nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

野鳥から鳥インフルエンザが継続検出し緊急消毒を実施します(北海道) 皆さんも今一度確認してください

北海道は15日、2月19日から3月31日まで道内の養鶏場の消毒を実施する緊急消毒命令を発出しました。
対象は主要養鶏場約200農場で、消毒液を配布し車、長靴、農場資材の消毒に使用するというものです。
また、道は防鳥ネットの設置を求めています。
消毒剤は北海道が用意することにしており、順次配布されます。


これにより消毒の徹底義務を農場に求め、農場は警戒レベルが最大に引き上げられます。
北海道内では、1月より相次いで野鳥から高病原性鳥インフルエンザが検出されており、これまでに12例が報告されています。
特にハシブトガラスからの検出が増えており、根室市えりも町標茶町斜里町から見つかっています。
概ね道東の地域が多いように見えますが、カラス以外にもオジロワシオオワシからも確認されています。


野鳥からの検出は人が管理した鶏と違い、完全に把握できることはありません。
検体が他動物に捕食されたり、死骸が処分され検知できないこともあります。ですから道東だからと言うわけにはいきません。


同一地域からの検出は農場への被害が発生する恐れもあります。

昨年鳥インフルエンザが続いて同一地域で発生した場合、周辺の感染リスクが著しく上昇していました。
周辺のウイルス飛散量が多いのではないかと言われています。
ですから、周辺の主要道路を次亜塩素で県が車両を使用して消毒をしていたこともあります。
それだけ安心を得るために県等行政がご努力されていたことを思い出します。

 

鳥インフルエンザが農場へ侵入する経路は未だ解明されていません。
ですが鶏舎へ動物が侵入して拡散していく場合や、人が持ち込んで広がる場合もあり、感染症を防ぐための原則である
農場へ入れないこと、農場内で広げないこと、農場から外へ持ち出さないことを意識した取り組みが必要になります。


農場へ入れないために、今回のように車両の消毒、人の更衣や鶏舎しか使用しない長靴の使用といった隔離できる方法を再度確認していただきたいと思います。


鶏舎という最高レベルの衛生管理区域に立ち入るためには専用の長靴や衣服、そして手指の消毒で遮断をするということが人からの汚染侵入を防ぐ唯一の方法になります。
これをめんどくさいと考えるのか、その通りと共感し、では農場にどのように取り入れるのか考えて頂くことが衛生管理のレベル上昇の第一歩になります。


そして、小動物等から汚染を防ぐために、侵入口を塞ぐ、侵入されても殺鼠剤を使用し除去する、小動物が隠れないような資器材の撤去等整理整頓を意識します。
このように人から、動物からの侵入を防ぐ両輪対策が必要になります。


そして、農場内で広げないように鶏舎と鶏舎を行き来する場合は先ほどのように遮断するような対策が必要になります。


今回消毒剤が配布されますが、これはあくまでも農場へ入れないため、農場内で広げないためのきっかけにすぎません。
大切なのは、その殺菌効果をいかに有効に使用するのかということです。
要は使い方次第になります。


そして、消毒剤とは違い金網の設置や点検そして補修が必要になります。


このように見えないからこそ、出来る限りの対策を講じて後悔のない対策を継続していただきたいと思います。


不幸にして鳥インフルエンザが発生した農場は、多くは原因が分からないと困惑します。それは皆さんの農場と同等又はそれ以上の管理をしていても感染したということです。
そして、殺処分を受け出荷先との関係に変化が生じ再開後の販路が大きく変わりご苦労するという話も聞きます。
ですから、発生した農場は次の発生では農場を閉鎖すると答える方が多いのです。
そして補助金や金融機関融資で再開はしていきますが軌道に乗ることができず数年後廃業するという結末も現実あります。
それだけ鳥インフルエンザが発生した時は怖いものなのです。


ですから後悔のない管理をしていただきたいとあえて申し上げています。


あの時、もっと意識した管理を行えば結末が違ったのかもしれない。
あの時、消毒をもっと行い細部まで満足いく作業を行えば違ったかもしれない。


ですが、発生した後は何を考えても元には戻らず厳しい時間だけが進んで行きます。
まだまだ油断できない時期が続きます。

皆さんの農場も発生をさせないためには何ができるのか、もう一度考えても良いのではないでしょうか。
更なる被害がないことを願わずにはいられません。