令和3年2月3日で2回目の成鶏更新・空舎延長事業が終了しました。
標準取引価格は165円となり、基準価格161円を超えたためになります。
発動から約1カ月という短い期間でしたが、家庭需要と供給の減少が要因と見られます。今後経済状況によりますが少しずつ相場上昇になるとみられますが、
緊急事態宣言は3月7日までの解除条件到達までの間が継続となり、消費地東京など大都市圏は引き続き時短による影響が続くものと見られます。
また、供給側の影響も心配されます。本日9日までの間で見ますと、鳥インフルエンザは17の県47例が報告され過去最多となります。
最大生産地茨城、千葉、鹿児島(肉鶏)と上位2位で発症が見られ、殺処分数も1農場当たり十万単位、百万単位で実施され近年の大規模化による弊害が見られます。
最近の被害と比較をしても大規模農場での発生を見ることができ、鳥インフルエンザと言えば、小規模の古風の鶏舎が金網破れてという開放式鶏舎というイメージがありました。
しかし、ウインドレス鶏舎が主流となりそのような近代鶏舎でも発症することが常態化しています。
ウインドレス鶏舎も万全ではありません。
野鳥の侵入は開放鶏舎より少ないため野鳥が飛んでいるという図は見たことはありません。
ですが、報道写真等ではむしろウインドレス鶏舎で発生し処置にあたっているようにも見え、人を介した侵入や小動物が発症させる要因になると考えられます。
最近の農場を色々観察してみますと、外来者への対応は以前に比べ厳しくなったと感じます。
確かに、得体のしれない活動をし今まさに農場へ侵入者と考えればその通りです。
車両消毒や指定の衣服の使用と指定の長靴を着用し、場合によりシャワーを浴びてからの鶏舎入場という厳しい基準を設けているところもあります。
しかし、今回の発生規模を見る限り普段からこのような基準を運用している規模農場でも発生を見ることができました。
つまり、野鳥の影響が例年以上に強く、地域内に大量のウイルスが存在して広がりやすい傾向があると見えます。
今回により生産第2位の千葉県では本年発生被害羽数の半分がこの県での羽数という状況です。1農場の飼養羽数が他に比べ多いのが要因で、近年の規模ではこのように大きくなるのがこの業界の傾向です。
鳥インフルエンザから回復するためには大変な状況とも言えます。
殺処分し、防疫措置が完了してすぐに再稼働と言うわけにはいきません。
まずは制限を解除されなければならず、移動制限区域内防疫措置完了後再発生なく21日間経過という条件があります。
その後通常通りとも言えず、鶏舎内の検査を受けたのちモニター家きんを配置され、定期的に臨床検査とウイルス分離検査と血清抗体検査を受けなければなりません。
通常これだけ消毒されているので再発生は見たことはありませんが、このような手順が定められておりとても大変です。
このような流れを経て通常に向けて進んでいきますが、すぐにヒヨコから餌付けても最短で3カ月以上先まで卵は生産されませんから売り上げが発生しません。
大雛を購入するというのも手でしょうが、1羽は1500円、1900円とも言われ、何万羽餌付けるのであれば大変な金額となります。
この金額を回収するまで1カ月とか短期間では難しいことでしょうし、そもそも大規模羽数を買い付けることが不可能かもしれません。
餌付け業者、種鶏業者が対応できないという場合もあります。
ですから、スケジュールから逸脱したときの再稼働はとても大変で、殺処分が終われば再開と言うわけにもいきません。
また、販路先が代替品に置き換わったことから再開後軌道に乗れずに数年後体力が尽きるという悲劇も現実あり、発生後の再稼働そして成長軌道へ乗せる難しさがあります。
鳥インフルエンザは、このように殺処分の大変さが注目されますが実際は再稼働をどのように進めていけるのかという点がとても重要です。
できればこのような流れに乗りたくないというのが全ての方々口をそろえることでしょう。
そうならないよう万全な対策をとり家きんをまもる飼養環境を作るしかありません。
鶏卵相場は、供給の影響が見込まれ上昇に転じております。
本日9日は東京M基準値180円となり前日15円高と上昇しています。
市場関係者は、明らかに供給影響があり相場は反転している。今後も相場は上昇すると見込んでおり需要が弱いとしても供給不安から強い相場となることでしょう。
と変化があると感じています。
先ほどの通り、鳥インフルエンザからの回復はすぐには戻らないことから、まず移動制限による一時的動きの停止から影響を及ぼしその後は再稼働の軌道に乗るまでの生産量の低下が続くと見られます。
供給は昨年より減らしている状況もありその影響も現れる可能性もあります。
しかし、需要側の大きな増加動向はいまのところなく著しい上昇は見られないというのが現在の予測といえます。
このように、相場が大きく動き始めた背景にはこれだけ甚大な鳥インフルエンザの影響があると言えます。
まだ野鳥は北に帰る時期ではなく、もう少し先になります。
今年は近年見ないウイルスの影響が見られまだ油断できない時期でもあります。
また地域内での再発も見られ、殺処分での防疫だけでは野鳥等の影響が大きくなっているという不安しかない状況が続いています。
できるだけの防疫対策をとりもうしばらく被害なく安全に過ごしてまいりましょう。