nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鳥インフルエンザの発生が続いています 2021年2月

1月は鳥インフルエンザによる影響、農林水産省での飼養衛生管理基準への適合に関すること、鶏卵相場と様々な出来事がありました。


鳥インフルエンザによる影響は、すでに17の県に及び41農場延べ500万羽を超える鶏に影響を及ぼしました。


報道頻度は少なくなりましたが、散発的発生もありまだ安心とは言えません。


西日本から始まった鳥インフルエンザですが、現在は関東にもその影響を及ぼし、本年は全国的な発生と昨年来警報を発出した国の予測と同じ様相となっており、まだ油断できない季節が続いています。


野鳥の検査からも鶏から糞便から、ねぐらからも検出が続いて報告されております。


同じ地域からの連続発生もあり農場への何らかのウイルス侵入がある状況で、それだけ野鳥の影響は大きい可能性もあります。

 

また茨城県でも2日、84万羽飼養の農場で鳥インフルエンザが発生したと報道され殺処分等防疫措置されます。
産出が全国1番の茨城県で県内有数の規模を持つ農場です。


防疫は普段から高い農場でしょうから、千葉県の大規模農場発生に続きこのような規模でも発生するということを改めて認識しなければなりません。


小規模だから、防疫が甘いと言うわけでないということが明らかになっています。
それだけ、農場周辺か全国すべてが感染する可能性を持っているということです。


農水大臣は全国的発生を意識し飼養衛生管理基準を満たさない農場は全体の10%あり、速やかに改善を求める発言をしています。
また、今回発生した農場30か所を調査した結果90%の養鶏場は野生動物が侵入できる隙間が壁や天井にあったと公表しました。


今後、国は飼養衛生管理基準を守らない農場の公表をするよう都道府県知事に指示するとしており、農場の意識を変えて取り組みを進めていく必要があります。


その飼養衛生管理基準は昨年10月改正され、野生動物侵入対策として鶏舎の壁の点検補修が追加されており野鳥や動物の侵入を阻止するよう努力する必要があります。
また金網の設置にはたい肥場等具体的に指定され鶏舎の金網も重要ですが、野鳥が滞留したりすることで糞便による交差汚染や鶏や排せつ物の食害や汚染拡大を意識しています。


しかし、農場サイドからすればできないこともある。

だから家畜保健衛生所の年1指導は儀式的であり指導されるだけでそのうち改善すればよい。
そんな考えを改めていく必要がある時代になりました。

 

鳥インフルエンザによる影響は大きく、該当農場の防疫措置により殺処分し拡大を防ぐ処置が取られます。
鶏は埋却又は焼却されますが多くは埋却が多く土地を掘り起こし埋却するコストが発生します。


全て県職員や自衛隊の方々が実施するわけでなく処分数によっては膨大な埋却になることで地元や周辺の会社が担うこともあります。


民間の方々の協力を得ないと短期間で埋却し防疫処置を終えられないことから、今後もこのような事例は普通のことになるかもしれません。


通常皆さんの農場での防疫体制は既に机上演習されていることと思います。
多くは、鳥インフルエンザ発生時、何人の県職員が来て何班編成し交代しながら何日間で殺処分を終えどのように輸送し、どの土地に埋却するのか。
場合により最初から自衛隊の出動を想定した班編成もあるでしょう。
短期間での処分を進め速やかに埋却し空舎になった鶏舎の残品消毒もしなければなりません。
鶏糞、機材鶏舎内全て消毒しますから、その作業も大変です。

近年は飼養羽数を増やしたことで、埋却用地が十分に確保できない事例もあり、今後用地をどのように準備できるのか、いつ発生するかわからないものに準備を備えることも念頭において経営される必要もありそうです。

すべてが、焼却できれば良いのですが、公設の焼却場だけでは不可能に近いため現実的ではありません。

 

演習に携った方は分かりますが、発生農場の職員は殺処分に立ち会ったり、手伝いすることはできません。

ただ、防疫措置が終わるのを待つだけになります。

何もできずに、鶏舎が空になっていくを見届けているしかありません。

その心情はとてもつらいことでしょう。

そして、措置に要した費用が発生する。ほとんどは国が補助をしますが飼養衛生管理基準に著しい不適合は減額又は未支給となるという場合もあります。

 

その他、周辺に対しても影響を与えます。

今回の茨城県の発生でも、近隣18農場100万羽が移動制限を受けることになります。


発生時の多くは発生農場3キロまでは移動制限区域がかけられます。生きた家きん、卵、排せつ物その農場の器具類の移動はできません。
しかし、検査で陰性が確認された農場の卵は、必要な措置を講じてGPセンターへ出荷することが出来ることもあります。
解除には、防疫措置完了し21日間新たな発生がないことを条件としています。


また、3キロを超えて10キロまでは、搬出制限として、生きた家きん、卵を区域外へ移動することが出来ません。
なお、制限区域内での出荷は可能です。生きた家きん、卵は必要な措置を講じて移動制限区域外のGPセンターへ出荷することが出来ることがあります。
解除には、防疫完了後10日経過し移動制限区域内全ての農場検査で陰性であることとなります。

 

鳥インフルエンザを防ぐためにも防疫意識を高め、諦めを持たずに継続していくことが見えないウイルスへの最大の対策となり、意識を維持する大事な方法です。


頑張った取り組みは目に見えるものではありませんが、農場への被害を防ぐことが必ずあると信じ、まだまだ油断できないこの2月を乗り越えてまいりましょう。