nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

今の相場と年始の配合飼料価格の高騰にご注意ください 

いよいよ寒さを感じる季節となり、一般的に需要が増える時期となりました。
寒いこの時期と言えば、家庭での消費が堅調に推移するということや、年末商戦の買い付けが始まる時期でもあります。

長い緊急事態宣言が解除され、街中では完全解除へ向けて進んでおり、関東大都市圏は25日より飲食店への制限が概ね解除されます。
外食産業の方々の再開や営業時間延長への期待から食材の仕入れが進んでいます。
アルコールや畜産物も動いており、年末へ向けてようやくエンジンが始動したと感じます。


10月1日の宣言解除を見据えて買い付ける動きが食材にも見られ、鶏卵も例外ではありませんでしたが、相場の反応はなく10月にしては珍しく10円安となりその後もちあいとなります。


10月の上中旬は暖かい日が続いており、一段の買い付けが見られなかったということや、月見商戦が思うほど浸透していないという状況にも見えており、市場は需要の増加を意識していないことがわかります。


生産量はこの秋までにいったん増加が進んで、西日本地域は概ね回復がかなり戻ったように見えます。
関東も生産量が回復していますが、多くの鶏卵問屋筋は年内は相場は高い状態で推移すると予測しています。


ですが一部の鶏卵納品に異なる動きも見られ、鶏卵からいわゆるエイビアリー方式鶏卵(ゲージフリー鶏卵)に置き換わりも見られ、行き場を失った鶏卵が供給の増加となり市場の需要状況から概ねもちあいになるというようにも見えます。

荷受相場であるがため相対取引ではないことで見えにくいのですが、流通状況や生産量、街中の消費動向を見ると今までと違う相場の値決めにも推測ですが見えます。


流通網に異変もあるように感じます。


今年度農林水産省はゲージフリー鶏卵の需要を見極めるよう事業者に指示が発出していますので、アニマルウェルフェアを意識する事業者はこれを機会に試験導入し、一定数の販売を確認した後置き換えるような動きもあります。

現在鶏卵価格は比較的高いため、標準鶏卵とこのような特殊卵の価格差はあまりありません。
ですから消費者は製品銘柄が変わっても、同じ価格の鶏卵でありゲージフリーを後押ししているわけではないという状況と思われます。


消費者の購買基準は、価格、鮮度、おいしさとされます。

価格は標準鶏卵と同じ、鮮度も同じく新鮮、おいしさも変わりません。

 

このような事業者は大口の流通業者でもありますから、1日100パックとか少ない数ではなく数千や店舗数により万単位もあることでしょう。
これが全国の店舗に納めていた、地域の複数農場からゲージフリーの数社に置き換わりますからある意味寡占化が進んだともとれます。
価格も1個40円前後ですが、大型流通店では1個28円程度の商品も散見され(標準鶏卵は1個23~24円程度で最安が1個19円です)、来年あたりは1個40円では高いと認知されるような商品区分になるように感じます。

 

8月のブログにも書きましたが、アニマルウェルフェア反対運動が必ずしも国が(反対の農水省とバタリーゲージを推進しているわけではない内閣府)一枚岩になって取り組んでいるわけではないこともあり、国際基準が日本にも浸透しなければならないという現実の扉が少しづつ開けられているようにも見えます。


このような流通過程が変革するのはアメリカやEUの普及原点にも見えます。


消費者の意識に関係なく流通店舗が置き換えを進めていき消費者が選択するという流れで、消費者の購入基準に合致できれば普及が進んで行くもので、EUのスター表示制度(定めた基準で飼育した商品に3つ星を与えるもの)もありますし、
価格を分散化し、最安値の標準鶏卵と、ゲージフリー鶏卵と価格を分ける制度に置き換えていき普及させるものとあります。


今後の流通過程が注目されます。

 

配合飼料では、現在12月まで価格は前期に比べ値下がりしていますが、本年は昨年比1万円を超える高い水準で推移しており、来年こそ価格の引き下げを期待する声も聞きます。


現在の東京外国為替市場では1ドル114円台と3年ぶりの円安が進んでいます。

前期末9月は約109円台後半となりこの短い期間で約4.5円程度安くなります。

為替市場では年末に向け115円台を超えるかどうかを見極めるとされており、更に円安が進むと予測しています。

 

原油先物も1バレル80ドル台を付けており、燃料価格の高騰になりつつあります。
実際輸入船賃の価格は高止まりしており、輸送コストが高騰している中のドル建てのためのコストとなる円安も発生しています。


原料のコーンは11月物で1ブッシェル5.3ドルと若干下がってはいます。
国内のコーン市場はシカゴ市場の安値が波及していますが、国内価格は1月物から4万円台(1tあたり)を推移しています。
ですが、前期末9月は41000円台でしたが、11月物は4万円ちょうどと、僅かに減少しています。12月物で4万円を割るのか市場は注視していますが、不透明というのが関係者の声でもあります。

 

円をドルに変換する際のコストが上昇すること、日本までの輸送賃は燃料費増加と輸送需要から高いという状況が進んでいます。国内に受け入れ後農場までの配送にも燃料費はかかります。


東京のガソリン市場は9月以降右肩上がりの相場を示しており、足元は価格が下がりつつありますが原油産出国の増産に期待する声があるものの、期待が薄いとされ強気の相場が続くとされます。

輸入食品の値上げはよく聞きますが、その要因に原材料費の増加と輸送コスト、円安もあることでしょう。
飼料も同じです。


ですから、飼料価格を少しでも下げる取り組みとして飼料米を使用する農場もあることでしょう。
ですが、配合量には限りがあります。
米の栄養がコーンに太刀打ちできるわけではありませんから、コーンの完全代用とはなりません。
今の鶏はエネルギーの摂取で産卵が変わります。もちろんタンパク質も大事ですが生産する行動の原動力はエネルギーの摂取に影響を受けます。


米の方がエネルギーが多く摂取できるとされますが微量影響素の含有はコーンの方が優れており、米の配合は僅かにする方が生産量維持にとっては大事という方もいましょう。


しかし価格は安いのが魅力で、玄米25キロで約625円(キロ25円程度/平成20年参考価格)と試算でき、コーンは11月物で約604円(5.3ドル/ブッシェル、114円換算)に輸送や販売先コスト等を算出しますから、米の価格を超えます。

 

来年1月期の配合飼料価格は12月中旬に発表されます。
今時点の予測はあまり意味はないかもしれませんが、現況下げる要因があまりなくむしろ今期の値下げを取り消すような流れにも見えます。


地域の養鶏協会の発表では飼料価格の高騰は、生産原価を1キロ40円程度の上昇になっており、補填である程度の上昇で留まるが厳しいという声があるとしており、現在200円程度の鶏卵価格では厳しいという現状を心配しているとされます。


飼料米の配合割合の増加でコストを下げるという方針も聞きますし、配合をベストのもからベターか、それ以下とグレードを下げることで価格を下げることも可能でしょうが、限界がありますから飼料コストの低減は生産量が減少してしまう可能性があり、やむなく実現しなければならない苦渋の決断もあることでしょう。


このようなことを防ぐためにも、加工向けの回復がどうしても必要になります。

いつまでも家庭での消費が増加していくことを期待しているだけでは無理が生じてしまいます。

 

11月は、クリスマス商戦、お正月特需もあります。
おせちは高価格帯に需要が昨年以上にあると百貨店は言います。
ケーキも原料が値上げする中どこまで買い付けがありケーキの土台を用意されるのか、そして消費者が購入されるのか。
足物の消費動向にも目を配りながら、活況になる年末需要と相場に期待したいところです。


今月末は衆議院選挙の投票日でもあります。
アフターコロナにどのように私たち消費者や外食・旅行産業等に手を差し伸べ、傷んだ経済を立て直すのか。
そして今の日本経済から何に手を打ち、回復を描くのか。
大事な未来を方向付けるような大きなイベントが間もなくやってきます。