nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

円安傾向が続きます 飼料や燃料高騰の意識が高まります

ドル円は24年ぶりの高水準となる140円台になりました。 2日21時に最高値140.77円まで円が売られました。その後3日午前0時に140.00円まで円が買われて今週の相場が終わり、今週の終値は140.20円となり高水準の円安が進行しています。 今年3月1日は114.8円でしたが、6月1日には130.8円と16円の円安となり配合飼料価格に大きな影響を与えました。 次期配合飼料価格改定が今月ありますが、9月1日の為替は140.2円と9円を超える円安が進行している状況です。 原料は、引き続きコーンは前期より1.5ドル程度、燃料となる原油は30ドル近辺までの値下げが進んでいます。 大豆も下がっていますが、上昇する為替がまだ急激に変化しており、相殺されてもなお配合飼料価格の上昇余地があると感じます。 ライブドアブログでは次期こそ値下げをお願いしたい気持ちで書きましたが、環境がそれを覆すような不透明さを感じます。 せっかく原料費用が下がっていても、止まらない円安により恩恵がなくなるのは非常に心配です。今期の1万円超えの価格上昇はないかもしれませんが、更なる負担が生じる可能性もあります。 今月発表される配合飼料価格改定に注目されます。 帝国データバンク岩手県内の企業100社の回答で4月から6月までの調査を見ますと、原油LNG価格高騰の経営に対する影響がマイナス影響があると答えたのは57社で、業種別では、農林水産業や運輸倉庫業が最も高く、燃料代の高騰が経営に影響を及ぼしていることが分かります。 農業では、車両を動かすため、温室を温めるため、逆に冷やすためと用途が広いのですが、電力やプロパンガスの値上げは必要なもので削ることが難しいといえます。 畜産業でも、燃料代や鶏舎稼働費用は主に電気やガスでもありますが、削ることができないものです。 この高騰に対して実施しているものを複数回答として、節電・節約と答えた企業は55%、エネルギコストの上昇分を販売価格に転嫁したと答えたのが19%となります。 更に上昇していく場合の対策を聞くと、節電・節約が42%、エネルギーコスト上昇分の価格転嫁33%、仕入れ先の変更14%、人件費の抑制10%と続き、さらなる節電や節約で努力していく姿勢が見られます。 ですが今以上の手段がないとも言えますので、ジレンマを感じているのかもしれません。 現状の原油LNG高騰がいつまで続くか聞きますと1年程度が最も多く、ついで3年以上、18か月程度と続き、短期終息を見通していないことが分かります。 調査期間の4月から6月は原油価格が最も高い時期ためネガティブな回答が多かったと思います。 この要因に調査前3月時点で既に1バレル110.6ドルと三桁の相場展開で、最も高い時期でもありました。 5月でも104ドル、6月で119ドルと上昇基調でそれに伴う燃料代の値上げや物流費の見直しが進み心理を悪化させています。 その後の7月は100ドル、8月は93ドル、9月は2日までで平均90ドルと下がりが続き、燃料代は改善が進んでいます。 コーンは、現在6.4ドル/ブッシェルで、今期飼料価格ベースより1.4ドル程度下がって推移していますが、7月20日5.7ドルを底にゆっくりと上昇していますので心配が続きます。 LNG先物は6月7日9.3ドルまで上昇後減少していきますが、7月6日を底に再上昇し、8月1日8.2ドル、8月22日に9.68ドル、9月2日に8.9ドルと9ドル近辺での取引が続きます。 そのLNGは、例年8月から12月は暖房需要が高まることから、価格が上昇しやすい傾向があります。本年は6月から7月中旬にかけて値下がりがあり、例年と同じパターンを示しており、昨年を見ますと11月ごろまでは上昇傾向が続き、12月は感染拡大等の要因で低下に転じ1,2月を過ぎました。その後ロシア侵攻が始まると、急激な右肩上がりとなり6月8日まで上昇していきます。 その侵攻は現時点も解決されておらず、価格動向が不透明でもあります。 LNG天然ガス)は皆さんの鶏舎の暖房費(幼雛は特に使用されることでしょう)や洗卵するための費用もあると思います。 洗卵の目的を考えると、温度を下げて洗うということもできないでしょう。 それは、洗う目的が汚れ落ちだけではないからです。 サルモネラ菌が万一ある場合、適切な温度でない場合菌が鶏卵に入り込むという心配もあります。 ですから、適温にして洗うわけですから節約するというのも難しいでしょう。 電力費用では、LED電球に置き換えて消費量を下げるというのは効果的です。 多くの鶏舎は白熱電球を使うところはもうほとんどないと思います。 ですから、蛍光灯タイプの電球が主流だと思います。このタイプは消費電力が60Wで18Wの消費量が多く、LEDでは最大7Wと半分程度になります。 鶏舎には多くの電球が下がっていますから、これを順次置き換えていくのも手です。 全てではなく、1列単位で交換していくのも良いでしょう。 置き換え終わった電球は、ほかの列の電球が切れたとき交換して消費していくと廃棄せず無駄もありません。 LED電球は1個500円から1000円と幅がありますが、高額だから長寿命というわけではありません。 私自身が見て感じるのは、蛍光灯タイプのほうが長寿命という傾向もあります。 これは鶏舎洗浄(水洗い)をして電球をダメにしてしまうケースがあり、防水が完全ではないことが要因ですが、多くの方は防水仕様電球ではないと思いますので、 条件は変わりませんので、この先蛍光電球が入手できなくなっていきますので、列ごとでも良いでしょうから置き換えていくのも電力費に対し効果的と言えます。 節約を意識することは大事なことです。 多くの方はできることに限りがありとても困惑されていることでしょう。 ですが、よく見てみると鶏舎の中、集卵場、倉庫といった所には改善することでわずかではありますが節電や節約ができるものがあります。 1個の消費電力は小さくても数があれば大きなものになります。それは皆さんが生産している鶏卵も同じです。 1個は10数円でも、1万個、10万個出荷して大きな金額になります。 それと同じです。 その僅かが無駄と考えれば何も変わらないでしょう。 その僅かを積み上げていくのが節約であり節電でもあります。 9月は暮れまでの生産するためのコストが粗方見通せる時期になります。 そのために何ができるのか、どう節約していくのか。 そう考えていく9月なのかもしれません。