千葉県は、家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画に従い平成37年(令和6年)を目標として、家畜排せつ物の利用の促進を図るための取り組みをしています。
ライブドアブログにも関連記事を書きましたのでnogutikusanで検索して参照ください。
1、現状はどうでしょうか
平成26年2月の家畜飼養頭数(羽数)から推計するとふん尿は314万トン/年と推計されています。現在はそれよりも多いはずです。
今回は採卵鶏についてお話をいたします。
家畜排せつ物の処理設備は採卵鶏では94%と高い施設で設置をしていることが分かります。
また、施設でたい肥化等の処理をしている家畜排せつ物の割合は98%とほぼすべてをたい肥化している状況がわかります。
では、そのたい肥はどのように流通するのでしょうか。
採卵鶏では、83%が販売しています。無償で譲渡するのは11%で量販店等納品は0.1%と僅かです。
つまり、近隣農家さん等に販売するか無償で譲渡しているのです。
では、無限に販売を続ければ安泰といえるかといえば少し心配もあります。
2、課題はなんでしょうか
採卵鶏は、特に北東部と南西部に多く飼養されています。つまり、たい肥の供給量が過剰な状況で地域内外でのたい肥の新たな活用方法を検討する必要があるといわれます。
北東部では銚子市、旭市、匝瑳市、香取市をさします。南西部はいすみ市、君津市、市原市をさします。
また、一部の畜舎とたい肥化施設での悪臭問題があるため、当該施設に臭気対策を講じる必要があると報告されています。
設備の内訳から、採卵鶏はたい肥舎での処理が最も多く248施設、攪拌付き乾燥装置38施設、密閉式コンポスト29件とどこの養鶏施設も多額の資金を投じて処理施設を採用しています。
ですので、他所も臭いのだからうちも臭くても仕方ないと言える状況ではありません。
むしろ、投資されていないところが悪臭の根源と言われかねない状況になりつつあります。
製品の為に投資するのは自然なことですが、今の時代は最終処分まで費用を投下しなければならない時代になっています。
悪臭を中心とした環境問題への対応を強化する動きが見られます。
悪臭防止法に基づく臭気規制で、千葉県でも物質濃度規制に替えて、複合臭等に対応可能な官能検査による臭気指数規制を導入する市町村が増加しています。
現在集臭気指数規制を公表されている市は、千葉市・松戸市・習志野市・我孫子市・浦安市・鎌ヶ谷市・佐倉市の全域・市原市の工業専用地域以外です。
いずれも養鶏が盛んな地域ではありませんが、苦情が持ち込まれる場合市町村の議会で検討され最終的に市町村長が決定しますので、迷惑が当たり前では通用しない時代です。
また、養鶏が起因でなくても他畜産によって苦情となり決定されることもあり得ます。
うちは地元の名士だからと語る方もいます。しかし、お住まいの地域では名士でしょうが、農場が他市町村であればあまり意味のない話でしょう。
千葉県では、以上の経緯から耕畜連携等によるたい肥利用の推進が必要と考えていること。悪臭を中心とした畜産環境の問題への対応を課題としていると挙げています。
耕畜連携は、すでに多くの養鶏家が取り入れていますが、運搬とサービスの向上、成分表示等の品質向上、粒化・ペレット化と袋詰めによる取り扱い性の向上を挙げています。
上記では、現状解決できないと考える方も多いはずです。(既に取り入れていても、解決できないため)
このため、このような文言もあります。
たい肥の供給が過剰になっている地域においてたい肥としての利用が困難な場合は、家畜排せつ物のメタン発酵、焼却、炭化等によるエネルギー利用についても検討するとしています。
悪臭を中心とした畜産環境問題への対応として、地域住民に畜産業の意義を理解してもらうことで畜産農家と住民が良好なコミュニケーションを図るための取り組みを支援します。
環境問題が深刻である場合、脱臭装置等臭気低減に有効な技術の導入や既存設備の機能向上や設備更新等による改善を推進します。
臭気低減技術のためには、臭気指数の増減要因を解決するために、現地調査を行い新たな課題として開発に取り組むことにしています。
今後千葉県は家畜防疫の観点から、適切なたい肥化への徹底として、発酵熱で病原体が死滅するためにも適切な管理をする、運搬には車両が伝播する可能性を考慮して積載物の飛散防止、適切な消毒、運搬ルートの選定に勤めるよう指導をします。
いかがでしょうか、千葉県は採卵鶏では全国3位の飼養羽数の県ですがこのような取り組みを行っています。
養鶏に携る方々は、法規制を守ることの大事さや周辺に対する配慮が大事であり、現実問題に直面することをお話いたしました。
そのためにも、地域とのコミュニケーションが大事であって、畜産は臭いもの、当たり前の物、先に経営していて後から住宅を建設したという占有意識を変える時代になっていることが分かります。
また、不要な物にお金を投じないという考えは場合により会社の存続に影響を及ぼす可能性があることも示唆しています。
人材採用や製品販売、鶏糞等廃棄物の取り扱いと近隣とのコミュニケーション等多岐に渡り検討を必要とする時代になったのです。