nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

野鳥から鳥インフル宮城県で検査中です 今のうちに課題を見つけましょう

宮城県栗原市で発見された野生のマガン1羽の死骸を簡易検査したところ、A型の鳥インフルエンザの陽性であったと発表しました。 現在国の検査所で高病原性なのか、亜型等について検査を続けており、数日中には判明します。 県によれば、5日時点で県内の養鶏場では異常の確認は報告されていません。 野鳥からの鳥インフルエンザの検知が見られるようになりました。 9月25日神奈川県伊勢原市で衰弱して発見(のち死亡)されたハヤブサからH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザが検出されています。 例年11月ごろから、野鳥からの検出が話題になりますが、本年は9月下旬からと比較的早い感じがします。 まだ宮城県の検体が陽性確定ではありませんが、少し気になります。 昨年の鳥インフルエンザは12道県25事例で189万羽の防疫措置となりました。野鳥の検出は8道県107事例とハシブトガラスが多く、オジロワシオオハクチョウが多いようでした。検知開始は九州地方で11月8日のねぐらから検出が始まり、1月から北海道の広い範囲から検出されていきます。 家きんは11月10日の秋田県から始まり、13日の鹿児島県、17日の兵庫県、12月に愛媛県と西日本地域に限らず広い範囲で被害が発生します。 本年最後の検知となる5月14日網走市で終わるのですが、例年より長い期間の発生が特徴でした。 疫学調査結果では、鶏舎の出入りに長靴の交換がないといった衛生対策の不備、鶏舎の破損による野鳥の侵入や猫、ネズミが鶏舎に侵入しやすいという事例が認められているとし、調査時には不備は認められなかったとしても、侵入しやすい可能性はあることから、要因として考えられるとしています。 本年は渡り鳥が帰り感染源がなくなるにしても、5月までインフルエンザが継続したことには、野鳥のカラスの感染がかかわっているとみられるとされます。 今年はどのような時期を迎えるのでしょうか。一部の県では鳥インフルエンザ発生への警戒が高まっています。 長崎県では、9月30日県内の養鶏場に対し金網の点検、消毒の徹底を通知しています。また鳥取県も同日野鳥の監視数を70か所と2倍に増やして対応し、農場に注意喚起をしています。 静岡県も10月4日県内の養鶏場に対し消毒の徹底を呼びかけ、異常を発見したときには早期の通報を再確認しています。 鳥インフルエンザは例年発生するような傾向が見られ、令和2年のように大規模発生もありえます。 参考までに令和2年は18件52事例で987万羽の防疫措置がありました。 11月5日の香川県から始まり、福岡、宮崎、奈良、広島と西日本地域で見られ、12月には千葉県の116万羽、茨城と東日本でも発生し主要産地の大規模農場で被害が見られ甚大化していきます。 最後の検知は3月13日の栃木県となりました。 野鳥では18道県58事例となり、10月24日の北海道ハヤブサから始まり全国的に検知されていきます。南東北から関東甲信越、西日本地域と広い範囲となります。 一般的に野鳥の検出が始まるとその地域とは言えませんが、農場への影響が見られます。 つまりまもなくどこかの農場からウイルスの検知や防疫措置の話題が出始めるともいえます。 それは、うちの農場ではない話という方が多いでしょうが、発生した農場の方々も同じことを言います。 つまり見えないものだからこそ油断が分からず知らないうちに発生していたというのが本音なのでしょう。 業界内では、人が運んだから、西日本の移動業者がグループ内の農場で発生したといううわさも聞きました。 ですが、それは憶測であり科学的ではありません。 推測は何とでもいえるのです。一昔前にはバイオテロであるという方もいました。 先ほどのように、疫学調査報告でも指摘していますが、農場側の衛生対策の不備や設備の不備が起因となることもあり得ます。 うちはウインドレスだからネズミや猫なんかはいらないし、野鳥なんて侵入しないという方もいました。 ですが、農場を見てみますと、ネズミはいますし、猫はバーコンを伝って出入りしています。野鳥は扉や鶏舎搬入シャッターが解放していて侵入していたというオチもあります。 窓がないから侵入できないという思い込みが油断を招くという事例もあります。 人の消毒も不徹底では外で履いた長靴を鶏舎でも履き続けるという農場もあります。踏み込み消毒しているといいますが、 見ますと、踏み込み消毒を避けて鶏舎へ入る作業員も存在します。 つまり、消毒しているから安心ではないということです。(実際は消毒設備はあるだけという話で、しているというわけではないという話です) 厳しいことを言いますが、私も作業員だった時代は真面目に消毒を徹底していたという自負はありません。ですからわかるのですが、人は視線を感じないと、時間がないとか、めんどくさいといった理由で、 消毒しないということもあるのです。それは従業員の意識の問題なのかもしれませんが、そのようにならないような組織を作ることが大事なのです。 ですが、多くはやらない○○君が悪いと他人の出来事だけをクローズアップし、根本を見ません。 見ないではなく見えないのでしょうが、人は皆さんが思うほど真面目だけでは解決できないという根本を押さえておく必要があります。 時間がなければ省略、人がいないし忙しいので省略というのは従事者皆さんあることであり、問題はそのような環境にしておくことを問題にしない農場や組織があるのです。 ある発生農場は作業者が不足しており、飼養羽数10万羽を超えても1名が鶏舎管理をしており十分な対応ができないところで鳥インフルエンザが発生し殺処分されていきました。 ですが、農場主は何で発生したかわからないと首をかしげています。 ですが、よく見ますと設備はあるが機能しない、ウインドレスだから大丈夫といった人の甘さが根底であることが調査で指摘されます。 つまり、鳥インフルエンザ発生は天災なのでしょうが、一部は人災で発生することもあり得るのです。 農場を見直してみれば、防げる事例もあります。この時期は衛生管理の課題に関するご依頼をいただきます。 多くは、設備はあるが人の問題や組織の問題という表面では見えない課題が発見されることもあります。 まもなく鳥インフルエンザの流行期になるのかもしれません。その時、消毒していればよい、金網が破れていなければ良いだけではなく、足元を見てさらに奥深い課題を早いうちに解決して流行から鶏達を守っていきましょう。

養鶏場の破産が続きます 富山県の養鶏場が飼料関係会社へ譲渡し破産申請へ

帝国データバンクによると、9月30日富山県にある床鍋養鶏と関連会社合計3社が取引先である飼料事業者の湯浅商事(名古屋市)の関連会社へ譲渡し富山地方裁判所へ破産手続きに入る方針を固めました。 譲渡先は鶏卵の生産と販売を継続し、従業員の移籍を行うことにしています。 申請を行うのは、養鶏事業を行う床鍋養鶏(30万羽飼養)と法人向け鶏卵卸トコエッグ(高岡市)と鶏卵の小売りを行うトコフーズ(小矢部市)の合計3社です。 養鶏場は富山県小矢部市南砺市にあり飼養羽数は30万羽を超える規模とされています。 オリジナル飼料を製造し給餌しているといわれ、魚粉を使用したマリンエッグが地域では有名で、そのほか越のきらりというブランド卵を展開し、 法人向けや地域スーパーや飲食店、食品製造業者へ鶏卵を販売していました。 また、都市部で展開している幻の卵屋さんに出品していたようで、取扱いたまご88種の中の1つになっています。 小矢部市の特産品としても紹介されており、地域とともに共存されていたことが分かります。 有限会社床鍋養鶏は1950年創業でブランド卵を生産していきます。販売会社を買収して子会社化していくことでグループ化していきました。 今回、破産を決めたことには、飼料高騰と資金繰りが厳しくなったといわれます。 また、富山新聞によれば6月より香港へ輸出を行っており、業界が厳しい中でも新しい世界へと模索し続けていましたが、続いていく飼料高は本当に厳しいものです。 負債総額は3社合計20億円を超える見込みです。 本年は、過去にない養鶏場の民事再生や破産が続いています。 中堅規模では、2月に岡山県で10万羽農場が負債総額3億円で破産手続き、4月に静岡県で70万羽農場が負債総額11億円で民事再生を申請、5月にイセグループの三重県の農場が負債総額30億円で民事再生と連鎖が続いています。 個々の経営体力や組織等様々な理由があるようですが、多くは配合飼料高騰によりコストが増加し体力を失っていくという例が多いように見えます。 コストが高いということは、収入を上げるという意識も必要です。 今の生産が数年前より低いということであれば、やはりこの先も心配です。 12月までは前期と同じ価格となることが決まって、行政の支援が拡充されつつありますが、根本を立て直すことも忘れてはいけません。 生産量が低くなっている農場は鶏の管理を早急に見直してください。 生産量を下げる要因が何なのか、商品化率が低くなっているのであればそれは何が原因なのか。 人なのか、機材なのか見極めて、早急に手を打ちましょう。 どんなに努力をしていても、細部を見失うとその努力が無意味なることもあります。 見えにくい農場内部を今一度点検し、鶏卵相場が上昇していく秋以降の鶏卵相場を見ながら1個1個に価値を持たせましょう。 傷玉がよい、汚れ玉が良いではこの先のコスト高も重く感じていくことでしょう。 10月に入り相場は上昇期になります。昨年とは違い平時の相場動向にも見えます。 その点を意識して、年末を迎えていきましょう。

台風14号の影響で停電による被害 宮崎県都城市と新富町の養鶏場

宮崎県は、台風14号による県内の被害状況をまとめ公表しました。 それによれば、宮崎県では採卵鶏2農場、都城市において採卵鶏6万羽の死亡、児湯郡新富町において4万羽の死亡があったと報告しています。 また高千穂町では牛4頭が土砂崩れにより死亡し、子牛1頭が不明になっているとしています。 その他、JA宮崎中央家畜市場の牛舎や競り場、事務所が冠水しており復旧作業を行っているとしています。 今回の台風は、勢力が読み切れず十分な発達がないともされましたが、急速に発達し9月17日には910hpaまで下がり、猛烈な台風になりました。 9月18日は鹿児島県の本土に930hpaで上陸し熊本県を通ります。 陸上を通ることで勢力が弱まるのですが、19日6時には福岡県を通過し970hpaまで上昇していきますが、宮崎県では非常に強い勢力で通過しており、大雨特別警報が発令されました。 これにより停電、断水、土砂崩れといった大きな被害がありました。 このうち、都城市の養鶏場では12.5万羽を飼養しており、このうち6万羽を超える鶏が斃死したとされます。 報道では、18日午後に停電が発生し、19日朝に関係者が見に行ったところ停電により換気用ファンが作動せず、熱死や酸欠による影響があったとされます。 被害額は約2800万円になり、社員一丸となり、養鶏を続けていくと話しています。 養鶏設備の多くは電力に依存しており停電が発生した場合の多くは温度や換気の制御を喪失します。 ですから、発電機を備え万一の際は発電機が稼働し鶏舎の設備機能を維持していく取り組みを進めている農場が多いのではないかと思います。 千葉県でも2019年9月台風15号による影響で高圧電線の鉄塔が倒壊し停電が発生しました。この台風では市原市のゴルフ練習場の鉄塔が倒壊し住宅損傷の話題もありました。 養鶏場では、ウインドレス鶏舎では発電機未設置の農場では今回のように、鶏の熱死や酸欠が発生しました。これは採卵鶏に限らずウインドレス豚舎でも同様な事例がありました。 またオープン鶏舎等経年劣化した鶏舎では、建物の位置ずれが発生し給餌機が走行できないぐらいの歪みが発生しました。 この台風では、停電が長期になったこともあり、携帯電話の電波塔のバッテリー電力が消失し携帯電話も不通になりました。また発電機がある農場でも燃料の備蓄が長期停電を想定しておらず、 発電停止になるところもあり、従業員が燃料の買い出しに行くのですが、給油所も停電により販売できない状況で確保することも困難でした。 このような教訓から、農場への発電機設置の補助や給油所の停電時の発電設備の導入、携帯基地局の補助バッテリーの強化といった災害への取り組みに変化がありました。 鶏が死亡し鶏出す作業は経験した方でなければ分からない大変さがあります。 私も5万羽の死亡を取り出す作業に参加したことがあります。 鶏を出しても狭い通路では鶏を搬出する作業は困難でした。廃鶏かごに入れる作業もしましたが、かごには生きている鶏ではないことから、補鶏するのも違和感を感じます。ペースがつかめず悪戦苦闘していた記憶があります。 狭い通路では、一輪車に乗せて排出するにも他作業員がいるため通行しにくいことや、通路に鶏を置きほかの作業者がそれを回収する作業をして作業者同士が接触しないような工夫をしていましたが、 廃鶏するために取り出すような手軽感はありませんでした。 外部業者、協力業者を集めて何とか作業を終えた記憶があります。 積まれていく10トン車に白い鶏達が重なるように積み込まれ、大変なことが起きていると感じました。 気丈にふるまう経営者の方でしたが、休憩の時間には下を向き疲れているようでした。 和気あいあいと作業しているわけではありませんから、休憩時間はまるで通夜のように静かでした。 その後も心配です。熱による鶏の被害はその先も深刻になりがちです。 経験から、かろうじて生き残った鶏達も翌日、その次の日と残念ですが一定数は斃死していきます。 産卵はおそらく5割もないでしょう。 急激なストレスから産卵を停止してしまうのです。 回復も鈍く、残羽数に対しせいぜい7割といった所で推移し、日齢相応の低下になっていくと感じます。 多くは、採算に見合う収量ではなくなるため、予算があれば早期に淘汰し次に期待したいということになるでしょう。 この先暮れにかけては、鶏卵相場も上昇していく時期ですから、できるだけその恩恵を受けたいところです。 被害にあわれた農場の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。 台風は自然災害で毎年あるものという認識かもしれません。 ですが、その勢力は少しづつ強いものになるとも言われます。 日本近海で台風になり翌日にはやってくるとも言われ、事前の備えが難しくなってきている状況です。 発電機があれば、停電がなければと後悔される農場もありました。 ですが、昔に戻ることはできません。 だからこそ、悔いのない管理をしなければなりません。 補助事業があれば、発電機の導入やリースも良いでしょう。 燃料を確保するために、ひいきの給油所に発電機を入れてもらうことも一案です。 参考までに時間はかかりますが、手動で給油もできます。くわしくは給油所に聞くとよいでしょう。 また発電機は万一のための設備のため、いざ使用するときに発電できなかったという事例もあります。 定期的な点検も必要になります。少しの手間を惜しむために大きなマイナスを受けてしまうこともあります。 災害が発生しないと、設備は良好なのかわからないでは少し心配です。 まだこの先も、安心できない時期が続きます。 台風災害に対抗できるための方策を今から見つけていきましょう。

栃木県での養鶏施設の悪臭問題 近隣の関係がさらに悪化しています

下野新聞が9月7日に報じた茂木町(栃木県)の養鶏場から発生する悪臭や羽毛の飛散に対し近隣住民が悩まされている問題で、茂木町長は「不快な思いにをされていることに深くお詫びする」「改善対対応策が示されず町も苛立ちを感じている」と述べており、「今後国や県等の協力を受けながら、事業者に要請する」と発言しました。 同町のホームページには17年10月11日小貫地区に建設中の養鶏場の開場祝賀会が行われた旨が掲載されています。 その中には、育成鶏舎1棟、産卵鶏舎1棟、GPセンターが17年7月までに竣工し稼働しており、18年には全施設が完成するとしています。 代表取締役群馬県の養鶏場の社長が挨拶しているとしています。 この事業所は2015年10月に法人登録された農場で、群馬県の養鶏場グループで、資金50億円を投じて施設と同名の企業が運営しています。 謳い文句としては、1日100万個の鶏卵を出荷し飼料の一部に地元茂木産のコメを使用し、地域農業の活性化に一役買うとしています。 開場した経緯を下野新聞は次のように報道しています。「16年に町が誘致した事業で、群馬県の養鶏場の子会社」という位置づけです。 「現在120万羽を飼養し、操業開始直後から苦情の対応と会社側への改善要請を繰り返している」と報じています。 さて、この記事を見た皆さんはどう感じるでしょうか。 養鶏は臭いものだ、羽は普通に飛散する、誘致しての苦情は読みが甘い等意見はあるでしょう。 ですが、養鶏業は地域との共存がなければ成長していくことはできません。 それができないときは、本当に山奥で近くには何もない場所でしか開場できないというのが実情です。 このように民家に迷惑が発生していくことで、住宅の増加とともに撤退していくのが養鶏の姿でもありました。 育成舎があるということですから、ウインドレス鶏舎では排気口から羽の飛散は続いていることでしょう。 鶏が換羽していますから、ワクチン投与等鶏が暴れたとき、鶏舎内を清掃したときは鶏舎内の誇りと羽が排気口へ風で移動し外へ排出されます。 当然ダストダンパー(埃溜め)を設置していると思いますが、これだけでは羽の飛散は防げません。多くは集糞時(鶏舎から外へ排出する際に風に乗り飛散する)に目に見えた飛散があるはずです。 多くはダストダンパーを経由しない排出でしょうから広範囲に広がります。弊社で調査したことがありますが、風に乗るとその場所から400メートルは飛散します。 そこに民家がある場合や田畑があり作目に付着するといった苦情について調査をしたことがあり、皆さんが思う以上に飛散しやすく苦情になりやすい事例でもあります。 また臭気については意外と広範囲に広がり弊所で調査したところ直線は300メートルで養鶏場の臭気を間違いなく感知します。 一般に臭気は500メートルから1キロまでの範囲まで広がるといいます。 実際直線500メートル離れた農場でも悪臭について苦情を受けたという農場もあり、そんなに広がらないと考えることは非常に危険です。 確かに外気に希釈し感じないという意見も聞きますが、臭気が発生する時間帯に確認されている農場関係者は意外と少なく勤務時間の堆肥をいじらない時間帯や、集糞作業がない時間、あるいは風向きを意識しない調査で異常はないと誤認することもしばしばで、問題を余計に悪化してしまう事例もあります。 ですから、この点にも意識が必要ですが施設関係者の対応が十分ではないのでしょう。 地図を見ますと、農場から直線で100メートル付近には民家が点在していますから、恐らく風向き(特に西又は南西)により影響が深刻化するのかもしれません。 周りは木々に囲まれており飛散はないというかもしれませんが、風に乗った時の羽は高さ5メートルは高く吹き上がることも珍しいことではありません。それが風に乗り飛んでいくということはよく見る光景です。 多くは木々に付着するのかもしれませんが、例えば排出する車両が地域を走行し飛散しているということもあり問題になることもあります。 全体像が見えませんが、近隣との関係は会場当初から深刻化していたのかもしれません。 農場から発生する臭気の多くは悪臭防止法に抵触するような事例にはなりにくいといわれます。 悪臭防止法は、地域を定めており実際畜産施設近辺での設定はあまり見ません。 ですから、臭いから法令違反だと主張する方もいますが、実際は法には違反しているとは言い切れないという現実があります。 では、放置してよいのかと言えばそうではありません。 現在「臭気指数」を用いて臭気度を判定し指導する方法が一般化しています。 これは人により臭気判定をし、一定の臭気を希釈した度合いにより指数化するもので、ある臭気を10倍に希釈して臭気が消えた場合は指数を10、100倍に希釈して消えたときは指数を20と判定するものです。 養鶏場で臭気苦情を調べたところ、平成27年には176件が全国から集計されており、そのうちの91件は臭気指数設定地域外の農場から発生した事例、56件は臭気指数による規制がある地域からの発生事例、29件は特定悪臭物質規制地域からの発生と分類されます。 今回の栃木県ではどうかといいますと、平成24年3月から臭気指数規制による測定評価を採用しており、農場がある近隣を調べると茂木町は住宅地や商業地に対して数値15と定めています。 これは、化粧品売り場のにおいと同等となります。参考までにトイレの芳香剤や花火をしている時の匂いは指数20で超過します。 醤油のにおいは指数30、にんにくを炒めたときの匂いは45になります。 逆に指数以下を見ますと、梅の花の匂いは10になります。 では臭気を大気中に拡散させたとき、どのように薄まるのかシュミレーションしますと、臭気指数30の物を大気拡散させた場合、高さ2メートルから放出した場合着地点の測定は27と変わりませんが、高さ6メートルから放出したら着地点は臭気指数16に、15メートルからでは10未満と希釈されていきます。 このことから、ウインドレスでは、排出口は高い位置に設定し屋根と同じ高さである10メートルを超える場所から排出すると改善が見込まれる可能性があります。 ですが、建築設計の段階から臭気を意識した設計はしていない農場が多いこともあり、後付けでどうにかなるかは微妙です。 ダストダンパーは開口部を上部にして羽の飛散ができないように丈夫な金網で囲うことで一定の効果があるかもしれません。 今回の報道では、養鶏場での対応が十分でないことから近隣との関係を悪くしそれにより行政が動くという典型的な悪い事例になります。 農場はすぐにできないとしても何か努力していることを説明しなければなりませんし、そうでなければ余計信頼関係が悪化していきます。 信頼関係が崩れたとき、多くは元に戻らず悪化の一途をたどることもあり畜産経営が一層困難になります。 この群馬の養鶏場がなにかすることはないかもしれませんが、少なくとも栃木のこの養鶏場は何らかの努力や説明は必要になります。 多くは、その臭気や汚染物といったものに対して業界では常識だからという認識では何も変わりません。 住民との関係では業界の常識は非常識と言われます。 ですから、早急な対策が必要になります。 こじれた事例としては、京都府の養鶏場と市及び周辺住民との大きなトラブルがあります。 このような事例にならないよう早急に対策をされることが、農場や近隣の方々そして誘致した町そして、全国の近隣を大事にされて経営している多くの養鶏場の信用のためにも大きな一歩を踏み出していただきたいと思います。

畜産農家向けの緊急対策が20日閣議決定されます

飼料高騰による影響を受けている畜産家に対し、予備費を活用した500億円程度の緊急体躯策を講じると発表しました。 決定は20日になりますが、その内容をお伝えします。 農林水産省が15日に公表した対策では、畜産家に対し、国が定めた取り組みを2つまたは3つ程度満たすような取り組みを行う農家に対し、次のような補填を行うとしています。 1,10月に改定される10月から12月期の飼料コストは現在の期と同水準になるような補填を行う。 2,酪農家に対し経産牛の頭数に応じた交付金の支給 としています。 具体的には、コストを下げる取り組み策として、 ・国産飼料の生産と流通の拡大をする。 ・国産飼料の給餌割合を増やす。 ・病気や飼養事故の低減策 ・暑熱や寒冷対策の実施 配合飼料低減取り組みとして、 ・飼料設計の改善 ・国産の高栄養粗飼料を使用する ・自動で適量を給餌する ・分割給餌(1日量を分けて複数回の給餌) このようなものとされています。 この緊急支援を受けるには、上記の取り組みから各項目から1つづつの合計2つを実施することになります。 例えば、コスト対策として国産飼料の給餌割合を増やすというところは、飼料米の配合を増やすというのも手かもしれません。 一般的に採卵鶏のエネルギーとしてコーンからコメに置き換えても相当量入れ替えても差し支えがないとされています。 ですから、この時期に配合を変えるのも良いでしょう。但し黄身が薄くなりますからパプリカ等の配色に注意が必要です。 そして、配合飼料の低減として、分割給餌はすでに多くの農場で行われていると思いますので条件を満たすはずです。 今回の緊急対策を受けるに当り、今あげた条件を新しく取り組みことが条件とはなっていません。 ですから、すでに行っている場合は1つとして数えます。 なお、酪農家対策には、経産牛1頭について1万円、北海道では7500円としています。 配合飼料価格は、次期の上昇は円安が進んでいることから仕入れ価格が上昇しており値上げの可能性が高くなります。 現在の餌代も十分高いのですが、時期はこれを超える可能性もありできるだけ国や都道府県の補助事業を活用していきたいと思います。 現在多くの地域では県単位の補助事業が開始されています。それ以外にも市町村単位でも独自の補助を行っているところも増えてきています。 お住まいの県や市町村にも確認していただき、暮れにかけてご苦労される中、少しでも対策を講じることができるようにしてください。 まもなく、鳥インフルエンザの話題が聞かれるかもしれません。 既に欧州等では昨年以上の影響が出ていると聞きます。 渡り鳥が飛来してくるこの先は、配合飼料価格以外にも、光熱費の上昇負担もあるでしょう。 そして鳥インフルエンザ感染症対策も必須になりご苦労が続いていきます。 出来ることから、速やかに進めていき、お忙しい暮れに向けてご準備をお願いします。

円安傾向が続きます 飼料や燃料高騰の意識が高まります

ドル円は24年ぶりの高水準となる140円台になりました。 2日21時に最高値140.77円まで円が売られました。その後3日午前0時に140.00円まで円が買われて今週の相場が終わり、今週の終値は140.20円となり高水準の円安が進行しています。 今年3月1日は114.8円でしたが、6月1日には130.8円と16円の円安となり配合飼料価格に大きな影響を与えました。 次期配合飼料価格改定が今月ありますが、9月1日の為替は140.2円と9円を超える円安が進行している状況です。 原料は、引き続きコーンは前期より1.5ドル程度、燃料となる原油は30ドル近辺までの値下げが進んでいます。 大豆も下がっていますが、上昇する為替がまだ急激に変化しており、相殺されてもなお配合飼料価格の上昇余地があると感じます。 ライブドアブログでは次期こそ値下げをお願いしたい気持ちで書きましたが、環境がそれを覆すような不透明さを感じます。 せっかく原料費用が下がっていても、止まらない円安により恩恵がなくなるのは非常に心配です。今期の1万円超えの価格上昇はないかもしれませんが、更なる負担が生じる可能性もあります。 今月発表される配合飼料価格改定に注目されます。 帝国データバンク岩手県内の企業100社の回答で4月から6月までの調査を見ますと、原油LNG価格高騰の経営に対する影響がマイナス影響があると答えたのは57社で、業種別では、農林水産業や運輸倉庫業が最も高く、燃料代の高騰が経営に影響を及ぼしていることが分かります。 農業では、車両を動かすため、温室を温めるため、逆に冷やすためと用途が広いのですが、電力やプロパンガスの値上げは必要なもので削ることが難しいといえます。 畜産業でも、燃料代や鶏舎稼働費用は主に電気やガスでもありますが、削ることができないものです。 この高騰に対して実施しているものを複数回答として、節電・節約と答えた企業は55%、エネルギコストの上昇分を販売価格に転嫁したと答えたのが19%となります。 更に上昇していく場合の対策を聞くと、節電・節約が42%、エネルギーコスト上昇分の価格転嫁33%、仕入れ先の変更14%、人件費の抑制10%と続き、さらなる節電や節約で努力していく姿勢が見られます。 ですが今以上の手段がないとも言えますので、ジレンマを感じているのかもしれません。 現状の原油LNG高騰がいつまで続くか聞きますと1年程度が最も多く、ついで3年以上、18か月程度と続き、短期終息を見通していないことが分かります。 調査期間の4月から6月は原油価格が最も高い時期ためネガティブな回答が多かったと思います。 この要因に調査前3月時点で既に1バレル110.6ドルと三桁の相場展開で、最も高い時期でもありました。 5月でも104ドル、6月で119ドルと上昇基調でそれに伴う燃料代の値上げや物流費の見直しが進み心理を悪化させています。 その後の7月は100ドル、8月は93ドル、9月は2日までで平均90ドルと下がりが続き、燃料代は改善が進んでいます。 コーンは、現在6.4ドル/ブッシェルで、今期飼料価格ベースより1.4ドル程度下がって推移していますが、7月20日5.7ドルを底にゆっくりと上昇していますので心配が続きます。 LNG先物は6月7日9.3ドルまで上昇後減少していきますが、7月6日を底に再上昇し、8月1日8.2ドル、8月22日に9.68ドル、9月2日に8.9ドルと9ドル近辺での取引が続きます。 そのLNGは、例年8月から12月は暖房需要が高まることから、価格が上昇しやすい傾向があります。本年は6月から7月中旬にかけて値下がりがあり、例年と同じパターンを示しており、昨年を見ますと11月ごろまでは上昇傾向が続き、12月は感染拡大等の要因で低下に転じ1,2月を過ぎました。その後ロシア侵攻が始まると、急激な右肩上がりとなり6月8日まで上昇していきます。 その侵攻は現時点も解決されておらず、価格動向が不透明でもあります。 LNG天然ガス)は皆さんの鶏舎の暖房費(幼雛は特に使用されることでしょう)や洗卵するための費用もあると思います。 洗卵の目的を考えると、温度を下げて洗うということもできないでしょう。 それは、洗う目的が汚れ落ちだけではないからです。 サルモネラ菌が万一ある場合、適切な温度でない場合菌が鶏卵に入り込むという心配もあります。 ですから、適温にして洗うわけですから節約するというのも難しいでしょう。 電力費用では、LED電球に置き換えて消費量を下げるというのは効果的です。 多くの鶏舎は白熱電球を使うところはもうほとんどないと思います。 ですから、蛍光灯タイプの電球が主流だと思います。このタイプは消費電力が60Wで18Wの消費量が多く、LEDでは最大7Wと半分程度になります。 鶏舎には多くの電球が下がっていますから、これを順次置き換えていくのも手です。 全てではなく、1列単位で交換していくのも良いでしょう。 置き換え終わった電球は、ほかの列の電球が切れたとき交換して消費していくと廃棄せず無駄もありません。 LED電球は1個500円から1000円と幅がありますが、高額だから長寿命というわけではありません。 私自身が見て感じるのは、蛍光灯タイプのほうが長寿命という傾向もあります。 これは鶏舎洗浄(水洗い)をして電球をダメにしてしまうケースがあり、防水が完全ではないことが要因ですが、多くの方は防水仕様電球ではないと思いますので、 条件は変わりませんので、この先蛍光電球が入手できなくなっていきますので、列ごとでも良いでしょうから置き換えていくのも電力費に対し効果的と言えます。 節約を意識することは大事なことです。 多くの方はできることに限りがありとても困惑されていることでしょう。 ですが、よく見てみると鶏舎の中、集卵場、倉庫といった所には改善することでわずかではありますが節電や節約ができるものがあります。 1個の消費電力は小さくても数があれば大きなものになります。それは皆さんが生産している鶏卵も同じです。 1個は10数円でも、1万個、10万個出荷して大きな金額になります。 それと同じです。 その僅かが無駄と考えれば何も変わらないでしょう。 その僅かを積み上げていくのが節約であり節電でもあります。 9月は暮れまでの生産するためのコストが粗方見通せる時期になります。 そのために何ができるのか、どう節約していくのか。 そう考えていく9月なのかもしれません。

TKG祭り10月開催 鶏卵支援プロジェクト卵フェスin池袋2022が開かれます

10月21日金曜日から23日にかけて、東京・池袋にあるサンシャインシティ ワールドインポートマートビル 4階ホールA-1にて開催されます。開催時間は11時より20時までとなります。 輝かしく開催された第1回から3年、500円で食べ放題イベントが今年もやってきます。 北海道から沖縄まで全国60種類、自慢の鶏卵がきっと見つかります。 お米と、こだわり醤油も相まって、全国から多くのTKGファンがやってくることでしょう。 TKGだけでなく、スイーツやお惣菜、スープやお酒といった様々な鶏卵加工品やおすすめアイテムが30ブース出展予定とされています。 会場は入場無料で、卵かけご飯の食べ放題は500円(小学生未満は無料)で、4部制の総入れ替え制となります。 各回先着250名としておりますので、希望する時間帯は早めの来場をお勧めします。 第1部は午前11時より13時、第2部が13時15分から15時15分、第3部は15時30分から17時30分、第4部を17時45分から19時45分としています。 時間を目一杯使い全国を食べ続けるTKGマスターになるもよし、美味しいおすすめ鶏卵をじっくり楽しむもよし。 TKGを皆さん思い思いお楽しみください。 今年はコロナ禍とはいえ、多くの鶏卵イベントが開かれました。 例えば、東京・八王子駅改札前には「幻の卵屋さん」が6月23日から7月2日にかけて出店しました。 全国から選りすぐりの鶏卵を1個からお好み購入できるもので、都心部ではよく話題になるイベントです。 現地でTKGではありませんが、こだわる鶏卵を選び購入するイベントです。 きっと購入した後は、ご自宅でこだわるTKGイベントが開かれたのでしょう。 ブログにも書いていますが、付加価値がある鶏卵は1個が80円や100円であっても購入する消費者がいます。 現在、流通店舗での1パック小売価格平均は225円(7月小売調査)ですから、1個は22.5円で3倍以上の値段でも購入したいと考えているわけです。 鶏卵を選ぶ基準は「価格」が圧倒的に多いのですが、このような厳選された鶏卵では80円以上の高価格帯でも購入したいという方もいますから、 皆さんの生産活動に付加価値を追い求めることも良い選択ではないでしょうか。 高価格帯の鶏卵を知るきっかけに、このようなイベントは消費者と結びつける大事なきっかけになります。 鶏卵の美味しさを多くの消費者は知っています。これは好きな食べ物ベスト3に入るぐらいですから、その通りですね。 では、消費するきっかけはと言えば、流通店での購入や、道の駅等農業交流館での出会いが多いでしょう。 加工向けでは、テレビ広告が一般的です。 某大手ハンバーガーチェーンが月見バーガーを広告すると、一定数はその影響を受けます。 つまりその季節が来たから、今週末に尋ねようとなるのです。 その中には、卵は美味しいものという認識も含まれているわけです。 ファミリーレストランでも月見ハンバーグの広告で、一定の集客があるといいます。 それは、広告主にとって良いことですが、それ以外にも視聴者(消費者)が見ることで、食べてみたい、美味しい物というよみがえる記憶があるのです。 それは、大手ファミレスでないかもしれませんし、広告主の店舗でもないかもしれません。 ですが、見ることで個々の消費者は訪ねてみたいと感じるわけですから、動機付けには十分な効果でもあります。 飽食の時代、卵はただの卵なのかもしれませんが、価値がなくても、今回のようなイベントは、鶏卵を改めて知ってもらうきっかけに必ずなります。 そのイベントには自社の鶏卵はないかもしれませんが、美味しくTKGを食べる場面は、流通店舗で購入したもしかしたら、皆さんの農場の鶏卵で楽しむかもしれません。 ですが、イベントがなければ改めてTKGをしたいという動機は生まれなかったはずです。 うちには関係がないイベントと考える前に、広告にはこのような広い効果があることを改めて知っておいてください。 これを知ることにより、例えば皆さんの地域で「卵まつり」を開催しても良いかもしれません。 パック向けの鶏卵が、イベント用の鶏卵に替わりもしかすると付加価値をつけているかもしれません。 大事なのは、イベントという広告で新しいお客様と自社の鶏卵を結びつけるという視点です。 ただ、スーパーに収めて225円で販売されていればよいもいいでしょうが、販路を拡大するという攻めをこの先必要になる時代がやってくると思うのです。 農場間同士の競争がやってくるかもしれません。一昔の低卵価時代の販売先の横取りがあったと思います。 これは、低卵価が要因でしたが、この先は減少していく消費者の取り囲みです。 その時、何をもって対策を打っていきましょうか。 ただのイベントでも、考え方により違う視点が生まれ、それが新しい発想につながり、気づきになる。 これこそが、次世代の経営者の視点ではないかと思うのです。 話を戻し、この10月はぜひ自社の鶏卵が絶対にうまいと信じている方が多いと思いますが、他社の鶏卵も実はそん色ないということを知り、新しい餌配合や飼育環境を見直すきっかけを探しに来場することも、新しい世界を切り開く気づきになるかもしれません。 美味しい物には理由があるということを知ってみるとよいかもしれません。 くれぐれも食べすぎに注意してくださいね。