nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鳥インフルエンザの再発も散見されます もはや猶予はない状態になりました

■宮崎県では今シーズン初となるH5亜型の鳥インフルエンザが発生し、16万羽が殺処分されています。 19日まとまって鶏が死んでいるという連絡が県にあり、簡易検査の結果11羽に陽性が確認されました。 その後遺伝子検査で高病原性鳥インフルエンザと判定し本日午前4時から200名体制で防疫措置に入ります。 この影響で、半径10キロ圏内には78の農場が該当し約280万羽が影響を受けています。 県は自衛隊に派遣を要請しており、自衛隊の協力を受けながら早期作業終結を目指しています。 ■青森県では横浜町で高病原性鳥インフルエンザが確認され、13万羽の殺処分が開始されました。 19日午後3時に死亡鶏が増加している通報が、むつ家畜保健衛生所にあり、簡易検査の結果陽性であることを確認しました。 その後遺伝子検査を行い陽性と判定しました。 青森県では今年度初の発生となります。この養鶏場は令和4年4月に鳥インフルエンザ患畜が確認されており2回目になるようです。5月12日に移動制限区域が解除され、地域は日常に戻っていました。 この養鶏場は8月に再稼働を開始していた矢先の再びの発生となり、前回の疫学調査からどのように改善が進んでいたのか注目されます。 前回の疫学調査概要を読むと、 ① 当該農場では、農場専属の飼養管理者2名が飼養管理等を行う他、系列会社の飼養管理部門の担当社員1名が日常的に来場し、鶏舎内の状況を確認していた。 ② 担当社員は1名で複数の系列農場を担当することがあったが、18 例目の発生後は1日に1農場のみ立ち入ることとしていた。 ③ 捕鳥作業は、飼養管理部門とは別の部門の社員 20 名程度で行っていた。 衛生管理状況をみますと、 〇鶏舎は、壁面上部に吸気口があり、開閉用の蓋と網目が約 2.5cm の金網が設置されていた。開閉用の蓋は、コンピュータ制御により自動で開閉するとのこと。 また、壁面下部にも吸気用の開口部があり、人力で開閉可能なパネルと、網目が約 3.5cmの金網が設置されていた。パネルの下部は固定や施錠はされておらず、閉鎖時にも下部が数 cm 開いた状態であった。 〇 鶏舎出入口には通常の金属製の扉の内側に、跳ね上げ式の木枠と網目が約 3.5cm の金網で構成された扉が設置されていた。換気を多くしたい場合は、跳ね上げ式の木枠の扉を下ろした上で、金属製の扉を開放していたとのこと。 これが、疫学調査の前回発生時の概要でしたが、気になるといえば補鳥作業の方々の衛生はその後どうなったのかという点です。 人が絡む事例で多いのは農場従事者以外のグループ会社作業員やこのような作業者集団の衛生面がよく言われます。 農場従事者は鳥インフルエンザの危険性やその後の苦労を知る方が多く、一般的に衛生管理対策は高めになっていると感じます。 ところが、補鳥作業等別働部隊ですと人の意識がばらつきこれが原因ではないかと、よく噂になります。 一昨年の大規模農場発生のうち、関連会社の作業者が入り厳しい農場で入りがある養鶏場で発生したと噂がありました。もちろん噂ですから根拠はありません。 ですが人からの感染はねずみもあるかもしれませんが、鶏に一番近い位置にいることのリスクは実は大きく、人ではないかともいいます。 履物を変えている、手指を消毒しているから遮断されているともいいます。 ですが、よくこのような規模農場で聞きますと外部者を入れるような厳しさは身内にはやや甘くなっている話も聞きます。 何せ、早く作業を終えるためにはいちいち入浴させて、身ぎれいにさせてというより、グループ内で使用する履物を使用して、それ用の衣服を使用しているので遮断できるという甘めの判断もある事例も聞きます。 ですから、グループ内の履物で農場以外に例えば農場敷地内を歩くということもあるかもしれませんし、車両にそのまま乗車しているので交差汚染もあるかもしれません。 最近は廃鶏でも大びなの移動でも専門業者を使用する事例も多くなっていると思います。皆さんの農場ではその方々は履物を鶏舎用を使用し、鶏舎外はそれ用の履物は使用していますか。 もし同一の履物で、輸送車両まで乗車しているとすれば、その履物はその日最初の出発地から連続して使用していることになります。踏み込みを必ず通り消毒していればまあ遮断もあり得るかもしれませんが、 何人も続けて鶏舎に入のに順番待ちしながら踏み込み消毒していくのでしょうか。ですからハード面は設備されていて、車両は消毒していますが、ソフト面の人はどうでしょうか。 金網も網目2センチ以下が推奨されています。自動開閉があり野鳥の侵入はないと思われますが、網目3センチ程度あるとスズメも入ることもできます。つまり野鳥が侵入しやすい可能性を作ります。 但し、時期により開閉度が小さくなるでしょうから野鳥が入るということも多くはないかもしれません。ですが経験から、開閉が大きいとき野鳥が入り込むこともあり得ますので、過信は禁物です。 相応の指導を受けて再稼働されていると思いますが、再稼働まで厳しい消毒作業の連続とふき取り検査をして初めて再稼働の許可を受けていますから、前回までの影響があるとは思えません。 今回の疫学調査結果が待たれます。 鳥インフルエンザが発生しておよそ1か月が経過しました。すでに12農場の被害が確認されています。大流行の令和2年以上のスピードで増えており、地域による偏りが見られません。 ですから発生がない県はこの先も安心ということはなく明日はもしかすると、ということもあり得ます。 消毒と遮断を意識して、農場を再度点検してみましょう。そして人はどうなのか。もう一度確認してみてください。数日おきの発生が続いています。皆さんの農場近辺にはもう渡り鳥がやってきているかもしれません。 私の担当地域である千葉県北東部もハクチョウが近くの湖や水田で羽を休めています。週末は近隣の方々でしょうか、水田で休むハクチョウを写真に収めている姿もよく見ます。 ある発生農場の親戚の方は言います「このハクチョウを孫と見て可愛いねと笑顔で話ししていたら、4日後うちの農場で鳥インフルエンザが発生して殺処分になった」という話を思い出します。 少しの隙をウイルスが突いてきたのでしょう。 皆さんも油断なく出来るだけのことをして、そして継続していくことの工夫を見つけてください。