nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

テールゲートリフター特別教育の義務化と昇降設備の設置 労働安全規則の一部が改正されます

厚生労働省は本年10月(テールゲートリフター教育は6月)より労働安全衛生規則を改正しテールゲートリフターによる荷役作業について特別教育を義務化することとしました。 また、昇降設備の設置と保護帽の着用義務を最大積載量5トン以上の貨物自動車から2トン以上の貨物から適用することになります。 養鶏場では、最大積載量5トン以上の車を使用する機会は少ないと思いますが、2トン以上となると該当する事例は多くなってくるかと思います。 例えば、鶏糞を搬送するトラックでは多くは2トン以上の準中型を使用されるところも多いでしょう。 今回では、2トン以上のトラックを使用して荷を積み込む際には、危険防止のため昇降設備(脚立等)を設置して、荷台のシートをかける際の転落を防止するための措置を取るようになります。 また危険を防ぐ観点から保護帽(ヘルメット)の着用が義務となります。 そんな大げさなと言うと思いますが、今まではトラックの溝に足をかけて荷台のシートをかけていたと思います。一部の方は経験されていると思いますが、足の掛け方が悪かったり、雨等で滑って足がかからず地面に落下ということもあったと思います。確かに大きなけがにはならず、しばらくは足やひじが痛いということもあるでしょうが、最悪の場合大きな事故に至ることもあり経営者やその代行者(農場長)はその危険性を排除する義務があります。 また、鶏の搬送に良く使用されるテールゲートリフターに関しても特別教育を義務化していくことになります。 よく聞く事例としてはリフトであるため上下する際に荷物が動き落下するということもあるでしょう。またリフトが下がるときに足を挟むや頭に当たるということもあるでしょう。 今までは、鶏が入った籠が落下して起き上がらせることに時間がかかる程度かもしれませんし、リフトによるけがは最初の1回は誰もが経験する程度の認識かもしれません。 ですが、1回経験する必要は本来なく危険性を知り未然に防ぐことができればその経験は無意味なことでもあります。今回安全衛生特別教育規定に、テールゲートリフターの操作業務に必要な(知識、作業、法令)を学科4時間と実技2時間として規定されます。 確かに陸運業の方の使用が多いため畜産業は該当しないだろうという方もいます。 参考ですが、テールゲートリフターの災害は令和2年度には330件発生し、そのうち4割はその事故により60日以上の休業に至ります。その要因には荷物と作業員が一緒になり乗車し荷物の転倒に伴い事故発生に至ります。 その背景にはその構造や特性によるリスクを知らないことで発生すると言われ今回改正される運びになります。 このため事故を防ぐために教育を行い、なおかつ保護帽を着用させることにして事故への軽減を期待しています。 農場で発生したこのような事故は本来労働安全衛生法に違反し多くは第20条や21条(事業者の講ずるべき措置等)により行政罰を受けることになり、多くは農場責任者と経営者や会社法人がその対象になります。 よくある事故と送検される事例としては、フォークリフトの事故を起こし人が怪我をした時や死亡事故に至たり、操縦資格を有していない場合、集卵バーコンの修理や清掃の際稼働中に実施させたことにより巻き込まれて怪我したり死亡事故に至った場合も間違いなく送検と罰金が科されます。 特にフォークリフトの講習を受けていない場合の事故は明るみに出ないものを含めると多く見られ、多くの農場では講習未受講が多いのかもしれません。 一部では、操作する人すべてが講習を受講していなければならないのですが、数人が受講し、あとの数人は受講せず教えれば良いということをしているところもあります。 ですが、労働安全法上では代表取得して教えることで操作ができるという規定はなく、操作する者は必要な資格や安全講習を受けることになっています。 つまり、自動車を運転する場合、親が運転免許を取得していれば、子供は親から教われば運転できると言っている状態です。 またショベルローダーに関しても本来は実技を含めて講習を受けて安全知識を習得する必要がありますが、多くは操作ができればよいので受講するということもないでしょう。 JGAP畜産は、このような必要な資格を有する重機には受講をすることを要求基準に定めています。 この基準により、全員が取得していないのだが、要求を満たすことができるのか。という相談もいただきますが、全員取得できないのであればその方は操作しないということにすべきとアドバイスしています。 事故を起こしたときの代償はあまりにも大きいのです。 僅か数万円を惜しむだけで送検され、罰金が科されるとはとても残念なことではないでしょうか。 多くの畜産農場では必要な知識を与えるために受講していると思いますが、一部の農場は資格を必要とすることがわからないというところもあります。 確かに操作資格がなくても行政の取り締まりを受けることはありません。ですが先ほどのようにケガが発生したとき、操縦者や周辺の人へ危害が加わった時にはけがをさせた経緯から無資格である場合、先ほどの労働安全衛生法の規定から、責任者はその責任を負うことになり、初めて事の重大さに気づくのだそうです。 農場を見回すと、重機類が多くなっていると思います。 ショベルローダーで鶏糞をかまい、2トン車に鶏糞を乗せる。そして敷地内の堆肥施設へ運搬するという流れのなかに、ショベルを動かす講習、2トン車にはシートをかけることで昇降機を準備させて使用するということ。 フォークリフトで餌の配合や、飼料添加物の移送もするでしょうが、これも安全講習が必要です。 そして今回から、テールゲートリフターがついた2トン車にはその操作のための講習が必要になりました。 繰り返しますが、安全講習は労働者を守るうえで義務となります。 なくても、簡単な操作で運転もできますが、それによる事故もまた現実あります。 事故の例については、ライブドアブログでご覧ください。きっと必要だからこそわずかなお金を節約するという誤った認識になるでしょう。 くれぐれもご安全に。