nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

PDCAを活用した改善の取り組みを コストだけの意識以外にも改善という取り組みで結果収入を増やすという考え

配合飼料工場渡し価格が再び1トン10万円にかなり接近しています。
背景には円安、輸送コスト増が主になるようです。

昨日から円高方向へ向かい始めていますが、今週のドル円終値は147.08円となり、2月初めごろの為替水準で終えています。

この先は、米国基準金利が下がる政策に変わるとされ、日本は金利上昇へ向かい始めるような政策に舵を切るという思惑もあり一時的な円高になりつつあるといわれますが、長期的に見ては一時的とされます。

 

大事な収入源の目安となる鶏卵相場は年初から緩やかですが上昇しております。

8日時点210円(東京M規準値)となり、年初から30円の上昇です。


飼料要求率は多くの農場で2.0程度が多いでしょう。

もちろん鶏舎設備(ウインドレスより高床式のほうが保温性が劣り数値は上がることが多い)や鶏種(白系統より赤系統のほうが要求率は高めに推移する)により変動すると思います。


白のウインドレスであれば1.8から2.0程度、赤は1.9から2.2の範囲というところでしょうか。高床式であればそれより0.2程度高いということもあるでしょう。
そう考えると、鶏卵1キロ当たり白では1.9キロの餌とすれば1トン9万円と見ると、1キロの餌は90円となり1.9では171円で1キロ収入は210円(基準値)と試算できます。


もちろん210円ということはなく、通常安値が参考価格となることも多くこの場合204円が最大価格になるということもあると思います。
傷があり、汚れがあれば規格落ちとなり容赦ない減額15円、20円といった所もあると思います。

そうなる場合189円、184円まで値段が下がり餌代は賄えても採算割れは必至です。


ざっくりですが、傷等規格外になると一般的には採算割れの商品になります。

餌代は同じですからそうなります。


農場では、この規格外対策にかなり力を入れている農場も多くあります。


平均的に見て傷発生(規格外出荷)率は5%から25%と幅があり、大規模鶏舎ほど数値は大きくなる傾向があるように感じます。
小規模である場合、手集卵により破卵が少ない、大規模ほど機械集卵になりメンテナンスしだいで破卵率が大きく変わるという傾向です。


またゲージ飼育より平飼いのほうが、ネスト以外で放卵することも多いため破卵率は高いという傾向もあります。


今日のテーマであるPDCAを活用した改善の取り組みをするという意識が改善を考える最初の一歩になりますし、とても大事であることがわかります。


確かに何をしても破卵率は0になることはありません。

ですから多くは仕方ないもの、取り組みしても取り組み費用の方が高くなり費用対効果から意味がないと考える農場も多いでしょう。


ではそのままで良いのかということですが、先ほどのように収入は210円(基準値)でこれを変えることは農場ではできません。
ブランド卵にして価格を決めることも可能でしょうが、多くはこの基準値を参考に値決めしていくと思いますし、今は高い設定でも定期的な見直しがありゆくゆくは規準値に近づく動きになることもあります。


ですから210円がどうのこうのではなく、参考価格に対し農場がどのように耐性を作ることができるのかという意識が大事です。


経営者は特にお金の出入りにはとても敏感で、この問題を意識するところも多いでしょう。
ですが従業員は別で、多くは月給や日給制であり改善があったとしても収入に変動がないこともありますので、意識を持ちにくく関心度は低めです。


良く聞かれる事例としては、自動集卵で、メンテナンスが不足しており鶏卵が割れるような状態でも多くはその鶏卵を取り除き1日100個程度の壊れだから何もしないという所もあります。


個数が問題ではなく、その意識が改善する余地があるということです。


確かに1個の鶏卵が60グラム程度であれば、1個の収入見込み額は約12円程度です。100個でも1200円です。

1時間分の人件費程度かもしれません。


でも1200円のお金をわざとゴミ箱に入れるような人はいません。

現金は大切だけど商品はどうでも良いというその意識に改善の余地があるのです。


お金という価値以外に興味がない場合の多くは、このような異常として表れる生産量や規格外発生には関心を持つことはできないといえます。


この状態で、やれコスト対策をしろ、コストを削れでは目先の数値改善程度しか見えないのも納得できます。


何かを改善するということは、何が悪くどのように対策をとればよいのかという方法を先に考えるはずです。
でも多くは、目先の数値のために削り、それが答えになるという思考が多いように感じます。


弊所のPDCAサイクル研修でも最初に参加する方々の多くは、方法まで十分な検討をする視点がないという方も多かったと感じます。
この視点がない状態で何かをするとどうなるのかと考えると、皆さんも想像できると思います。


この視点が大事なのです。


でもその改善のためにはどのような形で取り組むのかという方法を学ぶと、意外と改善が早く進みます。
それは、そのための答えを多くの方が既に持っていて、正しく検討しリスクまで評価しておくと多くは成功へと進んでいきます。


少しのきっかけがまだ足りていないというのが実情に感じます。


多くの方が知っているPDCAサイクルは改善するための方法としてとても参考になる手法です。


農場展開には速度が遅いこともあり向かないとも言われますが、畜産では手法経営や農場スタイルを今にあわせる「リフォーム」方法の方が、1から新規構築する場合より無理がなく、安心して応用できる利点があります。


基本の農場スタイルは時代が変わっても大きくは変わりません。

そのための方法やそこまでに大きく発展させた手法は農場にノウハウとして既に存在しています。


新しいイノベーションを切り開くということも大事ですが、先ずは足元を固めて、そのうえで新規取り組みをしていく方が間違いのない発展方法です。


そのPDCAは、必ずPから始めるというルールはありません。


プランは物を始める方法を最初に考えますのでとても大事です。

でも農場の多くは既に実行している事項も多く存在します。
餌の削減であれば、既に削ったという段階もあるでしょう。

 

つまりPから始めるというより、すでにDに発展していることも多いというのが農場の実情ではないでしょうか。


ですから、大事なのはCになります。


PDCAの一番の要はCなのです。


チェックとも言われる段階ですが、その実行に対してどのような結果になったのか、それは良かったのか・悪かったのか。という評価をします。
これがないと、やったから成功した、生産量が下がったけど仕方がなかった、そもそもこの実行に効果があったのかという次に生かすための方法を見つける事ができません。


いわゆる「やりっぱなし」になり、これがあらゆるシーンで散見される結果になります。


この状況の多くは、新しいことを初めて実行したけど、いつの間にかやっていなかった、そもそもその方法を知らなかった、うまくいかない場合「それは私が決めたものではない」という責任転嫁のような発言がある組織に良く見られます。


つまり、良くしていきたいと考えた時、できる人が率先すれば解決できるという意識では成功しないということを知っておくと何となく失敗し続けている、改善が何年たっても見られない、そもそも改善というキーワードが出てこないというのも納得できると思います。


そうです。

現場にその意識が育っていないのが要因です。


多くの方はPDCAは大事であるということを話してくれます。

でもその方法ばかりにとらわれ、視点が方法論ばかりに向かいがちです。


先ほどのPDCAのうちPをしっかり検討することが大事であるという方法も間違いではありませんが、すでに動いている場合はそこが解決の第一歩ではありません。


つまり最初の関所となるCが大事になります。でもPDCAとかかれているのでPから入るものと考えてしまうのでしょう。
私自身はこのCがしっかり検討していれば次のプランはかなり精度が高くなると感じています。


皆さんの農場もきっとそうなるはずです。


今更PDCAの方法を熱く語ることもしませんが、大事な視点は本当にそこなのかという視野です。
それがあれば、この方法はきっとうまくいきます。

 

それが先ほどのような規格外鶏卵の低減につながり、コストを結果的に下げる取り組みなります。
収入は農場サイドで解決できるものではありません。

 

でもコストは農場サイドの理解度、取り組み姿勢で下げることができます。


そのためには方法論も大事ですが、その方法をどの視点で見ることができるのかということです。
その1つがPDCAサイクルを取り入れるというものですが、繰り返しますが必ずPから始まると言うことではありません。


農場の多くは既にDまで発展しているはずです。であればCから始めるのです。


皆さんの農場もコストが、餌代がと考えることでしょう。
でも意外と取り組みがまだ十分でない設備や規格外対策はこれから取り組みをするだけでも、この1年だけではなくこの先未来永劫まで農場に利益として貢献してくれるはずです。


この取り組みを更にPDCAサイクルで改善していけば、更なる高い成果として農場にもたらすでしょう。


さあ、PDCAサイクルを取り入れて農場を大きく育てていきましょう。
でもそのためにはその意識がとても大事なことであると知っておいてから始めてください。