まん延防止等重点措置が解除されます 鶏卵消費をどう拡大すべきでしょうか鶏卵相場は堅調か
長らく続いていた、まん延防止等重点措置が21日をもって終了する地域がほとんどになりました。
2020年から続く新型コロナによる経済の影響は大変なものになり、多くの産業の商いの在り方が根底から崩れ去っていく事業者の方も多かったことと思います。
養鶏業に携わる方々は2020年の緊急事態宣言による鶏卵相場の低下や外食向け消費の低迷等により2020年は低相場の時代でもありました。
その後、変異株と呼ばれる新たな種類が地域にまん延していくわけですが、相場は鳥インフルエンザの大流行による供給不安から相場高になります。
2020年の生産費用のマイナスがカバーできて、2021年は増築や改造を進めていくと決意された方もいたと思います。
しかしながら家庭消費が現行の5割から5割少し程度まで増加したものの、加工(外食)向けが2割と現行3割程度の1割が届かないことから、供給不安が解消されていき、2021年は夏以降の相場高は訪れませんでした。
2022年は、相場の値段から見れば高いのでしょうが、それは昨年からの価格高に例年の上昇率が加算されているだけであり、決して相場が高いのは供給不安があるということではありません。
外食等は例年春メニューを発表し販売促進をしますが、ほとんどマスコミが取り上げてはいません。
その要因にウクライナ情勢の報道比重が高いこともありますが、多くは新商品の発表がないというところもあります。
集客減少と収益の低下もあり新商品を起爆剤にしている余裕がないようにも見えます。
むしろ、テイクアウトの割引、人気商品の提供といった既存路線から収益を目指しているような状況です。
例年鶏卵をテーマにしている商品が多くみられるのですが、本年は日本マクドナルドのてりたま程度で、あまり消費喚起になるような気配はありません。
鶏卵は外食向けの加工3割の消費が順調で初めて需要と供給が釣り合います。
家庭消費5割少しでは供給過多になる傾向があり、それが2020年や21年の状況です。
鶏卵は外国産への置き換えができにくい商品であり、本来は国内消費喚起が進めば安定した消費が期待できる産業でした。
しかし、消費内訳が、家庭向け5割、外食向け3割、加工向け2割と住みわけができていますので、この構造を変えて需要が喚起できるというのは難しいといえます。
ですから、住みわけが遅延なく消費が進む必要があるのです。
バランスが崩れるとこのような状況に陥るわけです。
では、まん延防止等重点措置が解除されたのち外食はコロナ前まで戻るのでしょうか。
21日解除されることで、多くの外食産業は通常営業に戻るとされています。
回転すし店も時短営業から通常営業へ戻るとしています。外食店舗も多くは通常時間での営業に改める方向であるとしています。
居酒屋店も同様で休業している店舗も再開していくことや時短も解除していく見込みとされます。
そうなると、集客が多くなり収益が向上し鶏卵消費が上向くということになるように見えますが、どうもそうなるのか不透明です。
アルコール提供をする店舗では、仕入れを増やしている店舗もあるようですが、問屋の話では特別多いほうではないと話します。
つまり、畜産物を消費するアルコール提供店は開店するにしても、集客が以前のまで戻るという見込みを立てていないことがわかります。
また、交通機関の終電繰り上げも実施されており、30分以上早く発車しています。乗り換え次第ではそれ以上早くなる傾向があります。
多くの方は終電まで飲食をしているかはわかりません。
会社帰りに一杯という方もいるとは思いますが、終電まで続ける方も以前とは違う可能性もあります。
鉄道会社の利用客推移をみる限りでは、深夜帯(22時以降終電まで)の利用者数は以前の3割以上の減少となり、会社も業務量次第では遅くまで作業に当たる必要性も少なくなっています。
また会社への通勤そのものが減少しており、定期乗車券の利用者数が昨年は2割減となったと公表しています。
数日おきの出社で定期券から普通乗車券利用者(都度乗車)が多くなった可能性もありますが、つまりは通勤し就業して食事をして帰宅という構図は減少していくことになったという現実があります。
今後テイクアウトは需要が伸びる可能性が高くなっていますが、持ち帰りは競争が激化している分野ですから、外食全体を底上げすることもありません。また家庭での調理時間の短縮等で中食は今後も増えていくと思われます。
また、アルコールも飲食店での消費の楽しさから家庭での消費が気兼ねなく良いという風潮が生まれ、来店の必要性がなくなりつつあります。
自宅で仕事をするまたは早めに帰宅するという傾向がこの数年で強くなりました。
消費動向を左右される収入も減少しているとされ、不必要なものにはお金を支払わないという傾向が強くなりました。
また食料品の値上げや光熱費の増加もあり、やはり不要な出費を敬遠する傾向が強まっています。
このことで、解除後も多くの業種の方は回復が未知数と答えることになりますが、鶏卵の出荷増加の機会が生まれるのか心配されます。
また、外食産業の一部はマスコミを利用せず「アプリ」を通じて公表すると公言する会社もあります。
つまり、アプリ等で顧客を集客するほうが、従来のプロモーションよりも費用対効果が高いと言い切るところもあり、今後テレビを見て卵がある料理を見て美味しそうという刷り込みがなくなる可能性もあります。
宿泊業も、解除後宿泊を見込んでいます。遊園地等集客施設からの取り込みを目指すところもあります。
宿泊業も鶏卵の消費に貢献する産業です。
まもなく、GOTOイベントや外食支援イベントも開始される見込みですが、先ほどのように経済的な理由から積極的でない世帯もあるように見えます。
また消費の在り方がこの2年で対面の必要性という視点が失われつつあるようにも感じます。
鶏卵相場は、例年4月を境に下記の減少に進んでいくのが一般的です。
4月はゴールデンウイークに向けての仕入れを行う時期に重なります。ですから4月の下旬までは上昇期待があるのですが、
本年は高速道路も割引を取りやめており、交通費用の増加が見込まれますので、安近短となるのか心配です。
また宿泊料金もGOTO割引が以前と同じ35%(総額5割)と同じであれば期待できますが、そうでない場合は必ずしも消費に貢献できるまでのものか、予測しにくいという状況でしょう。
5月以降は持ち合いが主流になり減少へ転じていくのが通年です。
昨年は秋以降の上昇はありませんでした。
本年はどうでしょうか。
配合飼料も値上げが続く可能性もあり、相場が高いことで支払い余裕が生まれますが、昨年と同じ高相場なのかわかりません。
ドル円は119円台に入りました。コーンも7ドル程度になります。
昨年より5円安で、コーンも2ドル程度の上昇です。
海運運賃も上昇しており、輸入品の弊害がすでに現実化しています。
有事に強いといわれた円は円高に振れることはありませんでした。
今後120円、125円と国力低下により安くなっていくとされます。
国力低下は、外国人技能実習生の訪日にも影響を与えます。
魅力なく、円の価値が低い場合は外貨変換時には少なく現地通貨と交換できる場合もあり生活費は格段に高く感じ、結果送金額の減少となることもあり、
そうなると、送金額が多く、生活費が安い国を第1候補になり、日本は後回しになることもあり得ます。
インドネシア ルピアは現在1ルピア120.19円と、1年前は132.34円よりわずかですが少なくなっています。
参考までに、アジア圏では韓国も外国人技能実習生を受け入れています。
通貨の変換は、現在1ルピア11.84ウオンで、1年前は11.94ウオンとあまり差はありません。
最低時給は、韓国が9160ウオンで(108560.51ルピア)、日本は902円全国平均額(108406.89ルピア)で価値は日本が下になります。
働きやすさや、もらえる賃金額(現地通貨両替額)等で選ばれていく時代になりつつあります。
その中の農場運営はとてもご苦労されていくことと思います。
鶏卵相場は収入見込み額の算出にはとても重要で、すべての農場が販売先を固定されていれば、変動も小さく済むのでしょうがそうもいきません。
ですから、安定して取引される大規模化を目指していくのですが、大手養鶏場は国内規模を見越して外国進出も積極的でしたが、資金難に至りました。
付加価値を意識して他社製品との違いを前面に出す農場もあります。
農場HACCP認証製品やJGAP畜産物認証を習得して安全性や生産への信頼を高めていく農場もあります。
頭脳を使い、縮小していく国内消費をいかに差別化できるのか、新たな取り組みを進めています。
その中にアニマルウェルフェアを意識した製品も登場し戦国時代へと進んでいきます。
どの道が正しいのかは数年後の取り組みが答えを出してくれるでしょう。
国内消費を拡大していくには、外食の力がなければ成り立ちません。
しかし、現状はそれだけでは難しい可能性を秘めています。
今後はそれ以外の方法を模索していくことも大事でしょう。
まもなく解除される、まん延防止等重点措置から消費者の活動がさらに活発になることを期待したいと思います。