nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

畜産業の課題 日本人がいないこと

皆様、本日より日本の畜産に思うことや課題・解決のための考えなど、畜産の未来を綴ります。nogutikusanです。

コンサルタントをしており、家畜指導や人材教育・農場運営指導と農場HACCP認証取得の支援・JGAP畜産の認証取得支援等幅広く活動しております。

専門は養鶏ですが、家畜指導以外は専門外でも対応しております。

現在は、会員様以外のご指導をしておりませんが、畜産にかかわり20数年、いろいろなことを学ぶことが出来ました。

この経験をお伝えし、次世代の皆様に畜産に対し良いイメージや今の問題を共有できればと思っております。たくさんの思いを綴りますので是非ご覧いただければ幸いです。

 

本日は、畜産業の課題の一つ人手が足りないことについて考えます。


3k(きつい・汚い・危険)と呼ばれた畜産業。今もそのイメージは払拭されていないと感じます。この産業には日本人は集まらないよ。とある畜産家の方は呟きます。

たしかに、3kに当てはまる農場もあることも事実です。過去相談を受けた畜産社長の会社労働は1日実働7時間30分で週6勤務で時間外は月20時間程度で賃金は同業他社とほぼ同水準。(労働法では、週40時間の労働ですが、畜産業は適用外なので法令違反になりません)
最初の頃の発言に日本人は根性がない。やりがいがある仕事なのにそれが連想できない。だから外国人技能実習生を採用したんだ。と言われました。

しかし、よく考え見ると日本人に根性がないとも思えません。労働人口が少なくなっているのは現実です。日本人は賃金や労働環境などを天秤にかけ最適な就業先を見つけて就職していきます。外国の方も同じなはずです。
母国より日本に働き賃金を送金するという天秤にかけ就業先を見つけているのです。

私どものいわゆる一次産業は、残念ながら魅力があるようには映りません。他の産業が同じ境遇であれば労働者の確保も可能でしょうが、前述のように最適な就職先を見つけていきますので畜産業まで人が流れてこないのです。
私はその社長に、「人は川と同じです。上流から人が流れてきます。魅力ある産業は上流にあり、就職できる人材から順次上流で就職活動を終えます。ですので、私どもは適正ある方を採用しなければならないのです。
「そのためにも、働きやすい環境がないと、まず求人票すら目を通してもらえません。」
「根性を理解する人は待遇面も御社の根性を見せて頂かないと集まりません。そのような人は他社でも好待遇で迎えるからです。」

結局、待遇面や雇用環境を改善して日本人を採用することが出来ました。しかし、1人採用しただけでは、業務が回ることが出来ません。やはり、外国人技能実習生に頼ることは外せないと感じます。
しかし、3年の在留で帰国(今後5年となり、条件でそれ以上)となります。以降は不足分を補うように人が入れ替えしていく状況で日常管理は恐らく回るでしょうが、それ以上のことはできないと助言しています。

管理には餌やり、空調があればその管理と単調に思われます。しかし相手は生き物であり健康観察は特に大事でわずかな変化を見つけることが出来るかはその人の技量により大きく影響を受けます。1日1カ月程度で会得できることはありません。
その昔、人が十分にいた時代は先輩(特に何十年というキャリアで大体農場主で大抵無口で怖いこともある(筆者体験))が、指導してくれました。

しかし、年月が経過し長期働くいわゆるキャリアある人が少ない農場では、技術移転ができず結局、日常管理で手一杯となり、より良い収入が途絶えてしまいます。

収入減は、そのまま労働者賃金(待遇条件)に反映され日本人は退職か応募の見送りとなり、外国人技能実習生又は人材派遣による短期雇用に頼るという流れになります。
ここが畜産業の課題であり問題になる部分でしょうか。

外国人材で未来は明るい畜産と思われますが、長期に日本にいてもその人たちは、日本が好きでも生涯日本に住むことはないはずです。それは、日本に来る目的は「お金を稼ぐ」ことだからです。
恐らく、外国人技能実習生を採用された企業様は「将来は母国でお店を持ちたいです」「父親の貿易店を継ぎます」などのような発言を聞いたことはありませんか。

単調でマニュアル管理が可能な労働力確保には、この制度は画期的です。しかし、単調であって単調でない畜産は恐らくキャリアのある人の有無(又はその能力がある方)により、会社の命運が左右されると感じます。

そのためにも、日本人が一番かもしれませんが、前述のように潤沢にこの産業に流れることはないと感じます。マニュアル化できれば作業が均等になり、作業品質に左右されませんが、この産業では完全に取り入れるのは難しいと感じます。

農場HACCP認証を構築した方は分かると思いますが、このシステムにはマニュアル(分析シートといいます)があり、その手順で行うことをルールにしています。しかし、そのマニュアルも緊急事態以外は通常の業務について定めているはずですので、あと少しの技術について網羅されて作ることはできないと痛感していることでしょう。

私もそうですが、現状作業を記載しますから、特性ある文書にはならないのです。結局日常管理のみで解決できないと感じています。日本人がいいとは言いません。しかし、大事なのは、家畜を管理できる能力が重要で、長く勤労すれば環境によりますが、キャリアのある人材が育ちます。

従業員は、毎日同じ仕事が出来ればよい。特別な能力はいらない。という経営者の方もいます。それも正解でしょうが、これから競争が進むであろう畜産業界。それだけで生き残れるのでしょうか。あとわずかな努力に報いてくれる人材はいらないのでしょうか。

畜産業を変えるには、今いる人の教育(仕事にやりがいを感じてもらうこと・人に教えて束ねることが出来るマネジメント力)と待遇の改善になるのではと考えています。

賃金=その従業員の資質・能力と言われますが、しっかりとした教育をすることで労働者でもあり・考えて利益を出す人財となります。AIが普及し機械が人に置き換わるとされますが、導入には多額のコストがかかることには、畜産家皆さんよく理解されています。

そのことから、必要な機械化はすでに導入されているのが現実でそれ以上のこと、家畜の健康観察の自動化・健康不良の家畜の診断や畜舎からの排出等人でないとできないことは、機械に置き換わるにしてもコストが増大することは明白であり、導入に慎重になります。将来も人による管理は必要になる畜産業。稼ぐためには省力化もそうですが、考えて利益を出すことも重要です。それは、GAPや農場HACCP認証取得で製品に付加価値をつけることを考えるというのも一例として挙げられます。

人口が減少し労働者確保に苦労することが明白な現在、すぐに利益は出ないと思いますが、教育を施し、一人でも長く・スキルを持たせてやりがいを感じてもらう人材を育ててみてはいかがでしょうか。