nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鶏卵相場低迷はいつまで続くのか 5月以降の相場と夏季相場

鶏卵相場の低迷が続いております。相場高であった平成26年から見てみますと、右肩下がりであることがわかります。

 

今年1月の全農東京Mサイズ平均は121円でした。昨年12月の相場下落もあり1月の初値が注目されていました中、100円で年が明け本日(4月12日現在)170円に至ります。1~3月のM卵相場平均は平成26年は231円、平成29年は200円、本年は147円と相場上昇期と言われるこの時期も不調が続きます。

 

理由はいろいろあると思います。
1つに、増羽(供給量)が進んでいることです。特に関東、中部地域が多かったようです。関東の大産地(茨城・千葉)は共に前年より多く茨城は109.3%増、千葉は99.8%でしたが、群馬106.7%、栃木120.1%と全体では多く餌付けました。
全国2位の鹿児島も多く111.2%で推移しました。

全国で見た平成30年の餌付けは前年29年に比べ97%後半ですが、相場を見る通り昨年は西高東低相場(関東は東で低く、西日本地域は高い)であるのも一理あります。

 

本年2月までの餌付け発表によれば関東は前年比106%と多く餌付けていることが分かります。また中部地域も少しづつ増えています。

関東では茨城121.5%増、千葉99.1%、群馬117.3%、埼玉104%と関東産地は堅調に推移している状況です。


今年も全国で見る場合は前年比同じまたは減少と見られるかもしれませんが、三大産地は堅調で特に関東は多く推移する可能性が高いことから、供給が多く続くと思われます。

 

2つ目は、需要が頭打ちであることがあげられます。年間一人当たりの消費量はほぼ横ばいといわれます。

平成2年の家計消費量は1日29.7gですが、その後平成22年に27.5gに低下し平成29年は29.0g(概算)とわずかに過去消費量に戻りつつありますが、過去消費量を更新するほどの量になっていないことが分かります。

 但し、加工・業務用は増加が進んでおり、平成2年22.2gで平成22年25.8g、平成29年は26.7g(概算)と右肩上がりです。

 

このデータから読み取れるのは、家庭消費がほぼ頭打ちで、加工や業務用用途に需要が拡大しているということです。


上記データから簡易分析すれば、餌付けが多く家庭向けより加工・外食等向けが堅調である。よって鶏卵は家庭向けも生産するが、加工向けにターゲットを絞りたい。
となるかもしれません。

 

しかし、気になるニュースもあります。
日本農業新聞が4月10日サイト版で「鶏卵 価格低迷が長期化 生産潤沢で荷余り感」と報じていますが、生産量が潤沢で荷余り感が強いと紹介しています。
記事の通り、中食向けに荷動きがありますが、小売や外食は伸び悩みがあると言います。

 

中食は、総菜や弁当向けが主流でしょうが、供給元は固定されています。つまり○○弁当店にわが社の鶏卵を納めようといっても「先客がいます」と言われるわけでしょう。
では、液卵として販売しようと考えてもすでに専門商社がいます。供給先は既に決まっています。ですので養鶏家の販路戦略によりましょうが新規に開拓していくことは大変な努力が必要でしょう。

 

ですから、加工会社に納める養鶏家が多いと思います。代表的であるキューピーたまごは、加工向け・中食向けに必要な細工をして販売しています。

 

先ほどのように中食向けは現在好調です。外食向けもゴールデンウィーク対応で需要があると見込まれますから今後強く引き合いがあるでしょう。(そうなってほしいところです)

 

しかし、経済情勢によって外食産業は影響を受けやすいとされます。日本フードサービス協会が発表している「外食産業動向調査 平成29年」では売上げが好調である分析を示しています。ファーストフード店は洋食・麺類を扱う店舗が好調を持続しており、どちらも鶏卵を扱うことから朗報です。

 

しかし、ファミリーレストランは客数の低下が見られ、居酒屋も低下気味です。客単価は増加しておりますが消費動向から見ますと、低価格で早くお客様に提供できるサービスを好む傾向が見られ、直近の経済情勢次第でどう動くか心配されます。

 

加工向け以外に付加価値商品に取り組みしているキューピーですが、サラダ総菜とドレッシングは売上げが弱く年間計画を下回るという株式投資家の分析もあり、サラダのトッピングにもなる鶏卵等課題も残ります。

 

直近の状況をまとめました。それでは5月以降の相場はどのように展開されるのでしょうか。


まず、供給過剰であった昨年はどのように推移したのでしょうか。
東京の4月は20日まで「もちあいで」でした。ところが、4月23日に5円安となりゴールデンウィークに突入。
連休明けの5月7日に5円安となりました。その後は末日まで「もちあい」です。

 

さて、今年はどうでしょうか。4月は概ね「もちあい」となる予測ですが、連休明けは季節要因や相場休暇中の滞留で一時的に鶏卵過剰となり相場安になる可能性があります。

 

今年度の成鶏更新・空舎延長事業の基準価格は164円です。現在超過しており5月中は発動しないと考えていますが以降は分かりません。

 

昨年もありましたが、猛暑や自然災害がある夏でもあります。

 

長期予報の6月については、降水量は平年並みか少ない可能性が各40%とカラ梅雨の可能性があり、気温も平年並みか高い可能性が各40%と気温が高い可能性があります。

湿度が高く温度が高い場合は鶏の生命に危険が迫りますので注意が必要でしょう。

 

夏季相場は、需要が低下するため価格が下がる傾向があります。昨年は供給過剰でしたが西日本地域の需要不足により東日本地域の潤沢な鶏卵が西に動くことで相場が維持できたと言えるため、同じような構図でない限りは潤沢鶏卵によりある程度の相場安になるでしょう。

 

昨年は、供給過剰が続くため相場安の展開が続きました。

 

さて四半期が終わり次のステージに入りました。今年は暗雲立ち込める中のスタートですが、良い上期となってほしいものです。