nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

成鶏更新・空舎延長事業が発動しました

令和2年5月18日より成鶏更新・空舎延長事業が発動しました。
鶏卵の需要は不需要期に入る状況と供給量、最近の経済情勢もあり苦しいところですがやむを得ない状況です。

 

経済の再生は少しづつ進んでいくことでしょう。

また多くの学校は6月1日より始まり夏休みの短縮も予定されている地域も多いことから給食への需要もある程度期待できます。
但し、子供たちの学校への慣れを優先させるため給食提供は多くの地域で中旬以降になるとみられます。


しかし、外食加工向けは経済の低迷が避けられないことから見通ししにくいといえ、今後数週間の動向がこの先数カ月を占うといえます。
子供たちの夏休み短縮は家族という大きい単位の消費動向に多少とはいえ影響を受けます。

 

実際解除が最初に始まった39の県では、外食向け問屋の話としてアルコールは受注を受けるが日持ちしない食材はまだそんなに多く受け付けていないと言います。
人通りが戻らないと開店しても破棄が増えるという心配もあり様子見している店舗も依然多いと聞きます。
テイクアウトに収入を期待している店舗が多くないというのが実情で、食材の調達もまだ様子見となっているところもありましょう。

 

今月末までは越境を伴う人の移動は推奨されていませんので、観光や外食等の産業の方にとって消費意欲の高い首都圏の方々に期待している地域も多いのが実情ですので、もう少し時間がかかるのかもしれません。


自治体では、人の制限に関するロードマップを示しています。多くは3,4段階に分けて再開をしていくようですが経済にとって最も好ましいステージは多くは最終ステージになりますので、ステージアップに1週間や2週間をめどにしているというところもあり、最終まで1カ月程度かかるところもあり、本格稼働までもう少し時間がかかるのかもしれません。

 

そんな中、成鶏更新・空舎延長事業が発動されました。


経済状況次第ですが、秋口までは継続する可能性もあります。
昨年も5月成鶏更新・空舎延長事業が発動し秋まで継続しました。
令和元年度実施状況は約1100万羽が実施されました。

昨年も実施早々は廃鶏に前向きの農場はそう多くなかったといえます。


実施参加された方のおかげや、全体的には災害による主要産地の被害増大が相場を持ち上げるような状況で、災害による被害がなければ通年実施されもおかしくはないというのが本音ではないでしょうか。


本年はその昨年を上回る餌付けの増加と経済の低迷も重なり4月以降は相場安を続けています。生産量の調整がない場合不需要期と経済の低迷による一段安も容易に想定できます。


学校給食では相場を持ち上げることは厳しいと言えます。

外食、加工向けに期待したいところですが現時点では勤労者の賞与の減額や支給停止等収入の減少も現実味を帯びています。

 

廃鶏業者も規模によりますが慢性的に人手が足りていないというのは皆さんご存知の事です。
今や日本人が集荷して処理をするという会社はもう珍しいと言えましょう。

多くは外国人技能実習生が半分とは言いませんが、主力戦力として活動しているような状況です。


そのような状況下で、来週、来月廃鶏を引き上げてくれと言われても受けられないというのが実情です。


食鳥相場も昨年廃鶏による流入もあり低調気味でした。

過度の受け入れは結果昨年の二の舞となる可能性もあり今後の方向に注目されます。

 

家庭消費は頭打ちと言えます。

1日1個2個の消費を3個5個の消費を喚起してもなかなか難しいといえます。


食べるものが豊富な現代では無理ある政策になりましょう。


しかし、大型倉庫店のある店舗では珍しく鶏卵の品切れが発生している所を販売調査から見る機会が多いのです。
10個当たり140円程度の販売ですが大変人気です。
一般小売店では150円を超える販売が主流のように見えますので、価格で決めるという消費者が少し前に比べ増えてきているのかもしれません。


鶏卵の消費は半分は加工外食向けになる現実から、いかにこの分野の回復が重要なのかが分かります。
そのためにも、消費者への支援が必要であり、加工食品への消費を促すことが大事です。


鶏卵は安価であり調理のバリエーションが豊富な食べ物です。

しかし季節的要因も受けやすく、また調理過程での食中毒リスクもあることから高温時期は比較的回避される傾向に見えます。


調理や外食等おいしい色と呼ばれる赤、黄、緑、黒を上手に配置できることで料理の美味しさが格段にアップします。
その中でも、黄色は卵が代表されるように栄養と彩の両方を兼ね備えた食品です。
ですが調理中の室内が高温になることも回避される要因の一つです。

 

だからこそ中食や外食がこの不自由のところを補うのです。


このように誘導するには、消費者の懐事情にどのように支援できるのか考えなければなりません。
価格重視となる場合、相場は相応の値段を提示します。

しかし採算を割る可能性もあります。
今は、差額補填がありますので まあそんなもの と割り切れましょう。


しかし、低調な時期が続く場合補填資金が底をつき支給修了もありますし、出荷が大きい農場からの破格の商品供給もあります。
どちらも過去発生しています。

 

夏の鶏卵消費は中々打開するに難しいと言えます。


秋口以降は気温の落ち着きから、月見バーガー等卵の消費が上向くようになります。
夏は、鶏卵卵重の低下が進む農場が多くなると思います。それを見越しているように、MSサイズは直近(18日)10円安(M、Lは5円安)と大きい変化でした。
それでも基準値190円(5月では20円安、他サイズは15円安)と最も高い金額です。


6、7月は、例年学校給食があったとしても相場は横ばい又は低下となります。


このため廃鶏をして夏を過ごし秋に産卵生産量がピークなるような餌付けをされるところもありましょう。
今年は、小さいサイズが中心となって相場がもう一段下がると予測されます。

それを買い付ける加工筋も不透明と言えるからです。


生産を続けても卵重が下がりサイズが一段下がるところも増えましょう。


最近の白色は親鳥の影響が以前と違い小さくなる傾向が見られます。

これが拍車をかけるかもしれません。
赤色も以前と違い卵重の上昇が緩やかに見えます。

農場での管理技術というより品種改良が主要因と言えます。

 

採算ラインを考えると場合により空舎期間を長くとることも一つの手になる可能性もあります。
しかし、鶏舎は稼働しなければ儲かりませんし、固定費の節約にもならず判断に迷いがあると思います。


その中でも、たとえばワクモ発生が著しい鶏舎であれば消毒を徹底的に行い発生を遅らせる手法を確立することも可能です。


病気が繰り返すような鶏舎であれば消毒剤の選定から見直し十分に消毒し衛生環境を向上させるということもできましょう。

 

厳しい夏に向け生産量維持はとても大事なことですが、問題ある農場が生産計画を進める場合問題点を改善する期間として活用するのも、明日の生産性向上に大きく寄与できるのではないでしょうか。