nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

夏季畜産物(鶏卵)の需要を考える

関東地方は7日梅雨入りになったようです。梅雨が明けますと夏が到来します。

子供たちの夏休みや私たちの夏季休暇等イベントがまもなく訪れることでしょう。


さて、その夏季の鶏卵動向はどのようになるのでしょうか。
相場は私たち生産者がどうこうできるものではありません。空舎延長事業に参加する等はありますが・・どうでしょうか。


直近の各業界の畜産物売上げを見て見ましょう。
4月の発表で、ゴールデンウィークが10日間あった年の連続4日間は4月に入ります。

 

まず、家庭消費を見るうえで参考になりますスーパーの状況から見て見ます。
日本チェーンストア協会発表を見ますと、総菜は好調でした。
冷凍食品や農産品のうちカット野菜等は良いものの重量野菜(キャベツやニンジン等)は鈍かったようです。


畜産品は、牛肉と鶏肉は良く、豚肉は鈍かった。鶏卵やハム等加工品も鈍かったとされます。

 

外食等加工向けの消費の参考として見ます。
日本フードサービス協会発表を見ますと、客数減少であるが、単価は堅調で売り上げは前年を上回るということです。


ファーストフードでは、洋食や和風、回転すしの店舗の客数は前年並みであるが、麺類を提供する店舗は前年を下回る結果でした。
ファミリーレストランは、客数は前年を下回り、洋風と和風は下回り、中華や焼き肉は前年を上回る結果でした。
いずれも客単価は前年を超える状況で売り上げとしては良かったのでしょう。

 

中食向けの状況を見てみます。多岐に渡る資料を見る必要がありますが今回は冷凍食品のみについて確認します。
・日本冷凍食品協会が発表した資料では、平成30年12月までの1年間の業務用冷凍食品は899千tで減少に転じました。


家庭用では2年連続の増加で、冷凍食品全体の業務:家庭用比率は数量で56.7%:43.3%で、金額ベースで55.4%:44.6%と、業務用が多い比率ですが、家庭用の比率は上昇しています。

品目で見てみますと、うどん、餃子、ラーメン類は増加でしたが、卵製品、コロッケ等は低下しています。
生産量上位20位までを見ますと、1位コロッケ、2位うどん、3位炒飯と続きます。

 

人の動きについて確認します。
海外旅行は、ハワイ、ヨーロッパ方面は前年を超える予約状況があります。(大手旅行会社)
国内旅行も、5月から夏季休暇に合わせた予約があり、前年と違い早い段階で予約している状況です。


準大手のアンケートでは、1泊以上の国内旅行を検討している方が約50%、海外は19%、日帰りの国内旅行15%と、何らかの旅行を計画されています。


国内旅行(宿泊あり・なし含めて)を検討している方は全体の60%となり、宿泊施設の他、観光地での飲食、外食、中食として鶏卵や畜産物が多く動く可能性があるようです。

 

生産動向と相場展開を確認します。
畜産物は、夏季は消費が減退するものが多く、相場もそれ合わせるように低下する傾向があります。


しかし、豚肉は生産量が下がる傾向から相場は高くなる傾向があります。
今年は特に、地域によりますが病気の発生等があり出荷数量に影響を及ぼす可能性から相場高が予測されています。
しかし、輸入量も多くなる可能性から、国産不足が生じて輸入の手当てがあり、大きな波を描きながらの上昇となるとされます。

 

鶏卵は、消費の減退=相場の低下となり、秋口まで生産量が著しく少ない場合以外相場は低下する傾向があります。
しかし、生産量が全国的に多いこと、需要は著しく増える要素がないことから、相場が大きく上昇する目途がつかないように言われています。


現在、成鶏更新空舎延長事業が発動しています。どこまで参加されるかになりますが、相場上昇に結び付くか注目されます。
ですので、年末の加工向け出荷が堅調であること、大口需要(学校給食等)の需要拡大、特売の強化による消費拡大を期待している事実があります。

 

さて、鶏卵の状況です。
先ほどの通り、大口需要が8月中は少なくなります。加工向けとして期待される宿泊業の調理向けがあります。8月11日は山の日で祝日となり、12日は振替休日ですが、一般企業は夏季休暇が多い週でしょうから、祝日需要がある可能性は少ないかもしれません。

しかし、国内旅行を計画されている方が多い予測であることから、鶏卵も7月中旬から加工筋の引き合いがあることを期待したいと考えています。


しかし、家庭向け消費の減退が継続することから、特売需要も地域により恩恵を受けるか微妙でしょう。なお、相場をけん引するような状況には至らないと思われます。


外食は、全体的に見て客数が低下している現実から、畜産物の消費は通年程度の予測となり、大きく上昇する可能性はないかもしれません。


中食は堅調に推移すると思われます。会社休業中であっても外出時に活用されたり、調理の手間を中食に置き換える可能性があるため堅調と予測されます。

 

豚肉等はどうでしょうか。
鶏卵同様一定の需要があることから、大きく消費減退に至ることはないと思われます。生産現場として夏季は繁殖が通常期とくらべご苦労されることから、秋に向けての出荷動向が気になるところです。


相場は例年通りの高相場であることから、安定した収入が見込まれるかもしれません。

 

いかがでしょうか。畜産物は季節やその供給量により大きくその値段が変わります。あくまでも予想ですので参考としてご覧いただきたいものです。


鶏卵は特に足元が暗い状況です。できれば相場が高いほうが良いのですが、消費者がどのような行動によるのか次第で、需要が減退したり、増えたりとなり、それが相場高低に現れます。


まもなく夏。
生産者である皆さんも自宅に戻れば消費者です。今お話した人の動きの中の一人に参加されることでしょう。


もしかしたら、スーパーで買い物される消費者かもしれません。


経済は、生産者であっても消費者になり、消費活動をして経済は動いています。
ですから、皆さんの消費次第で需要と供給のバランスが取れたり、そうでなかったりします。


畜産物は家畜が主役ですが、それを育て出荷して現金を得る。それが、生産者であり家に帰れば消費者に変化する。

その現金は消費者次第で値段が変わるのです。