して行くしかありません。 それは一定の顧客が購入する機会を損失します。それを覚悟のうえで行う値上げと同じ方法です。

いかに赤字を出さない体力を作り290円でなくても250円でも採算が合うような農場を作るのが結果ご自身の農場が長く生きていくことにつながります。

そして物価が上がり続ける日本では相場も結果あがっていくことは間違いはありません。

ですから平成時代のように100円台に戻ることはまずないのです。確かにスーパー等は特売で100円台の鶏卵は売るでしょう。 でも農場に対し99円で仕入れさせろとは言いません。

客寄せとして損覚悟の販売をするはずです。

大事なことは「いかに長くこの世界に踏みとどまれるのか」という視点が必要になります。

相場の上げ下げに対し農場は正直打つ手はありません。 ですが、上がる下地はありますから時代に合わせた経営をすることで、その時代に合ったコストを管理してくのが長く生きる姿ではないかと思います。

今もエッグショックであるという方もいるくらい、生産量と需要はバランスが需要側に傾いているわけで、全体から見て僅かな増羽は誤差にもなりません。

むしろ増羽に踏み切れなくなる養鶏家が増えていくということを知っておくだけでも、皆さんの経営戦略はだいぶ変わると思います。

大事なのは1農場の増羽は大きな脅威にはならないということです。 それが500も1000も1万の農場が大きく増やせば変わるでしょう。

でもあり得ません。

販路先はどうすのかで見送るところもあるでしょうし、そもそも融資が難しいということもあるでしょう。 あるいは土地が取得できず増築、改築が精いっぱいであるという決断をする農場もあるでしょう。

もしかしたら買収を模索する農場もあるかもしれません。 この場合は大抵大きな負債を引き受けて5万羽、10万羽程度の農場を買い取るくらいしかできないでしょう。

今時30万羽。50万羽規模が売りだすということはありません。多くは採算が合うので身売りはしません。 むしろ販路先が細すぎる、負債が大きく維持が困難に至る農場を引き取る事例が多いように見えます。

それで会社経営に大きく寄与できるのかという慎重な判断も必要になるかもしれません。

エッグショックが囁かれる業界内の噂をお話ししましたが、本当にエッグショックが起こるのか、いや増やせないのは違う理由があるようにも思います。

それは今お話ししたのが理由なのかどうか、それはそれぞれの経営者の心の中にしかわからない決して表面には見えない理由があるのでしょうか。

本年度の最低賃金議論開始へ 賃上げは続き物価も上がり労働人口は減っていく現実にどのように向き合うのか

厚生労働省の最低賃金改定に関する審議会が26日から始まりました。

今年の春闘による賃上げは5%を超えていますので、昨今の物価高を加味し数十円程度の引き上げを検討していくと予測されています。

現在の全国平均額は1121円ですので、数十円加味した中盤から後半にかけての引き上げが予測されます。

参考までに、本年の水準になるために目安額は63円の引き上げとしています。

このため本年も同様かその水準に近い額を想定する可能性もあります。

この審議会での結論は7月下旬に目安を公表します。

その後各県単位での地方審議会で最終的な改定額を決定し早ければ10月より施行される予定になっています。

現在の最低賃金決定に関しては、この目安額を超える金額とする県もありました。

その要因には、橋を一つ渡るだけで、他県の方が賃金が高くそこに労働者が流入してしまうという、いわゆる支払い負けをしている県もあり、それを是正したいという所もありました。

特に労働者不足が顕著な地域や、都市部に近い県は労働者の流出を少しでも抑えたいという思惑や、安い県というレッテルをどうにか剥がしたいという思いもあるのでしょう。

労働者はただ時間給職なら何でもよいという思考はありません。

車社会なら、橋を1つ渡るだけ、今の県内の職場より後15分遠いだけで時給が数十円違う(月換算なら千円単位の差になる)ならば、迷わずそこを目指すでしょう。

最近は外資系企業が最低賃金を大きく超える金額提示をしていることで、地元の求職者が減少し雇用不足を生じていると言います。

時間給ではなく正社員としての雇用でも同様に発生しているようです。

このような話は、一企業が経済的に負けているだけの話ではありますが、これは現実としてある話です。

例えば外国企業の半導体会社が進出し地元の人たちを雇用していて、さらに規模を大きくするために地元高校生を積極的に採用しているという話。

これにより、農業高校の生徒まで採用が進み、地元や農業関連企業への就職者数が減り必要な人員を確保できなかったという事例もあります。

時間給の方でも大手流通店舗が最低時給を超える(本国の支払い基準に近い額の提示)金額で積極的に採用を進めているところもあります。

どこもかしこも人手不足であると言います。

その通りでしょうし、弊所での調査でも農場さんの人の充足率は100であるという農場はありません。 もっと少ないというのが実情で、高齢になった方を積極的に採用して、何とか穴埋めを試みているところもあります。

特に若い方の採用はほぼ難しく、高校卒業生を確保するために学校訪問しても、進路指導の方は喜びます(求職リストが1つ増えるので)が、採用までには至らない(そもそも応募がない)というのが現実ではないでしょうか。

中途採用も難しくなっているように感じます。

一昔前(といっても5年くらい前まで)は、募集すれば応募は必ずありました。

しかし、面接辞退や長く務めてもらえなかった、採用しても無連絡キャンセルに至るということも一定数あったと思います。

それを踏まえての採用であったと思いますが、今はそれすらできない(それすらない)状況という所もあるでしょう。 又は大学のOBのコネを使い新卒を採用していた企業もあったでしょうが、コロナ禍を境に途切れたという所もあると聞きます。

農業や私たち畜産業は正直さっと面接してしっかり稼ぐという業態では多くはありません。

どうしてもイメージとして最低賃金の端数切り上げ程度を条件(たとえば最低時給1032円なら1050円、1100円等の端数切り上げ)とし、休日の自由度もなく、労働環境は軽作業とうたう割にはそうでない、臭い、汚いという職場が多くなっています。

夏場の猛暑作業で配慮もなく具合が悪くなったら自己責任という無責任農場もあります。

これを回避するためにその分野に外国人労働者にお願いしているという所もあると言います。

しかし、最低賃金の上昇には強く反応し、こうなると農場は破綻するとか、人を減らす必要性があるという経営者もいます。

研修会では、賃金分すら稼げない農場は経営が破綻している又は予備軍であり、だからこそできること、コスト、確認すべきこと等対応しましょうとお話ししています。

その中でも正直人は欲しいが、安い労働者を確保したいというお気楽な方もお見受けし驚くこともありますが、そんな甘い時代は昭和で終わっていることに気づけていないという方もいます。

外国の方でもこの最低時給は必須です。

県が1000円といっているのに、外国人価格900円では違法なのです。

この思考は養鶏ではだいぶ見なくなりましたが、いかに最低時給に近づけた経営を想定しているのは今もこの世界に限らず零細企業ではよく見かけるものではないでしょうか。

毎年賃金改定があると、最賃を下回るためその水準に引き上げるだけの企業はこの思考ループに乗っているように見えてなりません。

そのうち破綻という終着駅に到着する延命措置に過ぎない経営です。

まあ俺の代で経営が終わっても良いという覚悟を持っているところもありますので、そのようなところもすぐには市場からは撤退してはいかないのかなと感じます。

最近では茨城県のルールで施行した違法外国人雇用が見受けられる際の通報制度に関しては、様々意見は聞きます。

多くは感情的な話(外国人への差別になる、通報が地域監視のように見える等)が多いように思いますが、違法な人材となる方々は真っ当な賃金を支払っているのか不透明な企業に雇用される事例もあります。

働ければお金にはなるでしょうが、最低時給が1000円なのに、月15万円支払うけど時給換算したら600円程度だったということもあると言います。 多くは日給1万円、月15万円と時間での内訳は示さず大きい金額だけ見せるようなところもあります。 でも時給換算したら最低時給以下であった。当然周りの真っ当な方はそれ以上になるわけで、やっていられない、良くない外国コミュニティーにつながり、違法な仕事に手を染めて拘束され、外国のイメージを悪くさせるという今の風潮に拍車をかけるという事例もあるのではないかと思います。

この制度に関して報道の中でも「短期間の農作業では人は集まらない、ならば真っ当でない方にお願いして作業が回っている」と正直に語る農家経営者のコメントは本当に今の人がいない、でもお金は割高に支払えないという現実を説明しているように思います。

雇用主があっての雇用者ではあります。

しかし、雇用者がすべてを決めていくと結局はお金がある経営者に人材は集まり、ないところはないなりに仕事をしてやせ細っていく、又は違法な手段を用いて経営の持続を図る。こうなるわけです。

ですから、最低時給すら払えない事業主は破綻していると申し上げているわけですが、こうすると地方が衰退するとか質問を受けます。

これもそもそも衰退しているから人がいないだけでの話で、御社が例えば市場の何十倍の賃金を支払っていたとしてもその地域は活況にはなりません。 それはメジャーな企業でないからそもそも人が集まらない(知らないからこそ労働者に認知されない)ということもあるでしょうし、交通の便が悪く取り柄は静かで、地元が皆親切であるくらいでは、人が寄ってくることはありません。

最近コンサルを使用した地域活性事業も散見されますが、弊所でもご相談はありました。

しかしお断りしているのは単発祭りでは人は一時的集まるだけで、定住はしないため意味がないとお話をしています。 あるコンサートホールに有名歌手が1日限定のコンサートをするなら人は集まるでしょう。 しかし終われば皆さんは家に帰るはずです。 いつまた来るかわからないけど、このコンサートホール音響がいいからここの隣のアパートに引っ越そうかという方は珍しいでしょう。 つまり、目玉が目先のテーマなら効果は薄いのです。 コンサートホールの名称は知名度は上がるでしょう。つまりその町はもしかすると少しは知れ渡るかもしれませんが、単発なら恐らく記憶にとどめる方は少なく、費用対効果から見てよかったのかどうかの判断になる可能性が高いものです。

先ほどの外国企業の採用の話はお金が高いだけではなく、有名である、今話題の半導体企業でこの先も安泰である、他に採用条件が優れているといった点が大きく優勢に働いているわけで、この地域だから人が集まると言うことではないのです。

このような企業がこの地域にあるから集まるのです。

このように、雇用主が雇用を決めるのは正しいことではあるのですが、あまり影響力がない1雇用主だけで社会や地域の存亡がかかっていると言うことはありません。

労働者は労働条件に応じて雇用される場所を探していくのです。

地方では車があれば平気で30分、1時間近くまでは移動していくのです。 そうすると、すぐに県境あっちは時給が高い、同じチェーン店でも場所で時給を決める企業は多く橋を渡った県の方が高いとなるのです。 私たち農業も同じです。 車で通ってくれても充実した賃金と労働環境があって認めてもらえるわけです。

であれば、安い労働者を求めるなら身内を使いタダで働いてもらうのが最も安い労働力になるでしょう。 でもそんなことはできない、身内は役員でありお金を払ってあげたい、だから原資には安い労働者が必要という理由もあるでしょう。

この先労働者も人というより価値ある人になります。 働いてもらうはお金を払ってやっているという上から目線ではありません。

働いてもらい、会社が売り上げを上げたので、ありがとうと払う立場の方々です。

それを大きい企業や、外国資本の企業、地域の大きい店舗が獲得していくのです。 そこに参戦するわけですから、最初から安い人材を何て言っている余裕はないのです。

そう思っているから人が集まらないのです。

いつまでも思考が古いのです。

だから違法でも人(数)が欲しいとなるところも出てくるのです。 それを助長するから県が歯止めをかけたいと思うのです。

25年改訂(現在施行分)は施行猶予を設けた県が多くありました。

これは経営者側の準備に時間を要するから、急激に施行するには地元産業への影響が予想できるから等様々理由を並べていました。

繰り返しますが、今の時代人は潤沢にはいません。

年をとっても働いてくださいと推奨する時代です。

それは年金制度もあるでしょう。

でも露骨には言えません。

体を動かす方が健康だからと半分正解で広めて労働人口を少しでも維持する風潮を作っています。

経営側の準備で数か月、半年遅延してやっと施行するでは、今年の最低賃金施行も数か月、半年遅延していくのでしょうか。 なんか自転車操業みたいですがどうでしょうか。

今おかね準備できないから数か月待ってくれ、半年待ってくれ、すぐに本年分の支払い期限が10月に来るのにとても準備できない。 ではまた遅延しよう。 そんなように見えます。

そのうち、26年決定分は27年3月に施行する、27年10月に施行するみたいに先送り遅延になるだけかなと感じます。

外国人だからみんな来るという時代でもなくなります。 世界的に見て日本の賃金水準はさほど魅力のあるものではありません。

それより近隣国、豪州の方が時給的には高いという国も多くなります。

つまり外国の方はいつも潤沢という思考ももう古くなっているのです。

ではどうしましょうか。

労働者はなぜ皆さんの農場で働いているのでしょうか。

それは魅力あるからでしょうか、家から近いだけだからでしょうか。

労働者が足りない農場なら、なぜ集まらないのか。

集めるにはただ求人誌に掲載すれば解決できるのか。

そもそも労働人口が少ない場所に求人してそのうち採用できるのでしょうか。

広い範囲に求人しても集まるような時代ではありません。

では御社のアピールできるところは何でしょうか。

お金でしょうか、働きやすさでしょうか。

もしかすると競合が多すぎるので集められないのでしょうか。

であれば、優位に立てる方法はあるのか。

様々な思惑があって採用しなければならない時代です。 大手企業は積極的に黒字リストラしているから求人環境は安泰でしょうとお気楽な方もいます。

ですが、そのような方々がわざわざ農業に参加してくれるでしょうか。 採用があればこのような話も聞きません。

そうです。

そんなことはないのです。

そんなことより皆さんにはやらねばならない課題があるのです。

今年度の最低時給は、いくらで妥協されるのでしょうか。

恐らく50円増かな、いや70円程度まで見積もるか。

そんな先の思考を持つ経営者は生き残るでしょう。

そんなことしたら潰れる、解雇する、廃業して地域が衰退するだけの思考なら、今年は何とか生き残ってください。

でも来年はどうでしょうか。

そんな弱肉強食のような採用に皆さんは賢い盾と矛を持って挑んでいるのですが、何もない石槍だけで挑む方もいるそんな時代のように見えます。

ニュース1つから今の時代、今の農場を見る良いきっかけになるでしょうか。

関心はいくら上がって、すぐに払うと言いきる県がどれくらいいるのか。

遅延するなら何を理由にするのか。

衰退が進む各自治体の事情が通信簿のように秋公表されるのでしょう。

それを甘んじる企業、攻めて行く企業。

今年は注目度が高い年になりそうです。

鶏卵相場は落ち着き気味の中にもう一度経営しているということを考える

過去最高の初値から始まった鶏卵相場ですが、だいぶ生産量の回復もあり相場は落ち着きを見せています。

東京のM規準値は23日305円となり、6月に入り10円下げて推移しています。

令和8年は鳥インフルエンザ令和7年度からの回復期にあたり、一般的には少しづづ治まりを見せる偶数年になります。

被害が深刻であった令和6年(2024年)は14道県51事例の発生で約932万羽の処分がありました。 この年は鶏卵の主要産地での半径3キロ圏内で連続して発生し、3キロ範囲が少しづつ移動していく密集発生が確認された年でもあります。

この影響もあり、翌年2025年の初市から高い水準で鶏卵相場は推移していきました。

月を追うごとに上昇し5月まで毎月値段が更新していくような年です。

今年は最も高い初市から始まり、3月くらいまで上昇を続けていましたが、4月以降生産量の回復もあり相場は低下を始めていきます。

この先夏の消費減退や大口需要の一休みもあり相場は下げていくのが通例で、相場は290円程度までの下降が想定できます。

しかし、鶏卵相場の高止まりは続くような状況で私たちは相場が下がることに憂いているより、いかに鶏を大事に育て個数を確保できるのかという視点が大事になります。

少し前まで、私の知る養鶏家の多くは

「鶏?多少減耗しても仕方ないよね」

こういう口調の方が多かったかなと感じます。

つまり、病気で減耗しても「まあ多少は仕方ないでしょう、なにせ相場は高いからカバーできるし」と言うことを言葉を変えて言っているのでしょうか。

しかし、相場値305円と6月に入り10円下がり、この先も下がることはわかっていて惜しんでしまうという気持ちもわかりますが、惜しんでいるだけではそれが現実になるだけで解決になることはありません。

あるいは、これから下がる相場値と増加するコストにどう対応するのか心配する心の声が聞こえるようにも感じます。

7月から9月までは電力価格に対し国の補助が発動されます。

しかしもとになる電力価格は少しづづ上昇しておりとても安いということはありません。

そしてこの猛暑、酷暑で鶏舎の扇風機稼働に電気を使いますので電力価格は増えていくことは皆さん知っています。

だから従業員には休憩室のエアコンは休憩時間以外使用禁止にしたり、集卵室のエアコンを数度上げて鶏卵を室内に滞留させず出荷や移動させて電気代を節約するという所もありますし、皆さんも思うことがあるでしょう。

農場で使う軽自動車の燃料、鶏糞を散布したり堆肥場へ移動するためのトラックに使う軽油も少しづつ上昇しています。

今は政府の補助があり全国平均価格は170円程度です。しかし給油所によってはこの価格を僅かでしょうが超えるところも見られ、170円の高止まりから下がるような傾向はみられません。

ということは6月以降も燃料代は変わらず推移するということです。

ある農場は車のエアコンが故障し夏でも冷房にならず送風になる自動車を従業員に使用させ、窓を開けて走れば涼しいとエアコン使用による燃料使用の無駄を排除しているところもあります。

当然従事者の方は汗がハンドルを握る腕からボタボタと太ももに流れ、暑さと戦い、ある運転者は鶏糞散布の際故障しているエアコンの影響でしょうか、意識が遠のき狭い畑道を走行中に他人の畑に車が入り込む、段差にハンドルを取られ脱輪するといった運転ミスが散発していきます。

多くは運転者の技量の問題と片付け、経営者も同意していますが、弊所で調査したらふらつく原因は暑さの中の狭道走行によるはみだし運転で、原因は体調不良によるものということが主要因であったという事例があります。

つまり節約はケチと隣り合わせで、間違えると運転ミスによる物損事故、田畑に入り込み作物を踏みつければ弁償、脱輪したらレッカー費用もかかり目先のガソリン代より高くつくことが多いのですが、多くはそんなもの発生する確率の方が低く対策の方が何十万円(エアコンガス以外に周辺部品の交換工賃代)もかかり、そっちが無駄である。 そういう方もいます。

まあお金の価値観は人それぞれですが、ケチることはあまり意味がないように感じます。

それより収入を維持又は増やすということを考えないのかなと感じることも多いように思います。

確かに夏です。

生産量が維持できれば御の字である。

そういう方も多いのではないでしょうか。

しかし、工夫があり実行があれば維持できる又はかなり最小限の減少で済むということも多いのですが、多くは餌代が浮く、暑いから仕方がない、夏は当然である。

こういう過去の常識が今の常識と思い込むことが多いように感じます。

人に恵まれる農場は人がいるだけではありません。

工夫があり、知恵があります。

暑いなら、ウインドレス鶏舎なら早い時間から排気扇風機を最大値にして空気を流し涼しい時間を作らないのでしょうか。

多くは段階踏むのが昔からの流儀だから、電気代を最初から無駄に使わないようにしたいから。 様々あるようです。

しかし、暑いから卵を生まない、斃死するとわかっているのであれば、なぜそうしない環境を作ろうとは思わないのかという視点です。

昔からの視点なら、最初の理由の通り昔から・・、電気代節約となるでしょう。

でも涼しくしたいなら、涼しい時間を長く作れば鶏のストレスはだいぶ改善できることまで知らないのでしょうか。

実際、早朝25℃の鶏舎に最大限の空気を送り出すと、気温は確かに外気温と比例して上昇はしていきます。 しかし鶏が排出する水分(湿度)はだいぶ下がって推移していきます。

鶏は温度による影響も受けますが、一番は湿度が高すぎる環境に温度が高いことで影響を受けるということを知れば、ではどう改善するのかという視野が生まれるはずです。

ただ気温計を眺めるだけではこのような視野で見る人はいないでしょう。

ああ25℃だね、30℃だね程度です。

でも鶏舎は湿度も高くなり鶏はパウンディングして湿度も高くなり鶏はダメージを受けていく。

まず生産を止めて命を守る、でもそれ以上になれば減耗まで発展する。

温度計だけでそこまで想像できる人員はいるでしょうか。

ただ25℃だけという表面的な想像しかできないという方も多いのかなと感じます。

そうであれば、それ以上の管理は望めるのでしょうか。

人は教えなくてもそこまで優秀な人材がゴロゴロいるのでしょうか。

相場が下がれば、もうけは減る では、何に意識していくのでしょうか。

暑熱対策、食下量の維持又は削減でしょうか。

それとも生産量の維持、付加価値対策でしょうか。

あるいは人へ知識を与えて飼養管理への応用でしょうか、又は現場を知るオリエンテーリングの実施でしょうか。

養鶏の経営は卵を売ることです。 副産物の鶏糞を売るという声も聞きますが、卵より値段が高いということはありません。

先ずは卵ではないでしょうか。

そして、卵を準備してくれる鶏達ではないかと感じます。

でもそういう思考は薄く、暑いから餌代が減る、暑いけど車のエアコンに気を配らない、暑いから死なない程度の飼育ができれば御の字である。

そんなところも多いように思います。

この夏は鶏を見て、鶏を思い、鶏に報いる仕事を経営の柱にしてみるとどうでしょうか。

この意味を知る弊所のお客様には小うるさい言葉かもしれません。

しかし、鶏は皆さんが思うほどこの暑さに耐えるような力を失いつつあるのもまた事実ではないかと思います。

できれば皆さんの農場データの減耗を今一度見比べてください。

昨年、一昨年、5年前までで十分です。

変化はありませんか。 もし感じるなら、今年も同じで大丈夫でしょうか。

経営はお金を稼ぐために目標を立てて行動し、進捗を管理して収益を見通すのが養鶏の基本的な考え方です。

であれば、目標があるけど夏は仕方がない、進捗の夏は産卵量が少なく仕方がない、だから夏の収益には期待しない。

そんな程度では夏時期が長くなるこの日本では1年の半分とは言いませんが夏が続く(残暑も長くなりすぐに短い秋が来る)環境では、卵価次第では力尽きることも想像できます。

いくらウインドレスであってもこの猛暑に立ち向かうには厳しいことでしょう。

軟便に機器類の故障(高温による破損)、生産量の低下、個卵重の減少による収益の低下、そもそも鶏卵相場は夏は比較的安くなるという季節性。

暑熱ストレスによる腸炎の発生等課題は増えているのが毎年迎える夏です。

でも思考は昭和から変わらない、平成にバージョンアップしたけど、今の時代には対処できていない。

そろそろアップデートしてみてはいかかでしょうか。

7月も飼料価格は値上げが決まっているところも多いのではないでしょうか。 目先の請求書にやきもきするより、鶏舎の中の問題点というもやもやに意識を向けてみてください。

きっと生産量改善の方法が見つかり、今年の夏の安いと言われる相場は本当に安いようには見えない中で生産量が維持できる、斃死が少なく推移できる。 そんな夏も可能ではないかと思います。

要は農場のアップデートするという意識と行動にかかっています。

経営者も夏は仕方がないでは何も変わりませんから、当然そんな指示もできないでしょう。

今の相場が続くから何も感じないという経営でも良いでしょう。

でも本当にそんな相場が永遠に続くのでしょうか。