8月も終わりを迎えます。
鶏卵相場は思いのほか値が崩れることなく推移しました。 28日時点東京M規準値295円で推移しており、8月最初の相場値で推移しています。
8月の最安値は8月6日から24日までの290円でした。 通常9月に入ると相場は上昇基調になることが多く、いわゆる暮れ相場までは上昇していきます。
ひな餌付け状況も前年割れで推移しており、生産量は昨年より少なく需要が旺盛な状況になります。
昨年は銅線泥棒が話題になり農場被害も確認されましたが、本年は農場被害に関する報道はなく無事に過ごしていることとおもいます。
また8月は猛暑酷暑が西日本地域で散見され、鶏の生産量の低下、斃死の発生、体調を崩したことによる腸炎の被害も聞かれました。
気温は8月上旬から10日過ぎまでまで西日本地域は高く推移し、24日から27日までは関東地方までの広範囲が気温上昇するそんな8月でした。
弊所でも8月10日前後は西日本地域事業所内の鶏舎内温度に関する声を聞くようになり、アドバイザーやチーフアドバイザーが鶏舎内の設備対策についてお話しする機会が多かったと思います。
前回のブログの通り猛暑が来たことにより、暑熱対策を急がれた農場も多かったと思います。 また養鶏の友にもお話しした通り、設備以外にも大事なことは風通しを作ることで、そのためにも掃除が大切であることを実感された方も多かったと思います。
たかが掃除、たかが目詰まりではなく、その少しの努力の積み重ねが鶏を守る最初の一歩になっていることを改めて実感したという方もいたことでしょう。
その上での設備増強やストレス軽減策を講じていくことになります。ですから前回のお話しのように、1つだけの対策では十分に対応できないのが今の夏になるわけです。
まだ残暑が続くことと思いますので、引き続き対応をお願いしたいと思います。
さて9月に入るわけですが、この時期は鶏の回復に重点を置く養鶏家さんも多いと思います。 弊所でも回復の重要性とその講じる方法をお話ししていますが、皆さんも自然に回復するから何もしないではなく、早く回復して利益を取っていくという鶏を主体とした管理が大事であることを知っておくと良いと思います。
通常(といっても5年くらい前まで)は、9月は中旬まで残暑が続き、雑草から秋の虫が鳴き朝はだいぶ涼しくなり、従業員の方が風邪をひき欠勤するという連絡が聞かれるのが通常でした。
しかし、9月は下旬まで暑い時期が続き日中は真夏日、猛暑という時期が続き、中々鶏の回復が進まないという農場も多いことともいます。
餌を食べないと体力がつかないから、無知な農場主は餌を何回も流し、エサ入れ(餌樋)がガボガボになるまで流し、たんまりお食べと言わんばかりの給餌をするところもあります。
そして選び食いが始まり、食下量が増えず、生産量も回復せず、斃死がダラダラと増えていくという悪循環が始まるという農場も毎年聞きます。
最近は断餌であると言わんばかりに、1日1給餌で十分と餌を切る農場も見られます。
悪いことではありませんが、1日の餌量は出来るだけ摂取させるという原点が抜けてしまった農場もあります。
この方法より低レベルで複数回流していく方が結果的には食下量が増えていくのですが、手間がかかる、面倒である、作業効率が悪いといった理由で実施しないところもあります。
しかし給餌に人力が必要という所はあまり見る機会はなく、自動給餌が一般的である中、面倒とか効率とかいう理由で手間をかけたくないのが本音のように見えます。
餌に反応するのは今も昔も鶏達は変わりません。 餌が流れて食べだすのは、粒子の荒いコーンとかを食べるかもしれませんが、周りの鶏達もつられて結果皆食べだすのを狙う手法です。
だから餌レベルを下げて早い時間で餌樋が空になる又はだいぶ少なくさせて次の時間を期待させるわけです。
人で例えるなら、わんこそばを多く食べる方が満腹食べた感があると思います。最初からどんぶり大盛のそばを2杯3杯食べるより結果多く食べられると思います。
それと同じイメージで見てください。
そうすると1回の配餌で良いとかにはならないと思います。
そして鶏の食べる習性を知ると、荒いコーンだけでは栄養的に偏るからこそ細かい粒子の餌まで食べてもらうには時間を空けて減らすが、何時間も半日も空けることが産卵サイクルからして適切なのかという管理技法を思い出し想像し実行するわけです。
ただ減らない、手間だけで用が足りるような世界ではないのが今の養鶏です。
昭和は良かったでしょう。
卵があればお金になる程度の時代です。今は農場での生産量は9割が普通で、8割、7割ですと採算が割れるような世界です。
数があってシェアが取れる。そしてそれがお金に直結する時代です。
庭先に餌を撒き放置するような養鶏の時代ではないのです。そこに技法があり、知恵が勝者と敗者を分けるような知識の差の戦いになっています。
馬鹿にした隣の養鶏場が、大手の店舗に納品されている、俺より若い年下の子供の代になった養鶏場が、海外の倉庫店に納品されるような商品になっていたりと、ちょっとしたことで差が生まれるような時代です。
それは、地元の権力だからとか、お金を持っているだけで通用しているわけではなく、納品数が保証できるくらいの生産量がある、農場の衛生状態が優れており、いわゆる事故鶏卵を作らないシステムを持ち数があるという信用があるからです。
少なく回数多くという方法がそんな手間で片付ける物なのか考え直すきっかけになるでしょう。餌のアップデートをしてみてください。
なんでも多くあれば良い、餌回数は少ないほうが便利といった、この時期だからこその手間を手間と感じてしまう農場ほど、何もしないが何とかしたいと思っているだけで、夏を理解して取り組むことができないと少しの手間で改善できるきっかけを失ってしまいます。
弊所の研修で最も大事な視点ですが、願望だけでは何も変わらないからこそ、変えるという視点を知り実行する視野を持つことをお話ししています。ぜひ皆さんも替えるという視点を持ち改善をしてください。
しかし、季節は9月になります。今から餌の与え方を知っても間に合わないのではないかと思います。 暑くなり食下量が減り生産量も減る。だから収入が下がり、秋に回復を期待する。 だから今から餌の配置を変えるでは遅いように思います。
何もしないよりはましですが、既に時が遅いようにも思います。
では本題に戻り、鶏の回復を皆さんはどのように進めていくでしょうか。
先ほどのように何もしない、気温が解決するという方法もあります。 ですが、大きくダメージを受けた鶏がピーク時のような高産卵に戻るのかは運しだいです。
多くは個卵重に移行し大きめの卵になり、輸送中の壊れによる収益の低下、規格以外の増加による利益の低下というパターンもあります。
あるいは鶏の増体重が増えていき斃死がダラダラと続くというパターンもあります。
では、それ以外に何か手はないのでしょうか。 いいえ農場を見てみると手はあると思います。
例えば、食下量が少ない時期が長く体重増加が少ないロットならば、換気量を増やし風を通し餌を増やすために先ほどの1回の餌量を減らし回数で追っていくという手法があります。
ただ時間を空ければよいというわけではなく、荒い粒がなくなり、鶏が水を飲み更に餌をついばんでいるタイミングで流すという観察する視野があると良いでしょう。
ただ次は2時間後とか、3時間ではないのです。結果的には2時間後とかにはなるでしょう。この視点と観察から推測する力が必要です。 早く餌を食べ体重の増やし連続産卵できる力を持ってもらう目的があるのです。
では、生産量があるけど食下量が多くなっている場合はどうでしょうか。 換気が行き届き、生産量は少し下がるだけで、食下量が変わらず、少しづつ増えていき体重が増加している場合もあるでしょう。
この時の多くは、餌のエネルギーを下げる銘柄に切り替えてそのまま放置するというのが多いと思います。 最近は餌のエネルギーを下げた銘柄で同じグラム数食べても結果少なくなるという論理で、平成の時代までは鶏管理の基本的な選定方法でした。
しかし最近の鶏を見ると、増えていく感じは平成とは違い大きくは増えていかないのが今の鶏のように見えます。 つまり、今の時代は省エネの鶏になっているとも言えます。
実際鶏の改良は連続産卵に趣きを置いています。 ですから、平成時代の鶏とは少し変わっているようにも思います。
食べて産卵を押し上げるという時代ではなく、食べて体を作り連続産卵できる体力を作るという時代になります。 つまりその工程が十分にできない場合、どこかで産卵のためのひずみが生じてしまう可能性があります。
鶏と大きく育て、連続産卵する能力に合わせておくための準備を育成期に作り完成する。 成鶏では産卵が早まることから、いかに早く餌を与えて連続産卵できる環境を作る。 そこに夏季が入り狂うのであれば、最初に暑さに対処していくということになります。 いかに餌を食べさせるという維持を前提に考えていきます。 そのために涼しくする、食べる工夫を考え作る、昭和や平成とは違う気候を知り今の夏を知り対処するということに尽きます。
鶏が悪くなった場合の多くは、気候のせいと考えがちですが、多くは今の時代にそぐわなくなっていることに気づいていないということが多いように思います。 回復をどうするのかと考える時、もうガタガタにまで生産量の低下や斃死数が伴った場合、正直予後はあまりよくはありません。
少しは回復はしますが、日齢が高くなるに従い腸炎が発生したりと、平成とは違うスッキリしない事象が散見されます。 そうなると、ストレス軽減対策や腸炎予防のために整腸剤を与えたりと昔とは違い鶏の体調がすぐれない時期が長く見えるロットが以前と違い散見されるところもあるでしょう。
そのような事例はないという農場もあるでしょうが、この数年前からよく聞かれる事象に感じます。
この2年前から弊所では、大事なことは回復ではなく、そうでない管理方法を構築するアップデートをする力を養うようにお話ししています。 例えば、育成期の餌は今より少ないことは正常なことなのでしょうか。
例えば、成鶏期に入り産卵開始時期が早まるのに食下量が伸びていないのに、餌を増やすための方策ができていない。又は高温管理に固執して餌を食べさせない(食べる量を抑える)方法で結果食下量が増えず産卵開始となり、鶏のストレスが高まり病気が発生するという事例もあります。
産卵がピークに達したとき、食下量が頭打ちになり栄養的にもギリギリで経過した場合、300日や350日齢当たりで斃死が増えだし産卵には大きな変化がないものの斃死が続きスッキリしないという事例も聞きます。
最近の鶏は繰り返しますが、だいぶ持続が優れていることは皆さん知ってはいます。 ですが、その多くはご自身の管理が優れているからそうなっていると慢心とは言いませんが、農場のおかげと信じてしまいます。
確かにその意味は間違いではありません。
それは十分な餌を与え、ストレスを軽減している取り組みが実を結んでいるということで、結果農場のおかげでもあります。
でもそのおかげを冷静に分析するとそこが核心になるわけです。
ですが、そこまでたどり着けない農場も相当数あります。 また病気だ、また生産減だ、また斃死が続く。 そんな声が今年も聞かれました。
回復する9月ではありますが、今の時代回復は過去の回復のように元に戻るという事例は、若い鶏に限られているように感じます。
多くは生産量は少し回復しそのまま過ごす。 そして強制換羽してリセットを試みるというのが今の姿でしょう。 そして餌を切ることで、被害は腸炎に限らず季節が鳥インフルエンザに入っていることで、体調がすぐれない中での被害発生というのも風のうわさで聞く事例もあります。
鶏が変わるということを知っているだけで、今の管理の良くないところ、改善するところが見えるのではないかと感じます。
でも同じであり、暑いから仕方がない程度で終わる農場は来年も仕方がないで終わるのでしょう。 そして何年たっても仕方がない、でもお金が惜しいという言葉を繰り返し一人地団駄を踏むのかなとも感じます。
冒頭の「馬鹿にした隣の養鶏場が、大手の店舗に納品されている、俺より若い年下の子供の代になった養鶏場が、海外の倉庫店に納品される」のように、何も見えていない人の痛い言葉は実はこのような差になっていたということです。
昔は馬鹿だったのかもしれません。
でもその人たちはきっとご自身をアップデートしていたのではないでしょうか。技量を付けて自身を磨き続けていたのではないかと思います。
でも言った本人は何も考えず、昔は馬鹿だから今も馬鹿と思い込み何も努力せず過ごし差になっていただけではないかと思います。
馬鹿の鳥飼いは養鶏の悪い言葉であることを皆さん知っていたと思います。
頭が悪かろうと、鶏がいれば高価な鶏卵が取れて生計が立てられたという時代の良くない言葉です。
でも今の時代で解釈するならば、何も学ばずただ時代に流されている人を馬鹿の鳥飼というのかもしれないと感じます。
研修でも真剣に聞きいれている方や質問が核心を突くような一緒に考えるような切れ味ある内容を求める方もいますが、片や何も考えていない、関心がない、それよりこの後の懇親会が気になるという方もいます。
お話しする側は養鶏家の熱量を客観的に見ることができます。 ですからこのような差が生まれていくのだろうとつくづく感じます。
今日のお話から是非回復の方法だけを知ろうとせず、回復するためには根底(前提)は何かを知ってみることも、皆さんの成長に寄与できるのではないかと思います。
回復時期が終われば鳥インフルエンザの時期に入ります。養鶏家にとって一番怖い時期がもうすぐやって来ます。
今年は令和の当たり年になるのではないかと心配をしていますので、この回復に時間をかけている余裕はないと思っています。
弊所では回復時期は実行に入っており、来る鳥インフルエンザの対策を勉強しています。
1年は本当に早い流れになっていると感じます。 皆さんはどのような夏を過ごしていますか。