nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鶏卵供給が戻りつつあるようです 相場はどうでしょうか

全農鶏卵相場は10日3連休明けの相場発表を行い、東京、大阪、福岡の各市場で5円安い相場になりました。 東京ではM規準値を290円としており、13日までこの取引値になった持ち合いになっています。 10月に入り上昇する時期でもある中、久しぶりの珍しい現象になっています。 過去を見ますと、令和3年の10月も同じような下降相場になりました。この時期は令和2年度の大流行期から回復が進んでいた時期です。 2021年10月1日の相場は東京M規準値は220円で始まります。しばらくは持ち合いとなりますが、約半月後の14日に10円落ちとなります。その後26日に5円落ちとなり、 2021年10月最後の取引日29日は15円落ちの205円となりました。 回復が続き供給が上向いていた時期と新型コロナウイルスによる需要側の弱さがあったとはいえ、年末に向けて相場低下は驚くものでした。 現在は、新型コロナが5類移行になり隔離といった制限をするものはなく日常に近い生活をする時期になり、外食、旅行、インバウンド、流通店やコンビニ店、ドラックストアそれぞれは来客が多くなり企業業績も良いものでしたから、 一概に同じ状況とは言えませんが、回復が順調に進んでいるという現実には変わりありません。 供給の産出基準とされる餌付け羽数を見ますと、全農7月の餌付け状況では前年比103.4%と昨年を超える餌付けが5月以降続いています。今年度は昨年より多い数字で推移しており、供給は順調に進んでいます。 この先も前年を上回る餌付けが続いていくと見込まれますので、供給は更に改善されていくと推察され、消費者の皆さんには欠品を生じさせない安心した供給が予測されます。 今年は猛暑が多い夏でしたが、例年通り大玉は減少傾向が見られましたが、猛暑が終わった9月下旬以降は鶏に対して過ごしやすくなる日が多くなり回復も見られ、サイズ別の供給過不足は見られませんので、全サイズ安定した状態になりました。 テーブルエッグ向け供給は更に改善が進んでいきます。 また鶏卵の輸入も7月実績を見ますと、4262トンで前年比166%と大きく上回ります。 ブラジル産殻付き鶏卵1821トンで先月より少ない状況ですが、これは輸入して消費していく時間にずれがあり、一般的に通関してから2か月から3か月先に使用するものと言われますので、7月通関分は9月から10月頃国内で何らかの形で消費されていくという状況です。 そうなると、9月通関分で11月か12月となると推察され、10月以降は国内消費が一段落する1月頃以降の消費と見込まれることで輸入は10月以降更に少なくなると予想されます。 年間通関実績を見ますと令和4年の殻付き卵は59トン程度(前年比6%)と令和3年の反動減でしたが、今年は8月までの累計で4550トンとなり規模の大きさに違いがあることがわかります。報道があったように今年は国内供給に不安定要素があることで大手加工メーカー等は輸入量を大きく増やしたことが数字に表れています。 加工向け供給も不足分を輸入で補うことで国内での製品不足はだいぶ改善された夏であったと言われます。この先も不足なく供給されていくことで、鶏卵加工は安心した商品製造が可能になるでしょう。 では、この先鶏卵相場どのように進んでいくのでしょうか。 現在290円の鶏卵相場は急激な低下はないでしょう。これは供給が増えていっても需要側も例年通りの消費が期待できるからと予測できます。 しかしながら需要は今の状況で供給が釣り合うような感じになっているように見えます。 参考になるのは令和3年の相場推移になるのかもしれません。 令和3年10月の月平均相場値は9月と同じ213円でした。これは10月に15円下がったことで9月の平均値を同じになったということです。 では11月はと言えば平均207円と5円下がります。12月は3円上げた210円で終わるというものでした。 今の相場を見ると9月の月平均値は292円で、10月本日時点292円と5円下げたことで同額となります。 鳥インフルエンザの影響も令和3年もありましたから、今年はわかりませんが加味してもどのようになるのでしょうか。 大事な点は、相場の推移を見て予測するのではなく、供給が増えていくことで相場がどう変わるのかという視点です。 先ほど話しましたが、餌付け羽数は順調に増えていきます。つまり6か月後は成鶏舎で最高のパフォーマンスで農場を盛り上げてくれるわけです。 そう考えると、年明け以降は需要低下から相場は落ち着き、通常の養鶏時代が訪れる可能性があるということです。 つまり、供給が安定しやや過剰になる時期が来年にはある可能性が否定できないということです。 今の相場290円は通常ない値段です。さらに言えば今年の相場も通常あり得ない値動きです。 特殊な1年であると考えると、皆さんの農場はこの先通常運転になる時期に何をする必要があるのでしょうか。 お金が潤沢に入るから、要らない物を買い込み経費として計上したい、今は不要だが新車を入れて農場に箔をつけたい、人をもっと潤沢に入れて規模が大きいことを示したい等思惑があるかもしれません。 でも大事なことはそこでしょうか。 これから養鶏の秋から冬の時代が来るのであれば蓄えて(必要な物にお金を投下する)、やがて来る春を迎えるための時期と考えることが出来るのではないでしょうか。 皆さんや先代さんはそのような養鶏の四季を見てきているはずです。 長い春が続いているのであれば季節はやがて変わるということを知ってはいるのでしょうが、忘れてしまうというところもあります。 明日も、来年も春は続くと考えてしまうところもあるでしょう。 鳥インフルエンザへの対策も急務になりました。今は両輪で取り組む時期になります。 どちらかのみを考え実行するような時期を超えています。両方を見ながら農場を運営していくことになります。季節は秋になりました。養鶏の四季は何でしょうか。 皆さんの農場はまず何をしていきますか。 相場はこの先も安泰ですか。