nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

成鶏更新空舎延長事業が再発動して 鶏卵の動向

令和1年5月20日より成鶏更新・空舎延長事業が発動しました。
既にご存知のことと思いますが、今年2回目の発動になります。


4月の時点で5月には再度この事業が発動される噂や報道がありました。実際5月最初の取引は以外にも需要が多いことで相場安にならず安心感が広がっていましたが、やはり相場安に発展しました。


5月7日は東京M基準価格は185円ですが、16日に175円(10円安)、20日に165円(10円安)となり26日現在に至ります。
20円の下落は養鶏家にとっては痛いところです。鶏卵の固定引き取り量が多いところはまだ良いでしょうが、相場に大きく依存する経営状況の方には不安でなりません。


東京の相場はまだサイズ横並びで、L、M、MSが同じ価格で推移しています。鶏卵の生産からすればこのサイズにあらかた収まる経営者が多いので、サイズによるターゲットをさほど考えることはないかもしれません。


しかし、心配なのは、次に高いのはLLで小ぶりのSは平均135円で横並びから30円安と採算的に厳しいラインになります。


なぜ、このようなお話をしますと「5月にしては夏日・猛暑日」という報道が多く聞かれます。
夏季は、一般に卵重減少が発生します。しかもその現象は1g以上減少することも珍しくありません。


多くの養鶏家は飼養摂取量を減少させる管理をされていると思います。この手法は摂取量を減らすことで鶏卵が卵重増加する要因タンパク質の摂取を少なくさせて重くなっていくカーブを穏やかにする手法が多いはずです。


ご存知の通り、タンパク質のみ少なくしたエサを給餌することも可能でしょうが、一般的にこのようなエサはエネルギー量も少ない配合であることが多いため、鶏が満足すると感じるエネルギー量が少ないことで通常のエサより多く摂取してしまいますが、
結果多くてもたんぱく量が少ないため利点があるという理論です。

農業試験場でもこのような成果報告が多く発表されており、一般的な技法でしょうが、この部分の技量いかんで成功したり失敗したりする現実もあります。


飼料メーカーの指定配合であるため希望通りの配合が出来ないためこのような考え方を採用する養鶏家が多いのでしょう。

 

さて、夏季は暑いため、鶏は自身の熱を排出するため様々な仕草をします。養鶏の基本学習みたいで申し訳ありませんが、鶏はいわゆるパウンディング(ハアハアする仕草)して熱を下げていきます。

その他、冷たいものを触る、他の鶏に触れて熱を逃がす仕草もしますし、羽を少し広げて(脇を見せるような広げ方)をして風を自身に通して熱を下げる等仕草が多様化します。

鶏は汗をかきません。

このため冷たい水を飲むことで自身を冷やす、又は今お話した仕草で冷却するしかありません。
しかしながらこの仕草だけでは、基本十分な冷却は期待できません。そのため摂取量を下げて取り込んだエサの分解に必要なエネルギーを取り込む量を少なくして自身の皮下脂肪ではありませんが、脂肪分をエネルギーに置き換えていく仕草をします。これが、摂取量減少のメカニズムになるのですが、問題はここにあります。


エサが少なくなるということは、エネルギーやたんぱく質が少なくだけではありません。その他の栄養素も少なくなります。


つまり、生命維持のための栄養素が十分吸収できないということです。一般的に3gや5gくらい摂取量が少なくなる場合多くはその配合で充足できる量を満たさないとされ、
栄養不足となります。人間でもそうでしょうが、栄養が十分でなくてもすぐに病気にはなりません。夏はのど越しの良いビールではありませんが、冷麺など栄養というより
とりあえず摂取する行動をします。鶏も同じ事をしますが人間より早いうちに変化が現れます。


最初にあらわれるのが、卵重の減少です。毎日産出する鶏卵に変化が出ます。同時に体重が減少します。通常数週間程度かかる変化が短いほど鶏へのダメージは強いという法則があり、摂取量が急激に低下した場合、鶏へのダメージは大変強く、卵重減少、体重減少と生産量の減少と3つ同時に現れます。それ以上のストレスは鶏が死亡するという流れになります。


夏季に報道される、鶏の大量死亡はこのような影響があると言われます。

 

先ほど、Sサイズが安いお話をしました。このクラスの卵の重さは46gから52gの6グラム範囲でいわゆる産卵初期の鶏卵がこれにあたります。では鶏舎60g程度の平均卵中であれば問題なしと考えがちですが、あくまでも「平均値が」という話です。

平均卵重が60gの場合、最も多いサイズを算出しているのはMサイズで50%を超える量はここに分けられます。
次いでMSが40%を少し割る量、他Lサイズに10%未満、Sサイズが1%程度になるとされます。


ですから、通常は問題ないと考えられますが、初期産卵をしている鶏舎は通常早いタイミングで卵重が55g、60gと増えていきます。


しかし、夏季はそのタイミングがゆっくりとなるため、問題のSクラスが長くなる傾向があります。


参考までに54g平均とした場合、最も多いのはMSサイズで55%程度、次いでMサイズが10%程度、Sサイズが30%程度と分けられます。
ですから、早いうちにこの平均を超えていきたいところですが、ゆっくりとなる夏季は生産量減少の他卵重減少、生産クラスの変動で、大変ご苦労されるかと思うのです。

先ほどのお話の通り、養鶏家は小さい卵の産出に技術改善を進めています。平均60gだったのが、夏季の影響で58g、57gと下がると・・

Sサイズの産出が増えてきます。


あくまでも鶏卵相場が今のままであることを想定したお話をしていますが通常Lサイズが最も高く次いでM,MS,Sと価格が低くなるのが一般的です。


ですから、先ほどの卵重平均を見て頂きますと、通常の相場展開となれば、いずれもLサイズが少なく、平均的なMが多く、それ以下のクラスも多いという展開になるでしょう。
あとは、価格をつけて頂ければ相場から見た価格計算ができます。

 

現在、成鶏更新空舎延長事業が発動されています。つまり採算基準ギリギリか不採算領域かという状況です。その中でもL、M、MSはまだ辛うじて採算ぎりぎりというところもありましょう。


しかし、あと10円いや5円下がると不採算領域に突入していくところが多くなるはずです。


先ほどのように固定価格契約があるところはまだ良いと思います。しかし不需要期であるため安定した出荷になるかはわかりません。


しかし、鶏舎を空舎にして、飼料代金を浮かせることは意味を持ちません。鶏舎は稼働していくらの世界です。売るものがない=収入がないということです。

 

収入=(鶏のコスト+飼料代)-相場価格(固定価格) となり差額が収入(粗利)です。よほどの時代でない限りコストが上回ること(完全赤字生産)はありません。


ですから、稼働しなければもうからないのです。従業員を雇用されていれば固定費は生産量により左右されませんので赤字が増加します。なので止めるわけにいかない、次の餌付けスケジュールもあるのでなおさらでしょう。


しかし、生産して赤字になるラインは会社によりましょうがどこかにあります。そこのラインに抵触したとき、明日廃鶏というわけにはいきませんが何らかの決断が必要です。


その目安が成鶏更新空舎延長事業の発動といえます。


飼料引き渡し価格が6月に発表されます。7月からの価格は現在と同じか若干でも下がれば良いのですがどうでしょうか。


鶏卵相場は今が底とも言います。猛暑による生産量の減少がある可能性があり価格が崩れていかないという考えですが、関東は恐らく生産量が過剰であるため生産減少が相場維持(価格維持)につながることはないでしょう。


昨年のような大きな災害で生産に被害が出る場合は分かりませんが、近年の異常気象は養鶏家にとって脅威であるのは間違いありません。


それに加えての相場安展開と成鶏更新空舎延長事業の再発動。鶏卵価格補填事業は通年資金が底をつく傾向があるように感じます。ですからいつまでも安泰ではないでしょう。


コスト削減が急務でしょうが、それが人件費に及ぶことがないことを祈るばかりです。人材流出に発展し軽作業員(作業しかできない方々)の増強第一で、考える人材が減っていく危険が伴います。
これに気づく方はそう多くないため会社の存続の分岐点になる夏季になることがなければと思います。

 

成鶏更新空舎延長事業はしばらく続くと思われます。秋は生産量が回復してきます。需要も増えますが昨年は需要を上回る供給量でした。さて本年はどうでしょうか。

鶏卵の動向に注意していきたいところです。

 

HACCP義務化 畜産業の方向け養鶏版

食品衛生法が改正されました。既にご存知の方も多いと思いますが、私たち畜産業も
農場ではなく、加工販売されたり調理提供する6次産業を進めている方はその部分についてHACCP義務化が始まります。

 

営業許可があればよいと思われるでしょうが、実際はどうなのでしょう。
また営業許可があり営業している施設ではどのような影響があるのでしょうか。
今回はこの点についてお話いたします。


 義務化はいつからでしょう
2020年に施行します。2021年から完全に施行されます。
衛生管理が2区分で、「基準A」と「基準B」があり、と畜場や食鳥処理場は基準Aが適用されます。
それ以外は従業員が500人以上の企業や工場が該当します。

 

それ以外の事業者は「基準B」が適用されます。
小規模事業者やその事業者が店舗で小売販売を目的とした製造や加工と調理の提供で6次産業の方はこれに該当します。


その他、提供する食品の種類が多く変更する頻度が多い場合等個人経営スーパーがこれにあたります。

 

今回お話するのは「基準B」についてとなります。


では、基準Bはどのような要求事項なのでしょうか。
①危害要因分析を行う
②モニタリングの方法を定める
③記録の作成と保管
以上3点が主なものです。
基準Aより緩やかな要求事項となります。

 

では、詳しく見ていきましょう。
①危害要因分析を行う
食品事故を防ぐ為には提供する食品にどのような危険があるのか、そしてそれを排除するには何が出来るのか検討することを言います。
分析シートを作成してまとめる必要があります。作成がないと一つ一つ口頭で説明するのも大変です。
農場HACCP認証では危害要因分析がこれにあたります。

 

②モニタリングの方法を定める
危害要因を分析した際、その要因を排除するための基準を作成します。例えば「ハンバーグの鶏ひき肉を十分に加熱するために65℃2分間の加熱を行う」と基準を定めた場合、「いつ」「だれが」「なにを」「どのように」「万が一逸脱したら」「何に記録」に従いその方法を決めて実行するモニタリングが必要という意味です。


では、少し具体的に説明しましょう。
先ほど「ハンバーグの鶏ひき肉を十分に加熱するために65℃2分間の加熱を行う」と基準を定めました。
「いつ」調理し、ハンバーグの表裏を各2分間中火で加熱し焼き色を付けたのち、中心温度が65℃になるまで加熱を行う。
「だれが」調理者
「なにを」ハンバーグの中心温度を65℃に加熱
「どのように」温度計を差し入れて確認
「逸脱した時」温度計が65℃を示す前又は65℃2分間の基準を満たさない場合は、商品を提供しない。
「記録」調理品ハンバーグステーキ提供表に記載


以上のように決めたとすると、作業手順は以下の通りの文書になります。


基準・ハンバーグステーキ提供の安全基準
お客様にハンバーグを提供する場合以下に定めた方法により調理し提供する。
調理者は、ハンバーグを焼く際には
①表裏を焼き色がつくまで中火で加熱をする。
②焼き色がついたのち、温度計をハンバーグ中心まで差し込み65℃になるまで加熱を続ける。
③65℃到達後温度計を外し、タイマーを作動し2分間そのまま加熱を続ける。
④タイマーが2分を示した場合、調理が完了し盛り付けをする。

以下の事態の場合は商品を提供しないこと。
・65℃を示すことが分からない場合。
・2分間の加熱を確認できない場合。
・中心温度が65℃で2分間の加熱が出来ていない商品。

危害要因分析シートは以下のように作成できます。
品名・ハンバーグステーキ 
製品危害   予測される危害   リスク評価(3高、1低)  防ぐ手段手順  
鶏ひき肉 カンピロバクターの混入 重大3 頻度1 危険度3 65℃2分間で殺菌する


記録は、調理品ハンバーグステーキ提供表に記載 

    

以上のように作成ができます。
農場HACCP認証では、作業分析シートとHACCP計画がこれにあたります。

 

書式は簡単でいいはずです。大事なのは提供する食品に何が危険なのか自身や従業員が分かるように、最初から簡素に作成するのではなく、大げさかもしれませんが一緒に考え予測して対策を考えるということが大事です。

 

③記録の作成と保管
記録は簡素なものでも良いはずです。製品1つ1つのたびに記録することは手間です。大事なのは、手順通りに提供できたことを記録することが重要で、調理者名や提供数、いつ購入し調理したひき肉の情報を記録すると、製品事故が発生した場合原料調査の際に参考になり安心です。

 

記録は、万一の際に追跡できるためのツールです。ですから誰が調理したのか、いくつ提供したのか、原料はいつ購入したものを使用したのか等追跡しやすいような書式にすることを意識すると良いのではないでしょうか。


記録はノートみたいなものでも良いと思います。紙1枚を綴じていくと紛失したりして逆に記録として信用性を失うこともあり得ます。
見栄えの良い書式より保管しやすいことを第一に考えていくとよいはずです。

 

大変面倒なように感じますが、普段されていることが見えるようにした制度と考えて頂いてよいのです。

 

既に営業されている施設は、次回営業許可書更新時に「HACCP」(上記のような書類)に関する資料を添付する必要があるようです。

新規に営業を開始する場合は、申請書、施設設備の書類の他「HACCP」に関する資料を添付して申請することになります。

 

どちらも、第三者が認証した「HACCP」の資料を必要としていません。

つまり先ほどのような、皆さんが考え安心な商品を提供できる方法を紙にして提出するだけのことです。


農場HACCP認証を構築した際も、現場従業員から「そんな小うるさいことはできない」等アレルギー反応を示されてしまうぐらい、新しいことに手間を感じてしまうのかもしれません。


しかし、作業が見えることで新しい発見と危険を排除したいという意識が向上することは間違いありません。それは、同じHACCPではありませんが、農場HACCP認証を構築した指導員として断言できます。


安心してお客様に提供する意識、そのために考える意識、見直すことでより良く改善する意識が商品に現れ、それが安心につながり、信頼あるお店になります。


最初は大変と感じてしまうかもしれません。しかし新しい名前ですが新しいことをしているわけでないことを今日はご理解いただければと思います。


もし、さらに考えて見たい場合、厚生労働省地方自治体の担当課にお問い合わせいただければと思います。


微力ですが、私どももお力になれると確信しております。


来る2020年の施行に向けて準備を進めてまいりましょう。

ハエ対策と養鶏 効率よく行うこと

最近は、畜産農場と周辺住民との距離が近い地域が増えており、臭気問題以外にも「衛生害虫」問題も良く聞かれるようになりました。

 

ハエは人に不快感を与えますが、同時に家畜にもストレスを与えます。


よく言われますが、病気の伝播もあり「たかがハエ」と言えない時代でもあります。
伝播によるものとして、ニューカッスル病、鶏インフルエンザやコクシジウム症はハエが広めていくという話は有名です。


そのハエですが、近年は畜舎に通年発生することも珍しいことではなくなりました。
これは鶏舎の近代化が大きいといえます。温度が適切に管理できることで家畜に寒さによるストレス軽減に貢献していると同時に、ハエに対しても繁殖の通年化ができる環境を与えているからだと言われます。


実際鶏舎を拝見すると、ウインドレス鶏舎は真冬であっても20℃を超える管理が可能で暖かく、眼鏡が畜舎に入ると数秒で曇ります。


適度な温度と湿度、新鮮な鶏糞やこぼれ餌の変敗等があり、強く風が起きていないことで飛散しやすい環境が整っているといえるのです。


ハエは、繁殖力が強いことで有名です。代表的なイエバエは成虫まで8日から14日程度と短く1個体の産卵は3回程度と言われ約300個の卵を産むと言います。


嗅覚はほかのハエに比べ劣り遠い場所のエサには誘引されず広範囲に飛び回るとされ、明るい場所へ移動することから、薄暗い鶏舎から脱出し近隣住宅地等へ移動することで問題化します。


また、鶏舎内では殺虫作業等により有機リン系殺虫剤に強い抵抗性を持っているとされ、ピレスロイド系にも抵抗性を持ち出していると報告されています。


それでは、対策は何が一番効果的なのでしょうか。


よく言われますが、除糞が一番とされます。これは、繁殖地を畜舎から出すことで発生を抑えるからだと言えます。しかし近年の鶏舎構造では、スクレーパーで上手に鶏糞をかき出すことが出来ないため結果、残ってしまい繁殖するケースや集糞ベルトの隙間で繁殖するケース等除糞による効果を実感できない施設があるのも事実です。


一般的に集糞後は床面に幼虫が多く歩く場合は床面の清掃を行い排出することも重要です。先ほどの通り成虫まで8日から14日ですので、幼虫時点で4日程度経過しています。
まもなく成虫になる状況では大変危険です。


頻度を上げて集糞すべきと言えますが、作業の点から見ても難しいのが実情で、薬剤による駆除に切り替えることになるのでしょう。


薬剤は多種ありますが、大量発生時には追い付けないため日ごろから実施することも検討してはいかがでしょうか。しかし、耐性の問題もありますので同じ薬品の使用は避けて、効果が減じたときは違う種類に変更する等効果を持続できるような仕組みが必要です。


成虫への羽化を防ぐ薬剤もあります。経験から見て効果はあると思いますが、近年の鶏舎構造と鶏糞回収頻度から見て散布する機会はないのではと感じています。


それよりも、回収した鶏糞を早く処理することが重要ではないかと思います。


たい肥場はハエとウジが多く発生しています。これは運び込まれた鶏糞に大量に含まれるウジが右往左往しているからです。


先ほどの通りウジの状態では残り4日から8日で成虫になるカウントダウンに入っています。速やかに処理したいのですがどのようにしましょう。


それは、切り返し又は急速発酵機へ投入することでしょう。
発酵熱で、鶏糞では60℃を超えて70℃くらいまで温度が上がります。成虫は50℃で40秒で死滅します。ですので早めに対策することでたい肥舎からの発生を抑えることが出来ます。


薬剤散布はその次に考えるべきでしょう。


いずれも、対処療法になりますが、本当の対策は、発生させない環境を作ることではないでしょうか。


鶏舎内では、鶏糞の話をしました。しかし鶏糞以外にも発生源はあります。それは、こぼれエサに水が混じって変敗したものに集まる餌場やピック水樋に餌が付き腐敗する等
少し鶏舎を歩くだけでもその機会に遭遇します。


つまり、清掃するときにこのような場所を見つけ片付けるのも発生を抑えることが出来るということです。


温度を変えるや餌をこぼさないというのは難しいものです。しかし、原因が分かれば対策は講じることが出来ます。スクレーパーもかき出す刃に位置合わせを行うことで、
かき出し度が変わるはずです。何もできないではなく、できないが対策は打てるという考えで物事を見ると解決策が生まれるかもしれません。


畜舎とハエは関係を断ち切ることはできません。しかし抑え込むことは可能なはずです。完璧な駆除ではなく、迷惑かけない駆除を考えていくのも重要ではないでしょうか。


今日お話したことはすぐに実行できることは少ないかもしれませんが、考えるきっかけになるのではないでしょうか。

千葉県でのたい肥化計画の現状 養鶏版

千葉県は、家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画に従い平成37年(令和6年)を目標として、家畜排せつ物の利用の促進を図るための取り組みをしています。

 

ライブドアブログにも関連記事を書きましたのでnogutikusanで検索して参照ください。


1、現状はどうでしょうか
平成26年2月の家畜飼養頭数(羽数)から推計するとふん尿は314万トン/年と推計されています。現在はそれよりも多いはずです。
今回は採卵鶏についてお話をいたします。


家畜排せつ物の処理設備は採卵鶏では94%と高い施設で設置をしていることが分かります。
また、施設でたい肥化等の処理をしている家畜排せつ物の割合は98%とほぼすべてをたい肥化している状況がわかります。


では、そのたい肥はどのように流通するのでしょうか。
採卵鶏では、83%が販売しています。無償で譲渡するのは11%で量販店等納品は0.1%と僅かです。
つまり、近隣農家さん等に販売するか無償で譲渡しているのです。

では、無限に販売を続ければ安泰といえるかといえば少し心配もあります。


2、課題はなんでしょうか
採卵鶏は、特に北東部と南西部に多く飼養されています。つまり、たい肥の供給量が過剰な状況で地域内外でのたい肥の新たな活用方法を検討する必要があるといわれます。

北東部では銚子市旭市匝瑳市香取市をさします。南西部はいすみ市君津市市原市をさします。


また、一部の畜舎とたい肥化施設での悪臭問題があるため、当該施設に臭気対策を講じる必要があると報告されています。


設備の内訳から、採卵鶏はたい肥舎での処理が最も多く248施設、攪拌付き乾燥装置38施設、密閉式コンポスト29件とどこの養鶏施設も多額の資金を投じて処理施設を採用しています。

ですので、他所も臭いのだからうちも臭くても仕方ないと言える状況ではありません。


むしろ、投資されていないところが悪臭の根源と言われかねない状況になりつつあります。


製品の為に投資するのは自然なことですが、今の時代は最終処分まで費用を投下しなければならない時代になっています。


悪臭を中心とした環境問題への対応を強化する動きが見られます。
悪臭防止法に基づく臭気規制で、千葉県でも物質濃度規制に替えて、複合臭等に対応可能な官能検査による臭気指数規制を導入する市町村が増加しています。


現在集臭気指数規制を公表されている市は、千葉市松戸市習志野市我孫子市浦安市鎌ヶ谷市佐倉市の全域・市原市の工業専用地域以外です。


いずれも養鶏が盛んな地域ではありませんが、苦情が持ち込まれる場合市町村の議会で検討され最終的に市町村長が決定しますので、迷惑が当たり前では通用しない時代です。


また、養鶏が起因でなくても他畜産によって苦情となり決定されることもあり得ます。


うちは地元の名士だからと語る方もいます。しかし、お住まいの地域では名士でしょうが、農場が他市町村であればあまり意味のない話でしょう。

 

千葉県では、以上の経緯から耕畜連携等によるたい肥利用の推進が必要と考えていること。悪臭を中心とした畜産環境の問題への対応を課題としていると挙げています。


耕畜連携は、すでに多くの養鶏家が取り入れていますが、運搬とサービスの向上、成分表示等の品質向上、粒化・ペレット化と袋詰めによる取り扱い性の向上を挙げています。
上記では、現状解決できないと考える方も多いはずです。(既に取り入れていても、解決できないため)


このため、このような文言もあります。
たい肥の供給が過剰になっている地域においてたい肥としての利用が困難な場合は、家畜排せつ物のメタン発酵、焼却、炭化等によるエネルギー利用についても検討するとしています。


悪臭を中心とした畜産環境問題への対応として、地域住民に畜産業の意義を理解してもらうことで畜産農家と住民が良好なコミュニケーションを図るための取り組みを支援します。


環境問題が深刻である場合、脱臭装置等臭気低減に有効な技術の導入や既存設備の機能向上や設備更新等による改善を推進します。
臭気低減技術のためには、臭気指数の増減要因を解決するために、現地調査を行い新たな課題として開発に取り組むことにしています。

 

今後千葉県は家畜防疫の観点から、適切なたい肥化への徹底として、発酵熱で病原体が死滅するためにも適切な管理をする、運搬には車両が伝播する可能性を考慮して積載物の飛散防止、適切な消毒、運搬ルートの選定に勤めるよう指導をします。

 

いかがでしょうか、千葉県は採卵鶏では全国3位の飼養羽数の県ですがこのような取り組みを行っています。


養鶏に携る方々は、法規制を守ることの大事さや周辺に対する配慮が大事であり、現実問題に直面することをお話いたしました。
そのためにも、地域とのコミュニケーションが大事であって、畜産は臭いもの、当たり前の物、先に経営していて後から住宅を建設したという占有意識を変える時代になっていることが分かります。


また、不要な物にお金を投じないという考えは場合により会社の存続に影響を及ぼす可能性があることも示唆しています。
人材採用や製品販売、鶏糞等廃棄物の取り扱いと近隣とのコミュニケーション等多岐に渡り検討を必要とする時代になったのです。

農畜産物の消費行動に関する調査結果2018 鶏卵の消費動向

一般社団法人日本農業協同組合連携機構(JCA)が、2019年3月22日に発表した畜産物の消費行動に関する調査結果を発表しました。
この調査は10月に行われたものを翌年3月に公表しています。今回は鶏卵について考えて見ます。


家庭や自宅で調理する人に精肉・卵・牛乳を1週間に何日食べるのか等尋ねています。
・卵購入時の商品選び

最も多いのは「10個入りであること」55%(前年51.8%)でわずかに上昇しています。
「消費期限まで余裕があること」50.2%(前年52.3%)年々わずかに低下しています。
「特売やタイムサービス品であること」43.4%(前年44.3%)波がありますが微増といえましょう。
これらで言えることは、鶏卵はタイムセールや特売で購入するものと考えていることがわかります。


サイズによる好みも明らかになっています。
Lサイズであること12.4%(前年11.6%)で微増といえます。
Mサイズであること6.4%(前年7%)で波がありますが横這いです。
MSサイズであること1.1%(前年1.4%)でわずかに低下しています。
Lサイズは人気があり、MやMSは人気がある鶏卵でないことがわかります。


鶏卵相場2018年時点ではLサイズがMサイズより若干高いですが、1キロ5円程度の差です。1パックは平均で650から700gグラム程度でしょうから、価格差はほぼない状況です。


店舗としては消費者から人気がありわずかに金額を上乗せできる、Lサイズパック卵は魅力的でしょう。


しかし、サイズミックス卵はMやMSが混じることからサイズ卵が安価になる傾向があり人気なのも頷けます。店舗でも価格人気があるのでしょう。


その価格ですが、購入できる金額を尋ねると、20代で46.8%が100円から149円までを基準にしています。年齢が上がるにつれその割合が少なくなっていきます。


50代以降では200円から249円の割合が20%と増えてきます。いわゆる固定価格鶏卵(○○農場の卵等)の領域です。


40代までは2極化して、100円から149円までのサイズミックス卵か特売卵がこの価格帯になりそうで、サイズ卵(L、M)は200円程度傾向があることから、サイズ卵価格帯と言えましょう。この2つがほぼ同じ割合か、若干安いほうに数値が高いと言えそうです。


子育てが一段落するからでしょうか、300円以上の割合が60代、70代で5%、6.5%と2倍以上の上昇です。いわゆる健康重視(特殊卵)卵か販売所直営からの付加価値卵と
推察されます。


昔から言われた「褐色卵であること」「有精卵であること」は少しづつ減少しているように見えます。「褐色卵はありがたい」というのは、昔の話になっていくのでしょう。


その他「平飼であること」は横ばいで一定の需要がありそうです。
注目しているのは「決めている価格以下であること」が2015年以来18年は増加に転じたことでしょう。


15年は相場高騰の年でした。「物価の優等生の鶏卵に異常が」という見出しがあった時代です。18年は相場が低下しているためこのような集計は意外です。
経済的状況があるのでしょうか。


鶏卵を選ぶ基準が少しづつ変わりつつあるのかもしれません。

機能性表示食品 鶏卵が届け出されました

機能性表示食品といえば、サプリメント等が有名ですが、今回生鮮食品に分類される鶏卵がEPADHAを含み中性脂肪を下げる機能があるとするイセ食品の「機能性伊勢の卵」(届け出番号D586)が2019年3月4日に届け出されました。


ビタミンを含有する物、ミネラル等特殊な物として販売することが主流でしたが、今回のように消費者庁に届け出る機能性表示食品として、販売されるのは新しい選択肢が増えるものだと思います。


健康志向が50代を超える世代に高い傾向があることから、一定の需要があり付加価値ある価格でも購入するのでないかと考えております
(健康志向に関する記事はライブドアブログnogutikusanの畜産ブログ「消費動向調査 外食・中食と店頭販売での意識 データから見る畜産物 3月26日発表」をご覧ください。「nogutikusan」で検索ください)


ビタミン含有等珍しさがなくなっている鶏卵販売では、機能性表示食品という、表示者の責任による健康志向向け販売は新たな付加価値ある鶏卵となるでしょう。


近年は、○○さんちの卵や○○養鶏場のたまご等ネーミング卵も乱立気味です。ありがたみが無くなり付加価値と呼べるのか微妙でしょう。養鶏場近くで自販機による鶏卵販売等鮮度が高いことをアピールするのも良いでしょうが、首都圏等人口が多いところでは有利でしょうが養鶏場が近くにあることによる苦情も心配であり現実的ではありません。


付加価値販売はどちらかといえば首都圏エリアが主流になってしますのでしょうが、売店を設置したり、食事ができる施設を作るというのも皆さん全員出来る技ではありません。
6次産業化 卵の付加価値を考える 4月7日発表をご覧ください)


固定価格での引き取りが出来れば安心した経営が出来ましょうが、近年は販売先にも変化があるようにも感じます。過去からそうだから、未来も問題ないと考えるのも絶対にその通りとはならないというのが、私の考えでもあります。


やはり、固定価格を増やすためにも付加価値は絶対に外せないはずです。しかし、その方法はめまぐるしく変化し今考え出した方法も数年後それが普通となりやがて乱立するという構図が、出来上がりつつあります。


その中で「機能性食品」という、消費者からすると体に良いもので届け出ている物という付加価値は簡単に乱立できない新しい取り組みになりましょう。


常に先を読む必要がある鶏卵販売。市場価格に一喜一憂することなく生産物の一定量が「付加価値ある商品」に変わることが安定した経営に寄与できるはずです。


卵があればよい時代でなく消費者の心をつかむ時代になったのかもしれません。

 

3月の日本チェーンストア協会の発表には、畜産物は肉類は好調でしたが、鶏卵は概ねまずまずの動きでした。その中に消費者の心を掴む鶏卵があれば、「まずまずのシェア」からその商品が選ばれるのではないでしょうか。

鶏卵サルモネラ検出に思うこと

鶏卵とサルモネラは、イコールで連想される方も多いと思います。
養鶏に携る方には、「うちは関係ないよ」という方もいます。
近年はサルモネラワクチンを接種することで、発生は絶対ないという安心があることも
要因かもしれません。


ワクチン効果として、鶏の腸管におけるサルモネラ・エンテリティディス(いわゆるS.E)定着の軽減があるとされます。
ですが予防効果の一助になるもので完全阻止するものではありません。


何だ、ワクチンの話か?と言われてしまいそうですが、今日はそうでなく鶏卵の置かれた立場を近年の報道から読み取ってみようと思います。


まず、鶏舎内でのサルモネラ採材(ふき取り検査)の陽性率を見てみます。
平成17年ですので少し古いのですが、ねずみの検体からは18検体のうち5検体が陽性(発生率27.7%)で高く表れます。
養鶏場での最大目標「ねずみの徹底駆除」はここに理由があるのでしょう。


次いで、害虫が13検体のうち2検体陽性で(発生率15.3%)高く、衛生害虫は近隣に迷惑をかけるだけでなく媒介しているリスクがあることから、徹底除去する必要があり、日常管理作業の一環で行われていて理にかなっています。


3番目に多い鶏舎床面で、1823検体のうち184検体陽性(発生率10%)と、ネズミに関連している可能性が高いことをうかがわせています。


その他、死亡鶏で発生率9.9%、鶏卵搬送バーコンベアで3.3%、鶏糞1.9%、鶏舎壁5.1%、鶏舎ホコリ2.4%、卵選別機械2.5%と養鶏場での基本的箇所はこのように示しています。


それ以外に注目したいのは、管理器材が6.4%と高いことが気になります。


製品である鶏卵からは検出がなかったことにも注目したいところです。

 

さて、データから見ますと鶏卵(卵殻からも検出なし)から陽性がないこと、ねずみに高い陽性があったこと、ねずみに関する場所(床面やバーコンベア、それを触る機会が多い管理器材等)が高い傾向があること。後に結論を示しますがサルモネラの対策はどこに力を置くのでしょうか。


もう少し、データを見てみます。
S.Eの食中毒は少なくなっています。しかし疫学的に、分離される原因は鶏卵と考えられており養鶏場が調査の対象になる傾向が非常に高いのです。


食品媒介有害微生物リスク管理セミナー平成19年の講演では、全国の約1/10の養鶏場での調査で、1995年当時は8.5%のS.E汚染率で、
2001年は3.5%の汚染率となり、平成19年ではわずかな低下程度と言われていると紹介されています。


鶏卵の流通経路を先ほどのセミナー資料から見ますと、

問題としない経路として
1、農場からGPセンターを通り量販店へ行く場合は、量販店の規格書等があれば順守されるため問題なしといわれます。
2、農場からGPセンターを通りパック工場を経て量販店も同じ。
心配な問題と考えられる経路なのは、
3、農場からGPセンターを通りパック卵・箱卵が卵問屋に行く場合は心配です。

卵問屋での詰め替えが行われ、保存期間の一定がなく、飲食店等業務用となり、詰め替えのため自社農場の卵かわからないことから調査が難しく、事故発生時の追跡は困難であるといわれます。


鶏卵の殻に付着したサルモネラ菌は殻の小さい穴から内部に侵入し増殖を開始します。しかし、すぐには増殖せず冷蔵であれば40日は増殖を抑えるため、冷蔵庫保管を基本とします。常温であっても例えば28℃であっても6日程度は増殖しないとされます。

ですので、鶏卵が汚染し増殖するまでは常温だからすぐになり事故に至るというわけではないのでしょう。

しかし、詰め替え卵の保管はまちまちで9日は安心かもしれないがうちの卵は2日程度、でも他所はすでに7日は経過しているということもあり得ます。

 

ではデータから見た鶏卵の置かれた立場を考えて見ますと、鶏卵から算出されるS.Eはほとんどなく、逆にねずみによる汚染により結果、製品に付着し事故に発展するという考えが出来ます。


たしかに鶏卵の殻に、もし付着しているとすれば集卵ベルトをねずみが通行し汚染するという考えも可能でしょう。
床面の汚染も、ねずみの通行による汚染で人が通行した際に交差汚染するという考えも成り立ちます。
鶏卵搬送バーコンベアもねずみが通行することがあり汚染も成立します。

ですから、鶏に対してワクチンを接種した場合、
鶏から産出される製品に汚染がなくとも、その後の保管状況等で汚染する可能性があるという考えは頷けます。


しかし、養鶏場で発生したという報道をされた場合、その発生源は鶏卵と言われるため、細部を検討すると実は鶏卵でしょうが、その根本は別なのですという論理もあるはずです。しかしそのような報道はされません。


ですから、サルモネラワクチン接種したから安全ですとは言い切れないのです。それ以外にも殺鼠対策をする。そして定期的に検査し、どの採材で異常を検知したのか確認し消毒し、ねずみの生息等確認する必要があります。

鶏舎を綺麗に管理することは衛生管理対策上有用ですし、それだけ害虫や衛生動物に対する意識も高いので、安全性が高いと言えるのです。ワクチンだけがS.Eに対し絶対的に有効ではないことを再確認したいと思います。

 

最後に最近のサルモネラ中毒の報道についてまとめてみます。
2017年11月2日山形県鶴岡市の養鶏場で産直販売した鶏卵からサルモネラ属菌が検出され、自主回収したと発表しています。


2017年9月21日山形県鶴岡市の病院からサルモネラ検出患者の増加があり1名が死亡したと通報があります。検体からサルモネラ属菌09群が検出されたと発表。
原因は鶏卵か、食肉か、外食か、はっきりと特定できず庄内地域での鶏卵流通状況を調査。
鶏卵の流通は、G.Pセンターより自社養鶏場の鶏卵のみ選別・包装している場合の他、他社養鶏場から仕入れた鶏卵も選別・包装していることが分かった。
結果養鶏場までさかのぼることが出来ない場合があった。


家畜衛生所による庄内地域18養鶏場のサルモネラ汚染状況調査を平成29年10月実施したものによると、2か所の養鶏場の環境検体等からS.Eを検出。

当該鶏舎の鶏群を廃用処分し清浄化対策を実施。

 

今回報道のあった該当養鶏場の付設G.Pセンターからは検出はなかった。
鶏卵も検出はなかった。
今回の検体解析の結果2農場から検出したS.Eは患者の菌株と遺伝的に同一と考えられた。
しかし、患者1名はその養鶏場の鶏卵と鶏卵加工品を喫食していない事実が判明している。

 

9月の報道から想像できるのは、前述の心配な問題と考えられる経路3に該当しています。
ですので、検出した養鶏場の鶏卵を食していないのに感染したという難しい理由が発生しているのでしょう。

 

鶏卵=サルモネラという考えはある意味正解でしょう。
しかし、鶏卵に直接原因があるわけでなく鶏卵が汚染されることによる被害がある可能性を示しています。


先ほど述べましたが、事故が発生し食品や鶏卵を調べても特定できないという構図があり患者の検体と養鶏場での菌株が同じであり、結果養鶏場の鶏卵となるのでしょう。


鶏からの産出でない鶏卵でのサルモネラ汚染でも、ワクチンしていますから安心ですということを宣言できるか。神話にとらわれると危険がある事例なのかもしれません。