nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

餌の配餌とカビ発生にご注意を 季節要因もあり管理しずらいというお話も聞きます

7月も下旬になりましたが、雨の日が多く外気温は昨年から見ても涼しい日が続きます。


数カ月ぶりに訪問した農場主の方も笑顔で迎え入れてくださり本当にありがたいと感じます。
nogutikusanさん太りましたね と話されたり、前回訪問から本日までの農場内のお話をいただいたりと、人と触れ合うことの大事さ、Web訪問とは違う人とのかかわり方の大事さを改めて認識したした次第でもあります。


その中、この季節的要因のあると同時に配合飼料の油分から配餌不良とカビの発生がある農場を見ることが少し多いと感じます。


しっかり管理をされている ある農場は、今年は餌の配餌不良が多くて現場が困っているよ。というお話をいただきます。
その農場はホッパーフィールダー式で均し機(ならしき)が設置されています。
夏場は特に配餌不良のお話も伺いますし、実際管理しているときも見る機会が多くなります。


ホッパーより餌筒を通り、均し機からエサ樋に落下する原理ですが、筒が細くなる部位を境に餌が落下しなくなるという現象です。
衝撃を与えると再度落下を始めるのですが、よく見ると箇所箇所で餌が抜け落ちていることがあり、ひどい場合餌樋1通路全てが抜け落ちることも珍しくありません。


管理が慣れていない人は、餌樋を見分けることが出来ず餌が暑さで数グラム減り暑さが原因なのですね。と報告してくれます。
しかし、昨年と違い涼しい7月です。そんな影響があるのかよく見ますと、餌が抜け落ちていることが分かります。


しかも、複数列で抜けており、鶏を観察すると慢性的に不足しておりその列の産卵個数が少ない状況がわかります。
現場は、餌列の前後は確認しており問題ないということですが、よく観察するとその方法に問題があることが分かります。

 

餌の粒度は季節又は餌により異なるというのは現場管理者から見るとよくあることと思います。


本年は、湿度が高い日が多いこともあり、餌がカビ付くという話も聞きます。
餌がカビるというのは、餌樋に放置された餌が劣化することで発生するのですが、均し機がない給餌を実施ている農場では水こぼれが重なり固形化しカビる現象があります。
鶏は珍しいものに興味を示しますから、食べるだろうと考える管理者もいるかもしれません。
しかし、暑い日に湿った餌を食べることはありますが、固まりを好んで食べることはあまり見ることはありません。


カビは鶏に対しても良くない影響を与えます。
カビ毒といえば通じる方もいましょう。


生産性の低下、壊死性腸炎の罹患も有名です。しかし現場ではカビに関して意識が必ずしも高いとは言えません。


カビが付着した餌を餌樋に流し入れて鶏が食べるということもあります。
こぼれ水が原因とわかっても漏水しているピックの交換や水樋の位置調整等回避することが出来ていない農場もあります。
理由を伺うと、時間がない、修繕する方法がわからない、そのように指示をしていない等お話されます。


いずれも、鶏に対しての配慮が第1になっていないことがわかります。


鶏の生命に危機に迫っているときに同じ理由はされないと思います。(水が給水していない場合等)


このことから、現場で鶏の管理基本をご指導指することもあります。
カビは季節的要因もあり避けて通れないといえます。しかし原因を取り除くことは可能ですし、予見することもできます。
後は、その時間を必要かどうか意識にかかっています。


もう一つ、餌の抜け落ちですが、これも意識を持つことである程度防ぐことはできるはずです。
意識が十分な状況でない場合、餌抜けによる産卵率低下が2,3%から発生します。
しかし、原因が分からずエッグカウンターの異常と捉えたり、給水異常と捉え飲水量を確認したりと、大事なのですが主要因までたどり着けないという例もあります。


結果、お伺いしたときに原因が判明したり、修理業者から指摘をうけることもありプロであったはずの管理者が見落とししていたと言うこともあります。


管理者が、巡回し早期に発見することですがその機会は死鶏巡回の際に確認できるはずです。
巡回する際には鶏だけ見ていては大事な情報を見失います。鶏と餌を見るだけで1回でその用事が完了します。


最近は巡回と言えば、鶏の確認のみと答える管理者が多くなりました。農場でも大事な仕事ですからその通りでしょう。
しかし、その通りだけの仕事では後に、餌樋を見る時間が必要等無駄な時間が発生します。
これを無駄と感じるため、餌抜けを見つけることが出来ないのだと感じます。


であれば、抱き合わせで作業すればよいのです。


仕事は、必ず1作業1工程と考えてしまう方もいます。その通りですが餌のトラブルは生産量の低下に直結する異常事態です。
これを取り除くのであれば、その時間を作るか何等かに組み入れるしか時間確保はできません。


柔軟性が必要なのですが、その考え方を提案できる方がいないというのも実情です。


先ほどのように巡回は巡回では管理者は指導しやすいのですが、農場の管理レベルは下がっていきます。
なにしろ、従事者は巡回が仕事であると認識するからです。


通常はこれで問題はありません。

しかし緊急時や危険の予兆が芽を出した時対処もできません。


トラブルは必ず予兆があり被害を生みます。その予兆は見つけ出すしかありません。
しかしその見つけるにはコツがありますし、意識を持つ必要もあります。


組織内では、そのような意識が薄くなる場合多くは問題の隠蔽等経営にとってマイナスしかない場合もあります。


生産量はいずれ戻るから大したことがないという管理者もいます。
しかし、管理者がこのような発想では生産量の低下はやむを得ないし、すぐ戻るから問題なしという意識が、大きく悪化し対処できなければ隠蔽し「原因はわかりません」でよい。


そう考えてしまいます。


今後、養鶏は生産量が多いことで需要に答えるのか、自社ブランドを育成し量より質を第1にするか方針により市場に留まるすみわけになる時代が訪れます。


その時、このような意識がプラスになるのか考え直すきっかけになるかもしれません。


配餌のトラブルは季節や配合により発生しますが、それに立ち向かう現場の意識を再確認する良い機会でもあります。
カビについても同じで、季節だから仕方ないと考えるのか、仕方ないが除去する方法があるのか、ないのか。


その意識を問う良い機会でもあります。


問題の事例ですが、それに向かう意識がなければ残念ながら、緊急時も同じ道をたどる可能性もあります。


管理者は従事者と同じ頭の発想ではいけません。
汗を流し、働く姿勢を見せることも大事です。

しかし問題の解決できる能力がなければ結果は「何もできない上司」と評価されるだけで、その姿勢は無意味になるでしょう。

ましては無駄な雑談しかできない管理者では「暇で何もしない上司」と評価されるでしょう。ここまでひどくなると「それを容認する経営陣」とまで酷評されかねません。そうなるし士気は下がりますし経営に影響をじわじわと及ぼす可能性が著しく高くなる可能性があります。


考え、行動し、問題を発見し、考え、行動する。こんな繰り返しをするのが管理者の資質なのではないでしょうか。


これから、暑くなり鶏の変化が見られ対処しなければならない季節になります。
それを、季節だけで片付けるのか、知識をフル活用して考え行動するのか。
管理者や農場全体の管理レベルを底上げする良い機会になるでしょう。