nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

ゴールデンウィークが終わったその後

緊急事態宣言継続中のゴールデンウィークが終わりました。
報道は連日、観光地の閑散状況を紹介し、鉄道・高速道路の混雑もなく静かな連休であったと報じました。


家庭消費が主流となった鶏卵は、4月中旬以降10円単位での下落を繰り返し今後の状況を心配する声を聞きました。


閑散とした観光地が示した通り、外食や加工向けの製品需要は少なくなったのは予測の通りで、相場は正直な反応でした。


また外出の自粛も重なり、近県(越境)への移動も少なくなり特に地方は車を使用しての移動も少なくなりました。

近所の小売店で食料品を購入し、家庭で過ごすという日常が続いております。


最近は買い物頻度が下がり、鶏卵は消費が上限に達した状況が先月遅くとも中旬から散見されるようになり相場はそれに反応している状況となります。


また、気温の上昇は購買意欲を下げる原則からこの連休期間中気温が高い日が全国的に続いたこともあり消費動向が気になるところです。

 

本日7日鶏卵相場は10円安(大阪は15円安)での相場発表が全農からありました。
東京はM基準値170円(全営業日比10円安)となります。

 

季節は温度が高くなる春から夏へと向かいます。


今後相場上昇より下降が多くなる傾向もあり、餌付け羽数が少ないだけでは相場を持ち上げることは大変厳しいと感じます。これだけ少なくても需要が少ないので相場維持が難しいという状況なのでしょう。


今後の需給動向を考えて見ます。
5月は例年家庭消費が少しづつ低下が始まります。

それは食事メニューに冷たいもの、簡単に調理できる物、油を多用しない物等消費動向に変化があるためです。

総生産量の半分が家庭向け消費という現実からこの分野の低下は外食・加工が吸収できる状況ではないため例年相場は下がるという構図です。


残り半分の外食・加工向けですが、経済状況に大きく影響を受けやすい産業であることから注意が必要です。
外食は持ち帰りを主軸とした展開をした大手、割引率を大きくし消費を刺激している牛丼チェーン店、持ち帰りを広告し集客を維持しているハンバーガー店等様々な取り組みをされています。


実際持ち帰りは通常に比べ少ないと購買調査から見えます。

牛丼チェーン店も同様で来店客が通常同様又はそれ以上と感じることはありませんでした。


ハンバーガー店のドライブスルーは特に週末は活況に見えています。
ファーストフード店は、メニューの充実や広告によりあまり大きな影響を受けていないようにも感じますが、商品提供の速さが得意でない店舗は苦戦気味です。


消費者の多くは、早く提供され自宅等へ戻りたいという心理が見えます。

移動の自粛が少しづつ心に刻まれているのかもしれません。


非常事態が延長し全国で今月末まで続きます。

 

一部地方は独自で自粛を解除又は一部制限付き緩和により経済の再生を始めています。
ただし、いずれも他県への移動を自粛するよう要請されています。


このことから、県内の方のみを対象とした消費は個人店では有利に働く可能性があります。(いわゆる常連さんの再来店)
1日の売り上げが著しく高額になることを想定しない限り、日常に近いか若干下回る程度になると予測されます。


しかし、観光を中心とした店舗は引き続きご苦労が続く可能性もあります。(県外からの来店の可能性が低いため)


特に宿泊・観光は夏以降まで影響が続くと思われます。
特に夏は例年より大変ご苦労される可能性が大変高いと思われます。

但し、終息次第では外出が見込まれるため日帰りによる観光地訪問もありえます。

その場合、加工向けの需要が見込まれます。(土産物の原料使用の増加)

また、観光地での食事による消費の増加も十分にあります。

更に個人消費が堅調である場合宿泊を伴う消費動向もありえましょう。


6月は例年地域により観光が盛況となります。

例えば北海道富良野のラベンダーや宗谷岬知床半島や湿原・湖の観光。
夏が短い北海道はこの季節に多くの観光客が訪れます。それ以外にも緑豊かな東北、残雪を楽しむ富山等沢山あります。


鉄道や飛行機によりこの大地に降り立ちますが、今年は鉄道は臨時列車の取りやめがすでに発表されています。在来線の特急列車も運行可否を検討しており、また東海山陽を走る新幹線は定期列車の一部も減便し需要減に対応したダイヤを設定しています。
飛行機も減便を想定しており、観光客の需要が一定程度ないものと考えています。
宿泊予約も恐らく鈍い状況かもしれません。
個人によるネット予約は違約が発生するまで仮予約は可能なので予約=宿泊確定とはなりません。


夏の賞与や子供たちの夏休みの帳消しもありうることから、夏の観光はまだ楽観できない状況です。特に家族旅行は心配です。
一度に複数人の宿泊があり利益が高い上客なのですが今年はどうでしょうか。


世界的に経済が停止し再稼働が始まりますが、個人の影響はどの国も大きいためすぐに来日し消費が始まるとは言えません。


内需拡大に期待しなければならないのが実情でしょう。


そんな中、加工向けがどこまで買い上げるのかがカギになります。


外食は、連休が終わると次は夏休みによる需要、夏物メニューによる来客促し作戦に切り替えます。
例年は、家庭消費減少をまかなうほどでないものの一定の需要があります。


しかし、今年の影響はそれを補うことが出来るのか注目されます。
外食チェーンがマスコミを利用したPRによりその状況が分かります。

 

さて、話を戻し今後の需給は今お話をしたところです。
今後夏に向かい鶏の強制換羽による生産調整や空舎期間延長により相場が下がる夏を過ごすところもありましょう。
昨年のような低卵価相場ではないためとても安泰とは言えないものの、明日の支払いを心配するまでではないというところが多いと推察されます。

また、学校7,8月の登校がある場合は給食の需要も見込まれ、低迷する夏季の相場をけん引してくれる可能性もあります。


鶏卵出荷の形態は農場により様々です。

外食等加工向けの出荷を中心とした農場や6次産業を中心に来客を中心とした経営の農場、大手倉庫店へ安定した出荷している農場もあり、その方針は多種多様です。


消費動向が消費者心理により影響を受けるという事実はどれも同じです。


スーパーに卸しており心配ないという農場もありましょう。
しかし、コロナ特需は4月の遅くとも中旬には一段落しつつあるのも相場が物語っております。


消費は季節により変動する鶏卵の常識はやはり変わることはありません。


外食・加工そして家庭消費。


いずれも健全であれば安泰の産業ですが、それは消費者のお財布次第になります。


そして、ここ毎年発生している夏の異常気象にも注意が必要です。
被害があることで、他の農場が潤うという現実もあります。


まだまだ心配が尽きない状況ですが、大きく相場が崩れないことを願い、自社の生産物に絶対の安全と安心、そして安定をご提供してまいりましょう。