nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鳥インフルエンザの深刻度が増しています 青森県では137万羽の採卵鶏が防疫措置を受けます

青森県は15日、三沢市で高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が発生したと発表しました。 県によれば14日午前11時に農場より死亡鶏が増加している旨通報があり、死亡鶏は平時5,6羽から180羽に増加した模様で、十和田家畜保健衛生所が簡易検査をしたところ、 検体13羽中の11羽に陽性反応を確認しました。 15日青森家畜保健衛生所で遺伝子検査を行った所、検体13羽中の11羽に陽性を確認したことから、13時に農林水産省が高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定しました。 これによる移動制限区域には7農場31万羽、搬出制限区域に10農場88万羽に影響を及ぼしています。 県は13時より防疫作業を開始し、殺処分完了まで1か月を要する見込みと発表しています。 当面県職員を配置した4交代制1日延べ40名が作業に当たりますが、自衛隊へ災害要請を求める予定です。 青森県の飼養羽数2割に当たる鶏が防疫措置を受けることになり、国内では1農場での殺処分予定数として過去最高数になります。 沖縄県では16日45000羽の防疫措置をする事例が発生し、鳥インフルエンザの発生が沖縄県までの広い範囲で発生しています。 16日現在の令和4年度発生農場数等は19道県42農場と4施設で約625万羽となります。 本年は全国各地で鳥インフルエンザの発生が確認されています。 これによる影響は、需要側で供給減少という形でこの先年始以降現れると思われます。 大流行であった令和2年では全国980万羽が殺処分となり令和3年は2月以降通年にわたり鶏卵相場は高い傾向が続きました。 これは、生産量減少から供給不安があることも要因です。 秋以降回復が見られたものの、令和3年から本年にかけて配合飼料価格の上昇や燃料価格の高騰もあることで、地域によりますが餌付け羽数が減少していますので、 生産数が昨年より少ないこともある中の防疫措置になりますので、販売価格への影響は今より大きくなるものと思われます。 現在東京市場でのMサイズ販売向け参考価格は1キロ302円となります。 小売物価統計調査を見ましても、昨年春鶏卵が高いといわれた時期でも4月は1パック220円、高い夏で228円、年末のケーキ需要が大変と言われた秋224円と、本年10月で234円で更に上昇していく見込みから 本年の価格はいかに高いかお分かりになるかと思います。 例年1月は鶏卵相場が下がりますが、先ほどのように供給影響と餌付け減少から生産量回復の遅延も予想できますので下がる期間は短い可能性が高いことも留意する必要があります。 令和5年は年間を通じて鶏卵相場は強く推移する可能性が高く、これによる販売への価格転嫁は難しい中ですが進んでいくことになると思われます。 回復は1年以上先の令和6年以降になると思われます。これは生産者側の餌付け増加に慎重な姿勢を持っていることも要因ですが、この先配合飼料価格は比較的安定的に推移すると思われるものの、 2,3年前までの水準まで下がる可能性は現時点では低いと思われます。次期令和5年1月期は1000円引き下げを16日全農が発表しています。 これは円安がこの先も決済通貨となるドルが130円台を中心に推移すると予想されていることや、コーン等原料価格が今の水準より下がりにくいという情勢もあります。 原油は世界経済の影響を受けて下落しているものの1バレル80ドルを割るとはいえ決して低い水準ではありませんので、輸送や資材といった様々な物は高い状態が続くものと予想され、本年より低いものの安く安泰というわけではありません。 すでに養鶏農場では衛生管理は最高水準まで引き上げて鳥インフルエンザの発生を防ぐ措置をされていることと思います。 ですが、すでに大流行の令和2年の水準まで6割を超え、恐らく大流行期を超える発生が現実味を帯びています。 主要産地である、茨城、鹿児島ではすでに採卵鶏に被害が発生しています。茨城は連続発生は見られませんが、鹿児島県は県北を中心に散発発生が見られます。千葉県ではまだ被害はないものの(カモ事例を除く)流行期はこの12月に発生しています。 農林水産省の令和4年度鳥インフルエンザに関する情報では、地図を示していますが、発生地域を見ますと全国に点在していることがわかります。 但し、よく見ますと各地域散発発生は大流行時は関東から西側のみと違いがあり、今年は全国広い範囲のなか単発発生のみという県も多いと感じます。 見方を変えれば、皆様の対策は本当にできる範囲最大までご努力されていることがわかります。 大変厳しい中本当ご苦労様です。 ですが、野鳥からの検出は連続して全国各地で検出され報道も続いています。 身近にウイルスがいる可能性を示していますので、まだ被害がないからこの先も安心というわけではありません。 人の往来や鶏の行き来も続きますので、どうか十分な対策をお続けください。