nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

分割管理は今後導入されるのか 新しい解釈は時代にあう制度になる

青森県の大規模養鶏農場は農場内の衛生管理を鶏舎ごとに実施する分割管理をすることを4日読売新聞が報じました。 多くの農場は、○○農場という複数の鶏舎を1つの群として管理をして人がすべての鶏舎を担当または複数鶏舎ごとに1名が作業をする場合が多いのでしょうが、 大手のように衛生管理を重要視しているところでは鶏舎ごとに管理者を指定しその鶏舎のみ管理をして他の鶏舎へ出入りさせないというところもありますが、ごく少数といえるでしょう。 今回の取り組みは、○○農場の中の鶏舎それぞれに担当がいる以外にも区域を定めてそれ以外の者が立ち入ることができないというものです。 イメージとしては○○農場の中に、〇△農場、△△農場という別会社となるような区域わけがなされ、それぞれ管理をする農場担当者がいるという感じです。 そして敷地内には境界があり敷地外はよその農場であり共同使用地域以外では見ない事例となる、重機の共用をしない、車両も共用しない、集卵設備がそれぞれに設置しているという管理になります。 つまり、○○農場に2つに分割した場合には○○農場用の車両と重機を使用し共用しないというもので、この農場には少なくても2台の重機と車両があり共用しないことが必要です。そして集卵包装施設がそれぞれあるというものです。 確かに、人以外にも交差汚染として懸念される事例として、鶏糞を処理する堆肥舎の共用やその重機の共用が感染を広げたと推察される事例もありました。 ですから、皆さんもそうだと思いますが農場が他の養鶏農場に重機や人を提供することはないはずです。これは相手の衛生管理がわからないからこそ安易に行わないわけです。 これがあるからこそ道一つ隔てた農場で鳥インフルエンザが発生したとしても多くは隣の農場は感染したという事例は多くはないのでしょう。 これは大変興味深い内容なはずですが、皆さんはどう感じるでしょうか。 分割管理によるメリットとして、万一鳥インフルエンザが発生した場合、例えば2つの鶏舎のうち1つが発生農場であれば分割管理されており、なおかつ衛生管理は別々に行っているとすれば、 本来2つの鶏舎は同時に殺処分となりますが、分割管理であれば発生した鶏舎だけが殺処分となり、もう1棟は発生が認められない限り殺処分は実施しないというものです。 つまり、1棟10万羽を飼養した2農場では本来発生した場合20万羽が殺処分されていきますが、分割管理は10万羽が処分され、発生がなければこの数の被害で納まるというものです。 これは生産する側から見れば、被害が最小限に食い止めることができ再稼働には大変有効でもあります。また生産が減少したとはいえ本年深刻化している供給不安にも軽減できるという期待ができます。 では、分割管理は意味があるのでしょうか。 今回の事例でもありましたが、大規模農場で鳥インフルエンザが発生した際、3メートル道路の反対側の養鶏場には被害がないという事例もありました。 また、鳥インフルエンザが発生した鶏舎から直線300メートル先の別会社の農場でも被害はありませんでした。この事例では、発生農場の敷地境界から50メートル程度の位置に別養鶏場の鶏舎があり、至近距離にある位置でしたが発生はありません。 逆にいわゆる養鶏団地では、発生した農場の道幅数メートル先の別会社の養鶏農場も感染し殺処分された事例があります。 この違いは何でしょうか。 違いとしては、道幅が小さいから感染リスクが高いとは言い切れないということや養鶏団地では堆肥舎の共用や重機の共同使用もありこれが交差汚染となり感染した可能性が否定できないといえます。 今回の分割管理では農場敷地を分割して管理をしますので、更に農場間の距離が短い可能性があるでしょうが、先ほどの事例のように数メートルの道を挟んでも確実に感染するわけではないというのが実情であり、現実でもあります。 そう考えると、人や車両といった交差汚染する可能性を限りなく排除できれば例え距離が短いとしても必ずしも感染するわけではないということもあるでしょうから、この取り組みは無意味とは言い切れないのが農場を知る者の意見でもあります。 あとは作業者や経営者は勝手を知っているからこそ、少し手伝うや車両が故障したので貸し出すといった人側の油断が意味を無くすということにもなり、この厳密した区別に確実に対応できるという意識と覚悟が必要でしょう。 今回初の取り組みとなる青森県の養鶏場では、このような設備や規則以外にも人の教育が本当に重要になることでしょう。 農林水産省もこの制度に対し推進を図り普及していきたい旨を話しており、今年度の大殺処分に対応できる方法を模索しているのでしょう。 皆さんの農場でも検討していほしい旨が県から通知されているかもしれません。 読売新聞が報じているように、分割管理では人・車両・機材、卵の選別包装施設を別々に用意し稼働させて交差汚染を無くし対応する制度のようです。 そして羽数規模は100万羽を超える大規模農場を複数に鶏舎をわけをすることを想定しているようですが、個人的にはそれより小さい規模50万羽やそれ以下でも取り組みできるのではないかと感じますし、全処分となる現行法令から少しでも対処できる手段として一考できるのではないかと感じます。 交差汚染を意識することを知る上では中小でも取り組みを推進しても良いでしょう。 そのような中、6日新潟県胎内市でも県内4例目となる68万羽の養鶏場が殺処分されます。 少しでも被害が収まればよいのですが、そうもいかないのが本年度の特徴でもあります。 であれば交差汚染を意識し、重機も車両もそうですがそれを使用し交差汚染の不安を作るのは人なのかもしれません。 皆さんもすぐに分割管理を想定するより、人はどうか、交差汚染はあるのかそういう視点で農場を見ることも大事なことになるきっかけとしていくことも、 この記事が他人事ではなく自農場に取り入れるきっかけになれば有用なことではないでしょうか。