nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鶏卵供給過剰による養鶏経営受難な時代

3月に入り年始から叫ばれています鶏卵相場の低迷が続いています。
生産量が多いことによる消費量とのバランスが崩壊していることが原因ですが、「需要に見合った生産体制構築のお願い」が生産者等に再度配布されました。(2月19日)


生産量を抑制することは大変な痛みを伴うことがあり、中々手を挙げることが難しいのだろうと思います。
できれば、「生産調整は他所にお願いしてうちは、当初計画通り進めたい」

「2019年の餌付けは既に決定しており、今さら変更はできないし、しない」

「設備更新が完了しており支払いに入っている。今さら変更はできない」等
様々な意見が出そうです。


2019年の鶏卵相場は、低調に推移しているのはご承知の通りです。
昨年の相場傾向はすでに供給過剰現象が起きており、春先は今年よりはよかったでしょうが「低価格」となり夏以降からの上昇となりました。
これは西日本地区の災害や猛暑による生産量減少が要因で、毎年災害が起きるわけでないため夏季から鶏卵相場が盛り上がると考えるのは危険です。

猛暑による生産減少は毎年あることですが、正直大規模まで猛暑による影響はあまり考えることは現実ではありません。


東から西への供給移動のおかげで東地域は過剰な鶏卵を移動することが出来相場が維持できたと考えるべきです。


ちなみに、昨年12月は14年ぶりの相場低下を示しました。

 

さて、鶏卵供給過剰の影響はいつまで続くのでしょうか。
先ほどの通り、今大規模養鶏家(10万羽以上飼育している養鶏家を指します)は全体の70%からの世界です。
今の時代10万羽以下の小規模養鶏家は年々減少しており、その方が市場から退場しても、その施設を他が買取し経営を続ける構図は今後も変わらないと感じます。
つまり、小規模の経営者の代わりに中規模以上の大きい養鶏家が生産シェアを取るだけで、今後は大規模が中規模養鶏家の生産シェアを取ることになるのではと危惧しています。


現実規模が大きいところほど有利と言えます。
餌付け羽数は昨年暮れから前年比割れを示すようになりました。しかしそれでも鶏卵相場が回復できるか見通しは、はっきりしません。

 

この5年程度の鶏卵相場が良い時期、設備更新に投資した方や増羽のため鶏舎新築や改造等に投資した方様々と思います。
心配なのは増羽したことで、販売先に異変が起きないことを願っています。
久しぶりに販路調査をしました。大手販売店の鶏卵陳列ケースに今までと異なる会社の鶏卵が入りました。以前からのメーカーが姿を消したのです。
この店舗は系列店でも同様に入れ替えを行っています。何らかの理由により入れ替わったのでしょうが、それは当事者でしか分かりませんので推測ですから真相は不明です。


心配なのは、消費者は何を基準に鶏卵を選ぶかです。鮮度や安全安心では当たり前で競争になりません。では価格となるのか、
正直そうでないことを願っています。

価格競争が発生した場合大規模・中規模・小規模の各養鶏家のうち悪影響が強く出るのはどの分野でしょうか。


ほとんどの事業者は大手と言えるか分かりませんが、中規模の養鶏家と思われるのであれば、増羽して勝利を得られるか
もう一度考え直すのもありかもしれません。
大手は、これから大手となる方よりも前から大手として君臨しています。新参者が隙いる余地があるのか分かりません。
大事なのは規模拡大もあると思いますが、自社製品の差別化が出来れば新たな活路を見いだされるかもしれません。


その方法は何か、経営受難な時代と割り切る前に、皆さんの考えや気づきが養鶏の新しい時代への道を切り開くかもしれません。