nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

鶏卵販売価格が上昇し 消費者側の困惑が広がっています

養鶏業界は今、大変な苦境に入っています。鶏卵相場は昨年とは違うものの高卵価の状態が続き本来であれば業界内では、良いニュースが多く飛び交うことですが、今年は違うようです。 その要因に、配合飼料価格の最高値更新となり、過去最多およそ9万円台の値段になっています。 工場渡し価格ですから、農場までの総額を含めると10万円程度というところもあるかもしれません。 令和3年4月までの標準的価格は6万円台、その1年後は8万円台、今回からは9万台と上昇に歯止めがかかりません。 昨年の鳥インフルエンザによる供給不安が和らいだとはいえ、鶏卵相場は本日205円(東京M規準値)で、月平均的価格は、令和元年7月で150円、昨年は245円、今年は現在までの価格平均で208円と200円台を乗せています。 今までは、200円程度あると経営に余裕が生まれ、設備投資や人材への還元といった積極的な投資も可能とされる目安でしたが、今は違うことでしょう。 200円でも配合飼料価格がそのうちの7割程度は支払いに充てることになると思います。安値であれば199円で、餌は1キロ約10円なので189円の儲けといいたいのですが、そうはいきません。 それは、生産量全量が市場価格で重量分類され取引される場合であり非現実的な話でもあります。 生産される鶏卵のうち、傷や奇形であるといったB級鶏卵は一般的に9%程度とされ、多い場合20%程度あるといわれます。 ですから、商品化率の向上が経営指標に入るわけです。一般的に生産量の92%は商品として適正な鶏卵であることが望ましいとされますが、農場施設により、管理者の能力により差が生じるのも現実です。 規格外は値は付くものの相場値よりはるかに安く、採算をとるような製品にはなりません。 夏特有の重量級に対して品薄が見られることから、Lサイズは210円、MSは200円、Sは185円となっており、工業製品のように金型で調整できない特有の問題も生じます。 多くは、暑さによる影響を受けだしているところもあるでしょう。 すでに、規格重量を満たさない鶏卵販売の事例が6月に発生しました。 猛暑日が発生し鶏がバテやすくなり、食下量が下がり、個卵重が下がるというもので、高価格帯に照準を合わせる難しさがあります。 ですが、この夏であっても200円を指していることで、本来であればこの価格をいかに手にして農場を運営していくの考えていかなければなりません。 そのような中、需要側の影響が静かに表れているようです。 全国のスーパーで販売される鶏卵10個入販売価格は全国平均224円(5月調べ分・小売物価統計指数による)で、昨年インフルエンザ時の販売価格226円に近づいています。 昨年は2021年1月時点で217円、3月で219円と疾病が全国的広がっても販売価格は緩やかな上昇でした。それが、6月に225円、7月に226円と上昇していきます。 昨年は、3月ごろには洋菓子店が鶏卵が高くなっている、外食店継投も高いという報道が良くみられました。 その時期の平均値219円を超えて、今は224円(5月時点)と結果的に上昇が続いていることから、消費先の影響が見え始めています。 最大のお得意様であるキューピーの業績が振るわないといいます。 2022年11月期の連結決算利益は157億円で前期とくらべ13%少ないと予想しています。 この利益は過去5年で2番目に低い水準であるといいます。 その理由はコストが上昇しており、原材料価格が上昇する等変動に影響を受けやすい体質があることとされます。 主力商品であるマヨネーズを昨年7月から値上げを2回程度実施しましたが、このコストに対応しきれておらず値上げ分はコストにすべて吸収されてもまた、未転嫁が生じてしまっているとされます。 このこともあり更なる値上げを決定していますが、値上げによる改善は未知数でもあるようです。 鶏卵価格は現在208円(月平均)なのですが、初期予想価格は200円と見ていいたため見直しを行っています。 値上げによる影響もあり、国内販売量は前年比1割減となりました。PB(プライベートブランド)によるマヨネーズは価格据え置きによる影響もあり、好調でしたので対照的な結果でもあるようです。 日経POSが公表した、6月のマヨネーズ販売金額シェアはキューピーが全体の6.7割と圧倒的で、次いで味の素(1.4割)、PB(1.2割)と続きます。 販売金額は、価格上昇から増えていくわけですが、先ほどのように販売金額が大きくても、販売量が1割減では少し心配です。 鶏卵販売価格も上昇しています。 全農ブランド鶏卵はこの4月より卸価格を値上げして価格転嫁をしています。 仕入れ価格の上昇を吸収するためともいわれ、その値上げ分は消費者に転嫁されていきます。 ブランド卵でないにしても、鶏卵販売価格は昨年の鳥インフルエンザの影響時の価格に最接近しており、消費者から見れば高い状態が続きます。 コストを適正に転嫁したい状況ですが、消費者の心理は少しづつ悪化しているようにも感じます。 最近の報道を見ますと、価格転嫁の話の後に消費者サイド意見が付くようなコメントが多くなりました。 高いのはわかるが、全体が高く大変であるという意見や、販売店も全般的な価格転嫁が進むことへの消費者への影響を気にしています。 先ほどのように、ブランドマヨネーズは売り上げを下げる結果となっており、消費者はブランドより価格を意識していることが分かります。 そのことを裏付けるように、食品会社が価格転嫁した後の商品の売れ行きを見ますと、値上げ商品の一部は(現状では値上げ商品の5割程度)買い控えといった販売量の減少から売り上げを下げるという事例も散見されます。 山崎製パンは3月昨年12月期の和菓子売上高はマイナス3.3%であったと発表しています。 値上げを実施し、消費者に対応できる戦略が求められているとコメントし、買いやすい価格を設定した新商品の開発を行っているとしています。 一例ですが、このように価格改定に敏感になっている食品も存在しており、値上げの適正化を進めていくことで一定の消費量が鈍るという傾向も見られます。 これは、販売先に大きな影響を与えます 販売店は、商品が売れて利益を得ますので、高い方買い控えることや、来店数の減少は売り上げの減少につながることになり慎重です。 ですから、個別の価格交渉は大変な困難があり、容易に転嫁できない事情があります。 大手ブランドは力関係もあり、比較的安易に転嫁が進んでいるとも言います。 ですが、転嫁した後の買い控えも経験しているという状況でしょう。 要因に原材料価格の高騰(配合飼料や光熱費の上昇)が要因ですが、価格転嫁できるような取り組みをすることが重要です。 鶏卵を原料にするマヨネーズは、使いやすい少量型の商品を投入し利益を取るという方法も取り入れています。 消費者は支払い金額を見ていますので、小型化した場合内容量が少ないですから、表示価格も安く見えます。 鶏卵も1個22.4円なのですが、10個入で購入すれば224円になります。 ですから、6個入り等小分けパックも予想以上に人気なのだそうです。 家族構成の在り方もあり、なんでも大容量、大盛りで何とかなる時代でもありません。 小家族化に対応した、小規模容量シリーズは、この先も販路として魅力が増すことでしょう。 ですが、っそれは結果的に原料の仕入れを少なくするという意味もあります。 その時、自社の鶏卵が一番といいえる何かの取り柄を鶏卵に持たせてあげたいものです。 この先の消費動向は、まだまだ値上げのラッシュが続きます。それは原料価格高騰もあるでしょうし、為替による仕入れ価格の上昇もあります。 毎日食べるものだから、食品業は安泰という方もいますが、それは数年前までの話になるのかもしれません。 今後は、原料として、テーブルエッグとしてたくさんの同業から選ばれる商品になれるように工夫と知恵を身に着けていきたいものです。 為替はドル需要が旺盛なことで実需買いが進んでいます。投機目的もあるでしょうが、日本の輸入業者もドルを仕入れることが必要な状況で、ドル安に向かうのも見えにくいかもしれません。 経済のお話をしても仕方がないのですが、今は消費者の心理を改善できるような状況でもありません。 ですから、各社は工夫をして会社を存続させていくのです。 それが、仕入れの見直しや商品の開発というのがあるのでしょう。 見直しは選別されるという意味もあります。だからこそ食品業は安泰という言葉は当てはまらないのです。 販売先の閉店や統合も進み、大手流通業との競争も発生しています。 ただの鶏卵で安泰できたのはこの数年前までなのかもしれません。 いつかはわかりませんが、安泰と思った販路先が変わり納品も変わるということもあり得る話です。 その時が来るかもしれないこの時代に、安泰という言葉が当てはまるのでしょうか。