nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

農場HACCP認証を取得してみませんか

畜産家の皆さんは一度は聞いたことがあると思います「農場HACCP認証」

平成23年からもう8年経過している制度です。平成31年1月時点で241農場(農林水産省発表)が認証を受けています。

当初からこのシステムを多く取り入れたのは養豚家(117農場)でした。ついで、採卵鶏(58農場)肉牛35農場となります。

私も構築に携りましたが、今も時折農場HACCP認証に魅力がないという言葉を聞くことが多いのですが、本当に魅力のない・価値のないものなのでしょうか。農場HACCP認証は、いったい何者なのか?そこに焦点を当てて考えてみたいと思います。

まず、農場HACCP認証はどんな認証制度なのでしょうか。教科書的解説ですが、農場現場にhaccpシステムを取り入れて危害を事前に防ぐ手法になります。
農場HACCP認証のための要求文書に基づき、手順を文書化し、必要なシステムを構築・実行を記録する。実行中の事故や問題点を記録して分析し次に生かす。年に1回はシステムの検証を行い正常なシステムであることを確認する。といったところでしょうか。
詳細は農林水産省ホームページをご覧ください。

では、なぜ魅力がないと感じるのか。それは、普段の作業には事故が起こる可能性が低いからです。それは、haccpを意識したシステムでなく、各農場の作業方法がかなりリスクを低減していたのです。つまり、昔から問題があればその問題の解決策を考え構築し運用していたのです。それを文書化したり記録を付けたりして次に生かすという考えが必要なかったことにあると感じます。

だから、農場HACCPには興味がないのです。
なんでも記録いつも記録。記録の人生はいやだという人もいます。記録がないと生産性が低下するわけではないことも要因でしょう。でも待っていただきたいのです。今までの意見は一理あります。しかし、事故はいつ発生するかわからない現実があります。

事故発生したら対策を講じればよい。その通りなのですが大事なのはなぜ事故が発生したかなのです。人為的だ機械の故障だと推測は可能です。その原因を根本から洗うことは次の事故対策にも使用でき、原因は人為的かもしれないが作業の方法が事故を呼びやすかった。などあらかじめ文書にしておくと確認しやすく、
記録があることで例えば、機械の故障がいつから発生していて品質問題は2日前から起きていた。結果事故は2日前から発生しており、製品回収は出荷前日分からと出荷先に連絡することも可能です。それは、事故といえば事故ですが、製品不良をすぐに対応できることで、結果品質に対する誠実な対応で信頼を勝ち得ることも可能なのです。


事故は起きるもの又は起きてから考えればよいことではなく、未然に防ぐこと、起きた場合は迅速かつ丁寧に対応することが畜産にかかわらず大事なのではないでしょうか。

そのためにも記録は大事であると同時に農場HACCP認証の文書作成(作業手順と予測できる危害の抑制方法)という手法なのです。いわば保険のようなものと指導先にはお伝えしています。事故が起きていない方法を文書化し危害を予測する一見無駄なことをしているのだから。

PDCAサイクルを回すことも大きな利点です。回しだすように工夫するのは構築・指導側からすると大変です。でも回りだすと会社の雰囲気は変わります。少しずつですが、何かを考えるようになります。
始めは精度が高くないと思いますが、うまく誘導してあげますと、よく考え・行動するような動きにかわります。人の意識向上に効果があると感じています。

農場HACCP認証も通常は、前述の通り不要と思われる無駄な作業かもしれません。でも万一何か起きたらすぐに原因にたどり着けるのか。
「取引先に原因はわからないのだ、次回は気を付けるから」といえるような信頼関係があれば良いですが。そこがお分かりいただいても不要だよという方はやはり農場HACCP認証は魅力のないものかもしれません。

農場HACCP認証は畜産業を行うには必須ではありません。なくても経営は可能です。第三者機関が衛生管理システムの認証という評価をもらう農場と普通の農場は一見差がないかもしれません。

しかし、法規制(飼養衛生管理基準)を満たしていることを客観的に説明できるシステムでもあります。飼養衛生管理基準は畜産業を行う方の遵守事項です。昨年筆者指導の農場に家畜保健所の立ち入りはありました。
定期的に立ち入ることで不備を指導しています。なにかの指導はありませんでしたか?と尋ねると、何もないよ、金網を眺めたりと指摘されやすいところを見ていったよ。と話されました。
おそらく農場HACCP認証農場では指導はないと思います。(筆者の指導した農場はありませんでした)

それは、法規制に従った作業をしているからなのです。その記録もありますし定期的に確認する事項もその通りシステムに組み込むことをしています。飼養衛生管理基準は病気を入れない考えのもと作られた基準で罰則も当然あります。JGAP畜産を取得される方にはこの認証があると審査項目の一部除外が認められておりスムーズな認証取得ができます。

ぜひ農場HACCP認証も畜産経営の一つに組み込んでみてはいかがでしょうか。ただ膨大な文書作成をします(平均100頁は作ります)ので大変苦労されると思いますが、衛生管理・従業員の意識向上を願う経営者の皆さんにはお勧めしたい認証制度です。