nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

HACCP義務化 畜産業の方向け養鶏版

食品衛生法が改正されました。既にご存知の方も多いと思いますが、私たち畜産業も
農場ではなく、加工販売されたり調理提供する6次産業を進めている方はその部分についてHACCP義務化が始まります。

 

営業許可があればよいと思われるでしょうが、実際はどうなのでしょう。
また営業許可があり営業している施設ではどのような影響があるのでしょうか。
今回はこの点についてお話いたします。


 義務化はいつからでしょう
2020年に施行します。2021年から完全に施行されます。
衛生管理が2区分で、「基準A」と「基準B」があり、と畜場や食鳥処理場は基準Aが適用されます。
それ以外は従業員が500人以上の企業や工場が該当します。

 

それ以外の事業者は「基準B」が適用されます。
小規模事業者やその事業者が店舗で小売販売を目的とした製造や加工と調理の提供で6次産業の方はこれに該当します。


その他、提供する食品の種類が多く変更する頻度が多い場合等個人経営スーパーがこれにあたります。

 

今回お話するのは「基準B」についてとなります。


では、基準Bはどのような要求事項なのでしょうか。
①危害要因分析を行う
②モニタリングの方法を定める
③記録の作成と保管
以上3点が主なものです。
基準Aより緩やかな要求事項となります。

 

では、詳しく見ていきましょう。
①危害要因分析を行う
食品事故を防ぐ為には提供する食品にどのような危険があるのか、そしてそれを排除するには何が出来るのか検討することを言います。
分析シートを作成してまとめる必要があります。作成がないと一つ一つ口頭で説明するのも大変です。
農場HACCP認証では危害要因分析がこれにあたります。

 

②モニタリングの方法を定める
危害要因を分析した際、その要因を排除するための基準を作成します。例えば「ハンバーグの鶏ひき肉を十分に加熱するために65℃2分間の加熱を行う」と基準を定めた場合、「いつ」「だれが」「なにを」「どのように」「万が一逸脱したら」「何に記録」に従いその方法を決めて実行するモニタリングが必要という意味です。


では、少し具体的に説明しましょう。
先ほど「ハンバーグの鶏ひき肉を十分に加熱するために65℃2分間の加熱を行う」と基準を定めました。
「いつ」調理し、ハンバーグの表裏を各2分間中火で加熱し焼き色を付けたのち、中心温度が65℃になるまで加熱を行う。
「だれが」調理者
「なにを」ハンバーグの中心温度を65℃に加熱
「どのように」温度計を差し入れて確認
「逸脱した時」温度計が65℃を示す前又は65℃2分間の基準を満たさない場合は、商品を提供しない。
「記録」調理品ハンバーグステーキ提供表に記載


以上のように決めたとすると、作業手順は以下の通りの文書になります。


基準・ハンバーグステーキ提供の安全基準
お客様にハンバーグを提供する場合以下に定めた方法により調理し提供する。
調理者は、ハンバーグを焼く際には
①表裏を焼き色がつくまで中火で加熱をする。
②焼き色がついたのち、温度計をハンバーグ中心まで差し込み65℃になるまで加熱を続ける。
③65℃到達後温度計を外し、タイマーを作動し2分間そのまま加熱を続ける。
④タイマーが2分を示した場合、調理が完了し盛り付けをする。

以下の事態の場合は商品を提供しないこと。
・65℃を示すことが分からない場合。
・2分間の加熱を確認できない場合。
・中心温度が65℃で2分間の加熱が出来ていない商品。

危害要因分析シートは以下のように作成できます。
品名・ハンバーグステーキ 
製品危害   予測される危害   リスク評価(3高、1低)  防ぐ手段手順  
鶏ひき肉 カンピロバクターの混入 重大3 頻度1 危険度3 65℃2分間で殺菌する


記録は、調理品ハンバーグステーキ提供表に記載 

    

以上のように作成ができます。
農場HACCP認証では、作業分析シートとHACCP計画がこれにあたります。

 

書式は簡単でいいはずです。大事なのは提供する食品に何が危険なのか自身や従業員が分かるように、最初から簡素に作成するのではなく、大げさかもしれませんが一緒に考え予測して対策を考えるということが大事です。

 

③記録の作成と保管
記録は簡素なものでも良いはずです。製品1つ1つのたびに記録することは手間です。大事なのは、手順通りに提供できたことを記録することが重要で、調理者名や提供数、いつ購入し調理したひき肉の情報を記録すると、製品事故が発生した場合原料調査の際に参考になり安心です。

 

記録は、万一の際に追跡できるためのツールです。ですから誰が調理したのか、いくつ提供したのか、原料はいつ購入したものを使用したのか等追跡しやすいような書式にすることを意識すると良いのではないでしょうか。


記録はノートみたいなものでも良いと思います。紙1枚を綴じていくと紛失したりして逆に記録として信用性を失うこともあり得ます。
見栄えの良い書式より保管しやすいことを第一に考えていくとよいはずです。

 

大変面倒なように感じますが、普段されていることが見えるようにした制度と考えて頂いてよいのです。

 

既に営業されている施設は、次回営業許可書更新時に「HACCP」(上記のような書類)に関する資料を添付する必要があるようです。

新規に営業を開始する場合は、申請書、施設設備の書類の他「HACCP」に関する資料を添付して申請することになります。

 

どちらも、第三者が認証した「HACCP」の資料を必要としていません。

つまり先ほどのような、皆さんが考え安心な商品を提供できる方法を紙にして提出するだけのことです。


農場HACCP認証を構築した際も、現場従業員から「そんな小うるさいことはできない」等アレルギー反応を示されてしまうぐらい、新しいことに手間を感じてしまうのかもしれません。


しかし、作業が見えることで新しい発見と危険を排除したいという意識が向上することは間違いありません。それは、同じHACCPではありませんが、農場HACCP認証を構築した指導員として断言できます。


安心してお客様に提供する意識、そのために考える意識、見直すことでより良く改善する意識が商品に現れ、それが安心につながり、信頼あるお店になります。


最初は大変と感じてしまうかもしれません。しかし新しい名前ですが新しいことをしているわけでないことを今日はご理解いただければと思います。


もし、さらに考えて見たい場合、厚生労働省地方自治体の担当課にお問い合わせいただければと思います。


微力ですが、私どももお力になれると確信しております。


来る2020年の施行に向けて準備を進めてまいりましょう。