nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

人材採用ご苦労されているからこそできること 業界のイメージ改善と風土改善を

皆さんの農場では、人材を確保するとはどのような方を想定しているのでしょうか。 作業員、幹部候補(農場長や事業部長)、外国人技能実習生とあるでしょう。 最近は人の確保にご苦労をされているというお話しや、人件費が高くなるのでどのように前年同様の賃金を提示できるかを考えているという方もいます。 規模が大きくなる農場では、作業員としての雇用の他、農場長としての活躍を期待した新卒者の確保をしているところもあります。 一般的に規模が大きくなる農場では、経営者(社長)だけでは細部まで(特に飼養管理による収益増減理由)の農場経営が見えなくなりやすいことから、農場を見ることができる農場長として育てる方も多くいます。 規模が大きいという定義はありませんが、よく聞かれる規模として飼養総羽数50万羽を超えると少しづつ細部を見るより、ざっくりと見るようになるといいます。 これは、農場内を細かく見るより、収支や生産量(生産収支)から見ることで異常を把握しやすくなるという理由ですが、本音はそこまで見ることができないのでそうなるという理由のようです。 ですが、よく聞く話として農場内に良く見ることができない人材しかいない農場では、データからしか読むことができないことで何が原因で何があったのかという原因究明が遅くなる又はできないというところもあります。 ご指導時にお話しするのは「データは結果であり、今を映しているわけではない」とお伝えします。 生産量が下がるということは、何かがあることのでそうなるということを早急に探す必要があります。 そうでないと不備が更に生産量減少へとつながり、それは仕方ないとは呼べないレベルまで悪化することもあります。 皆さんよく分かっていることではありますが、でもそうなる事例が多くみられるのもまた現実です。 先ほどのように経営者もデータから把握するという流れになる農場では、農場を見ることができない農場担当、経営者という、本来は二重のチェックになるはずが同じ視点で同じものを見ているだけと言う状態で早期解決が遅くなる典型的なパターンにもなります。 採卵鶏が生産量を下げるということは、今日突然発生することはまずありません。あるとすれば斃死までの緊急事態が一般的です。 そうです鳥インフルエンザのような致死率が高い事態です。 鶏は生産をやめるとき、自らの身体を守るためにやめていきます。ですから異常の把握は鶏がなぜ身を守る行動をとるのかを探し早急に解決する必要があります。 ですが、計器類だけで確認しているだけでは飲水・配餌量は総量から見てわずかに少ないといった誤差と呼んでしまうこともあるでしょう。 ですが、誤差と呼べるのかよく考える必要もあります。 では、農場はどのような人材を雇用しようと考えるのでしょうか。 仕事を覚えることでそのようになると信じて作業員を募集するという農場も多いでしょう。 皆さんも感じると思いますが、作業員として雇用した場合の多くはいつまでたっても作業員のままというところもあるでしょうし、先ほどのように細部を見るところまで育たないという現実もあるかもしれません。 その要因には、現場では仕事を教えるのですが、あくまでも今日の仕事をこなすための仕事方法で、その先を見据えた教育をしていないというのが原因です。 一昔前は、そこから工夫を好奇心が経験と混ざり合い新しい視野を開くということも10人いれば1人はいるともされましたが、最近はそのその仕事を繰りかえすことはできてもその先までは発展しないということもあるようです。 その最大の問題点が最初の雇用目的になります。 作業員はどこまでいっても作業員のままになりやすい風土は改善がない限りこのまま何年も続いていくと感じます。 では、最初から幹部職員を目指して雇用するとどうでしょうか。 いつまでも作業員として教育することはしないと思います。仕事を覚え次の知識を得てもらうというスムーズな教育ができます。 率先して教育している農場では、いつまでも作業員として見てはいません。 この視点がない農場では、そのうち幹部になるような人材になるはずだし、10人全員がならなくてもいい。1人でもなればそれでいいという昔の基準で見ている農場も多く見ることができ、 そのような農場ほど、仕事ができる人材が去っていくと農場管理レベルは下がり、巻き返しができず劣化が進んでいくというような感じがあります。 先ほどの産卵成績が下がることはわかるのだか、その原因まではたどり着けることができず発見が遅れたり、問題認識の把握が難しく誰かが教えて気づくということもあるでしょう。 今は、作業員から経営幹部まで育てることは、人も変わり昔の教育では難しいともいえますし、このような壁に当り何年ももがく方もいます。 では新卒を採ろうとなるのでしょうが、最近は新卒採用は畜産業では難しくなっているのも現実です。 今は新卒売り手市場とされ、新型コロナからの企業回復がすすんでいることから、大手や有名企業を中心に採用活動が進んでいきます。 私たち中小企業ともいえる畜産業では、中々働きやすいとか希望する職種にマッチするのかという現在を知る必要があります。 多くは採用をしても応募はゼロ又は数名あるものの採用までには至らないということも多いでしょう。 多くは4年農業大学系、動物専門学校、又は県農業大学校へ求人を出されると思いますが、なかなか集まらないというのも現実です。 一昔はOBのコネを使い4年大学から後輩を獲得するという手段もありましたが、コロナ禍で人とのかかわりが途切れてこの方法が成り立たないという農場もあります。 また新卒を採用しても1年や3年待たずに退職するということもあります。過去3年間の採用で定着率が高いところで8割あるところもあれば3割以下という厳しいところもあります。 畜産業以外の中小企業も働きやすさ、求める仕事像といった現状改善に取り組むことで採用できる知識を得るような状況のように感じます。 この先も採用できる対策を考え続けていくことが重要になるでしょう。 ブログにも書いていますが、作業員としての人材は不足していない農場は多いと筆者から見て感じる状況です。 それは、作業員向け募集であれば中途採用で円滑な雇用が成り立ちます。 畜産業へ転職する方に見られる傾向として在職中に求職活動するより、離職後に探す傾向も見られます。 求職者もすぐにでも仕事に就けるというメリットが互いにウインウインになるわけです。 会社も幹部向けに育てるという意識がなければいつまでたっても作業員もままになります。 経営者等農場を見ることができる方がいればまだ何とかなるのですが、先ほどのようにいないとなればどうなるのでしょうか。 でもそれは問題ではないという意識では、人を育てたいといってもまず難しいことになるでしょう。 作業員は、この先も求人すれば問題なく採用できるはずです。 もしできないのであれば、恐らく待遇面で、慢性求人でブラックと見られているのか。 人を採るという行いを見直ししてみてください。 それが難しいとき、外国人技能実習生を積極的に採用するかもしれません。 その理由は、監理団体が必要数を揃えてくれるというメリットがあるからです。 ですが、その方々は3年又は5年で帰国し、また農場に戻る方も多くはありません。 年齢が進んで他企業には難しいとなった時、以前お世話になりまだ採用できるとなれば特定技能として戻ることもあります。 作業を知っており、給与は以前とは違い高くなることで他が難しいからいい機会だろうとなるのかもしれません。 その技能実習生も今見直しをしており、技能を教えるという看板は外れることになりそうです。 つまり外国人労働者として雇用することになり最低時給で良い、残業代は申告制にして法定額未満で良い、寮費は最大限控除といった、経営側の無知は法令違反でご法度です。 安い労働力が安定して確保できるという基準で見ることができなくなるということです。 そうなると、そのような農場はどのようになるのでしょうか。 円安で母国通貨が下がり安い日本通貨国より違う国が給与が良く通貨両替しても多く受け取ることができるという現実もあり少しづつ来日情勢が変わることも視野に入れておかなければなりません。 では、日本人では作業員として募集するにしても時給換算で積上げる程度では他産業に負けることになり募集は難しいでしょう。 他より高く支払うので来てくださいとなれば地方でも時給換算で1000円は超えるでしょう。 労働業界は時給1000円では企業が人件費圧迫になり廃業すると危惧しているようですが、今や労働者争奪戦になりつつある現在ではうちは時給930円だから来てくださいと言って、他が1000円、1100円と支払うのに来てくれるのかということです。 そう考えると、賃金ねん出がうまくいかない産業になった時、賃上げして廃業するのか、人が集まらず労働効率悪化から採算不良で廃業するのか。どちらも異なる未来は描けません。 今の時代、人を集めるには、労働環境だけではどうにもなりません。そこに待遇という賃金競争も両輪で考えなければなりません。 でも、その人集めには労働人口減少から昔からの常識では解決できない現実があることも知っておく必要があります。 今日は5月5日子供の日です。 子供たちが少なくなっていくこの国で、皆さんの農場を発展させていくにはどう考えていくのが解決に導くことができるのでしょうか。 昔からの常識で進んでいくのか、今の時代を知りそこから勝ち取る知識を得て発展させていくのか。 子や孫に農場を託すとき、今の人材で引き渡して安泰できるのか。 配合飼料多エネルギー価格の高騰等課題も多い中ですが、やがて現実としてやってくる人の確保という問題。 今日のお話から何かを考えるきっかけになればと思います。