nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

イセ食品が会社更生手続きを開始 負債額は453億円

鶏卵最大手と言われるイセ食品が関連グループ会社と共に11日、会社更生手続きに入りました。 負債額は453億円となります。 イセ食品はグループ会社が養鶏農場を運営しており、育成から飼育し加工配送まで一貫した事業を行っています。 イセ食品が飼育する羽数は1300万羽で国内飼養羽数の1割に相当します。 18年の売上高は470億円となります。 経営手法は事業拡大路線に終始し規模や海外事業等まで広く行いましたが、多くは金融機関からの借り入れを行うことで増加が進んで行きます。 近年は、新型コロナウイルスによる鶏卵相場の低下(20年)により資金繰りが悪化していたと言われていました。 このこともあり、同年4月に金融機関に対し返済猶予を申し出ており、資金面がネガティブな状態でもありました。 21年2月には不動産売却等により債務を圧縮していくのですが、同年6月代表が変更され経営にあたるものの債権者側との合意がなされず、私的整理協議が難航していました。 その中の飼料価格の高騰によりコスト増加が著しいものとなり、資金繰りがさらに悪化したことで、債権者より東京地方裁判所へ申し立てをがされることになりました。 負債の453億円の内訳はイセ食品(東京都千代田区)が278億円、関連会社のイセ株式会社(富山県高岡市)が175億円となります。 債権者へは現在の商いを続ける条件のもと返済が進んでいくため、事業は継続されることになるため商品の欠品は生じないことになっています。 現在金融機関との協議を終えて会社更生法の手続きが終わるまでの間に必要な短期融資を受けることが合意されていますので、資金がショートすることはないとされています。 今後関係企業からの取り立て不能に関する報道もあると思われます。 養鶏運営は一般的に生産できる羽数が多いことで、販路があれば潤う産業と言われていました。 イセ食品も皆さんご存知の通り飼養羽数1割がイセが関係している国内情勢でも、拡大路線だけでは養鶏農場が運営できるわけではないということがわかります。 海外進出も熱心で、アメリカやインド、タイ、ベトナムといったアジア圏にも現地農場を展開し国内以外に自社鶏卵の消費を拡大していく路線を進めていきます。 直近はシンガポールでの農場開発も進めるべく準備をしており日本品質を海外へも取り入れてもらうことも意識していたようで、生で食べるという習慣がない外国でも生食が出来るぐらいの品質向上を目指していきました。 国内の消費規模が人口減少により頭打ちから縮小していくなか、自社鶏卵の消費拡大を推し進めていく路線で常に拡大化をしていきましたが、3月に力尽きたという流れになります。 多くの農場は驚いたことと思います。 資金力があり拡大できる力を持った農場でもそれだけでは、農場を運営できるわけではないということになります。 この5年前までにあった養鶏バブルは多くの農場が増羽、増築、羽数増加のための改築、新規農場落成と資金を投下して更なる売り上げ拡大を期待された農場も多かったことでしょう。 その中の一部は昨年から資金繰りに苦慮されているところも聞きます。 その理由に、配合飼料価格の高騰というコストの増加です。 また電力や燃料費の値上げが進んでおり、鶏舎を維持するための費用と餌を与えるための費用が高騰しました。人件費も最低時給の変更があることで上昇していますので、コスト増加をどのように吸収できるのかが課題になります。 本来は売上げを上げていくことが本来の姿ですが、売上げ上昇には餌代等コストの増加も伴い、その利幅が拡大できないという事情も見えます。 確かに鶏卵の販売価格がコストを下回るということは一般的にはありません。 それは年始の相場時期だけとも言われます。 ですから、1月は我慢する月と言われるのですが、最近はコストが上昇しており、利益は取れるのですが、その幅は一昨年や昨年と違い小さくなっているのが本音ではないでしょうか。 鶏卵を1つでも大事に育てて利益を取りに行けるのか。 消費者ニーズをいかに取り込み鶏卵が自社ブランドとして認知されるのかが大事ですが、イセ食品も「森のたまご」等全国どこの販売店でも見る認知度があってもこのような結末を迎えました。 品質も低くない農場であっても、経済情勢は容赦なく弱い産業や会社を滅ぼしていきます。 今後も配合飼料価格は値上げになることは間違いなく、既に5000円、8000円といった具体的な金額を提示された農場もあると思います。 毎月飼料価格を見直す農場もあると思います。 4月の多くはコーン相場の上昇、原油相場の上昇による燃料費の増加、為替の円安といった要因で値上げになると思います。 既に1t7万円、8万円台になっているところもあるでしょう。 損益分岐も恐らく一昨年と比較しても20円、30円程度の上昇は必要になっているかもしれません。 数年前のバブルに増羽した農場の一部は今この瞬間もご苦労をされていることと思います。 まだ先行きが見通せない状況ですが、今は自社の鶏卵に品質という最低限の安心を担保して、生産活動を継続していただきたいと思います。