nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

農場主の資質を考える

私が特に思う人材について考えてみます。人材は、労働力となると同時に多くの利益を上げてくれる人でもあります。


利益を上げるとは、営業で顧客を増やしたので上げたのか、生産性を向上したので上げたのか、コスト削減して上げたのかにより、表現が変わります。
最も分かりやすくてき面にわかるのが、営業で顧客を増やしたことの利益増加でしょう。生産性向上も同じでしょう。心配なのがコスト削減による支出の減少によるものです。


ある養鶏家の農場で飼料価格の高騰により5%程度の摂取制限が発動されました。農場主2名が各農場に指示を出し削減をし、翌月報告しました。
A農場は「5%削減が到達できました。生産性が低下したものの問題ありません。」、B農場は「3.1%の削減でした。生産性は変化せず畜産に影響はありません」


さて、どちらが良かったのでしょう?という相談です。
詳細はお伝え出来ませんが、私はB農場主にこう尋ねました。「なぜ3%の削減しかできなかったのですか?」彼はこう答えました。
「はい3週間かけて日数グラムの削減を試みました。しかし、3.1%以上の削減では鶏の仕草に変化が強く表れ危険と判断したため私の責任で取りやめました」
彼は、鶏の健康を踏まえて少しずつの削減で鶏に変化を与えないよう時間をかけて確認していたのです。


A農場主は「5%なので〇グラムの削減ですから、人為的に操作し2日程度で完了しました。ただ生産性はその4日後から低下し始め6%落ちましたがわずかなので問題ないです」
飼料代と生産利益はどちらが高いのでしょうか?また6%は大したことではないといえるのでしょうか。
この分野に数字をよく見ることのできる人が本当は収益を上げる最も優秀な人材ではないかと私は思います。しかし、その技量は決して短期間で会得できません。まねることは誰でもできますが・・


数字を知りその数字が何を表すのかそしてそれがどれくらいの利益を結び付けたのか。ここまで論じなくとも資質のあるB農場主は、直感的にそれを知っていたのだと感じました。
「鶏を知り、数字を知る」何かの格言みたいですが、農場主はこのような資質は必要と感じました。それ以外にも。束ねる力(マネジメント力)は必要です。この力もその人により左右されます。(親分肌すぎて何かが違う人、人に伝える能力がいまいち足りない人、そもそもなぜ農場主?という人までいます)

農場主の能力=経営者の能力といえます。人は同じ基準の人物を採用する傾向があります。ですので、農場主を見て、従業員を見ればその農場の実力はおおむねどれくらいか

わかります。恐らく第三者もよくわかるはずです。

 

基礎研修でそのスキルを習得してほしいものですが、
この時代教育にお金をかけることに消極的な方もいますが自然に習得することはその人の素質次第となり高確率で期待通りにはならないと感じます。


農場主をどう位置づけるかによって、教育するのか、俺(経営者)がいるからいらないと考えるかによって考え方が変わります。農場主はいわばその組織(農場)の責任者。
現場の問題を解決したり、人員配置したり、家畜の健康管理・生産性の推移と計画など多岐に渡ります。そのような人が大した人材ではないが適当でいいといえるとも思えません。


しかし、その養鶏家は、あまり重要視しませんでした。馬が合うというか話が合えばよいという程度で決定し歯車が狂い始めたのだと筆者は感じます。狂い始めた歯車はもう止まりませんでした。
だって、経営者の一任で自分の考えで動かしているからです。(本人はよく考えているが、本当に正しいかどうかの能力は有していないと感じました)

数年前の話ですが、とある会社に経営が譲渡されたと風の便りで聞きました。
人選はむずかしいのです。仲良しこよしで成り立つ業態はありえません。一度据えたポストは撤回もできません。だってあなたが指名したのだから。