nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

3月鶏卵需要と鳥インフルエンザの爪痕

3月になり、国内の情勢も少しづつ変化をしています。
まず、緊急事態宣言が関東を除き解除されました。

経済再開が始まるところですが外食向けの営業時間は1時間延長21時までとなり本回復と言うわけにはいきません。
しかし、1時間とはいえお客様が滞在することができることから希望を持つことができます。
牛肉も高級部位は比較的安く市場取引されており、まだこの分野が本調子に至っていないことが分かります。


鶏卵も最大生産地千葉県での鳥インフルエンザ多発により明らかに相場状況が変わりました。
2月中は滞貨卵が解消した火曜日は相場が上がるという状況で供給と需要がちょうど交わる状況となり、僅かな入荷量次第で変動する神経質な状況にも見えます。


3月は先ほどのように外食向けへの期待が高まりますが、本調子でないという状況です。
東京、神奈川、埼玉、千葉県での緊急事態宣言は延長されると言われ、旅行等消費を牽引するイベントはまだ時間がかかりそうです。
家庭需要は昨年同様すでに高い推移で消費されており、去年と同じく外食向けの回復を期待したいところです。


昨年度同様供給状況が需要を下回ることも想定され3月は強い上昇があると見られます。


昨年は4月まで需要が高まることで今と同じような展開でした。

5月以降は家庭需要の減少と外食向けの需要の低下、生産量の増加もあり下降に転じました。


しかし、本年は鳥インフルエンザによる生産量の低下が続き、著しい上昇はないものの昨年と異なる相場展開も十分にあり得ます。


千葉県では、1農場での殺処分は100万羽と中小農場での被害とは比較にならない状況が複数ありました。


これにより速やかに再稼働するには餌付けの手配から始まり、生産再開まで数カ月先という状況になることから、生産量が平年に戻るには半年1年はかかる可能性が高いと見られます。


飼養羽数が大きい農場ほど資金力はあるでしょうから、廃業ということはありません。


また、大きい規模を持つ農場ほど他の地域で生産していることもあり、リスク回避をある程度想定した経営から体力消耗もないことでしょう。
しかし自社孵化場を持っているところもありますが、そうでない場合は外部や関連孵化場で農場へ必要分入れるには難しいという問題もあります。
一般的に3万羽、5万羽程度であれば中雛を買い付けることは可能でしょう。

大雛も同じです。


いわゆる大びな屋さんはこの程度の数量は集めることは難しいことではありません。
しかし50万羽、100万羽と言われるとそう簡単ではないと答えることでしょう。
数量が多いということは間違いなく買ってくれる目途がない限り餌付けたりすることは難しいでしょう。

売れないと成長していき自社で吸収する等限られた収益になります。
それでは商売にはなりません。

今回の発生で移動制限区域でのキャンセル餌付け予定のひなを買い付ける話も聞きますが、納品先に合わせた数量となり小規模1万、5万、10万羽程度ということもあり、
あらゆるところから買い付ける必要があります。


中雛であれば農場の負担はまだ大きくはなりませんが、再開するためにはまず移動制限区域が解除されなければなりません。
特に発生農場は、再稼働には徹底的な消毒の後検査、再稼働時にはモニター家きんの導入と立ち入り定期検査を受ける等まだ制約を受けます。

導入以前に茨城県のように飼養衛生管理基準への不適合から指導され、改善した後現地立ち入り検査を受けて確認後再稼働を許可される所もあり準備次第で再稼働が変わります。


飼養羽数が大きい農場での発生はその雛を集める困難さの他、再稼働の準備と稼働後の検査もあり中々大変のことでしょう。


また、移動制限を受けた周辺農場では廃鶏のスケジュール変更から始まり、入れ替え鶏の導入変更、農場が空舎にならないことの幼雛の導入中止や変更といったスケジュール調整もあり生産量の一時的減少もありえます。


相場は現在上昇基調ですが例年では6月から夏までは夏季特有の低迷もあります。

丁度入れ替えし生産量が最高潮に至る時多くはこの時期以降に差し掛かります。


小規模等資金力が弱いところでは昨年からの低相場による残資金から維持困難とみる経営者もいるかもしれません。
融資等条件次第では体力を回復することも可能でしょうが、インバウンドを期待した増羽バブルはこのオリンピック需要があるかどうかで大きく変わります。


昨年の餌付け状況を見ますと、地域により増減が見られますが、一昨年と同じかやや少ないと言う状況でした。
特に関東では地域によりますが概ね増羽しているとみられることから、羽数の減少による影響は少ないと見ることができます。


先ほどのように、訪日外国人が多くなるインバウンド需要もこの3月か4月にはどのようになるのか国の方針が示されることから予断を許さない状況です。


国内経済も、雇用を中心に悪くなっていると言われており個人消費が減少することで、減少を補う手段が低価格といった価格主義になることの心配もあります。
価格主義に至る場合の多くは、外食等付加価値のついた高いものへの出費を敬遠する可能性もあり生産するものからすると良いことではありません。


最大消費地東京や関東での制限継続は消費への動きが家庭消費頼みになり付加価値外食への影響が小さくなります。


外食はこの1年明らかに大きな影響を受けました。
ファーストフードを除き売上げが減少し店舗の閉鎖が進みました。


特に加工鶏卵のお得意様であるレストラン等は大手も含め売上げ減少となり店舗の統合をしています。
店舗が少ないということは将来の消費数が減少したことを意味し既存店舗での来客増加等がない限り原料の調達が幾分か減少することになります。


春のメニューを報道を通じて取り上げる時期ですが今年は外食は感染リスクがとも言われ及び腰とも言えます。
外食へのイメージが少し変化している現状から影響を及ぼす可能性もあり要注意です。


黙食が良いとも言いますが、外食の姿を想像しますと少ない人数とはいえ会話しながら楽しむ時間を過ごすというイメージもあり、楽しさが失われる可能性もありこれがネガティブな心象にならないことを願うばかりです。


すでに居酒屋等お酒を提供する業種は昨年よりも前から下降気味ですが、昨年や本年にかけていよいよ深刻な状況に到達するように見えます。
鶏卵に限らず肉類等畜産物全般が消費される業種の低迷は深刻です。


今後、鶏卵は生産量の減少による影響が少しづつ受けることは間違いありません。

しかし加工向けの今の消費量が減少すると影響は限定的になります。


どちらであっても急激な相場や製品価格の上昇はありません。


すでに鶏卵は高いという報道もありますが、相場値が毎週上昇しておりますからそのように見えますが例年よりは安いはずです。

報道ではその点の話より上昇している事実を報じているようにも見えます。


鳥インフルエンザは2月下旬以降採卵鶏では新規発生はありません。

その千葉県では発生農場全てが殺処分を終了し清浄化検査が進められているところもあり、以降新規発生がない限りこの3月中旬以降順次制限が解除され、日常へ向けた第一歩を歩き始めます。


しかし、被害があった農場やスケジュール変更を余儀なくされた農場は日常へ向けて様々なご努力をされて進んでいきます。
飼養羽数の大きい農場ほど今お話したようなご苦労があることでしょう。


3月は数年前も鳥インフルエンザ発生が報じられていました。

まだ大変な時期ですが皆さんの農場が平穏で過ごされることを心より願っている次第でございます。